【初心者向け】VRに使えるデスクトップPCの選び方(2020年11月版)
低価格ながら高性能なHMD(ヘッドマウントディスプレイ)であるOculus Quest 2が発売されました。量販店でも売っており、これを機にVRを楽しめるPCを始める方もいらっしゃるでしょう。
Oculus Quest 2単体でも十分に楽しめますが、PCとつなげれば数も豊富で、よりリッチな映像のアプリが楽します。
この記事では、出来るだけコストをかけずにパソコンでVRを楽しむためには、どういうパソコンを選べば良いのかをまとめます。
なお、ノートPCを選ぶ基準は、下記にまとめていますので、ご参考までに。
VRをノートPCで始めるには
必要なもの
デスクトップPCでVR体験を始めるためには、下記の4つが必要です。
- PC用HMD(ヘッドマウントディスプレイ)(コントローラ含む)
- パソコン本体
- ディスプレイ(何でも良い)
- キーボード・マウス
パソコンでVRを楽しむ分には、ディスプレイはどんなものを使っても構いません。何故なら、VRで楽しんでいる間は、HMDを身に着けているので、ディスプレイ見ないのです。FHD(解像度1920×1080)1万円くらいのもので十分ですし、テレビを占有して良いのなら、テレビにつなげてしまっても構いません。
高い物では無いけれど、無いと困るのが、キーボードとマウスです。デスクトップPCにはキーボードもマウスも付いていないモデルがあります。最低限、キーボードとマウスがあるかどうかの確認が必要です。
予算
全て新品で購入したとした場合を考えます。
予算はおよそ下記の通りです。場所が許して、パソコンをいじるのが苦にならないのならば、デスクトップPCの方が安く上がりますし、足りない部分だけ交換をすることで長く使えるでしょう。
また、パソコンとは熱を出すものですが、熱くなりすぎると壊れてしまうので、性能に制限がかかります。デスクトップPCの方が大きい分冷やしやすい分だけ、部品の性能が引き出せると言った特徴もあります。
項目 | ノートPC | デスクトップPC |
---|---|---|
パソコン本体 | 約10万円~ | 約8万円強~ |
ディスプレイ | 不要 | 約1万円~ |
HMD | 約4万円~ | 約4万円~ |
合計 | 約14万円~ | 約13万円~ |
2020年9月・10月に続々と新しい製品が発表されたため、PCもHMD(ヘッドマウントディスプレイ)も、相場が下がっています。8月に比べると合計で5万円程度相場が下がっています。
今回は、デスクトップPCに焦点を置きますが、パソコンを選ぶ基準は同じです。
お勧めHMD
VRを体験するには、VRゴーグルとも呼ばれるHMD(ヘッドマウントディスプレイ)が必要になります。最初の1台としてお勧めできる機種としては、下記のOculus Quest 2一択です。
Oculus Quest 2
HMD単体でも使えて、且つ、PC用HMDとしてでも使えるモデルです。Facebookのアカウントを使う必要はありますが、初代Oculus Questと比べると、性能自身が大幅にアップしています。
PCとUSBで接続してPC用HMD(ヘッドマウントディスプレイ)として使用出来る「Oculus Link」機能も搭載されています。
性能は下記の記事にまとめつつありますので、ご参考までに。
その他
後継機のOculus Quest 2が発表されるタイミングで、生産停止になりました。HMD単体でも使えて、且つ、PC用HMDとしてでも使えるモデルです。
初めてHMDを体験するのならばOculus Questをレンタルで試すのも手ではないでしょうか。この画質で満足できるのならば、次はOculus QuestとノートPCを買えばいいのです。
また、Oculus Quest付属のUSB2.0のケーブルでPCに繋げば、PC版HMDとして使える点も魅力です。配線がごちゃごちゃしません。
2021年に生産停止になると発表されました。今から初めてHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を購入するのならば、Oculus Quest 2です。
Oculus Questに比べると、ツブツブ感(スクリーンドア現象)が少なく映像が綺麗に見えます。また、画素数自身は少ないため、PCへの負荷が小さい点も魅力です。
PC用HMDの多くは、下の写真のようなDCアダプタを繋ぐ必要があります。その点、Oculus Rift SはDCアダプタは不要です。Oculus Rift Sの電力はPCのUSBから供給されるのでスマートです。
Oculus Rift SはノートPCで使うには最も適したモデルです。
デスクトップPCのスペックは何を見ればいい?
