ローカルAI環境を丸ごと公開〜Ubuntu+RTX 3090+Ollama+ComfyUIの構築実例
自宅にローカルAI専用のワークステーションを組みました。Ubuntu 24.04にNVIDIA GPUを2枚挿し、Ollama・ComfyUI・Docker環境を一通り構築しています。本記事では、ゼロからこの環境を再現するための全手順を公開します。
結論としては、13〜18万円の中古GPU(RTX 3090)と無料ソフトウェアだけで、商用AIサービスに頼らないローカルAI環境が構築できます。月々の追加コストは電気代のみ。27Bパラメータ(AIの規模を表す数値。数字が大きいほど賢くなりやすい。Bは10億の意味で、27Bは約270億)のモデルが快適に動く環境が手に入ります。
この記事の構成・手順はすべて実機環境(AMD Ryzen 9 3950X / RTX 3090 + RTX 3060 / Ubuntu 24.04)に基づいています。
※ この記事のスペック・価格情報は2026年4月時点のものです。
環境全体像
完成形の全体像を示します。
qwen3.5 9B / 27B
gemma4 / gemma4:26b
minicpm-v:8b
SDXL + LoRA
ControlNet
Python 3.12 venv
MySQL / phpMyAdmin
docker compose管理
初期投資 約256,000円
2026年4月時点
Ollamaがチャット(LLM推論)、ComfyUIが画像生成、Dockerが開発用のWordPress等を担当しています。GPUが2枚あることで、チャットしながら画像生成を同時に回せます。詳しくはGPU 2枚挿しの記事を参照してください。
実機の状態はこのようになっています。
OS選定:なぜLinuxなのか
ローカルAIのOS選択肢はWindows・macOS・Linuxの3つです。それぞれに強みと弱みがあります。
OS別ローカルAI適性比較
| OS | NVIDIA GPU対応 | Docker親和性 | セットアップ容易さ | AI安定性 | コスト |
| Windows | ○ ネイティブ対応 | △ WSL2必要 | ◎ GUI完備 | △ ツールによりWSL2前提 | △ ライセンス費用 |
| macOS | × NVIDIA非対応 | △ 仮想マシン必要 | ◎ GUI完備 | △ Apple Silicon限定 | × 高価なハード |
| Ubuntu | ◎ ネイティブ | ◎ ネイティブ | △ CUI中心 | ◎ 最も安定 | ◎ 無料 |
2026年4月時点の評価。◎=最適 ○=良好 △=制限あり ×=非対応
Windowsは手軽に始められる反面、DockerなどWSL2前提のツールがあり、構築の手間が増えます。 OllamaにはネイティブWindows版がありますが、AI分野はLinux向けの情報が中心で、トラブル解決に手間取る場面も報告されています。
macOSはApple Silicon(M1以降)の統合メモリが魅力ですが、NVIDIA GPUに非対応。 中古GPUを活用するローカルAI構成とは根本的に相性が悪いです。
Linuxはセットアップに手間がかかるものの、AI用途では最も安定します。 OllamaもComfyUIもLinux版が最も安定しており、最新機能も先にLinux版に実装されます。Docker Engineもネイティブで動作し、仮想マシンを挟みません。
こうした理由から、Ubuntu 24.04 LTSを選択しました。LTS(長期サポート版)は5年間のセキュリティアップデートが保証されるため、一度構築すれば長期間安心して使えます。
ハードウェア選定と費用
このワークステーションの構成と、2026年4月時点の概算費用です。
ハードウェア費用内訳
| パーツ | スペック | 費用(税込) |
| CPU | AMD Ryzen 9 3950X(16コア/32スレッド)★ | 約25,000円 |
| マザーボード | X570チップセット(PCIe 4.0対応)★ | 約12,000円 |
| メモリ | DDR4 64GB(32GB x2) | 約12,000円 |
| GPU1 | NVIDIA RTX 3090 24GB ★ | 約150,000円 |
| GPU2 | NVIDIA RTX 3060 12GB ★ | 約20,000円 |
| ストレージ | NVMe SSD 1.5TB | 約12,000円 |
| 電源 | 850W 80PLUS Gold | 約15,000円 |
| ケース | フルタワー(エアフロー重視) | 約10,000円 |
| 合計 | − | 約256,000円 |
★ = 中古購入。価格は2026年4月時点の概算
最大の投資はRTX 3090です。中古相場は13〜18万円の幅があり、状態の良い個体を見極めて選ぶのがポイントです。GPUの選定についてはNVIDIA・AMD・Intel比較も参考にしてください。
GPU選定:VRAMがすべてを決める
一般に、ローカルLLMで最も重要なスペックはVRAM(ビデオメモリ)容量です。モデルの重みをすべてVRAMに載せられるかどうかで、推論(AIが入力を受け取り答えを計算する処理)の速度が大きく変わります。必要なVRAMの目安は以下の式で概算できます。
