家庭内クラウドNASの使い所〜ローカル未満、クラウド以上?

2026年9月9日

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NASの読み出し速度を、どう測ったか

数字だけ出しても、同じ条件でなければ意味がありません。再現に必要なぶんだけ書いておきます。

測ったものNASの共有フォルダから1GBのファイルを1本、読み出す速さ
つなぎ方有線。あいだに1000MbpsのLANハブを1台はさんでいます。読んだ側のLAN口も1000Mbps
読んだ側ミニPC(Ubuntu)。NASを共有フォルダとして接続(SMB/CIFS)
NAS側UGREEN NASync DXP6800 Pro。東芝の16TB HDDを6台、1台ぶんを予備に回す組み方(RAID 5に近い構成)
同じことを試すなら
Linux なら、共有フォルダのファイルを読んで秒数を見るだけです。

dd if=/mnt/nas/1GBのファイル of=/dev/null bs=1M

Windows なら、1GBほどのファイルをNASからパソコンへコピーして、かかった秒数で1024を割れば MB/s が出ます。
2回目以降は、パソコンが読んだ中身を覚えているぶん速い数字が出ます。NASそのものの速さを見たいので、1回目の値を使ってください。

今回の117MB/sは、手元にあった1GBほどのファイルを読み出して出た値です。何度も測って平均を取ったものではありません。「うちで測ったらこの程度だった」という数字として読んでください。

HDDの組み方は、この読み出し速度には効きません

上に書いた組み方(16TBのHDDを6台)は、この読み出し速度の結果には効きません。

あとで見るとおり、117MB/sは1000Mbpsの回線がほぼ限界まで出ている値です。回線のほうが先に頭打ちしているので、中のHDDが2台でも6台でも、この数字は変わりません。組み方が効いてくるのは、回線を10Gbpsに替えたあとの話です。

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NASの読み出しは1GBを9秒〜この速さは何で決まる?

測ったもの結果
容量73TB(うち59TB使用・82%)
※16TBのHDD 6台のうち1台ぶんが予備。5台ぶん=80TBが、パソコンからは73TBに見えます
読み出し速度117 MB/s
※1GBのファイルを約9秒で読み出せる速さです
いちばん細いところ1000Mbps(ハブと、パソコン側のLAN口)

この数字を見て、最初は「遅い」と思いました。同じ日に測った本体のM.2は3,500MB/s出ています。30倍の差です。

ところが、計算してみて考えが変わりました。

1000Mbpsの回線で、どこまで出るか
理論上の最大125 MB/s
通信の決まりごとを引いた実際の目安110〜118 MB/s
手元の実測117 MB/s
理論値の93.6%。使い切っています。遅いのはHDDではなく、あいだにはさんだ1000Mbpsのハブと、パソコン側のLAN口でした。

つまり、NASの中でHDDを何台束ねようが、SSDのキャッシュを足そうが、1000Mbpsのところを通るかぎり117MB/sから動きません。

1000Mbpsの箇所が、2つあります
NAS本体は10Gbpsの口を2つ持っています。ところが手元の経路には、1000Mbpsのところが2つあります。

① あいだにはさんだLANハブ ② パソコン側のLAN口

片方だけ替えても速くなりません。NASを買い替えても同じです。速くしたいなら、ハブとパソコン側の両方を替える必要があります。

NAS本体は10倍速い回線を2本持っていた

使っているのは UGREEN NASync DXP6800 Pro です。仕様を確認したら、こうなっていました。

NAS側の作りこちら側
ネットワーク10GbE を2本1GbE
そのほかThunderbolt 4 を2本/SDカード読み取り/USB—
入るディスクHDD 6台 + M.2 SSD 2枚—

NAS本体は10倍速い回線を2本持っていて、こちらが1本の細い回線で受けていました。

ここで「ハブとLAN口を替えよう」と思ったのですが、少し落ち着いて考え直しました。

NASを、何に使っているのか

手元の使い分けを書き出してみました。

何をどこに速さ足りているか
いま動かしているモデル本体の中のM.23,500 MB/sここは速さが要る
置いてあるだけのモデル(202GB)普段使いのNAS117 MB/s足りている
動画・写真(59TB)普段使いのNAS117 MB/s足りている
もう触らない古いもの長期保存用のNAS(別の1台)測っていません置いてあればよい

書き出してみて、はっきりしました。NASは置き場所であって、作業場ではありません。

202GBのモデルをNASに置いていますが、そこから直接動かしてはいません。使うときは手元に持ってきます。置き場所に速さを求めていないのだから、117MB/sで困っていないわけです。

ハブとパソコン側の両方を替えても、パソコン側が2.5Gbpsなら2倍強にしかなりません。59TBの置き場に、そこまでの投資をする理由は見つかりませんでした。

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速さでないなら、NASの何が良いのか

速さでないなら何なのか。3つありました。

1. 毎月の支払いが要らない

59TBをクラウドに置いたら、いくらかかるのかを調べました。

59TBをクラウドに置いた場合
先に見たとおり、Google One の5TBが月2,900円です。59TBを預けるには12契約ぶん。単純に足すと月34,800円、年417,600円。

払い続けるかぎり出ていきます。5年なら約209万円。

そもそも個人向けのサービスに、この容量を1契約で預けられるプランはありません。企業向けの保管サービスなら預けられますが、取り出すときに別の料金がかかる仕組みのものが多くあります。

NASは最初にお金がかかりますが、そのあとは電気代だけです。1〜2年で追いつき、そこから先は差が開いていきます。

2. サービスが終わっても、ディスクは手元に残る

これは調べていて、考えさせられた点です。

手元にはNETGEARのNASもあるのですが、ReadyNASという製品群は終了しています。調べたところ、2021年に製造が終わり、2022年までにサポートが終了、大半の機種でファームウェアの更新も止まっているとされています。

クラウドでも、メーカーでも、終わるときは終わります。ただし違いがあります。

そして実際、その終わったNASを、いまも使っています。

役割を下げました。普段使いは新しいほうに任せて、終わったほうは長期保存にまわしています。もう触らない古いデータを置いておく先です。

この使い方なら、ファームウェアの更新が止まっていることが、ほとんど問題になりません。新しい機能も速さも要らず、置いてあればよいからです。

もうひとつ、思わぬ形で楽になったことがあります。

古いほうを、新しいほうのアプリから触っています
同じネットワーク上に居るので、新しいNASからは古いNASが見えます。そこで、普段の操作は新しいほうのアプリで済ませています。

そもそもNASの管理画面は、ふだんほとんど開きません。置いて、入れて、取り出す。それだけならスマホのアプリで足ります。古いほうも、新しいほうのアプリ越しに触っています。

※これは「古い機械を隠せている」という意味ではありません。機械そのものはネットワーク上に居ます。

サポートの終わった機械を持て余している方には、この形は現実的だと思います。置き場所としては働くのだから、窓口を新しいほうに寄せてしまえばよい、という考え方です。

ついでに書いておくと、NASは「管理画面と格闘する機械」だと思われがちですが、少なくとも手元ではそうなっていません。最初に設定してしまえば、あとは写真や動画を入れて、必要なときに取り出すだけです。身構えるほどのものではありませんでした。

終わったときに何が残るか
クラウドのサービスが終わる期限までに全部引き上げるしかありません
NASのメーカーが撤退するディスクは手元に残ります。更新は止まりますが、動いているうちは使えます
ここが、置き続けるという点では大きな差だと感じています。

ただしいいことばかりではありません。更新の止まった機械が、家庭内のネットワーク上に居続けることに変わりはありません。アプリの窓口を新しいほうに寄せても、そこは解決していません。

外から直接つながらないようにしておく、といった配慮はやはり要ります。安全の面では、更新が続いている機械のほうが安心なのは間違いありません。

それでも、「買ったものが無駄にならない」のは、毎月払い続ける仕組みには無い性質だと思います。

3. パソコンを開かなくても使える

これは使ってみて分かったことです。

いま使っているUGREENは、基本の操作がスマホで完結します。以前使っていたQNAPや、いま持っているNETGEARでは、この使い勝手は得られませんでした。

もうひとつ、本体が手の届く所にあると、USB経由で直接取り込めます。撮ってきたメディアをそのままNASへ移せるので、パソコンを立ち上げる必要がありません。

先ほど仕様表で「SDカード読み取り」と書きましたが、これが実際に効いているのはこの場面でした。仕様の一行が、そのまま使い方に効いていました。

3台使い比べて、取り込みの速さがいちばん違った

ここは3台を使い比べて、いちばん差を感じたところです。

QNAPでもNETGEARでも、メディアを読むこと自体はできました。できなかったわけではありません。

ただ、UGREENはSSDをキャッシュに使う作りになっていて、読み込みがとても速いのです。SSDのような速いメディアを挿しても、待たされずにさっと読めます。撮ってきたものをその場で流し込む使い方だと、ここが毎回効きます。

仕様表の「M.2 NVMe 2スロット」は、ここで効いていました
この機種にはHDDを入れる6つの場所とは別に、M.2のSSDを2枚入れる場所があります。

カタログでは容量の一行に見えますが、実際にはHDDの前に立つ受け皿として働きます。取り込むときは速いSSDがいったん受け止め、その裏でHDDへ書かれていく。だからHDDの速さで待たされません。

※この節は使ってみての感想です。取り込み時間を秒単位で測ってはいません。

置き場所としてのNASに速さは要らない、と先に書きました。ただし入れるときだけは別です。NASへ書き込む速さが遅いと、そもそもデータを入れる気がなくなります。

測ったのはNASの速度だけ〜この記事で言えないこと

ここまでの内容のうち、手元で測ったのはNASの読み出し速度と、本体のM.2の読み出し速度だけです。クラウドの料金と、NETGEARの終了時期は調べた内容です。取り込みの速さの違いは使ってみての感想で、秒数を測ってはいません。

この比べ方には、条件が揃っていない点があります
ここまで「UGREENは速い」と書きましたが、メーカーの差なのか、機種の格の差なのかを分けられていません。

いま使っているのは6台入る上位の機種で、SSDを入れる場所が別に2つあります。以前使っていたものと同じ格だったかというと、そこは揃っていません。

QNAPにもSynologyにも、同じようにSSDを受け皿にできる機種があります。だから正しくは「UGREENだから速い」ではなく、「SSDを受け皿にできる機種だから速い」と読むべきかもしれません。

同じ格の機種を並べて測らないと、ここは決められません。手元にあるのは1台ずつなので、この記事では決めずに置いておきます。

ただ、買う側の立場で言えば、どちらでも同じことかもしれません。「そのメーカーが良い」ではなく「SSDを受け皿にできる機種を選ぶ」と考えれば、選び方としては充分です。

あわせて読みたい

ほかのローカルAIの記事は、このまとめから探せます。

実際に測った数字は、実測データベースにまとめています。

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この記事で使った機材

測定に使ったNASです。6台入る機械に、東芝の16TBを6台入れて動かしています。ここまで大きくする必要は普通ありませんが、置き場所として長く使う前提で選びました。

UGREEN NASync DXP6800 Pro(6ベイ・HDD別売)

¥170,036 Amazon・2026-08-20調べ

中に入れているHDDです。NAS向けに作られた型で、24時間回し続ける前提の作りになっています。

東芝 MN08ACA16T 16TB(NAS向け・CMR・ヘリウム充填)

¥75,980 Amazon・2026-08-20調べ

モデルの持ち運びに使っている外付けSSDです。手元での読み出しは1,000MB/sほどでした。本体の中のM.2が3,500MB/sですから、3分の1ほどです。同じSSDでも、どこにどうつなぐかで大きく変わります。

SanDisk エクストリーム ポータブルSSD 2TB(USB 3.2 Gen2)

NAS本体はUGREEN NASync DXP6800 Proです。6台のHDDとM.2のSSDを2枚入れられる機種で、10GbEの口を2つ持っています。

置き場を値段と速さで並べた記事はこちらです。

SSDを買い足すときの選び方はこちらです。

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