巨大なローカルLLMは家のPCで動くのか〜235B・745Bを無理矢理実測してみた

2026年7月27日

本ページは広告(アフィリエイトプログラム)を含みます。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。

128GBのユニファイドメモリを積んだミニPC、GMKtec EVO-X2(以下、EVO-X2)、家庭用としては最大級のローカルLLMを動かすことができるこのPCを使っているのですが、このPCでは、どれくらいの大きさのLLMを動かすことができるのでしょうか。

本記事では、実用レベルを超えたサイズのローカルLLMを動かしてみるとどうなるのかと、設定をいじることで 86GB のモデルが実用速度で動くようになった経緯を記録します。あわせて、202GBもあるGLM-5.2 745B(7450億パラメータ)という巨大なモデルを、PCに無理やり載せたらどうなるのかも試しました。

2026年7月時点の内容です。

使用した機器の概要

性格の違う2台で測りました。片方は一般的な自作デスクトップPC、もう片方は大容量メモリのミニPCです。

デスクトップPCミニPC
GPUNVIDIA GeForce RTX 3090(VRAM 24GB)Radeon 8060S(CPU内蔵)
メモリ64GB128GB(ユニファイドメモリ)
SSDNVMe・順次読み出し 約1.7GB/s約3.1GB/s
備考GMKtec EVO-X2。Vulkan からは約116GBが「VRAM」として見える

ユニファイドメモリは、CPU と GPU が1つのメモリを分け合って使う仕組みです。グラフィックボードのように容量が固定されていないため、大きいモデルを載せるうえでは有利に働きます。

GMKtec EVO-X2(Ryzen AI Max+ 395 / 128GB / 2TB)

GMKtec EVO-X2

手のひらより少し大きい程度の、四角い箱です。この大きさで 128GB のメモリを積んでいる点が、今回の実験の土台にあたります。

GMKtec EVO-X2 (Ryzen AI Max+ 395 / 128GB / 2TB)

GMKtec EVO-X2 (Ryzen AI Max+ 395 / 128GB / 2TB)

¥583,999 Amazon・2026-07-24調べ

なお EVO-X2 で 235B を動かすまでのBIOS設定については、大容量メモリのミニPCで235Bを動かす、BIOS設定の落とし穴と正解に詳しく書きました。本記事はその先の話にあたります。

スポンサーリンク

EVO-X2で大きなモデルが固まる? その原因と対策

EVO-X2 で 73GB 以上のモデルを動かそうとすると、読み込みは終わったように見えるのに、そこから1文字も出てこない状態になりました。最初はSSDの読み込み速度を疑いました。ただ、この機体のSSDは 3.1GB/s で読めるため、73GB を読むだけなら計算上は30秒ほどで済みます。何時間も待たされる説明にはなりません。

調べていくと、原因は mmap(メモリマップ)という読み込み方式にありました。これはモデルのファイルを丸ごと読み込むのではなく、必要になった部分だけを都度ディスクから拾う方式です。ふだんは起動が速くなる利点のある仕組みですが、モデルが大きいと、拾いに行く回数が膨大に膨らみます。順番に読めば速いSSDも、あちこちを細かく拾う読み方では速度が出ません。

この方式は既定で有効になっています。この機能を切ってみたところ、正常に動作するようになりました。

モデルサイズ既定(mmap 有効)mmap を切った場合
GLM-4.5-Air73GB止まる22秒で読み込み・14.7 tok/s
Qwen3-235B(Q2)86GB止まる27秒で読み込み・19.9 tok/s
MiniMax-M2(108B級)108GB止まるメモリ不足で起動せず
gpt-oss:120b65GB35 tok/s

止まっていたモデルが、20秒台の読み込みで動き出しました。2350億パラメータのモデルが、この小さな箱で 19.9 tok/s です。人が読む速さを上回るため、待たされている感覚はほとんどありません。

mmap を切ったあとの生成速度(tok/s・大きいほど速い)

GLM-4.5-Air(73GB)
14.7 tok/s
Qwen3-235B Q2(86GB)
19.9 tok/s
gpt-oss:120b(65GB)
35 tok/s

GMKtec EVO-X2(128GB)での実測。2026年7月時点。gpt-oss:120b は既定設定のまま。

一方で 108GB のモデルは、mmap を切ってもメモリ不足で起動しませんでした。128GB を積んでいても、OSや他の用途が使う分があるため、全部をモデルに回せるわけではありません。この機体で実際に動かせる上限は 86〜90GB あたり、というのが今回の感触です。

