カメラ1台で全身トラッキング?〜無料ソフト HIROMEIRO について調べた
カメラの映像から体の動きを読み取り、全身トラッキングできるアプリ、HIROMEIRO(ひろめいろ)が、2026年9月17日に正式版が無償で公開されました。
VTuber のようにアバターを全身で動かすには、一般には、体に付けるトラッカーのような専用の機材が必要なのですが、HIROMEIRO は、Webカメラやスマホのカメラ1台で全身のトラッキングができるとしています。PCやスマホの中で動くAIによって、体の動きを読み取る形式とのことです。このアプリを使えばPCやスマホで、アバターの全身を動かせるのでしょうか?
本記事では、公式の取扱説明書と、公開されているソースコードを読みました。HIROMEIRO で何ができるのか、どのOSで何が動くのか、どんなカメラと広さが要るのかを整理します。あわせて、カメラだけで全身を動かす同じようなソフトと、料金や読み取る点の数を数字で比べました。
2026年10月11日時点の内容です。
この記事で調べたこと〜範囲と情報源
調べたのは5つです。HIROMEIRO が何をするソフトなのか、体の動きを読み取るAIがどこで動いているのか、どのOSとカメラで使えるのか。さらに、同じようなソフトとの違いと、使う前に気を付けたい点です。
アバターを表示する本体が Windows 専用で、当ブログで使っているPCは Linux と Mac のため、HIROMEIRO はまだ試していません。動作についての話は、すべて次の情報源に書かれている内容です。
| 情報源 | 中身 | 扱い |
|---|---|---|
| 公式サイトと取扱説明書 | できること、動作環境、操作方法、既知の不具合、FAQ | 公式 |
| GitHub の README と公開ソース | 体の動きを読み取るアプリ(Windows 版・Android 版・Python 版)の作り | 公式(ソースを読んだもの) |
| 配布ファイルの中身の一覧 | 正式版の zip に入っているファイルの名前(中身は開いていない) | 配布物の確認 |
| PR TIMES、MoguLive | 正式版の公開の知らせと、その紹介記事 | 公式の発表とニュース |
HIROMEIRO は何をするソフト?
取扱説明書によれば、手持ちの VRM のアバターを、トラッキング用の機材を使わずに全身で動かすソフトです。要るのはカメラ1台で、普段着のままでよいとされています。開発したのはクシナダ機巧株式会社で、2023年から開発版として公開されていたものが、今回の正式版です。
VRM とは
VRM は、3Dのアバターを保存するためのファイル形式です。人の形をしたモデルに、骨組み(ボーン)や表情の情報を決まった形で持たせています。形式がそろっているため、あるソフトで作ったアバターを、別のソフトへ持ち込んで動かせます。HIROMEIRO は、VRoid Studio で書き出した VRM で動作を試していると README に書いています。
できること
取扱説明書と公式の発表から、主な機能を並べます。
| 機能 | 中身 |
|---|---|
| 全身のトラッキング | カメラ1台で、全身の動きをアバターに写す |
| 上半身だけのモード | 顔と肩の角度、両手の位置で動かす。椅子に座ったままの配信や、全身が画面に入らないときに使う |
| アバターの読み込み | VRM のファイルを画面へドラッグ&ドロップで切り替え。起動時に読み込むファイルも設定できる |
| 背景(ステージ) | グリーンバック、公園、屋内ジムの3種類。グリーンバックは背景色を変えられる |
| 縦型の映像 | 設定ファイルでカメラを90度倒すと、ショート動画向けの縦長の画面にできる |
| 入力映像を隠す | PC用のトラッキングアプリで、カメラに映った自分の姿を画面に出さない(初めから有効) |
| 動きの収録と再生 | 読み取った動きを、動画より軽いデータとして保存し、あとから等倍速で再生して本体へ送れる |
体の動きを読み取るAIはどこで動く?
