電気代が気になるので測ってみた:ワットチェッカーでGPU稼働時の消費電力を可視化

ローカルAIを自宅で動かし始めて3ヶ月ほど経った頃、電気代の請求書を見て「あれ?」と思いました。前月比で2,000円くらい上がっている。

環境はRTX 3090(TDP 350W)とRTX 3060 12GB(TDP 170W)の2枚挿し。OllamaでLLMの推論を回し、ComfyUIで画像生成をして、ほぼ毎日GPUに仕事をさせています。「そりゃ電気も食うよな」とは思いつつ、実際にどのくらい使っているのかが分からない。

そこで、ワットチェッカーを買って実測してみました。本記事では、実測データと電気代の計算をまとめます。結論としては、アイドルとフル稼働で約6倍の差があり、GPU使い分けと電源管理で月1,000円以上の節約が可能です。

ワットチェッカーとは

ワットチェッカーは、コンセントと電源プラグの間に挟むだけで、接続した機器の消費電力をリアルタイムで表示してくれるツールです。

使い方は本当にシンプルで、壁のコンセントにワットチェッカーを挿して、そこにPCの電源ケーブルを挿すだけ。これで、PCが今どれだけ電気を使っているかが数字で見えるようになります。

価格は1,500〜4,500円程度。これで月々の電気代の「犯人」が特定できると思えば、安い投資です。

おすすめの製品(比較表)

製品名 参考価格(2026年4月時点) Wi-Fi ログ記録 精度 おすすめの用途
サンワサプライ TAP-TST8N 約2,000円 × × ±1.5% 手軽にリアルタイム確認したい方。液晶が見やすく初心者に最適
ラトックシステム RS-WFWATTCH1 約7,000〜9,000円 ○(アプリ) ±1% スマホで遠隔モニタリング。長期間のログを取りたい方
エルパ(ELPA)EC-05EB 約2,600〜3,500円 × × ±2% とにかく安く始めたい方。必要最低限の表示機能
SwitchBot プラグミニ 約2,480円 ○(BLE+Wi-Fi) ○(アプリ) ±2% スマートホーム連携したい方。電源ON/OFF遠隔操作も可能

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このテーブルの見方: 「Wi-Fi」が○の製品はスマホアプリから消費電力をリアルタイムで確認でき、外出中でもモニタリングできます。「ログ記録」が○の製品は、1日・1週間・1ヶ月単位での消費電力推移をグラフで振り返れます。精度は数字が小さいほど正確です。日常の電気代チェック用途なら±2%でも十分実用的です。

使っているのはサンワサプライ TAP-TST8N(約2,000円、2026年4月時点)です。液晶にW(ワット)数がリアルタイムで表示されるので、GPUに負荷をかけた瞬間に数字が跳ね上がるのが目に見えて面白いです。シンプルで液晶が見やすく、「とりあえず消費電力を測りたい」という用途にはこれで十分です。

コスパで選ぶならエルパ EC-05EB(約2,600〜3,500円)が最安。基本機能のみですが、初めてワットチェッカーを買うならこれでも問題ありません。逆に「スマホから消費電力のログを確認したい」「外出先からもチェックしたい」という方には、ラトックシステム RS-WFWATTCH1(約7,000〜9,000円)がWi-Fi対応でアプリからログを確認できます。SwitchBot プラグミニ(約2,480円)もスマートホーム連携ができて消費電力ログが残るので、コスパ重視でログも欲しいならこちらもおすすめです。

おすすめパターン

パターン 製品 費用(2026年4月時点) 向いている人
とりあえず測りたい エルパ EC-05EB 約2,600〜3,500円 初めて測る人
ログを残したい SwitchBot プラグミニ 約2,480円 スマホで確認したい人
本格的に管理 ラトックシステム RS-WFWATTCH1 約7,000〜9,000円 24時間監視したい人