新品のノートPCを購入することを前提として、スペックのどこに注目すればいいのかをまとめます。
GPU
GPUとは、パソコンの中の絵を描く担当をしている部品です。このGPUの性能が高いほど綺麗な絵を描けます。
VR用のパソコンを選ぶ際には、ここが一番大事且つ、ここだけ見ていれば良いとも言えます。
PC用HMDを動かす場合、NVIDIA社のGeforceシリーズか、AMD社のRadeonシリーズのGPUが必要になります。
PC用HMDの推奨スペックを見ると、GeforceシリーズのGTX 1060以上を選べば良いという風に書いてあります。
なお、GTX 1060は一つ前の世代です。現行のGeforceシリーズでは、GTX 1660以上を選びましょう。
具体的には、GTX1660, GTX1070, GTX1080, RTX2060, RTX2070, RTX2080のいずれかが載っているノートPCを選ぶことになります。
NVIDIA社のGeforceシリーズは、同じ型番でおよそ3種類のグレードが展開されます。
例えば、GTX1660ならば性能は、下記の通りです。
GTX1660 < GTX1660SUPER < GTX1660Ti
また、NVIDIAのGefoceという部品を使って各メーカーがグラフィックボードを作ります。作るときに、部品を加速させて頑張らせた物には「オーバークロック」という意味で「OC」と付ける場合が多いです。
これらの「SUPER」や「Ti」・「OC」にしても、GTX1660やRTX2060と言った大元の型番の性能飛び越えることはまずありません。
何もないより「SUPER」の方が強くて「Ti」はもっと強い、程度の認識で良いでしょう。
GTX1650搭載PCをお借りして評価しました。
結論は、GTX1650でもOculusシリーズならばそこそこ楽しめます。お試しならばこれでも動きます。
が、リッチな映像のアプリでは、性能不足で引っ掛かりを感じるときがあります。VRでは、描画が遅れると「VR」酔いが起こりやすくなります。
新規にPCを購入されるのでしたら、GTX 1660以上のGPUの載ったPCをお勧めします。
2020年9月にRTX3000シリーズが発売になりました。従来のGPUの2倍の性能で、従来品と同じ価格帯のGPUです。高スペックなPCが欲しいのならば、RTX3000シリーズを選ぶべきでしょう。
RTX 3060 Tiが低価格帯の商品となりますが、まだまだ値段がこなれるには時間がかかります。
コストパフォーマンスを見ると、RTX3000シリーズの発表で値段が下がってきているRTX2000シリーズやGTX1660搭載モデルの価格が下がってきており、コスパ高めです。
CPU
CPUとは、パソコンの中のリーダーに相当する部品です。なんでもできる万能部品で、他の部品に指示を出しながら、自分も複雑な計算をこなします。
PCでGeforce GTX1060以上を積んでいるモデルは、CPUも十分な性能を持っています。PC用HMDを動かす点に関しては、CPUは注目しなくても良いです。
メモリー
メモリーは8GB以上であれば余程重たいアプリ以外は動きます。GPUがGTX1660以上のものでメモリーが8GBより少ない物はまずないので、メモリーも気にしなくて良いです。
ただし、自分で増設する自信が無い方は16GBあれば動作が安定します。
また、目的のアプリがある場合は、推奨メモリを調べておいた方が良いでしょう。Oculusの大作RPG「Asgard’s Wrath」は16GB無いと辛いです。
ポート類
DisplayPort
2019年以降のPC用HMDは、DisplayPort接続が標準です。
ゲーミングPCと銘打っているデスクトップPCならば、気にする必要はありません。
強いて言うならば、通常使うディスプレイ用に1つ、HMD用に1つの計2つが付いていることを確認しましょう。
USB
最低限1ポートが空いていれば良いので、USBの数は気にしなくても良いでしょう。
見るべきスペックまとめ
前述の見るべきスペックをまとめます。
項目 | 見るべきスペック |
---|---|
GPU | Gefoce GTX1660以上 |
CPU | 気にする必要なし |
メモリー | 気にする必要なし(8GB以上あれば可、16GBあれば尚良し) |
ポート類 | 気にする必要なし(DisplayPortが2つ以上) |
比較サイトで調べるのならば、GPUがGTX1660以上のグラフィックボードが載っているタイプを選べば問題ありません。
具体的には、GTX1660, GTX1070, GTX1080, RTX2060, RTX2070, RTX2080, RTX3060, RTX3070, RTX3080,RTX3090の中から選びます。
目的に合ったディスクトップPCを選ぶ
下記からは最低ラインのスペックは備えているデスクトップPCを紹介していきます。
VRに使えるデスクトップPCは、オフィスPCと比べると、グラフィックボードを載せる関係で大きくなっています。
コスパ重視
とにかく出費を抑えたいという場合、GPUがGTX1660以上であるかどうかが判断基準となります。
汎用の部品で構成できるPCとなり価格が抑えられる反面、大きめに設計されています。デスクトップPCと言いつつ、机に載せるには少々大きいサイズ感です。
Lightnig AJ5
ドスパラのゲーミングPCです。GTX1660を積んで、8万円強です。
ケースの作りもよく考えられており、将来スペックも上げ易い作りになっています。
