VRChatでフルトラしたい〜ゼロから動くまでの全手順を調べた

2026年6月5日

VRChatのフルボディトラッキング(フルトラ)について、何が必要でいくらかかるのか、無料の方法から本格的な機材構成までをゼロから調べてまとめました。

フルトラは、自分の体の動きをそのままアバターに反映させる技術です。手を振ったら振る、座ったら座る、踊ったら踊る。VRの没入感が別次元になると言われています。ただ、「何を買えばいいのかわからない」と迷う人も多いようです。

調べた結論としては、初めての1台にはHaritoraX 2(39,999円)がおすすめです。本記事では、予算ゼロの無料体験から本格フルトラ環境まで段階的に解説します。

フルトラに必要なものの全体像

REQUIREMENTS
フルトラに必要なもの
VRヘッドセット
Quest 3S等
PC
VR対応スペック
トラッカー / カメラ
体の動きを取る
ソフトウェア
SteamVR + VRChat

すでにVRChatをプレイしている人は①②④を持っているので、③だけ追加すればフルトラできます。

Step 0: 無料で試す(予算0円)

まずはお金をかけずに「フルトラっぽい体験」をする方法から見ていきましょう。

VRChat Selfie Expression(公式機能・無料)

スマホカメラやWebカメラで顔・頭・腕・手のトラッキングができます。

  • できること: 上半身の動きがアバターに反映される
  • できないこと: 脚・足のトラッキング(下半身は動かない)
  • 必要なもの: スマホ or Webカメラ(持っているもので可)
  • 設定: VRChat内のメニューから有効化するだけ

「フルトラ」とは呼べませんが、「体が動く楽しさ」を無料で体験できます。 これで「もっと全身動かしたい」と思ったら、次のステップへ。

MediaPipe VR Fullbody Tracking(OSS・無料)

Webカメラ1台でAI姿勢推定による全身トラッキングを行うオープンソースソフトです。

  • できること: 全身の動きを推定(脚も含む)
  • 品質: 実験的。カメラから見えない部分は精度が落ちる
  • 設定: やや手間がかかる(GitHub からダウンロード→設定)

ユーザー報告を見る限り、品質はIMUトラッカーに大きく劣るようです。それでも「本当にフルトラが欲しいか」を確認するための無料テストとしては有力な選択肢です。

Step 1: 低コストで始める(予算1〜3万円)

Kinect + Driver4VR(約5,000〜8,000円)

中古のMicrosoft Kinect(メルカリ等で3,000〜5,000円)+ Driver4VR(Steamで購入)で、カメラベースのフルトラが可能です。

  • 品質: カメラ方式としてはそこそこ。Kinect v2(Xbox One用)の方が精度が良いとされる
  • 欠点: 設置場所の確保が必要、暗い部屋だと精度が下がる、遅延あり
  • 向いている人: 「お試し」として割り切れる人

PICO Motion Tracker(11,800円/ペア)※PICO HMD専用

PICOヘッドセットを持っているなら最安クラスのフルトラ入門です。足首に2個つけるだけで使えます。

  • 品質: 基本的な脚トラッキングはできる
  • 欠点: PICO専用。Quest等では使えない
  • 向いている人: PICOユーザー限定

Step 2: 本格フルトラ入門(予算4〜6万円)

ここが「ちゃんとしたフルトラ」の入口です。 IMU(慣性センサー)トラッカーを体に装着する方式です。

HaritoraX 2(39,999円)— 最もおすすめ

HaritoraX 2

¥39,999 (2026/5/2時点)

項目 仕様
価格 39,999円(税込)
トラッキング点数 最大9点(肘拡張セット追加で11点)
バッテリー CHEST/HIPセンサー約80時間、LEGセンサー約50時間
重量 約17g/個
ベースステーション 不要
メーカー Shiftall(日本企業)

なぜHaritoraXが最初の一台におすすめか:

  1. 日本語サポートが充実。トラブル時に日本語で問い合わせられる
  2. ドリフト(ずれ)が少ない。地磁気センサーと出荷前の個体別チューニングで補正。ユーザー報告では1時間使ってもほぼズレないとされる
  3. バッテリーが50時間。毎日充電する必要がない
  4. 17g/個の軽さ。長時間つけても疲れにくい
  5. ベースステーション不要。部屋に追加設備がいらない

設定の流れ:

SETUP FLOW
HaritoraX 2 セットアップ手順
1
センサー装着
胸・腰・太もも・すね
2
USBドングル
PCに挿す
3
SteamVR
起動
4
Configurator
接続・キャリブレーション
5
VRChat起動
フルトラ有効!