カメラに映った体の動きを読み取っているのは、Google が公開している MediaPipe という部品のうち、Holistic Landmarker というAIのモデルです。映像の中の人について、体と顔と両手の要所(ランドマーク)の位置を、1つのモデルでまとめて推定します。Google の説明では、出てくる点の数は体が33、顔が478、両手が合わせて42で、合計553です。
ランドマークは、肩、ひじ、手首、指先、目や口の端のような、体の目印になる点のことです。HIROMEIRO は、これらの点がどこにあるかから関節の角度を計算して、アバターに同じ姿勢をとらせています。点から関節への変換は mediapipe_receiver_cpp という名前で公開されています。
推定と表示の2つのアプリに分かれた作り
HIROMEIRO は、動きを読み取るアプリ(トラッキング用ソフトウェア)と、アバターを表示する本体の2つに分かれています。読み取った結果は、ネットワークの UDP という送り方で、ポート番号 38013 を使って本体へ届けます。流れを図にすると次の通りです。
Webカメラ・スマホ
1280×720 で取り込み
体と顔と両手の点を読み取る
MediaPipe Holistic Landmarker
同じPC内か、同じネットワーク内
UDP・ポート 38013
関節の角度にしてアバターを動かす
Unreal Engine 製・VRM
Windows/Android/Python
Windows のみ
UDP は、データを相手へ次々と投げて届ける、手軽な送り方です。ポート番号は、PCに届いたデータがどのアプリ宛てかを見分ける番号です。38013 を16進数で書くと 947d になり、開発元がドメインや GitHub の名前に使っている 947D-Tech と同じ並びです。
分けてある理由について、公式の発表では処理の負荷を分けるためと説明しています。読み取りをスマホや別のPCに任せ、表示だけを Windows PC で行えます。同じPCで両方を動かす場合は、送り先を 127.0.0.1(自分自身を指す住所)のままにしておけば動く、と取扱説明書にあります。
カメラの映像はインターネットへ送られる?
カメラで自分を映すソフトなので、映像がどこかへ送られていないかは気になるところです。Windows 版のトラッキングアプリ(mediapipe_transceiver_app)の公開ソースを読んで、3点を確かめました。
- AIのモデル(holistic_landmarker.task)と、それを動かす部品は、アプリの中に置いたファイルから読み込む作りです。ネット上の配布元から読み込む行は、コメントとして無効にされていました(src/capture.js)。
- モデルのファイルは、アプリを組み立てる段階でダウンロードしてアプリに入れる手順が、package.json に書かれています。
- 通信を受け持つ部分(src-tauri/src/lib.rs)が使っているのは UDP の送信だけで、ほかのサーバーへつなぐ処理は見当たりませんでした。送っているのは、読み取った点の位置などの数値です。
ソースを読む限り、AIの推定はPCの中で完結し、結果は指定した送り先にだけ届く作りです。映像をクラウドのAIへ送る ChatGPT のような形とは作りが違い、ローカルで動くAIの一例と言えそうです。ただし、読んだのは公開ソースです。配布されている実行ファイルの通信を、当ブログで調べたわけではありません。
同じソースには、GPUで推定する設定(delegate: “GPU")も書かれていました。その横には、GPUで推定すると表情の値(blendshapes)を出す設定でエラーになる、というメモがあります。表情は別の方法で計算しているという取扱説明書の記載と、話が合います。
HIROMEIRO はどのOSで動く?〜Windows、Android、Mac、Linux
取扱説明書の動作環境は、本体とトラッキング用ソフトウェアで分けて書かれています。本体には Windows PC が必要で、トラッキング用ソフトウェアは、Windows PC、Android、Python が動くPCのどれかで動かします。
| 役割 | 動くとされるシステム | 入手のしかた |
|---|---|---|
| 本体(アバターを表示) | Windows PC のみ。グラフィックボード付きを推奨 | 配布の zip を展開するだけ。インストールは不要 |
| トラッキング(Windows 版) | Windows 11。ほかのOSでも動く可能性ありと記載 | 本体と同じ zip に同梱 |
| トラッキング(Android 版) | Android スマホ。Snapdragon 8 系か同等の処理性能を推奨 | ソースを入手し、Android Studio で自分で組み立てる |
| トラッキング(Python 版) | Ubuntu 24.04 で動作確認。Python と uv があれば、ほかのOSでも動く可能性ありと記載 | ソースを入手。開発者向けで、難易度は高めとされている |
公式のテスト環境は、Windows 11、Ryzen 7 5700X、メモリー32GB、GeForce RTX 4060 Ti(16GB)のデスクトップPCでした。これより軽いPCでどこまで動くかは、書かれていません。
配布ファイルの中身は?
