Vuze XRでスマホ用ジンバル「Snoppa Atom」を使う 2
先日、スマートフォン用ジンバル「Snoppa Atom」を購入しています。この「Snoppa Atom」は最大搭載重量310gと、スマートフォン用ジンバルとしては飛び抜けて大きいため、212gのVuze XRでも使えるのでは無いかと、模索致しましたのでまとめます。
前回の試みと今回の目標
以前の記事にて、1度目の固定治具を作った件を書きました。
結果は、
- 一応はバランスは取ってくれる物の、10分くらいで停止する。
- 停止時には、チルトのモーターが発熱している。
という形となりました。
今回の試みでは、下記の2点を目標とします。
- 重量の低減
- チルトのバランスを取る
準備した物
今回は、加工が簡単なアクリル板を使用しました。厚さ2mmの物です。
重りとしては、重心の位置を調整できるように、ボルトを使います。今回はM10の45mmのボルトを使いました。重さは36gです。
固定治具の思想
重心合わせ
3つの軸の負荷について
Snoppa Atomは電動3軸ジンバルです。下記の絵の様に、3つの軸をカメラに揺れを伝えないように、モーターで制御することによって、揺れのない映像が撮れる台、と言ったものです。
Snoppa Atomで言うと、3つのモーターは下の絵の様に配置されています。
カメラ用の大型のジンバルでは、それぞれの軸に対して、重心が調整できるような機構が付いていますが、スマートフォン用ジンバルにはありません。
ロールは例外で、カメラ(スマートフォン)の取り付け位置を調整して上げれば、バランスが取れます。
Snoppa Atomの基本的な使い方は、ジンバルを垂直に持つことが想定されているようですので、パンのモーターにも負荷はあまりかかりません。
薄い板状のスマートフォンを想定した作りのジンバルに対して、厚みの大きいカメラを付けるわけですから、特にチルト用のモーターに負荷がかかります。
チルトのバランスを考える
最大搭載重量310gに対して、Vuze XRは212g。残り100g弱で固定具を作ることになります。
今回準備した重り、36gのボルトでチルトのバランスが取れるのでしょうか。
これは、テコの原理を考えて上げれば何とかなりそうです。
レンズを開いた状態でのVuze XRの重心は何処でしょうか。まぁ、ザックリと後ろから20mmくらいの位置にありそうな気がします。となると、単純計算で、
212g / 36g × 20mm ≒ 120mm
大まかに重心位置から120㎜程度離した位置に、おもりが来るようにすれば良さそうです。
アクリル板の加工
大きさに目星をつけてアクリル用ホットカッターで形を切り抜きました。
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次に、形を整えるにあたって、アクリルを曲げていきます。アクリルの融点は約160度ですので、この温度より若干低い温度まで温めてあげれば曲げれます。約80度くらいから柔らかくなりはじめますので、150度くらいのオーブンで5分くらい温めてあげるとフニャフニャに曲げれます。
後は、ドリルでおもり用の穴と、1/4″ネジ用の穴をあけました。
完成品
完成したのが下の写真です。
見栄えはあまり良くありませんが、一応バランスが取れました。
下の写真では、電源は入れていないのですが、チルトとロールのバランスが取れています。
やはり、おもりの重心は大体120mmくらいのところに来ています。
真横から見るとこんな感じです。なお、重り側の重さを重くしたくなかったので、アクリル板にタップを切って(ネジ穴をつけて)ボルトの代わりにして固定しました。
また、今回試行錯誤したことで分かったこととして、重りの位置は、ロールの中心よりも下寄りの方が安定するようです。Vuze XRのレンズ部分が重たいので、その対称軸上にある方が安定するのでしょう。
最後に、Vuze XRのUSBのフタが垂れていると、パンが回転した時に巻き込んでバランスが崩れることがありました。ここは、もう少しかっこ良く改造したいところです。
重量
今回の固定治具の重量は、
- アクリル治具:33g
- 重り:36g
- Vuze XR:213g (SDカード込み)
- 充電ケーブル:6g (Snoppa Atom付属ケーブル)
でしたので、
33g + 36g + 213g + 6g = 288g
と、前回の305gと比べて、かなりの軽量化が出来ました。
動画撮影で検証
この状態で撮影した動画が下記の記事で書いたものです。
ジンバルとしては十分機能してくれていますし、連続1時間以上安定して動いていました。
チルト部分のモーターの発熱も無しです。
十分ジンバルとして使用できます。もちろん、Snoppa AtomからVuze XRを充電しながら撮影も出来ます。
まとめ
前回の反省を生かして、Vuze XR用のスマートフォン用3軸ジンバル「Snoppa Atom」の固定治具を作ってみました。
結果、十分実用的な固定治具を作ることが出来ました。
なお、今回の分かったこととしては、下記の三点です。
- 電源OFF時でもチルトのバランスが取れれば、モーターの負荷がかからない
- チルトバランス用の重りはロールの中心よりも下側で安定する
- Vuze XRのUSBのフタを垂れないようにする必要あり
これでVuze XRでも手軽にぶれない動画を撮ることが出来るようになりました。上記の動画はVuze XRで録音した音をそのまま使っています。Vuze XRのマイクはInsta360 EVOと比べると、かなりマシに感じます。