量子化係数の目安:
FP16(高精度) : x 2.0
Q8(8bit量子化): x 1.1
Q4(4bit量子化): x 0.6
例: 27Bモデル(Q4量子化)= 27 x 0.6 = 約16.2 GB → RTX 3090(24GB)に余裕で収まる
例: 70Bモデル(Q4量子化)= 70 x 0.6 = 約42 GB → 24GBでは不足、2枚分散が必要
なぜRTX 3090なのか。 RTX 3090は24GBのVRAMを持ち、27Bパラメータのモデルが余裕で載ります。RTX 4090(24GB)は新品で30万円超ですが、RTX 3090なら中古で13〜18万円。VRAM容量が同じなので、載せられるモデルサイズも同じです。推論速度は4090の方が速いものの、RTX 3090でも実用上十分な速度が出ます。
RTX 3060を追加した理由。 12GBのVRAMがあれば8B〜9Bクラスのモデルが動きます。RTX 3090でメインの重い処理をしながら、RTX 3060でサブタスクを同時実行する構成です。中古2万円台で入手できるため、コストパフォーマンスに優れます。
電源・冷却に関してはGPU電源・冷却・騒音対策にまとめています。RTX 3090は最大350Wを消費するため、電源容量には余裕を持たせてください。
Ubuntu 24.04 インストール
インストール手順は標準的です。USBメモリに書き込んだISOから起動し、ディスク全体をext4でフォーマットしてインストールします。パーティション構成はデフォルトのまま(LVM使用)で問題ありません。
# インストール後、まずシステムを最新に更新 sudo apt update && sudo apt upgrade -y # 必須ツールをインストール sudo apt install -y build-essential git curl wget
NVIDIAドライバ + CUDA のインストール
Ubuntu 24.04でのNVIDIAドライバインストールは、以前のバージョンと比べてかなり簡単になりました。手動でリポジトリを追加する必要はなく、標準のaptコマンドで完結します。
# 推奨ドライバを確認 ubuntu-drivers devices # 推奨ドライバを自動インストール sudo ubuntu-drivers autoinstall # 再起動 sudo reboot # 再起動後、ドライバの認識を確認 nvidia-smi
正常にインストールされると、nvidia-smi で以下のような出力が得られます。
Driver Version: 580.126.09 GPU 0: NVIDIA GeForce RTX 3060 12288 MiB GPU 1: NVIDIA GeForce RTX 3090 24576 MiB
2枚のGPUが両方とも認識されていれば成功です。ドライバのバージョンは580系が2026年4月時点の最新安定版です。
CUDAについて。 Ollama・ComfyUIともにCUDA(NVIDIA製GPUで計算を動かすための基盤ソフト)のランタイムを内蔵しているため、別途CUDAツールキットをインストールする必要は通常ありません。ただし、PyTorchを直接使う開発をする場合は、CUDA Toolkitの個別インストールが必要です。
Ollama インストール
Ollamaはローカルで大規模言語モデル(いわゆるLLM)を動かすためのツールです。一般的にLLMの推論環境構築にはPython・PyTorch・各種ライブラリの依存関係管理が必要ですが、Ollamaはこれらをすべて内包しており、インストールはワンライナーで完了します。
# Ollamaインストール(公式スクリプト) curl -fsSL https://ollama.com/install.sh | sh # バージョン確認 ollama --version # ollama version is 0.20.2 # 動作確認: 軽量モデルをダウンロードして実行 ollama run qwen3:8b
これだけで、ローカルAIチャットが動きます。初回はモデルのダウンロード(qwen3:8bで約5.2GB)に数分かかりますが、2回目以降は数秒で起動します。
詳しいセットアップ手順はOllama入門:10分で始めるローカルAIにまとめています。
モデルのインストール
この環境にインストールしているモデルの一覧です。
# 各モデルのインストール ollama pull qwen3:8b # 5.2GB - 軽量・高速、日常使い ollama pull qwen3:14b # 9.3GB - バランス型 ollama pull qwen3.5:9b # 6.6GB - Qwen最新世代 ollama pull qwen3.5:27b # 17GB - 高品質、RTX 3090推奨 ollama pull gemma4 # 9.6GB - Google製、日本語も良好 ollama pull gemma4:26b # 17GB - 大型Google製モデル ollama pull minicpm-v:8b # 5.5GB - 画像認識対応マルチモーダル
用途に応じた使い分けの目安です。
