【実機レビュー】Lenovo Legion T530【VRを試す】■Core i7-9700 /16GB /GTX1650■
Lenovo様よりLegion T530をお借りしました。前面が赤く発光し、”いかにもゲーミング”と言った風体のミニタワー型PCです。
このPCでVRがどの程度楽しめるのか、まとめました。
Legion T530のスペック
※価格・モデルは執筆時の物を記載しました。頻繁に変更されるので、必ず公式サイトでご確認ください。
model | 90L3008BJM | 90L3008CJM |
---|---|---|
CPU | Core i5-9400F 6コア6スレッド・2.9GHz(TB 4.1GHz) | Core i7-9700 8コア8スレッド・3.0GHz(TB 4.7GHz) |
GPU | NVIDIA GeForce GTX 1660Ti 6GB GDDR6 | NVIDIA GeForce GTX 1650 4GB GDDR5 |
メモリ | 8GB(8GBx1) | 16GB(8GBx2) |
チップセット | Intel B365 | |
SSD | 512GB | 1TB SSD |
HDD | 1TB HDD | |
OS | Windows 10 Home 64 bit | |
サイズ (幅×奥行×高さ) | 37.1リットル(185 x 456 x 440mm) | |
電源 | 500W | |
価格(税込み) | ¥123,059 | ¥124,062 |
2020年10月時点で、CPUは第9世代でありモデル末期に当たると考えていいでしょう。その分コストパフォーマンスが高くなっています。
テスト機のスペック
今回お借りしたPCのスペックは下記の通り。このPCを使って、性能を検証していきます。
model | Legion T530 90L3008CJM |
---|---|
CPU | Core i7 9700 8コア8スレッド・3.0GHz(TB 4.7GHz) |
GPU | NVIDIA GeForce GTX 1650 4GB GDDR5 |
メモリ | 16GB (8GB x 2) |
SSD | 1TB (NVMe/M.2) |
HDD | 1TB |
電源 | 500W (80PLUS BRONZE) |
OS | Windows10 Home 64bit |
VR性能測定結果
Oculus推奨スペックとの比較
Oculus推奨GPUの下限のスペックのPCとの比較をします。メモリーに関しては、私自身は64GBに増設していますが、標準の16GBとしてグラフを作成しています。
- CPU:Intel Core i5 4590
- GPU:GEFORCE GTX 1060-6GB
- メモリ:8GB
今回テストしたGTX 1650搭載モデルの実測値を基に計算しています。また、メモリーの項目は16GBとして表示しています。
※Oculus推奨スペックを100とした時の、Legion T530の性能
項目 | 説明 |
---|---|
Orange Room | DirectX 11対応のVRの描画性能を示しています。 |
Cyan Room | DirectX 12対応のVRの描画性能を示しています。Orange Roomよりもリッチなグラフィックを使用します。 |
Blue Room | DirectX 11対応のVRの描写性能を示しています。次世代のHMDを想定したリッチなグラフィックス性能を表します。 |
Time Spy | DirectX 12対応の3Dグラフィックスの描写性能を示しています。 |
Fire Strike | DirectX 11対応の3Dグラフィックスの描写性能を示しています。 |
全項目が、GTX 1060-6GBを20%程度下回っています。
解像度とフレームレートの関係
解像度を代えてVRMARKを実行しました。横軸が画素数、縦軸がフレームレートです。
VRMARKで記載されているフレームレートはPCが1秒間に何枚絵を描けるか、という値です。
このPCが絵を描くフレームレートが、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)のリフレッシュレートに達しない場合は中間のフレームが補完される場合があります。頭の動きの少ないアプリであれば、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)の半分のリフレッシュレートを目指すというのも手です。
Oculus Quest系は、2020年10月のアップデートで表示が変りました。
Oculus Rift S:リフレッシュレート80Hz
- 4.9Mpx:グラフィック設定「パフォーマンスを優先」
- 5.9Mpx:グラフィック設定「品質を優先」
Oculus Quest:リフレッシュレート72Hz
- 9.4Mpx:レンダリング解像度設定「1.0x」※(4128 x 2272設定)
※レンダリング解像度の倍率の表示は、PCのスペックによって変化する場合があります。
2020年10月以前の表示
- 5.4Mpx:グラフィック設定「パフォーマンスを優先」
- 7.2Mpx:グラフィック設定「バランス」
- 9.4Mpx:グラフィック設定「品質を優先」
Oculus Quest 2:リフレッシュレート72Hz、80Hz、90Hz
- 8.7Mpx:レンダリング解像度設定「1.0x」※(4128 x 2096設定)
※レンダリング解像度の倍率の表示は、PCのスペックによって変化する場合があります。
2020年10月以前の表示
- 6.4Mpx:グラフィック設定「パフォーマンスを優先」
