同じ設定なら同じ絵が出るのか? 5つの画風で並べて生成してみた〜Intel Arc B580 画像生成 第3話

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2026年8月15日

前回、Intel Arc B580 と RTX 3090 で同じ絵を作らせて、速度と電力を測りました。ほぼ同点という結果です。

測っている最中から、ずっと引っかかっていたことがあります。このメーカーの異なる2つのGPUは、同じ絵を作れるのでしょうか。

同じ生成AIモデルに同じ設定を渡しているので、理屈の上では同じものが出るはずです。けれど計算しているのは別のメーカーの、まったく違う設計のGPUです。本当に一致するのか、確かめておきたくなりました。

この記事は手元で実際に測った記録です。測定は2026年8月15日に行いました。

前回の記事はこちらです。

どう測ったか〜5つの画風で、同じ設定の絵を並べた

1枚ずつ比べても面白くないので、絵柄を5種類用意しました。実写風・アニメ調・水彩・線画・サイバーパンクです。

画風によって差の出方が変わるのかを見たかったためです。モデルも設定も乱数の種も同じで、変えたのはグラフィックボードだけです。

上の段が RTX 3090、下の段が Arc B580 です。

ぱっと見では、どちらがどちらか分かりません。構図も、色も、画風の雰囲気も保たれています。

まったく同じにはなりませんでした。じっと見比べると、細部が少しずつずれています。

2枚の絵の違いを、画素の一致率で数字にする

見た目の印象だけでは頼りないので、2枚の画像がどれくらい近いかを測りました。PSNR は高いほど、SSIM は1に近いほど、2枚が近いという意味です。

画風PSNRSSIM画素の平均差
サイバーパンク35.12 dB0.9602.7 / 255
水彩34.10 dB0.9632.1 / 255
実写風32.06 dB0.9712.6 / 255
線画24.63 dB0.9454.8 / 255
アニメ調22.05 dB0.80111.3 / 255

いちばん右の列が分かりやすいと思います。色の明るさを0〜255で表したとき、平均で2〜11ぶんの差、ということです。並べて見比べないと気づかない程度に収まっています。

5つのうちアニメ調だけ、一致率が低かった

表を見て目を引いたのが、アニメ調だけ他と桁が違うことでした。平均差11.3は、他の画風の4〜5倍あります。上の比較画像でも、アニメ調だけ猫の位置がわずかにずれているのが見えます。

なぜでしょうか。

おそらく、絵柄そのものの性質です。アニメ調は輪郭がはっきりしていて、塗りが平坦です。そういう絵で線が1ピクセル動くと、そこだけ色がまるごと入れ替わります。

水彩のようににじんだ絵なら、多少ずれても隣の色と混ざって目立ちません。実際、水彩と実写風はいちばん一致していました。

「グラフィックボードに得意な絵柄がある」わけではありません
ここは私も最初に取り違えかけたところです。

絵柄を決めているのはモデルのほうで、グラフィックボードは計算をこなす箱にすぎません。B580がアニメを苦手としているわけではないのです。

正しくは、画風によって、わずかな計算の違いが見た目に出やすいかどうかが変わるということでした。アニメ調が苦手なのではなく、アニメ調だと差が見えやすい、という話です。

そもそも、なぜ同じ設定でも絵が一致しないのか

同じ計算をさせているのに、なぜ結果がずれるのでしょうか。

小数の計算では、足す順番を変えるだけでごく小さな誤差が出ます。グラフィックボードは何千もの計算を同時に走らせるので、設計が違えば順番も変わります。その最後の桁の違いが、20回の計算を重ねるうちに少しずつ育っていく、という理屈です。

この一致しないという性質は、B580に限った話ではありません。NVIDIA同士でも、世代が違えば同じことが起きます。画像生成では以前から知られている現象です。

絵が一致しないことは、実際に使ううえで問題になるのか

私の使い方では、まず困りません。ブログの画像を作るとき、気に入った1枚を選ぶだけなので、他所と1ピクセル単位で一致する必要がないためです。

困るとすれば、こういう場面が考えられます。

  • 気に入った絵の設定を人に渡して、同じ絵を再現してもらいたいとき
  • 設定を少しずつ変えながら、違いだけを見比べたいとき(別のカードで作ると、見ている差にカードの差が混ざります)
  • 同じ絵を少しずつ動かして動画にしたいとき

いずれも「同じカードで通す」だけで避けられます。途中で機材を変えないようにする、という程度の話です。

どこまで確かめたか〜この記事で言えないこと

PSNRとSSIMは、計算のしかたによって値が変わる種類の数字です。この記事のものは自分で計算しました。この記事に出した一致率の値は、この記事の中での比較にだけ使ってください。他所で見かける数字と並べても意味を持ちません。

比較した画像は、画風ごとに1組ずつです。乱数の種を変えれば順位が入れ替わる可能性はあります。「アニメ調がいちばん差が出やすい」というのは、この5組から見えた傾向として読んでください。

まとめ:同じ絵にはならないが、実用では困らない

  • 同じ設定でも、絵はまったく同じにはなりません。ただし並べて見比べないと分からない程度です
  • 色の明るさで見ると、平均2〜11ぶん(255段階)の差に収まっていました
  • アニメ調がいちばん差が出ました。輪郭がはっきりして塗りが平坦な絵ほど、わずかな違いが見えやすいためだと考えられます
  • これはカードの得手不得手ではありません。計算の順番の違いによるもので、NVIDIA同士でも世代が違えば起こります
  • 再現性が要る作業では、途中でカードを変えないようにすれば避けられます

3回に分けて、B580での画像生成を見てきました。動かすところにひと山あったものの、越えてしまえば普通に使えます。速度は3090と並び、電力は半分で、絵の違いも実用上は気にならない範囲でした。

画像生成を試したいけれど予算は抑えたい、という場合、B580 は十分に選択肢に入ると感じています。手順にひと工夫が要ることと、起動直後の不具合を知っておく必要はありますが。

次は、もっと大きなモデルで同じことをやってみるつもりです。12GBが本当に効いてくるのは、そこからだと思っています。

この記事で使った機材

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※測定環境:Ubuntu 24.04.4/カーネル 7.0.0-28/RTX 3090 24GB+Intel Arc B580 12GB(同一のデスクトップPCに同居)/ComfyUI v0.16.4/SDXL 1.0/1024×1024・20ステップ・同一シード。2026年8月15日に測定。