Oculus Quest でPC用VRアプリが公式に動くようになるらしい Oculus Link

2019年9月26日

2019/9/25に開催されたOculus Connect6にて、Oculus Questのアップデートの発表が何件かあったようですので、まとめます。

Oculus Connect 6とは

Oculusの年次開発者会議です。

開催日2019/9/25~26
場所カリフォルニア州サンノゼ

VR開発者向けのカンファレンスですが今年は初めてARについても語られているようです。

Oculus Questについて発表された項目

実施時期

2019年11月ベータ版実装予定

高性能PCとUSB3ケーブルで接続して、PC用HMDとして使用できるようになります。

PCは、VR readyの物であれば良いいとのことですので、DPポートがネックとなってOculus Rift Sを諦めていた方には朗報と言えるでしょう。

ケーブルは、USB3であればよく、PC側はUSB type-cである必要はありません。PCからOculus Questへの給電も考えると、ケーブルを選びそうです。

純正の高速光ファイバーケーブルも発売されるようですので、こちらを購入した方が無難でしょう。

現状USB3.0の規格が3mまでなので、市販されているケーブルは3mまでです。バーチャル空間を動きたいなら、純正ケーブルが無難な気がします。

ハンドトラッキング

実施時期

2020年の早い時期

Oculus Questの本体のカメラを使って、使用者の手を10本の指全部の動きをトラッキングしてしまおうという物です。手の動き自身をトラッキングできるので、表現の幅がグッと広がるはずです。

手がものに触れた感覚はないはずなので、どちらかというとクリエイト系や、VRチャット系で重宝する技術なのではないでしょうか。手が完全にトレースされるとなると、感情表現が格段に向上するでしょう。

パススルー+

実施時期

2019/9/30の週

現在Oculus Rift Sには実装されているパススルー+がOculus Questにも実装されます。

Oculusボタンを押すことによって、周囲の様子が見えるような機能の追加の他にも、カメラの映像の歪みの補正も行われているようです。

Oculus Goのようなモードの追加

実施時期

2019/9/30の週(?)

Oculus Questは、暗い部屋ではトラッキングが出来ずに使用することが出来ませんでしたが、今後のアップデートで、トラッキング自体を止めてしまう、Oclus Goのような挙動のモードが追加されます。

映画や2Dの動画の視聴と言った、移動を必要としない使用時に重宝しそうです。

トラッキングがOFFになることで、ガーディアンもOFFになるようです。テーブルやら棚にぶつかる心配はあるかもしれませんが、ちょっとした背伸びでガーディアンの檻が見えるのが無くなると考えると、使い勝手が良くなりそうです。

この項目について、時期が明記されていませんが、パススルー+と同一項目にて書かれていますので、早期に実装されるのではないでしょうか。

Oculus GoのアプリがOculus Questに対応

実施時期

2019/9/30の週~年末にかけて

50以上のOculus GoのアプリがOculus Questで使えるようになります。

また、2019/9/25までにOculus Go用のアプリを購入している場合、無料でOculus Quest版にアップグレードできます

対応タイトルについては下記にまとめましたので、ご参考までに。

実施時期まとめ

2019/9/30の週パススルー+の実装
2019/9/30の週(?)Oculus Goのようなモードの追加
2019/9/30の週~年末Oculus GoのアプリがOculus Questに対応
2019/11Oculus Linkのベータ版実装
2020年の早い時期ハンドトラキングの実装

Oculus Rift Sは不要になるのか?

Oculus Storeでの売り上げが1億ドルを超え、そのうちの20%がOculus Questで費やされたとしています。

また、2019/9/12~15の東京ゲームショウ2019のセッションでも、Oculusコンテンツエコシステム ディレクターのクリス・プルエット氏の講演では、RiftシリーズやGear VRやGo等の市場調査の結果からOculus Questを開発したという経緯を語っています。

これらを踏まえると、売れ筋のデバイスであるOculus Questで使用できるコンテンツを増やすというのは、尤もな話です。Oculus Linkの登場も頷けます。

ただし、こうなるとOculus Rift Sの存在意義はどうなってしまうのでしょうか。

以下に、Oculus QuestとOculus Rift Sの主だった違いを表にしました。

 Oculus Rift SOculus Quest
ディスプレイ液晶有機EL
ピクセル配列RGBストライプ方式RGBペンタイル方式
解像度(片目)
(ディスプレイ数)
1280 x 1440
(2560 x 1440 1枚)
1600 x 1440
(1600 x 1440 2枚)
実行解像度(片目)1280×14401306×1175
リフレッシュレート80Hz72Hz
視野角115度100度
IPD調整ソフトウェアダイヤル式
トラッキング6DoF6DoF
トラッキング用カメラ数5台4台

2台を比べてみると、Oculus Rift Sの方が、ディスプレイとして優秀ですし、トラッキング性能も高いです。個人的な使用感としても、Oculus Rift Sの方が画質が綺麗です。

また、Oculus Questの強みはワイヤレスである点だと思っていますが、Oculus Linkによって、ワイヤー接続されてしまうと、せっかくの強みを生かせません。

同じワイヤー接続であれば、Oculus Rift Sの方が断然綺麗ですし、コントローラーのトラッキングも優秀です。

また、パススルー+がOculus Rift Sに先行して導入されたように、先駆的な技術はOculus Rift Sから、という風になるのではないでしょう。

Oculus Linkの出来次第ではありますが、暫くはOculus Rift Sが完全にOculus Questに食われてしまうということは無いように思います。

まとめ

今回のOC6(Oculus Connect 6)での発表は、Oculus Go用のアプリのOculus Quest対応や、Oculus LinkでのPC用アプリへの対応と言った、Oculus Questの使用用途の飛躍的な拡大が話題となっています。

Oculus Plusの発表は、Oculus QuestとOculus Rift Sで迷っている人にとっては、Oculus Quest購入への後押しになるでしょう。

スペック上は、Oculus Quest+Oculus LinkはOculus Rift Sに及びませんが、「Oculus Quest1台で事足りる」という事は、たった\49,800で購入できるOculus Questのコストパフォーマンスを実質大きく上げるでしょう。

現在でも品薄なOculus Questですが、普及がさらに進むと考えられます。

また、ハンドトラッキングやソーシャルVRワールド「Facebook Horizon」と言ったVRを使ったコミュニケーション手段の拡大も発表されています。

FaceBookの狙いは、これらの勢いに乗って、Oculus StoreをVR界にとってのAppStoreのような自社製品での巨大エコシステムに成長させることにあるのではないでしょうか。そう考えると、先進的なVR技術を根幹として、市場をうまく誘導・浸透させつつあり、スマートフォンの普及初期のような市場の熱狂があるように感じます。