オープンソースLLMの系譜〜主要8ファミリーの歴史と特徴を調べてみた

自分のパソコンで動かせるAIの文章モデル(ローカルLLM。手元で動く対話AIのこと)は、いくつかの「家系」に分かれています。どれも無料で公開されている「オープンソース(中身や重みデータが公開され、誰でも使えるもの)」ですが、作っている会社も、得意なことも、歩んできた歴史もさまざまです。本記事では、いま押さえておきたい主要8ファミリーを、誰が作り、どう育ってきて、手元で動かせるのか、という視点でざっくり調べてまとめました。

結論を先に書くと、2023年ごろにMeta社の「Llama(ラマ)」がオープンソースの流れに火をつけ、そこからQwenやGemma、DeepSeekなど各社が競い合い、2026年時点では中国勢を中心に活発に更新が続いています。細かい歴史は、以下で家系ごとに見ていきます。

まずはざっくり系譜

主要オープンソースLLMの家系(ざっくり)
アメリカ勢
Llama(Meta)/Gemma(Google)/gpt-oss(OpenAI)/Mistral(フランス)
中国勢
Qwen(Alibaba)/DeepSeek/GLM(Zhipu)/MiniMax

大きな流れ: 2023年 Llama が口火 → 各社が追随 → 2025〜2026年は中国勢と新顔(gpt-oss等)が高性能な公開モデルを次々投入。

① Llama(ラマ/Meta)— オープンソースの口火を切った家系

Facebook(現Meta)が2023年ごろに公開した家系で、いまのローカルLLMブームの出発点です。当初は研究用でしたが、途中から商用利用もできる形(オープンウェイト。重みデータを公開する方式)になり、世界中で改造(ファインチューン)の土台に使われました。世代を重ねて賢くなり、近年は「必要な担当だけ動く仕組み(MoE/混合エキスパート)」も取り入れています。手元でも動かせますが、上位モデルは大きめのグラフィックボードが要ります。

② Qwen(クウェン/Alibaba)— ローカルの定番になった万能家系

中国のAlibabaが手がける家系で、2023年ごろから短い間隔で更新を続け、いまやローカルLLMの定番になりました。小さいものから巨大なものまでサイズの幅が広く、文章・計算・コードまで広くこなす「なんでも屋」タイプが多いのが特徴です。コード特化版(Qwen-Coder)や、必要な担当だけ動くMoE版も充実しています。当ブログでも実測の主役級で、扱いやすさとバランスの良さが光ります。

③ Gemma(ジェマ/Google)— 軽くて効率のよい家系

Googleが自社の大型AI「Gemini」の技術をもとに公開している家系です。小さめのサイズで賢く動く「効率のよさ」が売りで、非力なパソコンでも動かしやすいのが魅力です。世代を追うごとに、画像も扱える版や、必要な担当だけ動くMoE版など幅が広がりました。手軽に試したい入門者に向いた家系です。

④ Mistral(ミストラル/フランス)— MoEを広めた欧州の家系

フランスのMistral AIが手がける家系です。小さくても賢い「Mistral 7B」で注目を集め、続く「Mixtral(ミクストラル)」で、必要な担当だけ動く仕組み(MoE)をオープンソースの世界に広めた立役者です。欧州発として存在感があり、軽さと性能のバランスを重視する場面で選ばれます。

⑤ DeepSeek(ディープシーク/中国)— 推論と効率で驚かせた家系

中国のDeepSeekは、巨大なのに動かす部分を絞って効率化するMoEや、複数の単語を先読みして速くする工夫(MTP/複数トークン同時予測)を積極的に取り入れた家系です。特に、じっくり考えて答える「推論特化」のモデルが世界的な話題になりました。巨大なので手元で完全に動かすのは大変ですが、圧縮(量子化)した版が出回っています。

⑥ GLM(ジーエルエム/Zhipu)— コードとエージェントに強い家系

中国のZhipu AI(清華大学系)が手がける家系で、対話モデル「ChatGLM」から始まり、世代を重ねてコード書きや、道具を使って自律的に作業する「エージェント」用途に強くなりました。2026年時点では上位モデルが非常に高性能ですが、その分とても大きく、手元で動かせるのは軽量版(Flash等)が中心です。

⑦ gpt-oss(ジーピーティー・オーエスエス/OpenAI)— OpenAIが久々に公開した家系

ChatGPTで知られるOpenAIが、久しぶりに重みデータを公開した家系です。必要な担当だけ動くMoE構成で、考える力(推論)と道具の使用に対応し、公開モデルとしては上位の実力を持ちます。大きめですが、大容量メモリのミニPCなどでは実用的な速度で動きます。当ブログの実測でも、賢さと速さのバランスが良い一台でした。

⑧ MiniMax(ミニマックス/中国)— 新顔の大型エージェント家系

中国のMiniMaxは、長い文章を扱えて、自律的に作業するエージェント用途に力を入れた新顔の家系です。2026年には、フロンティア(最先端の有料AI)にあと一歩まで迫る大型の公開モデルを出しました。総パラメータは巨大ですが、必要な担当だけ動く仕組みのおかげで、大容量メモリの機材なら実用速度で動きます。

ちなみに:ファインチューン(改造版)という枝葉

上の8家系は「土台」となる本家ですが、その土台を特定の用途に鍛え直した「ファインチューン(改造版)」も数多くあります。たとえばコード特化に強化した改造版などがあり、これらはGemmaやQwenといった本家を親に持つ枝葉にあたります。ローカルLLMを選ぶときは、まず本家の家系を押さえ、次に用途に合った改造版を探す、という順で見ると迷いません。

まとめ〜まずは家系を押さえてから選ぶ

ローカルLLMは、Llamaが口火を切り、Qwen・Gemma・Mistralが土台を固め、DeepSeek・GLM・gpt-oss・MiniMaxが高性能化を競う、という流れで育ってきました。2026年時点では、更新の勢いは中国勢が目立ち、そこにOpenAIのgpt-ossが加わった形です。まずは「どの家系か」を押さえ、次に「自分のパソコンに載るサイズか」「用途(文章かコードか)に合うか」を見て選ぶと、迷いにくくなります。具体的にどのモデルが手元でどれくらい動くのかは、当ブログで実際に測った記録が参考になるはずです。

本記事は各社の公開情報・報道を調べてまとめたもので、手元での実測ではありません(歴史や時期はおおよその流れです)。専門用語はかっこ内に併記しました。