内蔵SSDが埋まってきた〜データの置き場所を、値段と速さで並べ直した
2026年8月18日
データが増えてしまって、パソコンの中のSSDがいっぱいになってきました。
ローカルAIのモデルだけで249GB。そこへ動画も写真も溜まっていきます。
とはいえ、2026年のいまSSDは高騰しています。底値から3〜6倍で、買い足す気になれません。
それで、データの保存について、今いちど考えてみることにしました。全部をSSDに置く必要が、そもそもあるのか。
この記事は手元で実際に測った記録と、調べた内容を分けて書いています。測定は2026年8月18日に行いました。
そもそも、データはどこに置けるのか
置き場所を考え直すにあたって、まずどんな置き場所があるのかを並べてみました。大きく4つです。
| 置き場所 | どういうものか | 使えるのは |
|---|---|---|
| パソコンの中 | 本体に入れる | そのパソコンだけ |
| 外付け | USBでつなぐ | つないだパソコンだけ |
| 家の中の別の機械 | ほかのパソコンの共有フォルダ、または置き場所専用の機械 | 家の中のどれからでも |
| クラウド | 会社が用意した、外にある置き場所 | どこからでも(外出先も) |
上の4つは「どこに置くか」。それとは別に「何に置くか」があり、こちらはSSDかHDDかの2つです。
そして、どの置き場所にも SSD と HDD のどちらも入れられます。パソコンの中にも、外付けにも、家の中の別の機械にも。クラウドだけはSSDかHDDかを選べませんが、その違いは料金の形で表れます。
つまり置き場所を変えなくても、中身をHDDに替えるだけで安くできるかもしれない、ということです。
いま埋まりかけているのは1つ目のSSDです。
クラウドは良い選択肢〜ただし容量が増えると重くなる
先に書いておくと、クラウドは良い選択肢です。
| クラウドの良いところ | 引っかかるところ |
|---|---|
| 機械を持たなくていい。壊れたときの交換も、置き場所も要りません | 毎月お金がかかり続けます |
| 信頼性が高い。会社が複数の場所に控えを持っていて、こちらは何もしなくていい | 使う量が増えるほど、月額が上がります |
| どこからでも使えます。外出先からも | 解約すると、期限までに全部引き上げる必要があります |
実際にいくらかかるのか、代表的な2つを調べました。
| サービス | 容量 | 月額 | 1年で |
|---|---|---|---|
| Microsoft 365 Basic | 100GB | 260円 | 3,120円 |
| Google One | 100GB | 290円 | 3,480円 |
| Google One | 2TB | 1,450円 | 17,400円 |
| Google One | 5TB | 2,900円 | 34,800円 |
2026年8月19日に各社の公式ページで確認した、日本の個人向け料金です。
2TBを3年続けると52,200円です。同じくらいのお金で、HDDを積んだ機械が買えます。
データが数百GBで収まっているなら、クラウドのほうが手間がなくて良い選択です。機械を置く場所も、壊れたときの交換も要りません。重くなってくるのは、1TBを超えたあたりからです。
では、自分で持つといくらか〜2ベイのNASで比べる
クラウドと比べるには、買う側の値段も要ります。いちばん小さい構成で調べました。
NASの売られ方は2種類あります。HDDが最初から入っている完成品と、本体だけを買ってHDDは別に用意するものです。買ってすぐ使えて安く済むのは前者です。
| 買い方 | だいたいの値段 | 備考 |
|---|---|---|
| HDD込みの完成品 (バッファロー・アイオーデータなど) | 5万円前後から 2ベイ・2TB×2=4TB搭載 | 買ってつなぐだけ。いちばん手軽 |
| 箱だけ買う (Synology・UGREEN・TerraMasterなど) | 3万円台〜5万円台 +HDD代が別 | 好きなHDDを選べる。あとで容量を増やしやすい |
2026年8月20日にAmazonで調べた実売価格です。販売店や時期で変わります。
さきほど書いたとおり、HDDが1台壊れても続けられるように、HDD 1台ぶんを予備に回します。店頭で「2ベイ・4TB」と書かれているものは2TBのHDDが2台という意味で、予備を取ると使えるのは2TBです。
