ゴーグルを被ったままアバターの表情を動かしたい〜フェイトラは何を買えばいいのか調べた
以前、VRの身体トラッキング(フルトラ)について調べた記事を書きました。そのとき自分の中に残った疑問がひとつあります。体は動くようになったとして、顔はどうするのだろう、という点です。
アバターの表情が動くと、会話の印象がずいぶん変わるようです。口が動く、目線が合う。それだけで「そこに人がいる」感じが出る、という話をよく見かけます。いわゆるフェイトラ(フェイストラッキング=顔の動きを読み取る仕組み)です。
ところが調べ始めて、すぐに手が止まりました。選択肢によって値段が10倍以上違うのです。1万円台のものから、16万円近いものまであります。しかも、そもそも仕組みが3種類に分かれていました。
結局、何を買えばよいのでしょうか。値段の安い順に整理してみます。
2026年7月時点で調べた内容です。実機は持っていません。公開されている情報を整理したものとしてお読みください。価格と発売状況は変わりますので、購入前に各販売ページでご確認ください。
ひとつ、先に道を分けておきます。調べていて、顔を読み取る方法は大きく2つに分かれると分かりました。どちらを選ぶかは予算より先に決まります。
ゴーグルに小さなカメラを付け、至近距離から口元や目を見る方式。
3,000円の自作から、16万円の一体型まで。
手持ちのiPhoneやWebカメラで、外から顔を撮る方式。
無料から始められます。ただしゴーグルを被ると顔が隠れるため使えません。
身体のほうを先に知りたい方は、こちらに書いています。
なぜ、こんなに選びにくいのか
理由は単純でした。顔を読み取る方法が、そもそも3種類あるからです。同じ「フェイトラ」という言葉で語られていますが、買うものも値段も、必要な手間も違います。
手間はいちばん少ない。
ただし本体ごとの買い替え
本体はそのまま。
対応する機種かどうかを要確認
いちばん安いが、手間はいちばん多い
① ゴーグルに最初から入っているもの
いちばん確実で、いちばん高い道です。
Meta Quest Pro:完成度は高いが、もう作られていない
目の動きと口の動きを両方読み取れる機種です。価格は159,500円とされていましたが、すでに生産が終了しています。中古を探す形です。
「顔を動かすためだけに買う」には値段が張りますし、これから新品で手に入れるのは難しい状況です。いま新しく選ぶ道としては、現実的ではなさそうです。
VIVE Focus Vision:目は入っているが、口は別売り
視線の読み取りは本体に入っています。ただし口元は別売りの機器(14,900円)が要ります。両方欲しい場合は、本体代に足して考える必要があります。
VIVE Facial Tracker:Amazon楽天Yahoo!② 手持ちのゴーグルに、後から付ける
調べていて、いまいちばん動きがあると感じたのがここでした。ゴーグルを買い替えず、いま持っているものにカメラを足すという考え方です。
Quest 3 のように顔に当たる部分(フェイスクッション)が外せる機種だと、そこへ小さなカメラを取り付ける形です。
PaperTracker:1万円台前半という価格
中国製の赤外線カメラの部品で、Quest 3 の顔に当たる部分に取り付けます。価格は600〜700元(およそ13,000〜15,000円)という情報が出ています。
安さの理由は、ソフトウェアに無料のものを使うところにあります。後述する Project Babble と EyeTrackVR という、公開されている無料のソフトです。ハードだけを売る形なので安く済む、という構図のようです。
ただし国内の販売店を通さない買い方が中心で、専用の販売ページも準備中とされています。届くまでの日数や、壊れたときの対応は、国内で買う製品とは違う前提で考えたほうがよさそうです。
FocusRay:国内向けだが、まだ発売前
後付けの製品として、FocusRay Extension が17,700円(税込)で2026年10月17日の発売予定、セット構成の FocusRay Plus が27,500円(税込)とされています。
まだ発売されていません。急がないのであれば、これを待ってから決めるという判断もありそうです。
取り付ける土台になるゴーグルは、この2機種が中心です。
③ 自分で作る道は、実はこのブログの話につながっていた
ここが、調べていていちばん面白かったところです。