このテーブルの見方: 上から順に「手軽さ重視→機能重視」です。迷ったら真ん中のSwitchBot プラグミニがバランスが良いです。私のようにリアルタイムの数字をパッと見たいだけならサンワサプライ TAP-TST8N(約2,000円)でも十分です。

実測データ:GPUの負荷で消費電力はこれだけ変わる

以下は、私の環境(RTX 3090 + RTX 3060 12GB、CPU: Core i7-11700、メモリ64GB、Linux)でワットチェッカーを使って実測した結果です。

消費電力の実測値(詳細版)

状態 使用GPU GPU電力の目安 (W) PC全体の実測値 (W)
アイドル時(デスクトップ放置) 80〜120
Ollama 8Bモデル推論(gemma2:8b等) RTX 3060 100〜140 220〜280
Ollama 14Bモデル推論(qwen2.5:14b等) RTX 3060 130〜170 250〜320
Ollama 32Bモデル推論(qwen3:32b等) RTX 3090 250〜320 400〜500
ComfyUI SDXL画像生成 RTX 3090 280〜340 420〜520
ComfyUI FLUX画像生成 RTX 3090 300〜350 450〜550
RTX 3060のみ軽量モデル推論 RTX 3060 130〜170 250〜350
2枚同時フル稼働(3090+3060) 両方 合計 480〜520 600〜700

このデータの見方: 左の列が負荷の状態、右の「PC全体の実測値」がワットチェッカーに表示される数字です。GPU以外にCPU・メモリ・ストレージなども含まれるため、GPU単体の値より大きくなります。モデルサイズ(8B→14B→32B)が大きくなるほど消費電力が上がっていくのが分かります。

注目すべきは、アイドル時と3090フル稼働時の差です。80Wと500Wでは、約6倍の違いがあります。画像生成を始めた瞬間、ワットチェッカーの数字が一気に跳ね上がるのを見ると「電気を使っている」という実感が湧きます。

もうひとつ面白いのは、同じAIタスクでもRTX 3060で済むならPC全体で250〜350W程度に収まるということ。3090を使う場面と3060で十分な場面を使い分けるだけで、消費電力はかなり変わってきます。

GPU別:月間電気代シミュレーション(散布図データ)

「自分のGPUだと月にいくらかかるのか?」を横並びで比較してみます。

このグラフの見方

以下の散布図は、横軸がGPUのTDP(最大消費電力)、縦軸が月間電気代(円)です。右に行くほど電力を食うGPU、上に行くほど電気代が高い、ということです。実際の運用ではTDPの70%程度の負荷で動くことが多いため、「TDP × 0.7 × 8時間 × 30日 × 30円/kWh」で計算しています。

GPU TDP別 月間電気代シミュレーション
計算条件 = TDP × 0.7(平均負荷率) × 8時間/日 × 30日 × 30円/kWh

RTX 3060     TDP: 170W  月間電気代: 858円
RTX 4060 Ti  TDP: 165W  月間電気代: 832円
RTX 3090     TDP: 350W  月間電気代: 1,764円
RTX 5070 Ti  TDP: 300W  月間電気代: 1,512円
RTX 5080     TDP: 360W  月間電気代: 1,814円
RTX 4090     TDP: 450W  月間電気代: 2,268円
RTX 5090     TDP: 575W  月間電気代: 2,898円

散布図データ(テーブル版)

GPU TDP (W) 平均負荷 (W)※ 月間消費量 (kWh) 月間電気代 (円)
RTX 3060 170 119 28.6 約858円
RTX 4060 Ti 165 116 27.7 約832円
RTX 5070 Ti 300 210 50.4 約1,512円
RTX 3090 350 245 58.8 約1,764円
RTX 5080 360 252 60.5 約1,814円
RTX 4090 450 315 75.6 約2,268円
RTX 5090 575 403 96.6 約2,898円