予備を取らずに4TB全部を使うこともできますが、その場合はHDDが1台壊れると全部消えます。安く大容量にするためにHDDを選んでいるので、ここは予備を取る前提で見ます。
| クラウド Google One 2TB | NAS 2TB×2・使えるのは2TB | |
| 最初に | 0円 | 43,362円 |
| 毎月 | 1,450円 | 電気代のみ |
| 1年で | 17,400円 | 43,362円 |
| 2年で | 34,800円 | 43,362円 |
| 3年で | 52,200円 | 43,362円 |
★2年目まではクラウドのほうが安いです。1〜2年で乗り換えるかもしれないなら、クラウドのほうが損をしません。
★3年は使うつもりなら、NASも選択肢に入れてよい、というくらいの差です。
★5年10年と伸ばせばNASが有利に見えますが、HDDがそれだけもつとは限りません。回っている部品なので、いつかは替える日が来ます。だからここは3年までにしています。
HDDが最初から入っている完成品。上の表で比べたのがこの形です。2TBのHDDが2台で、予備を取ると使えるのは2TBです。
[kimono_product id="17168″]箱だけ買って、HDDは別に用意する形。HDDを自分で選べるぶん、あとから容量を増やしやすくなります。
[kimono_product id="17167″]容量が増えるほど、早く並ぶ
ここで買い方の違いが効いてきます。クラウドは容量に比例して月額が上がりますが、NASは本体の値段が変わらず、HDDの代金だけが増えます。
ひとつ上の8TBのモデル(4TBのHDDが2台。予備を取ると使えるのは4TB)で比べます。
| 使いたい容量 | クラウド(1年) | NAS(買い切り) | 並ぶまで |
|---|---|---|---|
| 2TB | 17,400円 Google One 2TB | 43,362円 2TB×2 | 2年9か月 |
| 4TB | 34,800円 Google One 5TB | 60,280円 4TB×2 | 1年9か月 |
2026年8月19日に確認した価格です。クラウドは2TBの次が5TBで、あいだの段がありません。
そもそも個人向けのクラウドは、上の段が用意されていません。Google One は5TBが最上位で、それ以上は同じ契約を重ねる形です。
★動画を撮る、写真をたくさん残す、大きなデータを扱う。そういう使い方をしているなら、NASのほうが安く済むという強みが出ます。逆にデータが数百GBで収まっているなら、クラウドのほうが手間がかかりません。
HDDが何台入る機械を選ぶか〜場所が許すなら4台入るものを
ここまで2ベイ(HDDが2台入る)で書いてきましたが、HDDが何台入る機械を選ぶかで、使える容量の割合が変わります。
| 入るHDDの台数 | 予備の取り方 | 4TBのHDDを入れると | 使える割合 |
|---|---|---|---|
| HDD 2台 | HDD 1台を丸ごと予備に | 8TB搭載 → 4TB使える | 50% |
| HDD 4台 | HDD 1台ぶんを予備に | 16TB搭載 → 12TB使える | 75% |
HDDが2台しか入らない機械では、予備を取ると必ず半分です。ところがHDDが4台入る機械なら、予備に回すのはHDD 1台ぶんで済みます。台数が増えるほど、予備に取られる割合は小さくなります。
速くはなりません。この記事で見たとおり、先に頭打ちしているのは線のほうです。あくまで容量と安心の話です。
ただしこれで安心しきってはいけません。
ふたつ目は、NASという機械そのものが駄目になったときです。この予備がデータを守れるのは「HDDが壊れたとき」だけです。NASの本体が故障したり、置いてある部屋で水漏れや火事があったりすれば、中のHDDが何台無事でもデータは取り出せません。
全部を同じ強さで守る必要はありません。失っても構わないデータと、絶対に失えないデータを分けて、失えないほうだけ守りを厚くする。この分け方が、いちばん現実的だと思います。
4台入る機械の例です。2ベイより高くなりますが、HDD 1台ぶんを予備に回しても、残りの3台ぶんが使えます。
[kimono_product id="17166″]絶対に失えないものは、NAS 2台に同じものを置く
手元でやっているのはこれです。大切なデータは、2台のNASの両方に同じものを置いています。
| NAS 1台の中で予備を取る | ★HDDが壊れたときに守れる |
| NAS 2台に同じものを置く | ★NASごと駄目になったときに守れる |