項目 | 参考スペック※ |
---|---|
CPU | AMD Ryzen 5 3500 |
GPU | GTX 1660 |
メモリー | 8GB |
キーボード・マウス | あり |
サイズ(幅x奥行x高さ) | 190 x 420 x 360 mm |
電源 | 550W |
拡張性 | 〇 |
余裕があるなら、メモリーは16GBにした方が良いでしょう。買った後「足りないな」と思った時に、増設しても良いかもしれません。
G-GEAR GA3A-B200/T2
GTX 1660Tiを積んだモデルです。CPUのAMDのRyzen 3 3100は4コア8スレッドMax3.9Ghzのもので、第8世代Core i7程度の性能を発揮します。
グラフィックボードは長さ30cmまでに対応。将来的な拡張性も見込めます。
項目 | 参考スペック※ |
---|---|
CPU | AMD Ryzen 3 3100 |
GPU | GTX 1660 Ti |
メモリー | 8GB |
キーボード・マウス | 別売り |
サイズ(幅x奥行x高さ) | 190 x 475 x 435 mm |
電源 | 550W |
拡張性 | 〇 |
省スペース
ある程度の拡張性を持ちつつ、机に置いても邪魔になりにくいモデルです。専用設計となるため、コスト・拡張性が犠牲となります。
iiyama LEVEL-M0B4-R535-RXS
いわゆるミニタワー型と呼ばれるモデルです。SSDの容量が少なすぎますが、11/24までのセールで9万円を切っています。
項目 | 参考スペック※ |
---|---|
CPU | Ryzen 5 3600 |
GPU | GTX 1660 SUPER |
メモリー | 8GB |
キーボード・マウス | あり |
サイズ(幅x奥行x高さ) | 190 x 410 x 356 mm |
電源 | 500W |
拡張性 | 〇 |
iiyama LEVEL-M0B4-R535-RXS
いわゆるミニタワー型と呼ばれるモデルです。9万円強とお手頃な価格帯です。
項目 | 参考スペック※ |
---|---|
CPU | Ryzen 5 3500 |
GPU | GTX 1660 Ti |
メモリー | 8GB |
キーボード・マウス | あり |
サイズ(幅x奥行x高さ) | 190 x 410 x 356 mm |
電源 | 500W |
拡張性 | 〇 |
G-GEAR mini
コンパクトなサイズ感にも関わらず、35cmのグラフィックボードを載せれるスペースを確保したモデルです。
GTX 1660モデルで11万円弱、RTX 2060モデルで12万円弱。1万円の差でしたら、よりリアルな映像が楽しめるレイトレーシング機能があるRTX 2060モデルをお勧めします。
項目 | 参考スペック※ |
---|---|
CPU | Intel Core i5-9400F |
GPU | GTX 1660 |
メモリー | 8GB |
キーボード・マウス | 別売り |
サイズ(幅x奥行x高さ) | 183 x 390 x 300 mm |
電源 | 500W |
拡張性 | 〇 |
Lenovo IdeaCentre T540 Gaming
オフィスPC並みにコンパクトなPCですので、机の上に置いても違和感がありません。
コンパクトなため、電源の容量も小さく拡張性はあまりありませんが、増設しなくても十分なパフォーマンスを持っています。
現在(2020/11/17時点)で、直販サイトではセールを含んで10万円強。コストパフォーマンスは非常に高いです。
項目 | 参考スペック※ |
---|---|
CPU | Intel Core i7-9700 |
GPU | GTX 1660 SUPER |
メモリー | 16GB |
キーボード・マウス | あり |
サイズ(幅x奥行x高さ) | 145 x 303 x 366 mm |
電源 | 310W |
拡張性 | × |
デモ機をお借りしてレビューを書きました。ご参考までに。
DELL G5 ゲーミングデスクトップ
直販サイトでは頻繁にセールを実施しているDELLの省スペースデスクトップPCです。現在(2020年11月17日)直販サイトではセールで10万円を切っています。
項目 | 参考スペック※ |
---|---|
CPU | Intel Core i7-10700F |
GPU | GTX 1660 Ti |
メモリー | 8GB |
キーボード・マウス | あり |
サイズ(幅x奥行x高さ) | 169 x 367 x 308 mm |
電源 | 500W |
拡張性 | 〇 |
まとめ
VR体験が出来るPCを新規に購入する場合、以下の1点のみに注目すれば問題ありません。
- GPUがGeforceシリーズ GTX1660以上(GTX1070, GTX1080, RTX2060~2080, RTX3060~3090)
※中古PC・リフレッシュPCは除く
現在(2020/10/20)の価格帯としては税込み9万円強からと言ったイメージです。
これに、1万円前後のディスプレイと、キーボード・マウス、肝心のHMDを買えば、VRを楽しめます。
ノートPCと比べ、そろえるものは多くなりますが、好みでカスタマイズできるのもデスクトップPCの魅力です。
また、直販サイトは早ければ週替わりでセールをやっています。大きい時には20%引きなんてことも。買いたい時が買い時なのかもしれませんが、ちょっと様子を見てみるのも良いかもしれません。