多色3Dプリンターは、色替えのたびに時間も樹脂もかかる?〜Snapmaker U1・Bambu Lab H2C・Creality K3・Prusa XLの色の替え方を、公式の仕様で調べた

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多色の3Dプリンターは、色を替える仕組みで3つに分かれます。1本のノズルのまま、フィラメント(樹脂の糸)を入れ替える方式。ノズルと加熱部だけを交換する方式。ヘッド(ノズル・加熱部・送り出す機構をまとめた部品)を丸ごと交換する方式です。3つ目が「ツールチェンジャー」と呼ばれます。

ヘッドを丸ごと替えると、何が変わるのでしょうか? 違いは3つでした。捨てる樹脂が少ないこと、色替えの待ちが短く印刷時間が縮むこと、材料ごとに温度を合わせたヘッドを持てることです。1本のノズルの方式は、この3つが仕組みの上で苦手です。ノズル交換式は、その一部を解きます。

本記事は、メーカーの公式ページ・ブログ・FAQを読んでまとめたもので、今回新しく実機で測ったデータはありません。2026年10月31日時点の内容です。Bambu Lab の9ツール機 H3C は、日本時間の11月3日夜から4日にかけて発表されると報じられています。製品の比較は、発表後に別の記事でまとめます。

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何を調べたのか

3つの方式の違いと、代表機の公式の数字を調べました。見た項目は、取り替える部品、交換の時間、捨てる樹脂についてのメーカーの説明、対応する材料です。あわせて、「違う太さのノズルを1つの造形で混ぜられるか」も調べました。細いノズルで表面を、太いノズルで中身を印刷できれば、きれいさと速さを両立できるからです。

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3つの方式〜何を取り替えるかで分かれる

違いは、色を替えるときに何を取り替えるかです。取り替える部品が大きいほど、前の色の樹脂がノズルに残らなくなります。

方式 取り替えるもの 代表機 交換の時間(公式) 捨てる樹脂(公式の説明)
1本のノズルで切替 フィラメントだけ Bambu Lab の AMS(自動でフィラメントを入れ替える装置)を使う機種など 公式の秒数は見つかりませんでした【未確認】 切り替えのたびに前の色を押し出して捨てる
ノズル交換 ノズルと加熱部。送り出す機構は共用 Bambu Lab H2C、Creality K3 H2C は交換「数秒」+加熱8秒(PLA)。K3 はノズル交換4.8秒、材料の切替15秒 H2C は7色未満なら切り替え時の捨て押し出しなし。K3 は「ゴミゼロ」が目標(数値なし)
ヘッド交換 ヘッド丸ごと Snapmaker U1(4ヘッド)、Prusa XL(最大5ヘッド) U1 は5秒(社内試験の代表値)。XL は「数秒」 U1 は1本のノズルの機種より最大85%少ない(社内試験)。XL は「ほぼ無い」

Creality K3 が替えるのは、ノズル・加熱部・樹脂の管をまとめた部分で、重さはヘッド全体の5分の1だと Creality は説明しています。Bambu Lab H2C も、替えるのはホットエンド(加熱部とノズル)です。どちらも、ヘッド丸ごとを替える U1 や XL とは仕組みが違います。なお、交換の秒数は各社で数え方がそろっておらず、そのまま比べられる値ではありません。

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ヘッド交換式で変わる3つのこと

1. 捨てる樹脂(プー)が少ない

1本のノズルで色を替えると、ノズルの中に前の色が残ります。Bambu Lab の公式の説明によると、新しい色を入れると古い色が少しずつ押し出されるため、十分な量の新しい樹脂で押し流す必要があり、量が多すぎると樹脂と印刷時間を無駄にします。この捨てる樹脂の塊が、通称「プー」です。

ヘッド交換式では、ヘッドごとに別の色が入ったままなので、押し流しが要りません。Snapmaker は、U1 の捨てる樹脂は最大85%少ないとしています。ただし社内試験の結果で、モデルや色の配置、設定で変わるという注記があり、サポート材やプライムタワー(色替えの後にノズルを整える小さな塔)も含めて数えています。ノズル交換式の H2C も、7色未満なら押し流しが無くなると説明しており、この点はヘッド交換式に近いです。

2. 印刷時間が短い

1本のノズルの方式では、色替えのたびに、フィラメントを戻す、新しい色を送る、押し流す、という手順が入ります。Prusa は、この方式は押し流しと入れ直しに数十秒を使うと公式ページで書いています(競合の方式についての Prusa の説明です)。1層に色替えが何回もあると、待ちが積み重なります。

ヘッド交換式は、この手順を交換だけにします。Snapmaker は U1 のヘッドを「予熱済み」と書き、切り替えは5秒としています。ノズル交換式は、交換は速いものの、交換後に加熱の時間が入ります(H2C は8秒、K3 は材料の切替全体で15秒)。