- 8.6Mpx:グラフィック設定「バランス」
- 1.1Mpx:グラフィック設定「品質を優先」
Oculus Rift Sの「パフォーマンスを優先」設定ならば、負荷の小さいOrange Roomで80Hzを超えてきます。
軽いVRアプリならば動作出来ますが、リッチな映像のアプリではフレーム落ちする可能性が高そうです。
Oculus推奨のGPUの処理能力と比べて、全項目で20%程度低い結果となりました。
軽い部類のVRアプリは楽しめますが、リッチな映像ではフレーム落ちする可能性が高いです。
PC基本性能測定結果
デスクトップPCのCPUとして現在の売れ筋CPU「INTEL CORE i5-10400」を積んだPCの性能と比較します。
※INTEL CORE i5-10400のベンチマーク結果を100とした時の、Legion T530の性能
項目 | 説明 |
---|---|
OverAll | PC全体の性能を示しています。 |
Essentials | アプリの起動などPCの動作の処理性能を示しています。 実際にアプリの起動速度やブラウザ等を使って、処理能力を数字化しています。 |
Productivity | WordやExcelと言ったOffice系アプリの処理性能を示しています。 OpenOffice系のアプリを使って、処理能力を数字化しています。 |
Digital Content Creation | 写真・動画・3Dグラフィックスなどのクリエイティブ系アプリの処理性能を示しています。 GIMP等のクリエイティブアプリを使って、処理能力を数字化しています。 |
現在主流のCore i5搭載PCと比べて全般に高い性能を持っています。
一般的なPCよりもどんな作業でも快適に使えます。
VRスコア・コスパ
項目 | スコア |
---|---|
VRスコア 数字が高いほど高性能 | 83 |
VRコストパフォーマンス 数字が高いほどお得 | 78※ |
HMDを接続してみた
Oculus Rift S
IdeaCentre T540 Gamingの天板は平らなので、HMDを置くのにちょうどいいかもしれません。
BEAT SABER
まずは、Oculus Rift版のBEAT SABERを立ち上げてみます。画面の設定は標準の設定からいじっていません。
200fps程度出ています。普通に快適にプレイできます。
プレイ中のタスクマネージャーを見てみましょう。
CPUもGPUも30%程度しか使われていません。余裕で起動しています。
Half-Life:Alyx
Half-Life:Alyx
SteamVRのビデオ設定:カスタム、100%(1648×1776)
Half-Life:Alyxのビデオ設定:低
リフレッシュタイムは11ms以上となっており、カツカツです。
CPU使用率は50%前後ですが、GPUの使用率が90%近くなっています。GPUメモリーもほぼ使い切っており、限界に近いようです。
Half-Life:Alyx
SteamVRのビデオ設定:カスタム、100%(1648×1776)
Half-Life:Alyxのビデオ設定:最高画質
画質を最高画質に変更すると、リフレッシュタイムは17msとなり、12.5msを大きく上回ってしまいます。
CPUの使用率は低画質と変わらず、GPUは70%と使用率が落ちています。GPUメモリーを使い切っているため、演算以外の部分がボトルネックとなっているのではないでしょうか。
Oculus Quest
Legion T530はUSB Type-Cを持ちません。純正Oculus Linkケーブルを使用する場合は、下記のような変換コネクタが必要です。
BEAT SABER
リフレッシュタイムを見るために、SteamVRからReviveを通して起動しました。Oculus Rift版のBEAT SABERです。
リフレッシュタイムは約6ms、フレームレートにして170Hz以上出ています。快適にプレイできます。
CPUは使用率20%、GPUも40%台とかなり余裕です。
Half-Life:Alyx
Half-Life:Alyx
SteamVRのビデオ設定:カスタム、100%(1648×1776)
Half-Life:Alyxのビデオ設定:低画質
リフレッシュタイムは約12ms。Oculus Questのフレームレートが72Hzと低いため、何とか描写しきっています。
CPUは50%前後、GPUは90%に載せてきました。相変わらずGPUのメモリーはひっ迫しています。
Half-Life:Alyx
SteamVRのビデオ設定:カスタム、100%(1808×2000)
Half-Life:Alyxのビデオ設定:最高画質
リフレッシュタイムは約20msと、描写が間に合っていません。頭の動きに追従できない時もあり、PCの限界を超えているようです。
CPUは余裕があり、GPUは70%くらい。それでもフレームレートが上がりません。メモリー不足がボトルネックになっているのではないでしょうか。
BEAT SABERレベルでは、十分余裕を持ってプレイできます。Half-Life:Alyxは低画質であれば、プレイに支障はありません。
Vive Cosmos Elite
VIVEシリーズの中では、現状(2020年10月)最も解像度が高いVive Cosmosを試します。
BEAT SABER
SteamVRからReviveを通してOculus Rift版のBEAT SABERを起動しています。
リフレッシュタイムは約13ms、Vive Cosmosではフレーム落ちしてしまっています。
CPUは余裕があるものの、GPUの使用率が90%台と余裕がありません。
Half-Life:Alyx
