iPhone 18 Pro / Pro Max / Duo のAI性能は従来の2倍?〜任意のAIモデルは動かせるのか?

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新しい iPhone 18 Pro / 18 Pro Max / iPhone Duo の3機種は、従来機種よりも「AIの処理能力が2倍」だそうです。このAIの処理能力というのは何を指すのでしょうか。公式の発表などをもとに調べてみました。

この記事で調べたことと、調べ方

3つです。新しいチップの「2倍」は、どこで意味を持つのか。自分で選んだAIモデルを動かすとき、何が変わるのか。3機種の間に違いはあるのか。

Apple の公式ページで書かれていることと、公式に書かれていないので各社の解説記事から拾ったことを、節を分けて書きます。

公式が言っていること

次の表は、Apple の発表資料と製品ページから当方が直接読んだものです。

項目 Apple の記載
頭脳の名前 A20 Pro
AI用の回路 16コアのニューラルエンジンを2つ・合計32コア。前世代(A19 Pro)の2倍のAI処理能力
メモリの帯域(データの通る速さ) 前世代より50%広い
メモリの量 記載なし
他社のモデルを動かす話 記載なし

メモリの量が書かれていません。ローカルLLMでは、まずここで動くかどうかが決まります。公式が出していない以上、当方も断定できません。

「2倍」は、どこで意味を持つのか

ニューラルエンジンが2倍になった、という話です。この2倍には、ひとつ引っかかりがあります。

ニューラルエンジンを使う道は、主に Apple の仕組み(Core ML)を通る形です。どこで計算するかは OS が割り振るため、通せば必ず使われるというものでもありません。いっぽう、手元でGGUFという形式のモデルを動かすときによく使う llama.cpp は、通常の作りでは Core ML を通らず、GPU と CPU を使います。

つまり、自分で選んだAIモデルを動かしている人にとって、32コアになったニューラルエンジンは、そのままでは出番がありません

では何が変わるのか。メモリの帯域が1.5倍になったほうです。公式は「50%広い」と書いていますが、同じことです。帯域とは、メモリとの間でデータをやり取りする速さのことです。

当方がこれまで測ってきた範囲では、文章を書く速さはおおよそ次の割り算で決まります。

書く速さ ≒ メモリの帯域 ÷ 1トークンあたりに読む量

分子が1.5倍になるなら、同じAIモデルなら素直に速くなります。「AI処理能力2倍」より、こちらの1.5倍のほうが、自分で選んだAIモデルを動かす人には響きます。

なお、Mac でも同じ形の話を調べたことがあります。新Mac Studioの「AI性能4.3倍」の実力は?では、ニューラルエンジンと MLX の関係を追いました。同じ構図です。

「iPhoneで20Bが動く」は、どのAIモデルの話か

大きなAIモデルが手元で動く、という話が出ています。この20Bというのは、Apple が自分で作ったAIモデルのことです。

各社の解説では、次のように書かれています。以下の4点は、公式ページで確認できていません。

  • 動くのは Apple 製のAIモデル。好きなAIモデルに差し替えられません
  • 重みを自分で調整することもできません
  • 動かすには前世代のうえでメモリ12GBが要るとされています
  • 大きな重みは保存領域に置き、1回の返答で読み込むのはその一部だけ、という作りです

AIモデルを自分で選びたい人にとっては、枠の外の話です。Apple の用意したものを使う分には強力ですが、「好きなAIモデルをスマホで動かす」とは別の話です。

アプリの中に小型のAIモデルを入れる道はあるのか

Apple の用意したAIモデルは差し替えられません。では、任意のAIモデルを動かす道はないのか。アプリの中に小型のAIモデルを入れる形なら、道はあります。llama.cpp の公式リポジトリには、iOS 向けの実装例(llama.swiftui)が置かれています。

ただし、壁になるのは本体のメモリの量だけではありません。iOS は、メモリを使いすぎたアプリを終了させます。使いすぎたアプリは、システムに強制終了させられます。本体に12GBあっても、1つのアプリがその全部を使えるわけではありません。

各社の解説では、現実的な線が次のように書かれています。Apple の公式の数字ではありません。

項目 書かれている目安
AIモデルの大きさ 20億パラメータ級まで。4bitに削って1〜2GB前後
削り方 Q4_0 か Q4_K_M。これより大きいと余裕が無くなる
上限に触れる原因 重みよりも文脈の長さのほうが効く
書く速さ A17 Pro 以降で毎秒15〜30トークン
続けると数分で約44%落ちるという報告

Apple のものより簡素なものになる、というのはそのとおりです。Apple の20億×10に対して、自分で入れられるのは20億級です。桁が1つ違います。

ここで効いてくるのが、Apple 側の置き方です。Apple のAIモデルは、重みがアプリの外に在ります。だからアプリ自身の使用量には乗りません(端末のメモリを使わない、という意味ではありません)。AIモデルを自分で抱えると、その分がまるごと自分の予算から引かれます。同じ端末の上でも、置かれている場所が違います。

それでも道はあります。AIモデルを自分で選べること自体に意味があるのなら、20億級を入れるという選び方は成り立ちます。メモリの広い機種ほど、この余地は広がります。

メモリはいくらなのか(ここは推測です)

各社の解説記事では、次のように予想されています。Apple は公表していません。

機種 予想されるメモリ
iPhone 18 Pro / 18 Pro Max / iPhone Duo 12GB
iPhone 18 / 18e 9GB

この数字には、手がかりがあります。1つ前の17シリーズです。こちらは開発者向けのツールから値が判明しており、機能の線引きもすでに起きていました。

機種メモリiOS 27 の最上位のAI
iPhone 17(無印)8GB使えない
iPhone 17 Air12GB使える
iPhone 17 Pro / Pro Max12GB使える

