Bambu Lab H3C は何ができる?〜9ツール機を Snapmaker U1・Creality K3・Prusa XL と公式仕様で並べた

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Bambu Lab(バンブーラボ)が、9本のツールを持つ3Dプリンター「H3C」を発表しました。すでに売られているツール交換式の Snapmaker U1、Creality K3、Prusa XL と比べて、何が違うのでしょうか? 買い替えや買い増しを考える人が、まず知りたいのはこの点だと思います。

先に結論です。H3C は、9本のツール(公式名は PrintTool)に、それぞれ独立したフィラメントの通り道と加熱の仕組みを持たせた機種です。ツールごとに持ち替える点では U1 や Prusa XL に近く、ノズル部だけを替える K3 とは方式が違います。公式ページには、ツール切り替え3.4秒、材料の切り替え6秒(最適条件の社内試験)と書かれています。日本のストアの価格は449,900円(税込・予約販売)です。

この記事では、H3C の公式発表と、3機種の公式ページの仕様を同じ表に並べました。公開されている仕様を調べてまとめたもので、今回、実機で新しく測ったデータはありません。2026年11月4日時点の内容です(H3C の価格は円、他の3機種はドルで、為替換算はしていません)。ツール交換式とは何か、色替えの3つの方式の違いは、11月3日の記事にまとめています。

調べたこと〜範囲と情報源

調べたのは、交換するものがヘッドかノズルか、交換にかかる時間、材料の切り替え、造形サイズ、対応する材料、違う太さのノズルを1回の造形で混ぜられるか、価格の7点です。

  • H3C: Bambu Lab の公式ページと公式の発表(公式ページ https://bambulab.com/en-us/h3c を11月3日23時ごろ、日本の公式ストア https://jp.store.bambulab.com/products/h3c を11月4日11時ごろに確認)を読みました。
  • Snapmaker U1・Creality K3・Prusa XL: 各社の製品ページと公式ストアの仕様表を、2026年10月31日に確認しました。価格は公式ストアの表示で、日付つきで書いています。
  • 公式に書かれていない項目は「公式の記載なし」とし、確かめられなかった項目は【未確認】と書いています。

発表前に分かっていたこと

Bambu Lab は10月23日、公式の X(旧 Twitter)で H3C を予告しました。文面は「Nine tools, built into one printer.(9本のツールを1台に)」で、発表は米国東部時間の11月3日午前9時(日本時間11月3日23時)とされていました。公式ページの見出しは「Tool Changer. Game Changer.」です。

10月29日には、Bambu Lab の公式フォーラムに「Speed where you want it. Detail where it matters.(速さが欲しい所に速さを、細かさが要る所に細かさを)」という予告が載りました。太いノズルと細いノズルを使い分ける機能を示唆している、と受け取る人がフォーラムにいました。ただ、予告の文面にノズルの太さの話は書かれていませんでした。

一方、ツールがヘッド全体なのか、ノズル部だけなのかは、発表前には公式に示されていませんでした。特許や米国の電波認証(FCC)の写真から推測する記事はありましたが、推測にとどまると報じられています。

発表で確かめられたことは次のとおりです。9本のツールは、それぞれ独立したフィラメントの通り道と加熱の仕組みを持ち、使わないツールはドック(待機場所)に置かれます。公式ページには「格納式ラック」の項目があり、ラックは造形中、視界の外にしまわれると説明しています。フィラメントの保管・給送・乾燥は、新しい AMS 3H が受け持ちます(乾燥できるのは同時に2スロットまで)。

公式仕様で並べる

4機種の公式仕様を並べました。「交換するもの」は、各社の公式の言い方に合わせています。ヘッド(ツールヘッド)は、ノズル、ノズルを温めるヒーター、材料を送り出す部分をまとめた部品です。