※平均負荷 = TDP × 0.7。計算式:平均負荷(kW) × 8h × 30日 × 30円/kWh

このテーブルの見方: これはGPU単体の電力だけで計算した「GPU分の電気代」です。実際にはCPU・メモリなどシステム全体の消費電力が加わるため、PC全体ではこの表の値よりも1,000〜2,000円程度高くなります。RTX 3060クラスなら月1,000円未満、RTX 5090だと約3,000円。GPU選びの際の電気代の目安としてお使いください。

月の電気代シミュレーション

実測値を元に、月々の電気代を計算してみます。電気代単価は全国平均で約30円/kWh(2026年4月時点、従量電灯B相当)で計算しています。お住まいの地域や契約プランによって上下しますが、おおよその目安としてはこの数字で問題ありません。

RTX 3090でAIを1日8時間稼働させた場合

PC全体の平均消費電力: 約450W(0.45kW)
1日の使用量: 0.45kW × 8時間 = 3.6kWh
1ヶ月(30日): 3.6kWh × 30日 = 108kWh
電気代: 108kWh × 30円 = 約3,240円/月

RTX 3060で軽めのAIを1日8時間稼働させた場合

PC全体の平均消費電力: 約300W(0.30kW)
1日の使用量: 0.30kW × 8時間 = 2.4kWh
1ヶ月(30日): 2.4kWh × 30日 = 72kWh
電気代: 72kWh × 30円 = 約2,160円/月

アイドル状態で24時間つけっぱなしの場合

PC全体の平均消費電力: 約100W(0.10kW)
1日の使用量: 0.10kW × 24時間 = 2.4kWh
1ヶ月(30日): 2.4kWh × 30日 = 72kWh
電気代: 72kWh × 30円 = 約2,160円/月

クラウドAI vs ローカルAI:月額コスト比較

「ローカルAIの電気代って、クラウドAIの月額課金と比べてどうなの?」という疑問に答えます。

このテーブルの見方

以下はクラウドAIサービスの月額料金と、ローカルAIを1日8時間使った場合のPC全体の電気代を並べた比較表です。ローカルAIの電気代にはGPUだけでなくCPU・メモリなどシステム全体の消費が含まれています。初期投資(GPU購入費)は含まれていません。

項目 月額コスト 備考
ChatGPT Plus 3,000円/月 GPT-4o使い放題(2026年4月現在)
Claude Pro 3,000円/月 Claude拡張利用(2026年4月現在)
RTX 3060 ローカルAI 約2,160円/月 PC全体 約300W × 8h × 30日 × 30円/kWh
RTX 3090 ローカルAI 約3,240円/月 PC全体 約450W × 8h × 30日 × 30円/kWh
RTX 5090 ローカルAI 約5,040円/月 PC全体 約700W × 8h × 30日 × 30円/kWh
[棒グラフデータ] クラウドAI vs ローカルAI 月額コスト比較

RTX 3060 ローカル:  2,160円 (green)
ChatGPT Plus:       3,000円 (blue)
Claude Pro:         3,000円 (purple)
RTX 3090 ローカル:  3,240円 (orange)
RTX 5090 ローカル:  5,040円 (red)

このグラフの見方: 棒が短いほどコストが安いです。RTX 3060でのローカルAI運用なら、ChatGPT PlusやClaude Proよりも安く済みます。RTX 3090だとほぼ同額。RTX 5090クラスになるとクラウドAIの方がコスパ良好です。ただしローカルAIには「プライバシー」「回数制限なし」「ネット不要」というクラウドにはないメリットがあります。

ChatGPT Plusとの比較が面白い

RTX 3090で毎日8時間AIを使った場合の電気代は月額約3,240円。一方、ChatGPT Plusの月額料金は3,000円(2026年4月現在)。

ほぼ同じ金額です。

もちろん、ローカルAIにはGPUの初期投資がかかりますし、ChatGPT Plusが使えるGPT-4oのほうが賢い場面も多いです。ただ、「プライバシー」「カスタマイズの自由度」「ネット不要で動く」というローカルAIのメリットを考えると、電気代は許容範囲と感じています。