正式版の配布ファイルは HIROMEIRO-v20260917.zip の1つで、大きさは約412MBでした。zip の中に入っているファイルの一覧(177件)を確かめると、主な実行ファイルは次の3つです(ほかに、Unreal Engine の前提ソフトを入れるインストーラーと、本体の内側にある実行ファイルが入っています)。
| ファイル | 役割 |
|---|---|
| Windows/HIROMEIRO.exe | 本体(中身は Binaries/Win64 の下にある Unreal Engine 製のアプリ) |
| mediapipe_transceiver_app.exe | Windows 版のトラッキングアプリ |
| mediapipe_receiver_utility.exe | 動きの収録と再生のアプリ |
どれも Windows 用で、Mac や Linux 向けの実行ファイルは入っていませんでした。Android 版のアプリ(apk)も同梱されておらず、スマホで使う場合は自分で組み立てる形です。
Mac や Linux しか持っていない場合は?
Mac や Linux のPCでも、動きを読み取る役は担える可能性があります。Linux は Python 版で公式に動作が確かめられていて、Mac は「ほかのOSでも動く可能性」の範囲です。どちらも、アバターを表示する本体のために Windows PC が別に1台要ります。
本体を Windows 以外で動かす方法は、公式には案内されていません。FAQ によれば、本体は Unreal Engine を使っているため、ライセンスの都合でソースを全部は公開できないとのことです。自分で Mac 版や Linux 版を組み立てる道も、いまのところ無さそうです。
どんなカメラと広さが要る?
| 項目 | 公式の記載 |
|---|---|
| PCで使うカメラ | 一般的な Webカメラ。テストは Logicool C920n。Python 版の説明では UVC 形式のカメラと書かれている |
| スマホで使うカメラ | スマホ本体のカメラ(前後を切り替え可能)。動作確認は Xperia 1 IV と Galaxy S26 |
| 取り込む大きさ | Windows 版のソースでは 1280×720 に決め打ち |
| 入力する値 | カメラの対角画角(カタログの値)と、カメラの向き |
| 部屋の広さ | 全身が写ることが前提。おおよそ2m×2m |
UVC(USB Video Class)は、ドライバを別に入れなくてもPCがカメラとして扱える、USBカメラの共通の決まりです。Windows 版のトラッキングアプリでは、OSが認識しているカメラを一覧から選ぶ形です。
画角と向きを入れる理由
カメラ1台で撮った映像は平面なので、そのままでは奥行きが分かりません。レンズがどれだけ広く写すか(画角)と、カメラがどちらを向いているかを入れることで、体の位置を立体として割り出す作りです。カメラを水平に置いている場合、向きは初めの値のままで動くとされています。
向きの値は、重力がどちらへ向いているかを表す3つの数(重力ベクトル)で入れます。映像の下側が床のときは (0, 9.8, 0)、カメラを横に倒して映像の左側が床のときは (9.8, 0, 0) です。Android 版は、スマホに入っているセンサーで縦向きか横向きかを判断します。
どのカメラを選ぶ?〜固定のWebカメラと、AIで追いかけるカメラ
最初の1台を選ぶなら、カメラが動かない固定式で、画角(映る広さ)が広めのWebカメラが合っていそうです。ただし、これは公式の記載と仕組みから考えた見立てで、当ブログで実際に試して確かめた結果ではありません。
理由は、前の節の「画角と向きを入れる」仕組みです。HIROMEIRO は、入力した画角とカメラの向きをもとに、体の位置を割り出します。入力した値と実際のカメラの状態が合っていることが、前提になっています。公式の取扱説明書(クイックスタート・FAQ・トラッキングの説明)を読んだ範囲では、カメラが動く場合の扱いは書かれていませんでした。
| カメラの種類 | HIROMEIRO との相性(見立て) | 理由 |
|---|---|---|
| 固定式のWebカメラ | 合っている | 画角も向きも変わらないので、最初に入力した値のまま使える。取扱説明書の想定どおり(テストは Logicool C920n) |
| AIで追いかけるカメラ(追尾をオン) | 公式の記載なし。合わない可能性が高い | 人に合わせてレンズの向き(パン・チルト)やズームが変わると、入力した向き・画角と実際がずれる。ずれたまま計算すると、体の位置が狂うと考えられる |