手元では、普段使いのNASと、長期保存用のNASの2台があります。撮り直せない写真や動画は、その両方に置いています。
同じデータを2台のNASに置くので、使える容量はそのぶん減ります。だから両方に置くのは失えないデータだけです。それ以外のデータは、どちらか片方のNASにしか置いていません。
※組み方の詳しい話(何台でどう組むか、入れ替え中がなぜ危ないか)は、次の記事で書きます。
それでも「自分で持てる」のがNASの利点です。5万円ほど出せば、月々の支払いから離れられます。
ちなみに手元の59TBを同じように預けるとどうなるか。5TBのプランを12契約ぶんと考えると、月34,800円、年417,600円。使う量が増えるほど、この差は開いていきます。
逆に言えば、数百GBで収まっているならクラウドで十分です。この記事はそれを超えてしまった場合の話です。
そこで「中身をHDDに替える」を考えます。次は、HDDを入れられる場所を見ていきます。
SSDとHDDは何が違うのか〜なぜHDDが残っているのか
「中身を替える」前に、SSDとHDDの違いを並べておきます。この2つは、記録のしかたがまったく違います。
HDDは、円盤を回して針で読み書きします。レコードプレーヤーに近い作りです。SSDは動く部品がなく、電気だけで記憶します。
| SSD | HDD | |
|---|---|---|
| 速さ | 速い(本体内なら数千MB/s) | 遅い(HDD 1台で150〜250MB/s程度) |
| 動く部品 | ない | ある(円盤が回っている) |
| 振動・衝撃 | 強い | 弱い。動作中にぶつけると壊れやすい |
| 音 | しない | 回転音とカリカリ音がする |
| 大きさ・重さ | 小さい・軽い(カードくらいのものも) | 大きい・重い(大容量は3.5インチ) |
| 電気 | 少ない | 多い(回し続ける) |
| 寿命の減り方 | 書き込んだ量で減る | 回っている時間で減る |
| 容量あたりの値段 | 高い | 安い |
並べると、速さ・静かさ・丈夫さ・軽さ、どれもSSDが勝っています。パソコンの中身がSSDに置き換わったのは当然の流れでした。
それでもHDDが残っているのは、値段と容量のため
とくに大容量ほど差が開きます。手元のNASには16TBのHDDを6台入れていますが、同じ容量をSSDで揃えるのは、いまの値段では考えられません。
② 1台で入る容量が大きい
20TBを超えるHDDが普通に売られています。SSDで同じ容量は、あっても値段が桁違いです。
手元でHDDを使い続けている理由も、この単価の安さです。それ以外はSSDのほうが良いと分かっていても、59TBを揃えるとなると値段の差が効いてきます。
HDDは壊れやすい〜それを台数で補う
とはいえ、円盤が回っている以上、HDDは1台で見れば壊れやすいものです。安いHDDに大事なデータを預けて大丈夫なのか——ここが引っかかるところだと思います。
そこでHDDを複数台まとめて、そのうち1台が壊れても中身が残る組み方にします。手元では16TBのHDDを6台入れて、うちHDD 1台ぶんを予備に回しています。HDDが1台壊れても、入れ替えれば元に戻ります。
※この組み方の詳しい話(何台でどう組むか、どこが危ないか)は、次の記事で書きます。
そうするとHDDに残る弱点は、速さだけです。
では、あまり書き換えないもの——写真や動画、たまに見返せばいいもの——なら、その速さは要るのでしょうか。
この「増え続けるが消せない」という状態が、置き場所専用の機械を使ってみようと思ったきっかけでした。この読み出しの速さを確かめるために測りました。
HDDを置ける場所は、3つに分かれる
先ほどの置き場所のうち、HDDを入れられるのは手元にある3つです。クラウドは中身を選べないので外れます。
手元にあるのは3つ目です。ネットワークにつなぐこの機械をNASと呼びます。59TB入っています。1GBを9秒という速さが、何に向いていて、何に向いていないのか。改めて測ってみました。
NASの読み出し速度を、どう測ったか
数字だけ出しても、同じ条件でなければ意味がありません。再現に必要なぶんだけ書いておきます。
| 測ったもの | NASの共有フォルダから1GBのファイルを1本、読み出す速さ |
| つなぎ方 | 有線。あいだに1000MbpsのLANハブを1台はさんでいます。読んだ側のLAN口も1000Mbps |
| 読んだ側 | ミニPC(Ubuntu)。NASを共有フォルダとして接続(SMB/CIFS) |