項目 Bambu Lab H3C Snapmaker U1 Creality K3 Prusa XL(5ヘッド)
ツールの数 9(公式予告) 4 最大4 最大5
交換するもの ツールごとの持ち替え(PrintTool。カッターも内蔵) ヘッド全体(SnapSwap) ノズル部(KliTek・公式は nozzle assembly と表記) ヘッド全体
交換時間(公式) ツール切り替え3.4秒(公式ページの表示。条件の注記は確認できず) 5秒(同社の試験での代表値) ノズル交換5秒 秒数の記載なし(「数秒で交換」)
材料の切り替え時間(公式) 6秒(最適条件の社内試験・実際は材料や設定で変わる) 公式の記載なし 15秒 公式の記載なし
造形サイズ 330×320×325mm 270×270×270mm 260×260×260mm 360×360×360mm
ノズルの最高温度 350℃(付属は焼入れスチールの0.4mmノズル) 300℃ 300℃ 290℃
ベッドの最高温度 120℃ 100℃ 100℃ 115℃(同じページに120℃の記載もあり)
対応材料(標準の状態) PLA、PETG、PCTG、TPU、EVA、PE、PP、PHA、PVA、BVOH、ABS、ASA、HIPS、PA、PC、PET、PPA、PPS、炭素繊維・ガラス繊維入りの各種(チャンバー最高65℃・乾燥機能つき) PLA、PETG、TPU、PVA、PCTG PLA、PETG、PET、PCTG、TPU 95A、炭素繊維・ガラス繊維入りの PLA/PETG PLA、PETG、ASA、ABS、PC、PA、TPU、PVA、HIPS、PP など
違う太さのノズルの混在 可(0.2・0.4・0.6・0.8mmに対応。各口径のホットエンドは別売) 公式仕様表に記載なし 可(0.4mm と 0.8mm の組み合わせを公式が紹介) 公式の記載なし
価格(公式ストア) 449,900円(税込・日本公式ストア・予約販売・出荷予定11月9日ごろ・11月4日) 749ドル(定価999ドル・米国ストア・10月31日) 849ドル(予約・発送予定11月2日・10月31日) 3,610.18ドル(日本向け表示・10月31日)

U1 と K3 は、上蓋(オプション)を付けると ABS や ASA などにも対応します。U1 の交換時間の5秒は、Snapmaker が「社内の試験での代表的な結果で、参考値」と断っています。Prusa XL の価格は、5ヘッドの組み立て済みの表示で、送料や税の扱いは【未確認】です。

表で目立つのは、K3 だけ「ノズル部の交換」だという点です。U1 と Prusa XL は、ヘッドを丸ごと持ち替えます。K3 のノズル交換は5秒ですが、材料の切り替えには15秒かかると公式に書かれています。K3 の交換部品にヒーターまで含まれるかは、公式ページの表記からは読み取れず、【未確認】です。

見るべき3点〜捨てる樹脂・印刷時間・材料の切り替え

ツール交換式を選ぶ理由は、主に3つあります。H3C を見るときも、この3点で比べると違いが分かりやすくなります。

1. 捨てる樹脂(プー)が少ないか

ノズル1本で色を替える方式では、前の色を押し出して捨てる必要があります。この捨てた樹脂を「プー」と呼びます。ヘッドごとに色を持つ方式なら、色替えのたびに押し出す量はぐっと減ります。H3C で色替えのときに捨てる量は、公式は「38mg」の低パージと書いています(最適条件の社内試験。実際は設定やフィラメントで変わる)。H3C の実機での量は、手元にないため測っていません。

2. 印刷時間が短くなるか

色替えが多い造形では、交換の時間が積み上がります。交換1回が5秒でも、100回替えれば500秒です。ノズル1本の方式では、押し出しと温度の調整に数十秒かかることがあると、Prusa は製品ページで説明しています。H3C の交換時間は ツール切り替え3.4秒と書かれています。さらに、次に使うツールをあらかじめ温めておく「アクティブ・プレヒート」で、新しい材料での造形を6秒以内に始められると説明しています。

3. 材料を、温度を保ったまま切り替えられるか

PLA と TPU のように、適した温度が違う材料を1つの造形で使うことがあります。ヘッドごとに材料を持つ方式なら、それぞれのヘッドを材料に合った温度に保てるので、切り替えのたびに温度が上がるのを待つ時間が減ります。U1 は公式に「4つの独立した、予熱済みのヘッド」と書いています。Prusa XL も、使っていないヘッドを予熱しておき、使わなければ電源を落とすと説明しています。H3C で9本を同時に温めておけるかは、公式の説明は「次に使うツールを、今のツールが造形している間に先読みで予熱する」というもので、9本すべてを同時に高温で保てるかは公式の記載なしです。

