Intel Arc B580で画像生成は動くのか? 〜Intel Arc B580 画像生成 第1話

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2026年8月15日

Intel Arc B580 では、これまで文章を書かせるための生成AI、いわゆるLLMばかりを試してきました。速度が出ない原因を追ったり、12GBに収まるモデルを測ったり、RTX 3090 と混ぜて動かしたりしています。

今回試したのは、画像生成です。調べたかぎりでは「動くらしいが、詰まる」という声が目につきました。ただ、どれも少し前のもので、最近のものが見当たりません。今なら事情が変わっているのではないか。そう思って、動かしてみることにしました。

この記事は手元で実際に動かした記録です。作業は2026年8月15日に行いました。

前回の記事はこちらです。

やりたいことと、ためらった理由

目的は単純で、B580で画像生成を動かすことです。動いたら、同じデスクトップPCに挿さっている RTX 3090 と比べます。

比べるところは次回に回すとして、この記事は動かすまでの話です。ここに一番の山がありました。

B580 を計算に使うには、画面を映すためのドライバとは別に、計算用のランタイムが要ります。ところが Ubuntu 24.04 に標準で入っているものは版が古く、B580 の世代には足りません。

新しいものを入れる手段はあります。Intel と Canonical が共同で出している配布元があり、そこから入れれば解決します。ただ、その配布元自身が「通常の品質保証を欠くので、本番で使う機械には入れるべきでない」と書いています。

このデスクトップPCは、このブログの画像を作るのに毎日使っている実働機です。壊すわけにはいきません。ここでしばらく止まっていました。

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PCを触らず、コンテナで実装してみる

調べていくうちに、必要なものが2階建てになっていることが分かりました。

1階:カーネル側のドライバ(OSの中核に近い部分)
すでに入っていました。B580用のファームウェアも揃っています
2階:計算用のランタイム(アプリ側から使う部分)
これだけが古い。足りないのはここだけです
1階を触らずに済むなら、2階だけをどこか安全な場所に置けば足ります。

そこで、2階の部分だけをコンテナの中に閉じ込めました。コンテナというのは、デスクトップPCの中に作る隔離された箱のようなものです。箱の中に何を入れても、外側には影響しません。

これなら、うまくいかなければ箱を消すだけで元通りです。実際、この作業を通してデスクトップPC本体には何も追加していません

調査で分かった回り道

手順を調べるうちに、ひとつ大事なことに気づきました。

これまで Intel のGPUで機械学習を動かすには、IPEX という拡張を追加するのが定番でした。ところが、これはもう要りません。2026年3月に開発が終わり、PyTorch 本体が Intel のGPUに直接対応したためです。

この点は、探し方を間違えると引っかかります。検索で出てくる手順の多くはIPEXが必要だった頃のもので、そのまま真似すると、いま存在しない部品を探して詰まります。

個人の方が公開していた導入ツールも見つけたのですが、そちらも「ComfyUIが公式に対応したので役目を終えた」として公開を終了していました。回り道を用意する必要は、もうなくなっています。

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動いた組み合わせ

最終的に、この形で動きました。

どこ何を使ったか
デスクトップPC本体Ubuntu 24.04.4 / カーネル 7.0.0-28 / xe ドライバ
すべて元から入っていたもの。追加なし
箱の中の土台Ubuntu 24.04
計算用ランタイムIntel と Canonical が共同で出している配布元のもの
PyTorch2.13.0+xpu(公式の配布元から。IPEXは入れていません
ComfyUIv0.16.4(本体側と同じ版に揃えました)

箱に渡したものも絞っています。IntelのGPUだけを渡し、NVIDIA側は渡していません。モデルの置き場は読み取り専用にしました。249GBぶんのモデルを事故で消されると、取り返しがつきません。

認識の確認は、4段階に分けて順に行いました。GPUが見えるか、PyTorchから使えるか、掛け算が走るか、画像生成で使う演算が通るか。ひとつずつ潰していけば、詰まった場所がすぐ分かります。