日常のチャット: qwen3:8b または qwen3.5:9b。RTX 3060でも快適に動きます。
込み入った質問・コード生成: qwen3.5:27b または gemma4:26b。RTX 3090のVRAM 24GBをフルに使います。
画像の内容を質問: minicpm-v:8b。画像を入力として受け取れるマルチモーダルモデルです。
ComfyUI インストール
ComfyUIはノードベースの画像生成ツールです。同じようなツールとしてはAutomatic1111のWeb UIもありますが、ComfyUIはワークフローの自由度が高く、ノードを組み替えることで複雑な処理パイプラインを構築できます。この環境ではComfyUIを採用しました。
# Python仮想環境を作成 sudo apt install -y python3.12-venv python3 -m venv ~/comfyui-venv source ~/comfyui-venv/bin/activate # ComfyUIをクローン git clone https://github.com/comfyanonymous/ComfyUI.git ~/ComfyUI cd ~/ComfyUI # PyTorch(CUDA対応版)をインストール pip install torch torchvision torchaudio --index-url https://download.pytorch.org/whl/cu124 # ComfyUIの依存関係をインストール pip install -r requirements.txt # 起動 python main.py --listen 0.0.0.0 --port 8188
起動後、ブラウザで http://localhost:8188 にアクセスするとComfyUIのインターフェースが表示されます。
ComfyUIの基本的な使い方はComfyUI入門に詳しくまとめています。
GPUの指定について。 ComfyUIはデフォルトでGPU0を使用します。RTX 3090をGPU1に挿している場合は、起動時に --cuda-device 1 を指定するか、環境変数 CUDA_VISIBLE_DEVICES=1 を設定します。
# RTX 3090(GPU1)を指定して起動
CUDA_VISIBLE_DEVICES=1 python main.py --listen 0.0.0.0 --port 8188
Docker環境の構築
Dockerは開発用のWordPress環境やデータベースなどを動かすために使います。一般的にDockerのインストール方法はOS標準パッケージ(docker.io)とDocker公式リポジトリの2通りがありますが、公式リポジトリの方がバージョンが新しく安定しています。この環境では公式リポジトリからインストールしました。
# Docker公式リポジトリを追加してインストール sudo apt install -y ca-certificates curl gnupg sudo install -m 0755 -d /etc/apt/keyrings curl -fsSL https://download.docker.com/linux/ubuntu/gpg | sudo gpg --dearmor -o /etc/apt/keyrings/docker.gpg echo "deb [arch=$(dpkg --print-architecture) signed-by=/etc/apt/keyrings/docker.gpg] https://download.docker.com/linux/ubuntu $(lsb_release -cs) stable" | sudo tee /etc/apt/sources.list.d/docker.list > /dev/null sudo apt update sudo apt install -y docker-ce docker-ce-cli containerd.io docker-compose-plugin # 現在のユーザーをdockerグループに追加(sudoなしで実行可能に) sudo usermod -aG docker $USER newgrp docker # バージョン確認 docker --version # Docker version 29.3.1
この環境では、Docker上でWordPressの開発環境を3つ(ポート8080〜8082)とphpMyAdmin(8083)を動かしています。docker compose で一括管理しているため、起動・停止はコマンド一発です。
2枚挿しGPUの設定
RTX 3090とRTX 3060の2枚を同じPCに挿して使う場合の設定です。物理的な取り付けに関してはGPU 2枚挿しガイドに詳しく書いていますが、ソフトウェア設定のポイントをまとめます。
ドライバは1回のインストールで両方認識されます。 GPU0とGPU1で異なるドライバを入れる必要はありません。nvidia-smi で2枚とも表示されていればOKです。