| NAS側 | UGREEN NASync DXP6800 Pro。東芝の16TB HDDを6台、1台ぶんを予備に回す組み方(RAID 5に近い構成) |
dd if=/mnt/nas/1GBのファイル of=/dev/null bs=1MWindows なら、1GBほどのファイルをNASからパソコンへコピーして、かかった秒数で1024を割れば MB/s が出ます。
2回目以降は、パソコンが読んだ中身を覚えているぶん速い数字が出ます。NASそのものの速さを見たいので、1回目の値を使ってください。
今回の117MB/sは、手元にあった1GBほどのファイルを読み出して出た値です。何度も測って平均を取ったものではありません。「うちで測ったらこの程度だった」という数字として読んでください。
HDDの組み方は、この読み出し速度には効きません
上に書いた組み方(16TBのHDDを6台)は、この読み出し速度の結果には効きません。
あとで見るとおり、117MB/sは1000Mbpsの線がほぼ限界まで出ている値です。線のほうが先に頭打ちしているので、中のHDDが2台でも6台でも、この数字は変わりません。組み方が効いてくるのは、線を10Gbpsに替えたあとの話です。
NASの読み出しは1GBを9秒〜これは遅いのか
| 測ったもの | 結果 |
|---|---|
| 容量 | 73TB(うち59TB使用・82%) ※16TBのHDD 6台のうち1台ぶんが予備。5台ぶん=80TBが、パソコンからは73TBに見えます |
| 読み出し速度 | 117 MB/s ※1GBのファイルを約9秒で読み出せる速さです |
| いちばん細いところ | 1000Mbps(ハブと、パソコン側のLAN口) |
この数字を見て、最初は「遅い」と思いました。同じ日に測った本体のM.2は3,500MB/s出ています。30倍の差です。
ところが、計算してみて考えが変わりました。
| 理論上の最大 | 125 MB/s |
| 通信の決まりごとを引いた実際の目安 | 110〜118 MB/s |
| 手元の実測 | 117 MB/s |
つまり、NASの中でHDDを何台束ねようが、SSDのキャッシュを足そうが、1000Mbpsのところを通るかぎり117MB/sから動きません。
① あいだにはさんだLANハブ ② パソコン側のLAN口
片方だけ替えても速くなりません。NASを買い替えても同じです。速くしたいなら、ハブとパソコン側の両方を替える必要があります。
NAS本体は10倍速い線を2本持っていた
使っているのは UGREEN NASync DXP6800 Pro です。仕様を確認したら、こうなっていました。
| NAS側の作り | こちら側 | |
|---|---|---|
| ネットワーク | 10GbE を2本 | 1GbE |
| そのほか | Thunderbolt 4 を2本/SDカード読み取り/USB | — |
| 入るディスク | HDD 6台 + M.2 SSD 2枚 | — |
NAS本体は10倍速い線を2本持っていて、こちらが1本の細い線で受けていました。
ここで「ハブとLAN口を替えよう」と思ったのですが、少し落ち着いて考え直しました。
速くする前に、NASを何に使っているか書き出した
手元の使い分けを書き出してみました。
| 何を | どこに | 速さ | 足りているか |
|---|---|---|---|
| いま動かしているモデル | 本体の中のM.2 | 3,500 MB/s | ここは速さが要る |
| 置いてあるだけのモデル(202GB) | 普段使いのNAS | 117 MB/s | 足りている |
| 動画・写真(59TB) | 普段使いのNAS | 117 MB/s | 足りている |
| もう触らない古いもの | 長期保存用のNAS(別の1台) | 測っていません | 置いてあればよい |
書き出してみて、はっきりしました。NASは置き場所であって、作業場ではありません。
202GBのモデルをNASに置いていますが、そこから直接動かしてはいません。使うときは手元に持ってきます。置き場所に速さを求めていないのだから、117MB/sで困っていないわけです。
ハブとパソコン側の両方を替えても、パソコン側が2.5Gbpsなら2倍強にしかなりません。59TBの置き場に、そこまでの投資をする理由は見つかりませんでした。
速さでないなら、NASの何が良いのか
速さでないなら何なのか。3つありました。