自作の場合、赤外線のカメラと赤外線のLEDを配線し、3Dプリンターで作った台に取り付けます。部品代はおよそ3,000円からという情報がありました。ソフトは無料です。
使うソフトが Project Babble(口元)と EyeTrackVR(視線)です。どちらも中身が公開されている無料のソフトで、後付け製品のほとんどが、この2つを土台にしています。
そして、ここが本題です。これらのソフトは、カメラが撮った映像をパソコン側で処理して「いまどんな表情か」を推定しています。つまり機械学習の推論を、自分のパソコンで走らせているということです。
「AIを手元で動かして何が嬉しいのか」という問いへの、分かりやすい答えのひとつだと感じました。遅れが許されない用途なので、そもそも外に送る選択肢がありません。
ただし、手間は相応にかかります。配線をして、台を印刷して、位置を合わせて、ソフトの設定を詰める。作ること自体を楽しめる方向けの道だと思います。
台を自分で印刷するなら、3Dプリンターが要ります。当ブログでも使っているものです。
部品は、このあたりを探す形です。
赤外線カメラモジュール:Amazon楽天Yahoo! 赤外線LED:Amazon楽天Yahoo!予算で見ると、どうなるのか
ここまでを値段の順に並べ直します。ゴーグル本体の代金は含めていません。
| 予算のめやす | 選択肢 | 手間 | いまの状況 |
|---|---|---|---|
| 3,000円〜 | 自作(Project Babble / EyeTrackVR) | 多い | いつでも作れる |
| 13,000〜15,000円 | PaperTracker | 少ない | 海外から取り寄せ |
| 14,900円 | VIVE Facial Tracker(口元のみ) | 少ない | 対応機種が限られる |
| 17,700円〜 | FocusRay Extension | 少ない | 2026年10月発売予定 |
| 159,500円 | Meta Quest Pro(本体ごと) | いちばん少ない | 生産終了 |
並べてみて分かったのは、「一番高いものが、いま一番買いにくい」という状況です。完成度の高い Quest Pro は生産が終わり、国内向けの後付け製品はまだ発売前。いますぐ確実に手に入るのは、自作か、海外から取り寄せる道でした。
買う前に確かめておきたいこと
- 自分のゴーグルに付くか。後付けは相手の形に合わせて作られています
- 目と口のどちらなのか。両方に対応しているとは限りません。VIVEのものは口元だけです
- パソコンが要るか。後付けと自作は、パソコン側で処理を走らせます。ゴーグル単体では完結しません
- いつ手に入るか。生産終了のものと、発売前のものが混ざっています
- アバターが対応しているか。表情を動かすには、アバター側にもその作りが要ります
まとめ:急がないなら、秋まで待つ手もある
- 顔を読み取る方法は3種類。ゴーグル内蔵・後付け・自作で、値段が10倍以上違う
- 完成度が高い Meta Quest Pro は生産終了。これから新品で選ぶ道としては現実的でない
- 国内向けの後付け製品(FocusRay)は2026年10月の発売予定。急がないなら待つ判断もある
- いますぐなら、自作(3,000円〜)か、海外から取り寄せる PaperTracker(13,000円〜)
- 後付けと自作は、いずれもパソコン側で表情を推定する仕組み。手元のPCで機械学習を走らせ続ける形になる
調べる前は「顔を動かすには高い機械が要る」と思っていました。実際には、いちばん安い道が、このブログでいつも扱っている「手元でAIを動かす」話とそのまま重なっていたのが意外でした。
手を動かすのが好きな方には、自作は面白い題材だと思います。機会があれば、実際に組んだところを書いてみたいところです。
記事で触れた機材
後付けの土台になるゴーグルです。
後付けの機器を取り付ける際、顔に当たる部分を交換することがあります。
自作で台を印刷する場合の3Dプリンターです。
身体のほうのトラッカーは、こちらで扱っています。
参考にしたサイト
確認日 2026年7月31日。価格・発売状況・入手経路は変わります。購入前に各販売ページでご確認ください。






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