| AIで追いかけるカメラ(追尾をオフにして固定) | 使えそう | 固定式のWebカメラとして使う形。ただし画角は広くないことが多い(下の表を参照) |
「HIROMEIRO は、AIで追いかけるカメラでも使えるのか」という点は、公式には、使えるとも使えないとも書かれておらず、情報がありません。当ブログでも試していないため、追尾をオンにしたまま使えるかどうかは分かりません。なお、取扱説明書にある「追従モード」は、画面の中の仮想カメラがアバターの腰を追う機能です。実物のカメラを追尾させる機能ではありません。
もうひとつ気にしたいのは、追尾型のカメラの画角が、全身向きとは限らない点です。全身が入るには、おおよそ2m×2mの広さが目安でした。画角が狭いカメラは、カメラから離れる必要があり、狭い部屋では全身が入りにくくなります。メーカーが公表している画角(対角)は、次のとおりです。
| カメラ | 種類 | 画角(対角)[度] | 出どころ |
|---|---|---|---|
| Logicool C920n | 固定式 | 78(切り替え不可) | 販売店の仕様表。取扱説明書のテスト機 |
| Logicool BRIO | 固定式 | 65 / 78 / 90 から選べる | Logicool 公式ページ(アプリ Logi Tune で切り替え) |
| Razer Kiyo Pro | 固定式 | 3段階から選べる(発売時の報道では 80 / 90 / 103) | Razer 公式ページ(視野角は3段階の設定)と発売時の報道 |
| OBSBOT Tiny 2 Lite | AI追尾(パン・チルト) | 約79(広くはない) | 販売店の仕様表。公式ページには数値の記載なし |
一般に、全身を入れたいときは90度前後の広角が向くとされますが、110度を超える超広角は映像がゆがみやすい、という指摘もあります。ゆがみが体の位置の計算にどう響くかは、取扱説明書に書かれていません。画角を切り替えられるカメラなら、広め(90度)で全身が入るかを先に試し、画角の値を HIROMEIRO に入力し直す、という順が無難そうです。
当ブログの一番のおすすめ〜ロジクール C920n
最初の1台として当ブログが選ぶのは、ロジクール C920nです。HIROMEIRO の取扱説明書がテストに使っているカメラで、画角は対角78度、フルHD(1080p)の固定式です。Amazon.co.jp の評価は5つ星のうち4.4(4,628件)、価格は4,880円でした(2026年10月12日、Amazon.co.jp の表示)。当ブログでは HIROMEIRO との組み合わせを試していないため、「取扱説明書と同じ機種で始められる」という理由での選択です。
ロジクール Webカメラ C920n フルHD 1080P オートフォーカス ステレオマイク画像なし。価格はAmazon.co.jp表示(2026-10-12)
¥4,880 Amazon.co.jp・2026-10-12調べ
買った人の声では、差すだけで使える点や会議に十分な画質が評価されています。一方で、顔が赤っぽく映る、PCに認識されない場合がある、短期間で壊れた、という声もあります。部屋が狭く全身が入らないときは、画角が90度ほどのカメラも候補に入れるとよさそうです。
ほかのカメラも比べたい方は、PC向けWebカメラのおすすめは?〜固定式・広角・AI追尾・オートフレーミングを調べたもあわせてどうぞ。
最初の1台は、動かない広角のWebカメラが候補です。すでに持っているなら、まずその1台で上半身のモードから試してみて、全身が入らないと分かってから買い足す順でも遅くありません。AI追尾のカメラは、追尾をオフにして固定して使えそうですが、HIROMEIRO で動作を確かめた情報は見つかっていません。使えるかどうかは、試した人の報告や公式の案内が出るまで、様子を見るのが安全です。
スマホの処理性能
Android 版の README では、Snapdragon 8 系以上のスマホを推奨しています。8 系なら少し古い端末でも快適に動き、7 系では新しくても動作が重い端末があったとのことです。動くものの重い例として Torque G07 が挙がっていました。
また、Android 版は画面が前に出ている間だけ処理を行い、裏に回すと止まる作りです。使っている間は、アプリを開いたままにしておく必要があります。
カメラで全身を動かす他のソフトと比べると?
