データはどこに置ける?〜クラウド・NAS・HDDの選択肢を値段から考える

2026年9月9日

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そもそも、データはどこに置けるのか

置き場所を考え直すにあたって、まずどんな置き場所があるのかを並べてみました。大きく4つです。

置き場所どういうものか使えるのは
パソコンの中本体に入れるそのパソコンだけ
外付けUSBでつなぐつないだパソコンだけ
家の中の別の機械ほかのパソコンの共有フォルダ、または置き場所専用の機械家の中のどれからでも
クラウド会社が用意した、外にある置き場所どこからでも(外出先も)
「どこに置くか」と「何に置くか」は別の話です
ここが混ざりやすいところです。

上の4つは「どこに置くか」。それとは別に「何に置くか」があり、こちらはSSDかHDDかの2つです。

そして、どの置き場所にも SSD と HDD のどちらも入れられます。パソコンの中にも、外付けにも、家の中の別の機械にも。クラウドだけはSSDかHDDかを選べませんが、その違いは料金の形で表れます。

つまり置き場所を変えなくても、中身をHDDに替えるだけで安くできるかもしれない、ということです。

いま埋まりかけているのは1つ目のSSDです。

クラウドは良い選択肢〜ただし容量が増えると重くなる

先に書いておくと、クラウドは良い選択肢です。

クラウドの良いところ引っかかるところ
機械を持たなくていい。壊れたときの交換も、置き場所も要りません毎月お金がかかり続けます
信頼性が高い。会社が複数の場所に控えを持っていて、こちらは何もしなくていい使う量が増えるほど、月額が上がります
どこからでも使えます。外出先からも解約すると、期限までに全部引き上げる必要があります

実際にいくらかかるのか、代表的な2つを調べました。

サービス容量月額1年で
Microsoft 365 Basic100GB260円3,120円
Google One100GB290円3,480円
Google One2TB1,450円17,400円
Google One5TB2,900円34,800円

2026年8月19日に各社の公式ページで確認した、日本の個人向け料金です。

100GBから上は、段が飛びます
100GBは月290円。ところがその上は2TBで月1,450円と、5倍に跳ね上がります。あいだの「1TBだけ欲しい」という段がありません。

2TBを3年続けると52,200円です。同じくらいのお金で、HDDを積んだ機械が買えます。

データが数百GBで収まっているなら、クラウドのほうが手間がなくて良い選択です。機械を置く場所も、壊れたときの交換も要りません。重くなってくるのは、1TBを超えたあたりからです。

では、自分で持つといくらか〜2ベイのNASで比べる

クラウドと比べるには、買う側の値段も要ります。いちばん小さい構成で調べました。

NASの売られ方は2種類あります。HDDが最初から入っている完成品と、本体だけを買ってHDDは別に用意するものです。買ってすぐ使えて安く済むのは前者です。

買い方だいたいの値段備考
HDD込みの完成品
(バッファロー・アイオーデータなど)
5万円前後から
2ベイ・2TB×2=4TB搭載
買ってつなぐだけ。いちばん手軽
箱だけ買う
(Synology・UGREEN・TerraMasterなど)
3万円台〜5万円台
+HDD代が別
好きなHDDを選べる。あとで容量を増やしやすい

2026年8月20日にAmazonで調べた実売価格です。販売店や時期で変わります。

「4TBのNAS」で、実際に使えるのは2TBです
比べる前に、ここを揃えておきます。

さきほど書いたとおり、HDDが1台壊れても続けられるように、HDD 1台ぶんを予備に回します。店頭で「2ベイ・4TB」と書かれているものは2TBのHDDが2台という意味で、予備を取ると使えるのは2TBです。

予備を取らずに4TB全部を使うこともできますが、その場合はHDDが1台壊れると全部消えます。安く大容量にするためにHDDを選んでいるので、ここは予備を取る前提で見ます。
使える容量を2TBに揃えて比べる
クラウド
Google One 2TB
NAS
2TB×2・使えるのは2TB
最初に0円43,362円
毎月1,450円電気代のみ
1年で17,400円43,362円
2年で34,800円43,362円
3年で52,200円43,362円
2年半ほどで並びます。

★2年目まではクラウドのほうが安いです。1〜2年で乗り換えるかもしれないなら、クラウドのほうが損をしません。

★3年は使うつもりなら、NASも選択肢に入れてよい、というくらいの差です。

★5年10年と伸ばせばNASが有利に見えますが、HDDがそれだけもつとは限りません。回っている部品なので、いつかは替える日が来ます。だからここは3年までにしています。