1. 毎月の支払いが要らない
59TBをクラウドに置いたら、いくらかかるのかを調べました。
払い続けるかぎり出ていきます。5年なら約209万円。
そもそも個人向けのサービスに、この容量を1契約で預けられるプランはありません。企業向けの保管サービスなら預けられますが、取り出すときに別の料金がかかる仕組みのものが多くあります。
NASは最初にお金がかかりますが、そのあとは電気代だけです。1〜2年で追いつき、そこから先は差が開いていきます。
2. サービスが終わっても、ディスクは手元に残る
これは調べていて、考えさせられた点です。
手元にはNETGEARのNASもあるのですが、ReadyNASという製品群は終了しています。調べたところ、2021年に製造が終わり、2022年までにサポートが終了、大半の機種でファームウェアの更新も止まっているとされています。
クラウドでも、メーカーでも、終わるときは終わります。ただし違いがあります。
そして実際、その終わったNASを、いまも使っています。
役割を下げました。普段使いは新しいほうに任せて、終わったほうは長期保存にまわしています。もう触らない古いデータを置いておく先です。
この使い方なら、ファームウェアの更新が止まっていることが、ほとんど問題になりません。新しい機能も速さも要らず、置いてあればよいからです。
もうひとつ、思わぬ形で楽になったことがあります。
そもそもNASの管理画面は、ふだんほとんど開きません。置いて、入れて、取り出す。それだけならスマホのアプリで足ります。古いほうも、新しいほうのアプリ越しに触っています。
※これは「古い機械を隠せている」という意味ではありません。機械そのものはネットワーク上に居ます。
サポートの終わった機械を持て余している方には、この形は現実的だと思います。置き場所としては働くのだから、窓口を新しいほうに寄せてしまえばよい、という考え方です。
ついでに書いておくと、NASは「管理画面と格闘する機械」だと思われがちですが、少なくとも手元ではそうなっていません。最初に設定してしまえば、あとは写真や動画を入れて、必要なときに取り出すだけです。身構えるほどのものではありませんでした。
| クラウドのサービスが終わる | 期限までに全部引き上げるしかありません |
| NASのメーカーが撤退する | ディスクは手元に残ります。更新は止まりますが、動いているうちは使えます |
ただしいいことばかりではありません。更新の止まった機械が、家庭内のネットワーク上に居続けることに変わりはありません。アプリの窓口を新しいほうに寄せても、そこは解決していません。
外から直接つながらないようにしておく、といった配慮はやはり要ります。安全の面では、更新が続いている機械のほうが安心なのは間違いありません。
それでも、「買ったものが無駄にならない」のは、毎月払い続ける仕組みには無い性質だと思います。
3. パソコンを開かなくても使える
これは使ってみて分かったことです。
いま使っているUGREENは、基本の操作がスマホで完結します。以前使っていたQNAPや、いま持っているNETGEARでは、この使い勝手は得られませんでした。
もうひとつ、本体が手の届く所にあると、USB経由で直接取り込めます。撮ってきたメディアをそのままNASへ移せるので、パソコンを立ち上げる必要がありません。
先ほど仕様表で「SDカード読み取り」と書きましたが、これが実際に効いているのはこの場面でした。仕様の一行が、そのまま使い方に効いていました。
3台使い比べて、取り込みの速さがいちばん違った
ここは3台を使い比べて、いちばん差を感じたところです。
QNAPでもNETGEARでも、メディアを読むこと自体はできました。できなかったわけではありません。
ただ、UGREENはSSDをキャッシュに使う作りになっていて、読み込みがとても速いのです。SSDのような速いメディアを挿しても、待たされずにさっと読めます。撮ってきたものをその場で流し込む使い方だと、ここが毎回効きます。
カタログでは容量の一行に見えますが、実際にはHDDの前に立つ受け皿として働きます。取り込むときは速いSSDがいったん受け止め、その裏でHDDへ書かれていく。だからHDDの速さで待たされません。
※この節は使ってみての感想です。取り込み時間を秒単位で測ってはいません。
置き場所としてのNASに速さは要らない、と先に書きました。ただし入れるときだけは別です。NASへ書き込む速さが遅いと、そもそもデータを入れる気がなくなります。