カメラの映像からアバターを動かすソフトは、HIROMEIRO のほかにもあります。同じようなソフトとしては、TDPT(ThreeDPoseTracker)、XR Animator、Webcam Motion Capture があります。参考として、体にセンサーを付けるソニーの mocopi も並べました。値はどれも各公式ページの記載で、当ブログでは動かしていません。
| ソフト・機器 | 料金 | 要るもの | 読み取る点の数 | 足の動き | 動くOS |
|---|---|---|---|---|---|
| HIROMEIRO | 無償 | カメラ1台 | 体33、顔478、両手42(使っている MediaPipe Holistic Landmarker の出力) | 読み取る | 本体は Windows のみ。読み取りは Windows/Android/Python |
| TDPT(Windows 版) | 無料 | カメラ1台 | 体24 | 読み取る | Windows(iOS 版もあり) |
| XR Animator | 無料(CC BY-NC-SA 4.0) | Webカメラ1台 | 記載なし(MediaPipe を使用) | 読み取る | Webブラウザ、Windows/macOS/Linux のアプリ |
| Webcam Motion Capture | 有料プランあり(読み取りの機能は無料で試せる) | Webカメラ1台 | 記載なし | 機能一覧は上半身と手まで | Windows 10 以降/macOS Catalina 以降 |
| mocopi(参考・センサー式) | 49,500円(ソニーストア) | 体に付けるセンサー6個+スマホ | センサー6点 | 読み取る | スマホのアプリ |
カメラ式の4本のうち、料金がかからず足まで読み取れるのは HIROMEIRO、TDPT、XR Animator の3本です。顔と手を除いた体の点の数で比べると、HIROMEIRO が使うモデルの33は、TDPT の24より9点多くなっています。点が多いほど細かく読めるとは限らず、精度は点の数だけでは比べられません。
違いが大きいのは、アバターを表示できるOSです。HIROMEIRO の本体は Windows 専用です。XR Animator は Webブラウザでも動き、Webcam Motion Capture は Mac にも対応しています。センサー式の mocopi はカメラを使わない代わりに、49,500円の機材代がかかります。
公式が示すPCの目安は?
| ソフト | 公式が示す構成 |
|---|---|
| HIROMEIRO | テスト環境=Ryzen 7 5700X、メモリー32GB、GeForce RTX 4060 Ti(16GB)。グラフィックボード付きを推奨 |
| TDPT(Windows 版) | 参考値=高:Core i9、16GB、RTX 4090/中:Core i7、16GB、RTX 2070 Super/低:Core i5、4GB、GPUなし(軽い読み取りの設定のみ動作) |
HIROMEIRO はこれより軽いPCでの動作を書いていません。グラフィックボードの無いPCについて公式に目安があるのは、比べた中では TDPT だけでした。
HIROMEIRO を使う前に気を付けたい点は?
公式が挙げている不具合
取扱説明書には、2026年9月14日時点で確認されている不具合が2つ書かれています。
- Windows 版のトラッキングアプリは、MediaPipe 側の挙動により、表情の値を出せません。別の方法で計算しているため、アバターの表情自体は動くとされています。
- Android 版は、顔が隠れるとトラッキングが止まります。カメラに背中を向ける動きをしたい場合は、別のトラッキング用ソフトウェアを使うよう案内されています。
Python 版は、すべての機能が安定して動いていると書かれています。ただし、コマンドで操作する前提で、カメラの補正(キャリブレーション)も自分で行う必要があります。
自分の姿が配信に映り込まないか
Windows 版のトラッキングアプリには、カメラの映像を画面に出さない「プライバシーモード」があり、初めから有効になっています。映像を確かめるために外した場合は、配信の画面に映り込まないよう十分に注意するよう、取扱説明書が呼びかけています。アバターの配信で素顔が出てしまっては、元も子もありません。
ゲームパッドの入力の注意
本体の操作には、ゲームパッドの利用が推奨されています。視点の移動や、アバターの位置のリセット、設定メニューの開閉がボタンで行えます。
気を付けたいのは、本体の画面を選んでいないときでもゲームパッドの入力を受け付ける点です。ゲーム実況のようにゲームパッドをゲームの操作に使う場合は、設定メニューでゲームパッドを無効にするよう案内されています。
料金と、使ってよい範囲
FAQ によれば、HIROMEIRO は無償です。配信に使って収益を得ることも認められています。禁止されているのは、本体の再配布、他人への誹謗中傷に使うこと、そのほか社会通念上不適切と判断される使い方の3つでした。
本体はオープンソースではありませんが、トラッキング用ソフトウェアと、点を関節の角度に変える部分は Apache-2.0 のライセンスで公開されています。不具合の報告や要望は GitHub の issue で受け付けていて、必ず対応できるとは限らない、と書かれています。