HDDが最初から入っている完成品。上の表で比べたのがこの形です。2TBのHDDが2台で、予備を取ると使えるのは2TBです。

バッファロー LinkStation LS220D0402G(2ベイ・2TB×2・RAID1対応)

¥54,400 Amazon(API取得)・2026-10-23 04:30調べ

箱だけ買って、HDDは別に用意する形。HDDを自分で選べるぶん、あとから容量を増やしやすくなります。

UGREEN NASync DXP2800(2ベイ・HDD別売)

¥59,290 Amazon(API取得)・2026-10-23 04:30調べ

容量が増えるほど、早く並ぶ

ここで買い方の違いが効いてきます。クラウドは容量に比例して月額が上がりますが、NASは本体の値段が変わらず、HDDの代金だけが増えます。

ひとつ上の8TBのモデル(4TBのHDDが2台。予備を取ると使えるのは4TB)で比べます。

使いたい容量クラウド(1年)NAS(買い切り)並ぶまで
2TB17,400円
Google One 2TB
43,362円
2TB×2
2年9か月
4TB34,800円
Google One 5TB
60,280円
4TB×2
1年9か月

2026年8月19日に確認した価格です。クラウドは2TBの次が5TBで、あいだの段がありません。

動画や写真を多く持つ人ほど、NASが向く
2TBなら2年9か月、4TBなら1年9か月で並びます。8TB、16TBと増えれば、もっと短くなります。

そもそも個人向けのクラウドは、上の段が用意されていません。Google One は5TBが最上位で、それ以上は同じ契約を重ねる形です。

★動画を撮る、写真をたくさん残す、大きなデータを扱う。そういう使い方をしているなら、NASのほうが安く済むという強みが出ます。逆にデータが数百GBで収まっているなら、クラウドのほうが手間がかかりません。

HDDが何台入る機械を選ぶか〜場所が許すなら4台入るものを

ここまで2ベイ(HDDが2台入る)で書いてきましたが、HDDが何台入る機械を選ぶかで、使える容量の割合が変わります。

入るHDDの台数予備の取り方4TBのHDDを入れると使える割合
HDD 2台HDD 1台を丸ごと予備に8TB搭載 → 4TB使える50%
HDD 4台HDD 1台ぶんを予備に16TB搭載 → 12TB使える75%

HDDが2台しか入らない機械では、予備を取ると必ず半分です。ところがHDDが4台入る機械なら、予備に回すのはHDD 1台ぶんで済みます。台数が増えるほど、予備に取られる割合は小さくなります。

置く場所が許すなら、HDDが4台入る機械を勧めます
HDDが4台入る機械なら、1台ぶんだけ予備に回して残りを使う組み方が選べます。容量と、壊れたときの強さが、そこそこ両立します。

速くはなりません。この記事で見たとおり、先に頭打ちしているのは回線のほうです。あくまで容量と安心の話です。

ただしこれで安心しきってはいけません。

HDD 1台ぶんの予備では、データを守りきれない場面が2つあります
ひとつ目は、HDDが2台つづけて壊れたときです。HDD 1台ぶんを予備に回す組み方は、HDDが1台壊れるまでしか耐えられません。壊れたHDDを入れ替えているあいだに、もう1台のHDDが壊れると、NASの中のデータは全部失われます。

ふたつ目は、NASという機械そのものが駄目になったときです。この予備がデータを守れるのは「HDDが壊れたとき」だけです。NASの本体が故障したり、置いてある部屋で水漏れや火事があったりすれば、中のHDDが何台無事でもデータは取り出せません。

全部を同じ強さで守る必要はありません。失っても構わないデータと、絶対に失えないデータを分けて、失えないほうだけ守りを厚くする。この分け方が、いちばん現実的だと思います。

4台入る機械の例です。2ベイより高くなりますが、HDD 1台ぶんを予備に回しても、残りの3台ぶんが使えます。

UGREEN NASync DXP4800 Plus(4ベイ・HDD別売)

¥89,157 Amazon(API取得)・2026-10-23 04:30調べ

絶対に失えないものは、NAS 2台に同じものを置く

手元でやっているのはこれです。大切なデータは、2台のNASの両方に同じものを置いています。

守る層が違います
NAS 1台の中で予備を取る★HDDが壊れたときに守れる
NAS 2台に同じものを置く★NASごと駄目になったときに守れる
この2つは置き換えではなく、重ねるものです。NAS 1台の中でいくら予備を厚くしても、その機械ごと駄目になれば終わりです。