ここが変わり目でした。これまで Apple の AI 機能が使える条件は「8GB以上」の一本線でした。それが iOS 27 で、8GBで使えるものと、12GBが要るものに分かれました。8GBの iPhone 17(無印)で外れたのは、最上位のオンデバイスのAIモデルと、Siri の声の作り替えの2つとされています。写真やメールの検索といった大半の機能は、8GBでも動きます。

この最上位のAIについては、iPad は M4 以降で12GB以上、Mac は M3 以降で12GB以上が条件とされています(Apple の AI 機能全体の対応条件とは別の話です)。12GB という数字が、機種をまたいで出てきます。

この線引きは、自分で選んだAIモデルを動かす人にも効いてきます。Apple 自身が「12GBないと載らないAIモデルがある」と線を引いた、ということです。本体のメモリが、機能の有無を直接決める段階に入っています。

なお、まだ出ていない iPhone 18(無印)については予想が割れています。9GB とする見方と、12GB まで上がるとする見方の両方があります。9GB の場合は、上の2つの機能はやはり使えないとされています。1GB刻みの話ではなく、12GB という線がある、という形です。

12GB だとして、実際に使えるのは全部ではありません。画面の表示にも使われますし、システムも動いています。手元のパソコンで16GBのグラフィックボードを使ったときは、実際に使えたのは15.4GiBでした。

同じ割合で減るとすれば、12GB のうちAIモデルに回せるのは8GB台でしょうか。この見積もりは当方の推測で、確かめたものではありません。そのくらいなら、40億から80億くらいの規模のAIモデルを、4bitに削って動かす形が現実的だと思っています。

3機種で、動かす条件は変わるのか

3機種を並べます。Apple の公式仕様ページから当方が直接読んだものです。

項目 iPhone 18 Pro iPhone 18 Pro Max iPhone Duo
頭脳 A20 Pro(3機種とも同じ)
AI用の回路 16コアのニューラルエンジンを2つ(3機種とも同じ)
メモリの量 記載なし(3機種とも)
画面 6.3インチ 6.9インチ 開いて7.6インチ/閉じて5.4インチ
保存領域 256GB〜2TB(3機種とも)
電池(動画再生) 最大36時間 最大45時間 内側 最大31時間/外側 最大44時間

iphone Duoは、価格は36万4800円から、10月23日発売とされています。内と外で画面の縦横比を揃えていること、指紋認証が側面のボタンにあること、ペンが使えることなども挙がっています。

ローカルLLMの視点で見ると、3機種はどれも同じです。頭脳もAI用の回路も同じものが載っています。メモリの量はどの機種についても書かれていません。どれを選んでも、動く速さが変わる要素は見当たりませんでした。

違うのは画面と電池です。とくに画面の大きさは、AIが返してくる長い文章を読むときに効いてきます。Duo の7.6インチは、18 Pro の6.3インチとは別物です。当方は生成された文章を読むのがつらくなって、電子ペーパーの端末に送って読むようになりました。読む面積が広いことは、それだけで作業の質を変えます。

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この記事で確かめていないこと

  • 実機を持っていません。速さの数字は1つもありません
  • メモリの量を Apple は公表していません。18シリーズの 12GB / 9GB は各社の予想で、とくに18(無印)は9GB説と12GB説に割れています
  • 17シリーズの 8GB / 12GB と、iOS 27 で分かれた機能の話は開発者向けツールと各社の解説によります。Apple の仕様ページに書かれたものではありません
  • 「20Bが動く」の詳細は公式ページで確認できていません。各社の解説によります
  • 3機種の比較はApple の公式仕様ページによります。ただしメモリの量はどの機種についても書かれていません
  • MLX という別の仕組みがニューラルエンジンを使うのかどうかは、確認できていません
  • iOS の1つのアプリが使えるメモリの具体的な上限は、Apple の公式ページで確認できていません。アプリに小型のAIモデルを入れる話の目安(20億級・毎秒15〜30トークン・熱で約44%低下)は、いずれも各社の解説によります

まとめ〜「2倍」より「1.5倍」を見る

2倍になったのは、ニューラルエンジンのコアの数です。16コアのニューラルエンジンが2つ載って合計32コアになった、という意味で、Apple はこれを「2倍のAI処理能力」と書いています。速さが2倍になる、とは書かれていません。コアの数と、出てくる速さは別のものです。

そしてニューラルエンジンは、Apple の仕組みを通したときにだけ使えます。自分で選んだAIモデルを動かすときは、そこを通りません。この「2倍」は、3機種のどれを選んでも同じです。

効くのは、同時に発表されたメモリの帯域が1.5倍になったほうです。書く速さは帯域の割り算で決まるので、こちらは素直に速さへ返ってきます。

そして、いちばん知りたいメモリの量は公表されていません。メモリの量が決まらないと、どのAIモデルが載るかも決まりません。

3機種は、頭脳もAI用の回路も同じです。速さで選ぶ理由は見当たりませんでした。違うのは画面と電池で、とくに Duo は速く動くようになるわけではありませんが、返ってきた文章を読む面積は倍近くまで広がります。手元でAIを動かしていると、読むほうが人の仕事のまま残ります。読む側を助ける機種だと考えると、見え方が変わってくるのではないでしょうか。

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