外付けGPUはOCuLinkとThunderboltのどちらで繋ぐ? 同じGPUで測り比べた|ミニPCに外付けGPU 第1話
ミニPCに外付けのグラフィックボードを繋ぐとき、繋ぎ方が2つあります。OCuLink(オキュリンク)と Thunderbolt(サンダーボルト)です。どちらを選ぶかで、買うドックが変わります。
調べると「OCuLinkの方が速い」と書かれています。帯域が 64Gb/s と 40Gb/s で、1.6倍違うからです。ただ、その差がローカルLLMの速度にどれだけ出るのかは書かれていませんでした。
そこで、同じグラフィックボード・同じドック・同じOSで、繋ぎ方だけを入れ替えて測りました。結果は、想像していたものとかなり違いました。
2026年7月時点の実測です。
使った機材
| 本体 | GMKtec EVO-X2(Ryzen AI Max+ 395 / ユニファイドメモリ128GB) |
| ドック | AOOSTAR AG03(OCuLink と Thunderbolt 5 の両方を持つ) |
| グラフィックボード | NVIDIA GeForce RTX 3060 12GB / NVIDIA GeForce RTX 5060 Ti 16GB |
| OS | Windows |
| 測定 | Ollama(API直叩き・文脈長32,768・生成上限256トークン) |
同じドックが両方の口を持っているので、ケーブルを差し替えるだけで繋ぎ方を変えられます。ドックの違いが混ざらない条件で比べられました。
ドックというのは、グラフィックボードを収めて電源を供給する箱のことです。今回使ったものはこれです。
その前に:OCuLinkは気軽に抜き差しできない
速度の話の前に、使い勝手の差があります。
OCuLinkは、パソコンの電源を落としてから繋ぐ必要があります。動いている最中に抜き差しすることは想定されていません。一方 Thunderboltは差すだけで、電源を入れたまま繋げます。
使わないときは外しておきたい、別のパソコンでも使いたい、という使い方だと、この差は毎日効いてきます。今回の測定でも、繋ぎ方を変えるたびに電源を落として、また立ち上げる、を繰り返しました。
では、その手間を払うだけの速度差があるのか。ここからが本題です。
文章を生成する速さは、どれだけ違うのか
3つのモデルで測りました。数値は「1秒あたり何文字ぶんを生成できたか」(tok/s)で、大きいほど速いです。
RTX 5060 Ti 16GB の場合
| モデル | OCuLink | Thunderbolt | 差 |
|---|---|---|---|
| phi4-mini | 133.21 | 130.32 | 2.2% |
| nemotron-3-nano:4b | 122.86 | 124.03 | -0.9% |
| qwen3:14b | 44.48 | 44.16 | 0.7% |
ほとんど変わりませんでした。nemotron-3-nano:4b にいたっては Thunderbolt の方が速く出ています。これは差が無いということです。
RTX 3060 12GB の場合
| モデル | OCuLink | Thunderbolt | 差 |
|---|---|---|---|
| phi4-mini | 105.74 | 99.76 | 6.0% |
| nemotron-3-nano:4b | 96.71 | 92.70 | 4.3% |
| qwen3:14b | 20.73 | 20.09 | 3.2% |
こちらは 3〜6% の差が出ました。ただし、この数字はそのまま受け取れません。
測定の途中で、まったく同じ条件(RTX 3060・Thunderbolt・phi4-mini)を2回測る機会がありました。結果は 99.76 と 103.11 で、3.4%ぶれていました。繋ぎ方の差として出ている 3〜6% と、同じ大きさです。
RTX 3060 で見えた差は、測定のばらつきに埋もれる程度だったわけです。速い RTX 5060 Ti で 1% 未満だったことと合わせると、生成の速さに繋ぎ方はほとんど関係していないと考えるのが自然です。
なぜ帯域が1.6倍違うのに、速度が変わらないのか
モデルをVRAMに載せてしまえば、あとはその中で計算が回ります。パソコン本体とやりとりするのは、入力した文章と、出てきた文章だけです。ケーブルを通るデータは、ごくわずかでした。
では、ケーブルの太さはどこで効くのか。
差が出たのは、モデルを読み込む時間だった
モデルをVRAMに送り込む場面は、ケーブルを大量のデータが通ります。ここを測りました。