個人的には「ChatGPTの月額料金で自宅のAI環境の電気代が賄える」と思えば、意外と悪くないなという印象です。

電気代を減らすコツ

実測してみて分かったことを踏まえて、私が実践している節電の工夫を紹介します。

1. 使わないときはGPUをスリープさせる

Linuxの場合、NVIDIAのGPUは使っていないときに自動的に低消費電力モードに入りますが、Ollamaなどが常駐しているとGPUがアイドルに戻りにくいことがあります。タスクが終わったらOllamaのモデルをアンロードする(ollama stop モデル名)だけでも効果があります。

2. 軽いタスクはサブGPU(RTX 3060)に回す

8Bクラスの軽量モデルで十分な用途なら、RTX 3060で処理させるほうが消費電力は大幅に下がります。3090は32Bや70B(量子化)の大きなモデルを動かすときだけ使う、という切り分けがおすすめです。

3. 使わないときはPCの電源を切る

当たり前のことですが、アイドル放置でも月2,000円以上かかります。「AIサーバーとして24時間稼働」に憧れはありますが、電気代のことを考えると必要なときだけ起動するほうが現実的です。

ついでに揃えておくと便利なもの

ワットチェッカーを使い始めると、電源周りの環境も少し気になってきます。GPUをフル稼働させると瞬間的に大きな電力が流れるため、雷ガード付きの電源タップを使っておくと安心です。

  • 電源タップ(雷ガード付き): サンワサプライ TAP-SP2110-1(約2,500円、2026年4月時点)。雷サージから機器を保護してくれます。GPUを2枚挿ししていると電源周りの安全対策はしておきたいところです
  • 延長コード: エレコム T-ADR5-2620WH(約2,600〜3,500円、2026年4月時点)。ワットチェッカーを挟むとコンセント周りが窮屈になりがちなので、延長コードがあると取り回しが楽になります

どちらもなくても測定はできますが、GPU環境を本格的に運用するなら一緒に揃えておくと快適です。

[kimono_bar title="GPU負荷別 PC全体の消費電力(実測値)" unit="W" color="#1565c0″ highlight="6,7″ max="750″ note="RTX 3090 + RTX 3060 + i7-11700 + 64GB RAM"]
アイドル(放置)|100
Ollama 8B (RTX 3060)|250
Ollama 14B (RTX 3060)|285
Ollama 32B (RTX 3090)|450
ComfyUI SDXL (RTX 3090)|470
ComfyUI FLUX (RTX 3090)|500
2枚同時フル稼働|650
[/kimono_bar]

月間電気代の汎用計算式

月間電気代(円) = 平均消費電力(W) ÷ 1000 × 稼働時間(h/日) × 30日 × 電気代単価(円/kWh)

例:RTX 3090で1日8時間AI稼働の場合
450W ÷ 1000 × 8h × 30日 × 30円 = 3,240円/月

[kimono_bar title="クラウドAI vs ローカルAI 月額コスト比較" unit="円" color="#1976d2″ max="6000″ note="ローカルAIは電気代のみ(8h/日、30円/kWh)。GPU初期投資は含まない"]
RTX 3060 ローカル|2160
ChatGPT Plus|3000
Claude Pro|3000
RTX 3090 ローカル|3240
RTX 5090 ローカル|5040
[/kimono_bar]

まとめ:数千円の投資で「見える化」する価値

ワットチェッカーを導入する前は、「GPUは電気を食うらしい」程度のぼんやりした認識でした。でも実際に数字で見ると、アイドルとフル稼働で6倍もの差があること、月の電気代が3,000円を超えうることが具体的に分かります。

1,500〜4,500円のワットチェッカーひとつで、こうした数字が全部見えるようになります。「見える化」するだけで使い方の意識が変わりますし、GPUの使い分けや電源管理のモチベーションにもなります。

ローカルAIを日常的に使っている方、あるいはこれから始めようとしている方には、GPUと一緒にワットチェッカーも揃えておくことをおすすめします。