HIROMEIRO を試すかどうか、どう決めるか
ここまで調べた範囲から、向いている人と、注意が要る人を分けてみます。どれも公式の記載とソースをもとにした目安で、当ブログで動作を確かめた結果ではありません。
| こういう人は | 目安 |
|---|---|
| Windows PC と Webカメラがあり、VRM のアバターを全身で動かしてみたい | 候補になる。本体とトラッキングアプリが同じ zip に入っていて、1台のPCで完結する |
| カメラの映像をインターネット上のサーバーへ送りたくない | 候補になる。公開ソースでは、推定はPCの中で行い、結果は指定した送り先へ UDP で送る作り |
| 座ったまま配信したい、部屋に2m×2mの広さが取れない | 上半身だけのモードが用意されている |
| Mac や Linux のPCしか持っていない | 本体が Windows 専用のため、そのままでは使えない。表示用に Windows PC が要る |
| スマホをカメラ代わりにしたい | Android のみ。apk の配布は無く、Android Studio で組み立てる必要がある。Snapdragon 8 系を推奨 |
| グラフィックボードの無いPCで試したい | HIROMEIRO はグラフィックボード付きを推奨。GPUなしの目安を公式に出しているのは TDPT(軽い設定のみ) |
| Mac だけでアバターを表示したい | HIROMEIRO は使えない。同じようなソフトでは XR Animator と Webcam Motion Capture が Mac に対応 |
| カメラに背中を向ける動きが多い | Android 版は顔が隠れると止まると公式に書かれている。Windows 版か Python 版を選ぶ |
最初の一歩としては、Windows PC に Webカメラをつなぎ、同梱された2つのアプリを同じPCで動かす形が、いちばん手数が少なく済みます。送り先は 127.0.0.1 のまま変えずに済みます。まずは上半身だけのモードで、アバターが自分の動きに付いてくるかを見て、広さが取れるなら全身へ進む、という順が手堅そうです。
カメラだけで全身を読み取る方法のほかに、体に付けるトラッカーを使う方法もあります。それぞれの特徴を調べて並べた記事はこちらです。
まとめ〜HIROMEIRO の仕組みと使える環境
HIROMEIRO は、Webカメラやスマホのカメラ1台で、VRM のアバターを全身で動かす無償のソフトです。体の動きは MediaPipe の Holistic Landmarker が読み取り、公開ソースを見る限り、その推定はPCやスマホの中で行われます。アバターを表示する本体は Windows 専用で、動きを読み取るアプリは Windows、Android、Python の3種類から選べます。同じようなカメラ式のソフトと比べると、体の点の数は TDPT の24に対して33で、足まで読み取れる点は XR Animator や TDPT と共通です。
使う前には、全身が写る広さ(おおよそ2m×2m)、カメラの画角と向きの入力、Android 版の組み立てと不具合を確認しておく必要があります。配信での収益化は認められていて、本体の再配布は禁止です。
カメラの映像から体の動きを読み取るAIも、PCやスマホの中で動くようになってきました。当ブログで扱っている文章を書くAIと合わせて見ると、ローカルで動くAIの使い道は思っているより広いのではないでしょうか。
なお、PCに積んだメモリーの大きさ別に、どんなAIのモデルが動くのかを並べた記事はこちらです。
参考にしたサイト
- HIROMEIRO 公式サイト(クシナダ機巧)
- Logicool BRIO 4K(製品ページ・視野角の仕様)
- OBSBOT Tiny 2 Lite(公式ストア・AI追尾の説明)
- Razer Kiyo Pro(製品ページ・視野角の設定)
- HIROMEIRO クイックスタート(取扱説明書)
- トラッキング用ソフトウェアについて(取扱説明書)
- レコーディング用ソフトウェアについて(取扱説明書)
- FAQ(取扱説明書)
- HIROMEIRO 正式版の配布ページ(GitHub)
- mediapipe_transceiver_app:Windows 版トラッキングアプリのソース(GitHub)
- HolisticTransceiver:Android 版トラッキングアプリのソース(GitHub)
- mediapipe_python_transceiver:Python 版トラッキングのソース(GitHub)
- mediapipe_receiver_cpp:点から関節への変換(GitHub)
- PR TIMES:HIROMEIRO 正式リリースの発表
- MoguLive:HIROMEIRO 正式版リリースの記事
- Holistic Landmarker(Google MediaPipe・点の数)
- ThreeDPoseTracker(デジタルスタンダード公式)
- XR Animator(GitHub)
- Webcam Motion Capture(公式)
- mocopi QM-SS1(ソニーストア)