| モデル | OCuLink | Thunderbolt | Thunderboltが遅い倍率 |
|---|---|---|---|
| phi4-mini(6.8GB) | 2.24秒 | 3.36秒 | 1.50倍 |
| qwen3:8b(9.5GB) | 2.44秒 | 3.81秒 | 1.56倍 |
| qwen3:14b(10.3GB) | 3.96秒 | 6.83秒 | 1.72倍 |
1.5〜1.7倍の差が出ました。そしてこの比は、カタログ上の帯域比(64Gb/s ÷ 40Gb/s = 1.6倍)とほぼ一致しています。
実際の転送速度に直すと、OCuLink が約 3.8GB/s、Thunderbolt が約 2.4GB/s でした。どちらもカタログ値の半分ほどですが、比率はカタログどおりです。
読み込みの速さは、グラフィックボードでは変わらなかった
もう一つ確かめました。速いグラフィックボードなら、読み込みも速いのか。
| モデル | RTX 3060 | RTX 5060 Ti | 差 |
|---|---|---|---|
| phi4-mini | 2.24秒 | 2.30秒 | 2.7% |
| qwen3:8b | 2.44秒 | 2.50秒 | 2.5% |
ほぼ同じでした。RTX 5060 Ti は生成の速さでは RTX 3060 の3割ほど上ですが、読み込みの時間は変わりません。
ここから、こう言えます。
速いグラフィックボードを買っても、読み込みの待ち時間は短くなりません。逆に、繋ぎ方を変えても生成は速くなりません。
ひとつ、大きな条件があります
ここまで Thunderbolt でも十分だと書いてきましたが、大前提があります。
この測定はすべて Windows で行いました。同じ機材を Linux で動かすと、Thunderbolt 経由では外付けのグラフィックボードが認識すらされません。OCuLink なら問題なく動きます。
この点は調べるのに丸一日かかったので、次回に分けて書きます。Thunderbolt を選ぶなら Windows を使う、という条件が付く点だけ、ここでは押さえておいてください。
まとめ:どちらを選ぶか
- 文章を生成する速さは、繋ぎ方でほとんど変わりません(速いカードで1%未満、遅いカードでも測定のばらつきに埋もれる程度)
- モデルを読み込む時間だけ、Thunderboltが1.5〜1.7倍かかります。カタログの帯域比どおりでした
- 読み込みの時間はグラフィックボードでは変わりません。繋ぎ方で決まります
- OCuLinkは電源を落としてから繋ぐ必要があります。Thunderboltは差すだけです
- Thunderboltを使うならWindows、という条件が付きます
ひとつのモデルを載せっぱなしで使うなら、取り回しを取って Thunderbolt を選ぶ手があります。いろいろなモデルを切り替えながら使うなら、読み込みの待ち時間が毎回1.5倍になるので、OCuLink の方が快適です。
なお、繋ぎ方よりもはるかに大きく効く要素があります。グラフィックボードのメモリ容量です。同じモデルでも、12GBに収まらず16GBに収まる場合、速度が2倍以上変わりました。この話は別の回で書きます。
本記事の数値は2026年7月時点・当環境(GMKtec EVO-X2+AOOSTAR AG03・Windows・Ollama)のものです。使うモデルや設定が変われば結果も変わります。
参考にしたサイト
記事で紹介した機材
今回測定に使った本体です。
グラフィックボードです。
NVIDIA GeForce RTX 5060 Ti 16GB:Amazon楽天Yahoo! NVIDIA GeForce RTX 3060 12GB:Amazon楽天Yahoo!グラフィックボードを収めたドックです。OCuLinkとThunderbolt 5の口を両方持っているので、今回のような差し替えができます。
OCuLinkとUSB4 V2の両方に対応したドックもあります。当窓では試していませんが、選択肢として挙げておきます。
MINISFORUM DEG2(OCuLink・USB4 V2 対応 eGPUドック)OCuLink 64Gbps + USB4 V2 80Gbps(TB5互換)
¥35,999 Amazon・2026-08-01調べ
本体側にOCuLinkの口が最初から付いている機種もあります。今回のようにM.2から引き出す手間が要りません(公称スペック。確認日2026年8月1日。当窓では実機を試していません)。










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