TPU や PVA は湿気を吸いやすい材料です。材料を何種類も置いておくなら、乾燥の対策も一緒に考える必要があります。ドライボックスの記事にまとめています。

補足〜違う太さのノズルを混ぜられるか

細いノズルで表面をきれいに、太いノズルで中身を速く、という使い分けができれば便利です。表のとおり、K3 は 0.4mm と 0.8mm の組み合わせを公式に紹介しています。ただ、層の厚さは細い方のノズルに合わせる必要があるため、太いノズルだけで厚い層を積むほどの速さにはなりません。U1 で太さを混ぜる方法と注意点は、11月3日の記事に書きました。H3C は 異なる太さのノズルを同時に載せられると公式が説明しており、層の厚さも各ノズルに合わせた値にできるとしています。組み合わせの制限は、各口径のホットエンドが別売という点以外は確認できていません。

出典と、今回確かめていないこと

出典は、Bambu Lab の公式ページ・公式 X・公式フォーラム、Snapmaker U1 の製品ページ・仕様ページ・米国公式ストア、Creality の公式ストアの K3 のページ、Prusa の XL の製品ページです。確認日は、H3C が2026年11月3日(英語の公式ページ)と11月4日(日本の公式ストア)、ほかの3機種が2026年10月31日です。

  • Bambu Lab H3C: https://bambulab.com/en-us/h3c / https://jp.store.bambulab.com/products/h3c/https://forum.bambulab.com/t/bambu-lab-h3c-0-2-or-0-4-why-not-both/261724(2026年10月31日確認)
  • Snapmaker U1: https://www.snapmaker.com/snapmaker-u1 / https://www.snapmaker.com/snapmaker-u1/specs / https://us.snapmaker.com/products/snapmaker-u1-3d-printer(2026年10月31日確認)
  • Creality K3: https://store.creality.com/products/k3-multi-material-multicolor-3d-printer(2026年10月31日確認)
  • Prusa XL: https://www.prusa3d.com/product/original-prusa-xl-5-toolhead-3d-printer/ / https://www.prusa3d.com/en/product/original-prusa-xl-single-toolhead-3d-printer/(2026年10月31日確認)

次のことは、今回確かめていません。4機種を同じ条件で動かした交換時間と捨てる樹脂の量は、測っていません。K3 の交換部品にヒーターが含まれるか、Prusa XL の交換時間の公式の秒数、Prusa XL の価格に送料と税が含まれるかは、【未確認】です。H3C の日本での出荷後の実際の交換時間と、実際に捨てる樹脂の量は、測っていません。他の3機種の日本での価格は、扱っていません。

まとめ

分かったことは、次のとおりです。

  • H3C は9本のツール(PrintTool)をそれぞれ独立した経路と加熱で持ち、持ち替える方式。ツールごとに持ち替える U1・Prusa XL に近く、ノズル部を替える K3 とは違う。
  • ツール交換式でも、U1 と Prusa XL はヘッド全体、K3 はノズル部を交換する。K3 はノズル交換5秒、材料の切り替え15秒と公式に書いている。
  • 公式の交換時間は U1 と K3 が5秒。Prusa XL は秒数を書かず「数秒」としている。
  • 違う太さのノズルの混在を公式に紹介しているのは、3機種では K3 だけ。層の厚さが細い側に縛られるため、太いノズルの速さは活きにくい。
  • 価格(10月31日・公式ストア)は U1 が749ドル、K3 が849ドル(予約)、Prusa XL 5ヘッドが3,610.18ドル。H3C は 日本の公式ストアで449,900円(税込・予約販売・11月4日。他の3機種は米国ストアのドル表示で為替換算はしていない)。

次は、出荷が始まった後に、実際の交換時間と捨てる樹脂の量を調べます。

次の一歩