手元では、普段使いのNASと、長期保存用のNASの2台があります。撮り直せない写真や動画は、その両方に置いています。

同じデータを2台のNASに置くので、使える容量はそのぶん減ります。だから両方に置くのは失えないデータだけです。それ以外のデータは、どちらか片方のNASにしか置いていません。

※組み方の詳しい話(何台でどう組むか、入れ替え中がなぜ危ないか)は、次の記事で書きます。

引き換えになるもの
NASは電気代がかかり続けますし、壊れたら自分で直します。クラウドはそこを会社に任せられます。

それでも「自分で持てる」のがNASの利点です。5万円ほど出せば、月々の支払いから離れられます。

ちなみに手元の59TBを同じように預けるとどうなるか。5TBのプランを12契約ぶんと考えると、月34,800円、年417,600円。使う量が増えるほど、この差は開いていきます。

逆に言えば、数百GBで収まっているならクラウドで十分です。この記事はそれを超えてしまった場合の話です。

そこで「中身をHDDに替える」を考えます。次は、HDDを入れられる場所を見ていきます。

SSDとHDDは何が違うのか〜なぜHDDが残っているのか

「中身を替える」前に、SSDとHDDの違いを並べておきます。この2つは、記録のしかたがまったく違います。

HDDは、円盤を回して針で読み書きします。レコードプレーヤーに近い作りです。SSDは動く部品がなく、電気だけで記憶します。

SSDHDD
速さ速い(本体内なら数千MB/s)遅い(HDD 1台で150〜250MB/s程度)
動く部品ないある(円盤が回っている)
振動・衝撃強い弱い。動作中にぶつけると壊れやすい
音しない回転音とカリカリ音がする
大きさ・重さ小さい・軽い(カードくらいのものも)大きい・重い(大容量は3.5インチ)
電気少ない多い(回し続ける)
寿命の減り方書き込んだ量で減る回っている時間で減る
容量あたりの値段高い安い

並べると、速さ・静かさ・丈夫さ・軽さ、どれもSSDが勝っています。パソコンの中身がSSDに置き換わったのは当然の流れでした。

それでもHDDが残っているのは、値段と容量のため

HDDが勝っているのは、この2点だけ
① 同じ容量なら、はるかに安い
とくに大容量ほど差が開きます。手元のNASには16TBのHDDを6台入れていますが、同じ容量をSSDで揃えるのは、いまの値段では考えられません。

② 1台で入る容量が大きい
20TBを超えるHDDが普通に売られています。SSDで同じ容量は、あっても値段が桁違いです。

手元でHDDを使い続けている理由も、この単価の安さです。それ以外はSSDのほうが良いと分かっていても、59TBを揃えるとなると値段の差が効いてきます。

HDDは壊れやすい〜それを台数で補う

とはいえ、円盤が回っている以上、HDDは1台で見れば壊れやすいものです。安いHDDに大事なデータを預けて大丈夫なのか。ここが引っかかるところだと思います。

そこでHDDを複数台まとめて、そのうち1台が壊れても中身が残る組み方にします。手元では16TBのHDDを6台入れて、うちHDD 1台ぶんを予備に回しています。HDDが1台壊れても、入れ替えれば元に戻ります。

※この組み方の詳しい話(何台でどう組むか、どこが危ないか)は、次の記事で書きます。

安いHDDでも、まとめれば選択肢になる
単価が安いから大容量を揃えられる。HDDは1台では壊れやすいけれど、まとめて組めば1台壊れても続けられる。

そうするとHDDに残る弱点は、速さだけです。

では、あまり書き換えないもの——写真や動画、たまに見返せばいいもの——なら、その速さは要るのでしょうか。

この「増え続けるが消せない」という状態が、置き場所専用の機械を使ってみようと思ったきっかけでした。この読み出しの速さを確かめるために測りました。

HDDを置ける場所は、3つに分かれる

先ほどの置き場所のうち、HDDを入れられるのは手元にある3つです。クラウドは中身を選べないので外れます。

HDDの置き場所は3つ
パソコンの中に入れる
いちばん安い。ただしデスクトップでないと入りません。台数にも限りがあります
USBでつなぐ「ケース」に入れる
HDDを差し込む外付けの入れ物です。複数台まとめて入るものもあります。USBでつなぐので1台のパソコン専用です
NASにする
上のケースにネットワークの口が付いたものです。家の中のどのパソコンからも見えます。スマホからも

手元にあるのは3つ目です。ネットワークにつなぐこの機械をNASと呼びます。59TB入っています。1GBを9秒という速さが、何に向いていて、何に向いていないのか。改めて測ってみました。

値段と速さで並べて「どこに何を置くか」を決めた記事はこちらです。

NASを実際に使ってみた記録はこちらです。

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