通りました。

起動直後に、真っ黒な画像が

動いたので、さっそく絵を作らせました。そこで不具合に当たりました。

B580で起動直後に生成した1枚目と2枚目が真っ黒になり、3枚目から正常に生成された様子

起動してから最初の2枚が、真っ黒で出てきました。ファイルの大きさが4KBしかなく、中身を調べたら明るさが完全にゼロです。3枚目からは正常でした。

順番と乱数の種を変えて何度かやり直しましたが、そのあとは一度も再現していません。起動直後の数枚で起きるもののようです。

厄介なのは、エラーが出ないことです。画面上は成功したことになっていて、ファイルもできています。まとめて何十枚も作らせたあと、中身を確かめずにいたら、気づかないまま使っていたはずです。

B580で使うなら、最初の数枚は中身を確かめるくらいの構えでいたほうがよさそうです。

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本当にB580で作っていたのかを確認

ここで、自分でも気になったことがあります。

実は3090のほうで作っていた、ということはないのか。同じデスクトップPCに両方挿さっているので、取り違えていたら、このあとの比較は全部無意味です。

2通りで確かめました。

ひとつは、そもそも使えない状態にしてあることです。NVIDIA側のGPUもドライバも、箱の中には渡していません。PyTorch自体もNVIDIA非対応の版で、実際に「NVIDIAは使えない/Intelは使える」と返ってきます。使おうとしても使えません。

もうひとつは、生成している最中に、両方の電力を同時に見張ったことです。

3秒 Intel 86W | NVIDIA 17.3W / 使用率 0%
5秒 Intel 246W | NVIDIA 16.2W / 使用率 0%
10秒 Intel 244W | NVIDIA 15.9W / 使用率 0%
15秒 Intel 247W | NVIDIA 16.7W / 使用率 0%
18秒 Intel 46W | NVIDIA 16.1W / 使用率 0% ←生成が終わった

Intelだけが電力を上げ、NVIDIAは一度も動いていません。使用率もずっと0%のままです。

CPUが代わりに計算していた、という線も消えます。CPUの使用率は最大でも31%止まりでしたし、CPUだけで作れば数分かかるところが数秒で終わっているためです。

まとめ

  • B580で画像生成は動きました。デスクトップPC本体には何も入れず、コンテナの中だけで完結しています
  • 足りないのは計算用ランタイムだけで、カーネル側は元から揃っていました
  • IPEXという拡張は、もう要りません。2026年3月に終了し、PyTorch本体が対応しました。古い手順を真似すると回り道をします
  • 起動直後の2枚が真っ黒になりました。エラーが出ないので、最初の数枚は中身を確かめたほうが安全です
  • 電力を同時に見張って、確かにB580が計算していることを確認しました

調べていた段階では「動くことになっているが実際は詰まる」という報告ばかりで、正直あまり期待していませんでした。実際にやってみると、詰まりどころはランタイムの版がひとつ古いという一点だけでした。そこさえ越えれば、あとは普通に動きました。

では、動いたところで肝心の速さはどうなのでしょうか。次の記事で、RTX 3090 と同じ条件で並べて測ります。

検証に使用した機材

Intel Arc B580

Intel Arc B580

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※作業環境:Ubuntu 24.04.4/カーネル 7.0.0-28/Intel Arc B580 12GB/ComfyUI v0.16.4。2026年8月15日に実施。

Intel Arc B580 画像生成(全3話)
  1. 画像生成は動くのか? 本体を触らずに試した(この記事)
  2. RTX 3090と同じ絵を作らせて速度と消費電力を実測(8月20日公開予定)
  3. 同じ設定なら同じ絵が出るのか(8月22日公開予定)
前の連載:Intel Arc B580 ローカルLLM(全7話)
  1. 速度が出ない? 対処法で3倍に
  2. ローカルLLMが遅い? 調査結果と考察
  3. 12GBに収まるモデルの速度と消費電力
  4. 収まったのに遅くなっていく?
  5. 外付けGPUがThunderboltで動かない?
  6. メーカーの違うGPUを混ぜたらどうなるのか
  7. できたこと・できなかったこと
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