なお、読み込みの遅さがどこから来るのかについては、ローカルLLMの"待ち時間"を3台で実測したでも扱っています。

202GBもあるGLM-5.2 745Bを、PCで無理矢理動かしてみる

ここからは実用性を離れた実験です。GLM-5.2 は 745B、7450億パラメータのモデルです。もっとも小さい 1.5ビット量子化(モデルを圧縮して必要なメモリを減らす処理)にしても 202GB あります。24GB のグラフィックボードはもちろん、128GB のミニPCにも収まりません。

足りない分をSSDで肩代わりさせれば、理屈のうえでは動くはずです。実際に試したところ、2つの設定が要りました。

  1. --no-warmup を付ける。起動時のウォームアップ処理が 202GB 全体に触れようとするため、これを止めないと起動が終わりません。最初の試みでは5時間かけて1文字も出ませんでした。このオプションを付けたところ、読み込みは約40秒で終わりました
  2. MoE(複数の専門家モデルを切り替えて使う構造)の専門家部分をCPU側に置き(-cmoe)、必要になったぶんだけSSDから読ませる

この状態で「日本の首都は」と尋ねたところ、GLM-5.2 は正しく答えました。速度は次のとおりです。

機体速度備考
デスクトップPC(RTX 3090)0.21 tok/s
ミニPC(EVO-X2)0.55 tok/sデスクトップPCの約2.6倍
ミニPC(調整後)0.76 tok/s-ncmoe 50+起動する専門家を絞った場合

0.2〜0.76 tok/s は、1文を書かせるのに数分かかる速さです。実用にはなりません。それでも分かったことがあります。巨大なモデルを無理やり動かすときに問題になるのは「起動できるかどうか」ではなく、「生成がどれだけ遅くなるか」のほうでした。そしてその速度は、速いメモリの量とSSDの速さに素直に比例していました。デスクトップPCとミニPCで 2.6倍の差がついたのは、メモリ容量とSSD速度の差がそのまま出た結果だと考えられます。

スポンサーリンク

この速度で粘るか、借りるか

745Bを無理矢理動かしたときの速度は 0.21〜0.76 tok/s でした。一文字ずつ出てくるのを待つ速さで、実用とは言えません。「動いた」こと自体に意味がある記録です。

実際にそのモデルを使いたい場合は、GPUを時間単位で借りるほうが現実的です。手元の機材では何時間もかかる処理が、借りたGPUなら数分で終わります。買い足す前に「そもそもこのモデルが必要か」を確かめる用途にも向きます。

そうしたサービスのひとつが RunPod です。

RunPod(GPUの時間貸し)

※上記は紹介リンクです。リンク経由で登録すると、双方にクレジットが付きます。

ハードを選ぶときに何を見るか

今回の測定から言えることを、目的別に整理しました。

やりたいこと向く構成
100B級のモデルを実際に使いたい大容量のユニファイドメモリを積んだミニPC。86GB程度までなら実用速度で動き、235BのMoEモデルでも 20 tok/s 前後が出ます
24GBのグラフィックボード1枚で使いたい30B級までが快適な範囲です。それ以上は「動くには動く」という水準にとどまります
とにかく大きいモデルを試したいモデルがディスクにあふれる領域では、GPUの計算性能より、速いメモリの量とSSDの速さのほうが効きます

大容量メモリの機体そのものの比較については、大容量メモリでローカルLLMを動かすなら?にまとめてあります。

スポンサーリンク

まとめ

大きなモデルが動かないとき、原因がハードウェアの力不足とは限りませんでした。今回の場合、73GB以上のモデルが止まっていた理由は読み込み方式の設定にあり、切り替えるだけで 86GB のモデルが 19.9 tok/s で動きました。

745B のほうは、動いたという事実だけが残る結果でした。ただ、無理やり動かしてみると、どこが本当のボトルネックなのかが見えてきます。速いメモリの量とSSDの速さが効くという傾向は、もっと現実的な構成を選ぶときの判断材料にもなりそうです。

数値はいずれも 2026年7月時点の実測で、量子化の種類やドライバ、冷却の状態によって変わります。

参考にしたサイト

検証に使用した機材

GMKtec EVO-X2 (Ryzen AI Max+ 395 / 128GB / 2TB)

GMKtec EVO-X2 (Ryzen AI Max+ 395 / 128GB / 2TB)

¥583,999 Amazon・2026-07-24調べ

NVIDIA GeForce RTX 3090

NVIDIA GeForce RTX 3090

¥280,980 楽天市場・2026-08-07調べ

スポンサーリンク