Half-Life:Alyx
SteamVRのビデオ設定:カスタム、100%(2016×2380)
Half-Life:Alyxのビデオ設定:低画質
リフレッシュタイムが約25msと、大幅にコマ落ちをしています。時々映像が固まるなど、プレイに支障をきたします。
CPUは余裕があるものの、GPUの使用率が90%台と余裕がありません。GPUメモリーも使い切っています。
Pimax8k plus
ハイエンドなHMDであるPimax8k Plusを接続してみました。
Pimax8k plusについては、下記にまとめています。ご参考までに。
Pimaxの設定から、Refresh Rateを変更してアプリを動かしてみます。
Half-Life:Alyx
Half-Life:Alyx
SteamVRのビデオ設定:カスタム、100%(3840×2160)
Half-Life:Alyxのビデオ設定:低画質
Pimax8k:72Hz
リフレッシュレート72Hzですでにフレーム落ちを起こしています。
GPU使用率が約90%、GPUメモリーをほぼ使い切っています。
BEAT SABERのような軽いアプリでもフレーム落ちする可能性があります。
リッチな映像のアプリでは、画質・フレームレートを落としても、プレイに支障が出ます。
GEFORCE GTX 1650モデルでは、ハイエンドHMDはあきらめた方が良さそうです。
デザイン・拡張性
特徴的なのは、上部の取っ手でしょう。
普通、タワー型のPCケースは持つ部分が無くて、持ち運びに苦労するのですが、このPCは運びやすいです。
前面
- USB 3.0 x2
- オーディオ/マイクコンポ x1
- マイク端子
- 電源ボタン
前面にポートが無い代わりに前面の上部にUSBポートが2つ付いています。
背面
- USB 3.1 Gen2x2
- USB 3.0 x2
- USB 2.0 x2
- ライン出力 x1
- LANポート x1
マザーボードについているポートはいたってシンプルですが、USBが合計6ポートと、十分な数が付いています。
内部
全体的にスカスカの作りになっています。また、マザーボードの小ささです。拡張性はありません。
- PCI Express x16 x1 (グラフィックボードで使用)
- PCI Express x1 x0
- M.2 2230 x1 (WLANカード)
- M.2 2280 x1 (SSDで使用)
- 3.5インチベイ x2 (HDDで1つ使用、空き1)
メモリーやSSD・HDDには簡単にアクセスできます。
グラフィックボード部分は大きくスペースが設けてあるため、奥行30cm以上のものでも余裕で入りそうです。このPCは電源が500Wと少々心もとないので、グラフィックボードを交換するのであれば、電源は交換した方が良さそうです。
定番ベンチマーク結果
定番のベンチマーク結果を並べます。構成されているパーツを考えると、順当な結果です。オフィスPCとしては高性能、ゲーミングPCとしては及第点、VR用としては少々力不足です。
ベンチマーク | スコア |
---|---|
SteamVR Performance Test | 平均忠実度:4.8(中程度) テストされたフレーム:9920 |
VRMARK | Orange Room :5056 Cyan Room: 3278 Blue Room: 1009 |
3DMARK | Time Spy: 3654 Fire Strike: 7821 |
PCMARK10 | OVERALL: 5518 Essentials: 8838 Productivity: 7404 Digital Content Creation: 6969 |
CINEBENCH R20 | CPU: 3117 Single Core: 478 |
FINAL FANTASY XV | 高品質: 3597(快適) |
FINAL FANTASY XIV | 最高品質: 8718(非常に快適) |
消費電力・騒音
参考までに、消費電力と騒音を計りました。
状態 | 消費電力 | 騒音 |
---|---|---|
停止時 | 0W | 31dB |
アイドル時 | 52W | 38dB |
低負荷(ブラウジング) | 57W | 41dB |
高負荷時(3DMARK) | 196W | 54dB |
CPUがブースト状態の時にのみ、ファンの音が極端に大きくなります。
電力測定
騒音
PCの中央から、高さ15cm、距離30cmの位置で測定。
まとめ
上部に取っ手がある特殊な形状のゲーミングPCです。取っ手のおかげで持ち運びは便利です。
WiFi・Bluetoothも内蔵していますので、電源ケーブル・ディスプレイケーブルさえつなげば、何処でも使えます。このサイズのPCとしては面白いコンセプトです。
・独特のデザインで持ち運びが便利。Wifi・Bluetooth内臓で、ケーブルもすっきり。
・メモリ・SSD・HDDへのアクセスは楽
・(GTX 1650のモデルでは)Oculus Rift S・Oculus Quest程度であれば、VRアプリは何とか動かせる
・デスクトップPCとしては拡張性がない
・(GTX 1650のモデルでは)高画質を謳っているアプリでは画質を落とす必要がある
・(GTX 1650のモデルでは)ハイエンドなHMDはあきらめた方が良い
このPCはケースサイズに比べると拡張性ありません。また、今回評価したGTX 1650搭載機種では、VRで楽しむにはちょっと力不足を感じます。購入するのであれば、GTX 1660 Tiを積んだモデルをお勧めします。
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