測ったのはNASの速度だけ〜この記事で言えないこと
ここまでの内容のうち、手元で測ったのはNASの読み出し速度と、本体のM.2の読み出し速度だけです。クラウドの料金と、NETGEARの終了時期は調べた内容です。取り込みの速さの違いは使ってみての感想で、秒数を測ってはいません。
いま使っているのは6台入る上位の機種で、SSDを入れる場所が別に2つあります。以前使っていたものと同じ格だったかというと、そこは揃っていません。
QNAPにもSynologyにも、同じようにSSDを受け皿にできる機種があります。だから正しくは「UGREENだから速い」ではなく、「SSDを受け皿にできる機種だから速い」と読むべきかもしれません。
同じ格の機種を並べて測らないと、ここは決められません。手元にあるのは1台ずつなので、この記事では決めずに置いておきます。
ただ、買う側の立場で言えば、どちらでも同じことかもしれません。「そのメーカーが良い」ではなく「SSDを受け皿にできる機種を選ぶ」と考えれば、選び方としては充分です。
この記事で使った機材
測定に使ったNASです。6台入る機械に、東芝の16TBを6台入れて動かしています。ここまで大きくする必要は普通ありませんが、置き場所として長く使う前提で選びました。
[kimono_product id="17165″]中に入れているHDDです。NAS向けに作られた型で、24時間回し続ける前提の作りになっています。
[kimono_product id="17169″]モデルの持ち運びに使っている外付けSSDです。手元での読み出しは1,000MB/sほどでした。本体の中のM.2が3,500MB/sですから、3分の1ほどです。同じSSDでも、どこにどうつなぐかで大きく変わります。
[kimono_product id="16856″]
NAS本体はUGREEN NASync DXP6800 Proです。6台のHDDとM.2のSSDを2枚入れられる機種で、10GbEの口を2つ持っています。
まとめ:どこが律速かを先に見る
この記事でいちばん書きたかったのは、これです。
その一番細い道が決まってしまえば、その先をいくら良くしても速くなりません。手元では、NASが10Gbpsの口を2つ持っているのに、あいだのハブとパソコンのLAN口が1000Mbpsで、そこで頭打ちでした。
クラウドでも同じです。どのサービスを選んでも、家の回線より速くはなりません。サービスを比べる前に、自分の家のどこが一番細いかを見るほうが早いです。
そして細いところが分かったら、次に考えるのは「そこを太くする価値があるか」です。手元では、ありませんでした。置いておくだけの場所に速さは要らなかったからです。
自分に当てはめる、いちばん簡単な見分け方
「HDDだと遅いのでは」と心配なら、いま使っているクラウドで不満があるかどうかを思い出してみてください。
つまりクラウドの速さで困っていないなら、HDDを入れたNASでも同じように困りません。むしろ手元にある分、外の回線を通らないぶんだけ速いこともあります。
「HDDは遅い」という心配は、多くの場合そもそも表に出てきません。先に細くなっている場所があるからです。
手元で分かったこと
- NASの実測は117MB/sでした。1000Mbpsの線の理論値の93.6%で、線を使い切っています
- 遅いのはHDDではなく、つないでいる線です。NAS側は10倍速い線を2本持っていました
- ただし置き場所に速さは要りません。動かすものは手元のSSD、置いておくものはNAS、と分かれています
- 59TBをクラウドに置くと年42万円という試算になりました。NASは最初だけで、あとは電気代です
- 終わったときに何が残るかが違います。クラウドは引き上げるしかなく、NASはディスクが残ります
- 2台を役割で分けています。普段使いは新しいほう、サポートが終わったほうは長期保存へ。操作も新しいほうのアプリから行えるので、古い管理画面を開かずに済みます
- 取り込みの速さはSSDを受け皿にできる機種かどうかで決まりそうです。メーカーの差か、機種の格の差かは、この記事では分けられていません
SSDが高いから、という理由で調べ始めたのですが、行き着いたのは「どこに何を置くか」の話でした。全部を速い場所に置く必要はありません。
次は、その中身の話です。HDDを複数台まとめるRAIDという仕組みと、SSDが中身によって寿命も速さも別物になる話を、別の記事で書きます。この記録方式の違いを知らずに買うと、安く買ったつもりが、早く壊れる側に回ります。