ユーザー報告によると、初回の設定は30分ほどで、2回目以降はセンサーを着けてPCと接続するだけで5分かからないとされています。

SlimeVR Butterfly(約42,000円/6個セット)— 2026年8月以降出荷予定

オープンソースのIMUトラッカー。新世代Butterflyは厚さ7mm未満、10g以下です。

  • 魅力: 究極の薄さ・軽さ、OSS、48時間バッテリー
  • 注意: 出荷は2026年8月末以降の予定で、まだ手に入らない(クラウドファンディングのため後ろ倒しの可能性あり)
  • 向いている人: OSSが好き、SlimeVRコミュニティに参加したい人
今すぐ始めたいなら HaritoraX 2。 待てるならSlimeVR Butterflyも選択肢に。

Step 3: こだわりのフルトラ(予算5〜10万円)

HaritoraX 2 Pro(53,899円)

HaritoraX 2 Pro

¥53,899 (2026/5/2時点)

HaritoraX 2の上位版。ケーブルレス設計の8センサー構成で、足先用センサーが付属し、バッテリーは約80時間です。

  • センサー性能は無印HaritoraX 2と同じ。違いはケーブルレス設計と足センサーの有無(肘を増やしたい場合は別売りの肘拡張セット13,900円)
  • 足の精度を重視するならPro、コスパ重視なら無印HaritoraX 2

Vive Ultimate Tracker × 3(91,900円/3+1キット)

VIVE Ultimate Tracker 3+1キット

¥91,900 (2026/5/2時点)

光学式(カメラ内蔵)トラッカー。ドリフトしないのが最大のメリットです。

  • IMUと違い、空間を認識するので位置がズレない
  • ベースステーション不要
  • ただし1個94gとやや重く、バッテリーは約7時間
  • 暗い部屋では精度が落ちる
  • 「絶対にドリフトが嫌」という人向け

PCスペックは足りてる?

フルトラ自体にPC負荷はほとんどかからないとされています。VRChat + SteamVRが快適に動くPCなら大丈夫です。

項目 最低 おすすめ
GPU RTX 3060 / RTX 5060 Ti RTX 5070以上
VRAM 8GB 12GB以上
CPU Core i5 / Ryzen 5 Core i7 / Ryzen 7
RAM 16GB 32GB
接続 Wi-Fi 6(Air Link) Wi-Fi 6E以上

VRChat自体が重いゲームなので、フルトラのためにPCを買い替える必要はほぼありません。 すでにVRChatが動いているPCなら、トラッカーを追加するだけです。

フルトラ コスパグラフ

トラッキング品質 vs 価格

このグラフの見方: 横軸が価格(万円)、縦軸がトラッキング品質スコア。左上に近いほどコスパが良い。「無料ゾーン」「入門ゾーン」「本格ゾーン」の3帯域に分かれます。
方式 価格(万円) 品質スコア タイプ
Selfie Expression 0 20 カメラ(上半身のみ)
MediaPipe VR 0 25 カメラ(全身・実験的)
Kinect + Driver4VR 0.8 35 カメラ
PICO Motion Tracker 1.2 45 IMU(PICO限定)
Rebocap 3 50 IMU
HaritoraX 2 4 75 IMU ★コスパ最強
SlimeVR Butterfly 4.2 73 IMU(2026年8月〜)
HaritoraX 2 Pro 5.4 80 IMU
Vive Ultimate x3 9.2 85 光学式(ドリフトなし)

※品質スコアは公開スペックとユーザー報告をもとにした筆者の整理です。算出基準:

  • トラッキング精度: 40%
  • ドリフトの少なさ: 25%
  • 対応ポイント数: 20%
  • セットアップの手軽さ: 15%

グラフから読み取れること

  1. 無料→有料の壁が大きい。0円のカメラ方式と4万円のIMUトラッカーの間に品質の大きな差がある
  2. HaritoraX 2(4万円)がコスパの頂点。価格あたりの品質が最も高い
  3. 4万円〜9万円の間では品質差が小さい。HaritoraX 2 → 2 Pro → Vive Ultimateと上がるが、追加投資に対する品質向上は緩やか
  4. カメラ方式は「無料でお試し」に最適だが、品質で有料トラッカーに追いつくにはまだ時間がかかる

おすすめの選び方

ケース1: まだVRChat始めたばかり。フルトラって何?