3. 材料を切り替えられる

材料は、種類ごとに適したノズルの温度が違います。1本のノズルで PLA から PETG、TPU(柔らかい樹脂)へ替えると、そのたびに温度を変えて待ち、前の材料が混ざる心配もあります。ヘッド交換式では、ヘッドごとに材料を決め、その温度にしておけます。U1 の公式仕様では、基本の対応材料は PLA、PETG、TPU、PVA(水に溶けるサポート材)、PCTG で、ノズルの最高温度は300℃です。

1本のノズルの方式は3つとも苦手です。ノズル交換式は捨てる樹脂を大きく減らしますが、交換のたびに加熱が入ります。ヘッド交換式は3つとも解きます。

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違う太さのノズルを、1つの造形で混ぜられるか

ヘッドが複数あるなら、表面は0.2mm、中身は0.8mmで印刷できないか、と考えたくなります。調べると、実際に印刷した事例はあるものの、ほとんどのメーカーは勧めておらず、注意点も多い状況でした。

機種 メーカーの立場 見つかった事例
Snapmaker U1 純正のスライサー(造形データを作るソフト)は未対応。公式ブログに0.4mmと0.6mmを同じ造形で使う例はあるが、手順は無い 0.4mm+0.6mmで動いた報告が GitHub とフォーラムに1件ずつ(結果の詳細なし)
Bambu Lab H2C 公式FAQで「現在は未対応」 0.4mm+0.8mmの実験が1件。警告が出て、本人も「サポートされた方法ではない」と明記
Prusa XL PrusaSlicer に太さの混在を求める要望は未実装 プライムタワーを切るなどの回避策の報告
Creality K3 主な機能として宣伝。ただし10月10日の公式FAQでは、発売前の版では使えない メーカー自身の例のみ

U1 は、フォーラムの書き込みによると、最近ファームウェア(本体のソフト)で使えるようになりましたが、純正のスライサーは未対応です。純正ではない OrcaSlicer で、ヘッドごとにノズルの太さを選べるようにする変更は、10月31日時点で取り込まれていません。0.2mm+0.8mmで印刷した報告は見つかりませんでした【未確認】。

注意点として挙がっているのは、層の厚さと送り出せる樹脂の量が細いノズルに合わせて制限されること、線の幅を割合(%)で決めると狙いとずれることです。Snapmaker の公式ブログは、ノズルの先に付いたわずかな樹脂が自動の高さ合わせを狂わせると注意しています。

K3 は例外で、Creality の公式ブログには、狼の頭のモデルを0.4mmだけで23時間57分、0.4mm(外壁)+0.8mm(中身)で20時間40分という例があります。ただ、太さの違うノズルは発売後に別売りで、機能もまだ使えません。

太いノズルの速さは、なぜ活きにくいのか

ノズルから出る樹脂の量は、おおまかに「線の幅×層の厚さ×動く速さ」です。太いノズルが速いのは、線を太く、層を厚くできるからです。ところが太さを混ぜると、層の厚さは細いノズルに合わせて薄くなります。

計算の例です。0.8mmのノズルは単独なら層を0.4mm前後まで厚くできます(一般にノズル径の半分〜4分の3程度が目安とされます)。0.2mmと混ぜて層を0.15mmにそろえても、線は太く引けるので、0.2mm単独より1回で数倍の量を出せます。それでも0.8mm単独の厚い層と比べると、半分以下です。Creality の例でも、短くなったのは約14%でした。

太さの混在は、実際に印刷した事例はありますが、メーカーは勧めておらず(K3 はまだ使えない)、注意点も多い状況です。0.8mmなど太いノズルの速さが活かせないなら、混ぜる意味は小さくなります。今後の更新を待つ段階です。

出典と、今回確かめていないこと

フォーラムと GitHub は利用者の報告で、メーカーの見解ではありません。確認日はすべて2026年10月31日です。

実機で交換の時間や捨てる樹脂の量は測っていません。H2C の FAQ は直接開けず、検索結果に出た公式の文面で確かめています【未確認】。最新の PrusaSlicer で太さの混在が使えるかは確かめていません【未確認】。U1 の価格は、10月31日に米国の公式ストアで749ドル(999ドルからの値引き表示)でした。日本国内の価格は確かめていません【未確認】。フィラメントの保管は、フィラメントの湿気対策の記事にまとめています。

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まとめ

分かったことは、次のとおりです。

  • 多色機は、1本のノズルで切替、ノズル交換(H2C・K3)、ヘッド交換(U1・XL)の3方式に分かれます。
  • ヘッド交換式の利点は、捨てる樹脂が少ない、印刷時間が縮む、材料ごとに温度を保ったヘッドで切り替えられる、の3つです。
  • 交換時間の公式の数字は U1 が5秒、K3 が4.8秒(材料の切替15秒)、H2C が加熱8秒ですが、数え方がそろっていません。
  • 違う太さのノズルの混在は、事例はあるものの、ほとんどのメーカーは勧めておらず、注意点も多い段階です。
  • 混ぜても層の厚さは細いノズルに縛られ、太いノズルの速さは活きにくいです。

次は、11月に発表される Bambu Lab H3C を、U1・K3・XL と公式仕様で並べます。

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次の一歩