Ollamaは自動で2枚を使います。 特別な設定は不要です。VRAMが足りないモデルを実行すると、Ollamaが自動的に2枚のGPUに分散ロードします。
ComfyUIは1枚を指定して使います。 画像生成は1枚のGPUで完結するため、最もVRAMの大きいRTX 3090を指定します。
# GPU の認識状況を確認 nvidia-smi -L # GPU 0: NVIDIA GeForce RTX 3060 (UUID: GPU-xxxx) # GPU 1: NVIDIA GeForce RTX 3090 (UUID: GPU-xxxx) # Ollamaの環境変数(必要に応じて) # 特定のGPUのみ使う場合: CUDA_VISIBLE_DEVICES=1 ollama serve # 2枚とも使う場合(デフォルト): # 何も設定しなければOllamaは全GPUを自動認識します
PCIeスロットの注意点。 RTX 3090はPCIe x16スロットに挿してください。RTX 3060はx16でもx8でも動作しますが、x4まで落ちると帯域不足で性能低下が起きます。マザーボードのマニュアルで、2枚挿し時の各スロットのレーン数を確認しておくことを推奨します。
電源について。 RTX 3090(最大350W)+ RTX 3060(最大170W)+ CPU + その他で、ピーク時に700W近くになることがあります。850W電源を推奨する理由はここにあります。電源容量の詳細はGPU電源・冷却・騒音対策を参照してください。
ベンチマーク結果
この環境で実際にどれくらいの速度が出るのか、Ollamaのモデル別推論速度を測定しました。
モデル別推論速度(RTX 3090)
★ RTX 3090単体での実測値。Ollama v0.20.2、num_predict=256、3回実行の中央値
8Bクラスのモデルは100 tok/s(1秒あたりに生成する文字のかたまり=トークンの数。大きいほど速い)を超えており、体感で「瞬時に返ってくる」レベルです。27Bクラスでも25 tok/s前後で、ストレスなく読める速度が出ています。
RTX 3060でも同じモデルを実行できますが、メモリ帯域の差(936 vs 360 GB/s)により速度は約半分にとどまります。それでも8Bモデルで60 tok/sは十分実用的です。
月間電気代
ローカルAIの維持費で気になるのは電気代です。消費電力の調査で整理した目安をもとに、月間の電気代を試算しました。
アイドル時のシステム全体消費電力は約100Wが目安です。 GPUが2枚挿さっていても、負荷がなければほとんど電力を消費しません。
AIチャット中はモデルサイズに応じて170〜380W程度。 8Bモデルなら170W前後、27Bモデルで260W前後、ComfyUIで画像生成中は380W前後まで上がります。
月間電気代は、1日4時間程度のAI利用なら月額3,000円前後です。ChatGPT Plus(月額3,000円)やClaude Pro(月額3,000円)と同程度のコストで、ローカルで好きなだけ使えると考えると、十分にペイします。しかも一度環境を構築すれば、モデルは何種類でも追加できますし、利用量の制限もありません。
月額コスト比較
| サービス | 月額費用 | 制限 |
| ChatGPT Plus | 3,000円 | 利用回数制限あり |
| Claude Pro | 3,000円 | 利用回数制限あり |
| ローカルAI(本環境) | 約3,000円(電気代) | 無制限 |
2026年4月時点の価格
まとめ:トータルコストと運用の実際
ローカルAI環境の構築にかかったトータルコストを整理します。
トータルコスト
| 項目 | 費用 |
| ハードウェア一式 | 約256,000円 |
| ソフトウェア(OS・Ollama・ComfyUI・Docker) | 0円(すべて無料) |
| 月間電気代 | 約3,000円 |
| 初年度トータル | 約292,000円 |
| 2年目以降(年間) | 約36,000円 |
2026年4月時点の概算
初期投資は約26万円。 すでにPCがあってGPUだけ追加する場合は、RTX 3090の中古(13〜18万円)が主な出費です。
ランニングコストは月3,000円の電気代のみ。 ソフトウェアはすべて無料です。
2年目以降は年間36,000円(月3,000円)で運用できます。 クラウドAIサービスの年間サブスクリプション(36,000円〜)と同等のコストで、利用制限なし・データをローカルに保持・複数モデルを自由に使えるメリットがあります。
構築の難易度は、Linuxの基本操作(ターミナルでのコマンド実行)ができれば問題ありません。この記事の手順をそのまま追えば、半日で環境が完成します。
各コンポーネントの詳細は以下の記事で解説しています。
- Ollama入門:10分で始めるローカルAI
- GPU 2枚挿しでローカルAIを使い倒す
- NVIDIA・AMD・Intelのエコシステム比較
- GPUの電源・冷却・騒音対策
- ワットチェッカーでGPU消費電力を可視化
- ComfyUI入門:インストールから最初の1枚まで






ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません