5Gの知識 大丈夫? Amaz●n見てると似非5Gがあふれてたので再確認した話
世の中が「5Gの時代だ! 5Gで世界が変わる!」なんて騒いでいるために、何とか便乗しようと、その方面に疎い方々をターゲットにしている点に、不条理を感じますので、世の中で騒いでいる5Gとは何か、簡単にまとめました。
モバイル通信の5G
今話題になっている5Gは、モバイル通信の規格の第5世代(5th Generation:5G)のことです。
それぞれの規格の通信速度については下記の通り。
世代 | 年代 | 最大通信速度 | 規格名 |
---|---|---|---|
第2世代 | 1993年 | 0.001Mbps | PDC |
第3世代 | 2001年 | 0.06~0.38Mbps | W-CDMA |
第3.5世代 | 2006年 | 3.6~14Mbps | W-CDMA HSPA |
第3.9世代 | 2010年 | 37.5~150Mbps | LTE |
第4世代 | 2015年 | 110~1,000Mbps | LTE-Advanced |
第5世代 | 2020年 | 2,000~20,000Mbps | 5G NR |
規格が上がるにつれて、通信速度が桁で上がっている点が見て取れます。
下のグラフは、総務省の2019年6月の資料から抜粋し、まとめ直したものです。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000633132.pdf
通信速度が指数関数的に早くなっていることが分かります。
データの種類も文字ベースのメールから、写真・動画へと、データ量の多いコンテンツが扱えるようになってきています。
5Gで何が出来るのか?
上記の総務省の資料を見ると、医療・産業・自動運転などの分野での活用を考えているようです。
色々な家電や産業機材に通信機能を持たせる(IoT)ことにより得られる大量のデータ(ビッグデータ)を元に、社会を変えていこう、という取り組み(Society 5.0)の一環です。
では、個人のスマートフォンが、こんなに早いデータ通信が出来るようになった時、何が変わるのでしょうか?
5G用の基地局が潤沢に増えてきたとしても、現状のインフラではちょっと厳しいものがありますね。
60GB(ギガバイト)のギガホーダイプランだったと仮定して、1Gbpsで通信し続けたとすると、
60GB(ギガバイト) × 8(ビット) ÷ 1Gbps(ギガビット毎秒) = 8分
8分でデータプランを使い切ってしまいます。Youtubeをちょっと見て、次の動画・・・などと迷っていると、あっという間に、データプランを使い切りそうです。
現状に不満がないのならば、キラーコンテンツが出てくるまでは様子見で良いのではないでしょうか。
商品で言うと、下のようなものもあります。基地局も限られている現在、購入しても5Gの効果を体感できる人は少ないのではないでしょうか。
間違った5G
さて、Amaz〇n等を見ていると、「Wi-Fi 5G対応」などを前面に出して、さも5Gに対応しているように見せかけている商品説明があったりしていて、うすら寒く感じました。
Wi-Fi(無線LAN)の5G(世代)
Wi-Fi(無線LAN)は規格が上がるたびに高速になっています。
では、Wi-Fi 5対応の商品はどれくらいの性能を持っているのでしょうか。
呼称 | 策定時期 | 最大通信速度 | Wi-Fi規格名 |
---|---|---|---|
Wi-Fi 4 | 2009年 | 0.6Gbps | IEEE 802.11n |
Wi-Fi 5 | 2014年 | 6.9Gbps | IEEE 802.11ac |
Wi-Fi 6 | 2020年 | 9.6Gbps | IEEE 802.11ax |
Wi-Fi 5は、2014年に策定された割と古い企画です。今話題に上がっているWi-FiルーターなどはWi-Fi 6に対応したことを謳う物が多くなってきています。
逆に、Wi-Fi 5対応の商品は値段がこなれてきて、お求めやすい価格になってきています。
私が昨年買ったBUFFALOの無線ルーターは、Wi-Fi 5対応です。データ通信の速度として、モバイル通信の5Gと同等程度の性能です。この似通った性能もややこしくしている一因なのでしょう。
下の商品は、Wi-Fi 6対応です。
Wi-Fi(無線LAN)の5G(ヘルツ)
Wi-Fi(無線LAN)は、もともと電波の種類として、2.4GHz(ギガヘルツ)帯が割り振られていました。
第2世代(1999年)から、5GHz(ギガヘルツ)帯も使えるようになっています。
2.4GHz(ギガヘルツ)帯は、Bluetoothでも使われており、電波が混ざって通信が遅くなったり、また、電子レンジの影響をモロに受けてしまって遅くなったりと、使いにくい面もあり、5GHz(ギガヘルツ)帯が使えるのならば、使うに越したことは無いでしょう。
ただ、5GHz(ギガヘルツ)帯は、2.4GHz(ギガヘルツ)帯に比べて、壁などがあると途端に電波が届きにくくなる特徴がありますので、現実的には使い分けが必要になってきます。
電波の種類 | 特徴 |
---|---|
2.4GHz(ギガヘルツ)帯 | ・Bluetoothと同じなので、混ざって遅くなることも ・電子レンジを使うと、電波が途切れる ・5GHz(ギガヘルツ)帯と比べると、壁に遮られにくい |
5GHz(ギガヘルツ)帯 | ・2.4GHz(ギガヘルツ)帯と比べると、通信が高速 ・電子レンジの影響を受けにくい ・2.4GHz(ギガヘルツ)帯と比べると、壁があると電波が悪くなる |
Bluetoothの5G
Bluetoothは、イヤホンやキーボード・マウスといった周辺機器との通信規格として広まっています。
このBluetoothの規格はバージョンが上がるごとに通信速度が上がっている、ということは無く、いかに電池を長持ちさせて、距離が離れても通信して・・・という、速度とは違う方向で進化しています。
簡略化して概要をまとめますと、下記の通り。
バージョン | 策定時期 | 通信速度 |
---|---|---|
1.x | 1999~ | 1Mbps(BR) |
2.x | 2004~ | 3Mbps(EDR)・高速化 |
3.x | 2009~ | 24Mbps(HS)・高速化オプション |
4.x | 2009~ | 1Mbps(LE)・超省電力化 |
5.0 | 2016~ | 2Mbps(LE)・長距離化 |
5.1 | 2019~ | 2Mbps(LE)・方向探知 |
Bluetooth 5.0も2016年に策定されており、決して新しい規格ではありません。
Bluetooth 5.0に対応している恩恵は、長距離離れても通信が途切れにくい点です。ありがたい機能ですが、今騒いでいる5Gとは関係がありません。
たまに、「Bluetooth 5G対応」と書かれている商品を見かけますが、「Bluetooth 5.0」が正しい表記です。
私が購入したワイヤレスイヤホンはBluetooth 5.0対応でした。多少離れても接続が途切れにくく、ありがたいです。この商品は正しく「Bluetooth 5.0」と書かれています。
通信容量の5G(ギガ)
個人で混乱されている方と会話をしたことがあります。
「5G」とのみ書かれているのをみて、「5ギガ」と思っている方がいるようです。
スマートフォンで売りにしている「5G」というと、「第5世代のデータ通信」(5th Generation:5G)を差します。
「5ギガ」と言っているのは、データ量「5ギガバイト」のことが大半なのではないでしょうか。
まぁ、SOCもメモリーも単位がギガ○○(ギガヘルツ・ギガバイト・・・)になっているので、余計に混乱を招く状態になっています。
商品の購入を考えているのならば、自分が何をしたいのか、今一度考えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
今、ニュースやらで話題になっている5Gについて、軽くまとめました。
「5G対応!」という怪しいキャッチフレーズに惑わされずに、性能を理解したうえで、賢く商品を買っていきたいものです。
個人的には現状では、自分のスマートフォンに対して5Gの必要性を感じていません。
ただ、VRコンテンツの面白さを知ってしまった今となっては、屋外で使用できるARのコンテンツが充実してきたなら、データ通信量は爆発的に増えていきそうです。
キラーコンテンツ待ちのスタンスで、値段もこなれたころに手に入れればと考えています。