→ まず Selfie Expression(無料)で体験

フルトラのためにいきなり4万円出す前に、無料で「体が動く楽しさ」を試すのがおすすめです。上半身だけでも印象は大きく変わるはずです。

ケース2: VRChatにハマった。ちゃんとフルトラしたい

→ HaritoraX 2(39,999円)

初めてのフルトラの有力候補です。日本語サポート、ドリフトの少なさ、バッテリー持ちと、全体のバランスの良さが評価されています。

ケース3: ダンスや撮影に使いたい。精度重視

→ HaritoraX 2 Pro(53,899円)or Vive Ultimate Tracker(91,900円)

ダンスは細かい足の動きが重要なのでPro推奨。長時間の撮影でドリフトが気になるならVive Ultimateの光学式が安心です。

ケース4: お金はないけど全身動かしたい

→ Kinect(中古3,000円)+ Driver4VR

品質は妥協が必要ですが、1万円未満で「全身が動く」体験はできます。ハマったらトラッカーへのアップグレードを検討しましょう。

ケース5: PICOヘッドセットを持っている

→ PICO Motion Tracker(11,800円/ペア)

PICO限定ですが、足首に2個つけるだけの手軽さが魅力。低予算フルトラの入口です。

予算別まとめ

予算 方法 フルトラ品質 おすすめ度
0円 Selfie Expression(上半身のみ) まず試す
0円 MediaPipe VR(OSS) お試し
5,000〜8,000円 Kinect + Driver4VR △〜○ 安さ重視
12,000円 PICO Motion Tracker ○(PICO限定) PICOユーザー
40,000円 HaritoraX 2 最もおすすめ
42,000円 SlimeVR Butterfly ◎(2026年8月〜) OSS派
54,000円 HaritoraX 2 Pro こだわり派
92,000円 Vive Ultimate Tracker ×3 ◎(ドリフトなし) 精度最優先

フルトラの「仕組み」を理解する

IK(逆運動学)は「手の位置が決まったら肘と肩の角度を自動計算する」技術です。ポイントが増えるほど「推測する関節」が減ります。

トラッキングポイント数とアバターの動き

構成ポイント数IKの挙動
HMD + コントローラー3点腰・脚は完全推測。歩くと足が滑る
+ 腰トラッカー4点座るポーズが可能に
★ + 足トラッカー2つ6点(基本フルトラ)脚の動きが反映。歩く・座る・踊るが自然に
+ 膝トラッカー2つ8点正座やあぐらの精度が向上
+ 肘トラッカー2つ10点腕を後ろに回す動作が自然に
+ 胸トラッカー11点体幹のひねりが反映

3点→6点の変化が最も劇的で、「フルトラ」と呼ばれる所以です。

よくある質問

Q. Quest 3S単体でフルトラできますか?
→ Quest 3Sの内蔵ボディトラッキング(IOBT)は上半身のみ。脚は動きません。フルトラにはトラッカーの追加が必要です。

Q. フルトラとフェイトラ(表情)は同時にできますか?
→ できます。フルトラ(体)+ フェイトラ(顔)は別系統なので、両方を同時に使えます。フェイトラの選択肢については別記事で解説しています。

Q. IMUトラッカーの「ドリフト」って何ですか?
→ 慣性センサーの誤差が蓄積して、トラッカーの向きが実際とズレていく現象。HaritoraX 2は地磁気補正でかなり抑えているとされていますが、数時間の連続使用ではリセット(キャリブレーション)が必要になることがあるようです。

Q. 寝転がったり、逆立ちしたりもできますか?
→ IMUトラッカーは可能です(重力方向を基準にしているため、激しい動きにも追従)。Vive Ultimate Trackerも対応。カメラ方式は寝転がると見失いやすいとされています。

フルトラの先にあるもの

フルトラを始めると、VRの体験が根本的に変わると言われています。

  • VRChatでの存在感が増す。座る、手を振る、ダンスする——全身で表現できる
  • VRフィットネスがより正確になる。全身の動きがトラッキングされるので運動量も計測しやすい
  • モーションキャプチャとして使える。VTuber活動やアニメーション制作にも
  • VR空間での協調作業。ジェスチャーやボディランゲージが伝わる

「仮想世界で自分の体がそのまま動く」体験は、一度味わうと戻れない——多くのユーザーがそう語っています。

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