GMKtec EVO-X2実機検証:ローカルAIの速度はメモリ帯域で決まる〜RTX・Macと測り比べた
新しいPCやMac、ミニPCでローカルAIを動かそうと思ったとき、いちばん気になるのは「で、どれくらいの速さで動くのか」というところでしょう。これは買う前でも、カタログのスペックからかなりの精度で見当がつきます。鍵になるのは、CPUの速さでもコア数でもなく、メモリ帯域(メモリからデータを読み書きする速さ)という数字でした。手元の四台で実際に測って、確かめてみます。(実機での計測・2026年6月時点)
なぜ「メモリ帯域」で決まるのか
AIが文章を一文字(正確には一トークン)作るたびに、内部ではモデルの重み、つまり数十ギガバイトのデータをメモリから読み直しています。どれだけ速くメモリを読めるかが、そのまま生成の速さを左右します。計算の速さよりも、メモリを流し込む太さが効いてくる――専門的には「メモリ律速」と呼ばれる状態です。逆に言えば、メモリ帯域さえ分かれば、速度はおおよそ予測できます。
四台で測ってみた:速度を帯域で割ると、ほぼ同じ数になる
同じモデル(80億パラメータ=モデル内部の設定値が80億個ある小型モデル)を、性格の違う四台で動かし、生成速度をそれぞれの公称メモリ帯域で割ってみました。デバイスの種類はバラバラですが、結果は驚くほどそろいます。
| 機種 | メモリ帯域 | 生成速度 | 速度 ÷ 帯域 |
|---|---|---|---|
| RTX 3090(専用GPU) | 936 GB/s | 130 トークン/秒 | 0.139 |
| RTX 3060(専用GPU) | 360 GB/s | 61 トークン/秒 | 0.169 |
| ミニPC(統合メモリ128GB) | 256 GB/s | 40 トークン/秒 | 0.155 |
| Mac mini M4(base) | 120 GB/s | 19 トークン/秒 | 0.161 |
右端の「速度 ÷ 帯域」が、どれも0.14〜0.17のあいだに収まりました。専用GPUでも、ミニPCの統合メモリ(CPUとGPUが共有する大容量メモリ)でも、Macでも、種類に関係なく、速度はメモリ帯域にきれいに比例しています。
使い方:あなたの機材の速度を、買う前に見積もる
この比例関係から、ざっくりと次の目安が立ちます。小型モデルなら、生成速度はおおよそ「帯域 × 0.15」トークン毎秒です。手元のスペック表を見て、帯域の数字を0.15倍してみてください。
| 機種(帯域) | 予測される速度 |
|---|---|
| Mac mini M4 / 120 GB/s | 約18 トークン/秒(実測19にほぼ一致) |
| MacBook Pro M5 base / 154 GB/s | 約24 トークン/秒 |
| ミニPC(統合128GB)/ 256 GB/s | 約40 トークン/秒 |
| M5 Max / 614 GB/s | 約90 トークン/秒 |
大ざっぱな目安ではありますが、「この機械なら対話に十分か、それとも待たされるか」の見当をつけるには、これで足ります。読む速さがだいたい毎秒10トークン前後なので、それを超えていれば、対話の実用速度だと考えてよいでしょう。
気をつけたい三つの前提
この目安には、いくつか但し書きがあります。記事の正直さのために、ひとつずつ挙げておきます。
- これは「文章を書く速さ」の話です。長い文章を読み込ませて要約させるような「読む側」の速さは、計算量で決まるので別の傾向を示します。
- 同じ圧縮率(量子化)で比べること。モデルを4ビットに縮めるか8ビットにするかで、一回に読むデータ量が変わり、係数もずれます。同じ条件どうしで比べるのがコツです。
- 帯域は理論値で見ています。実際に使える帯域は、機種によって理論値の8〜9割ほどです。今回のミニPCも理論256に対して実測で215前後でした。
もうひとつ、Macには専用の高速エンジンがあり、この目安より速く出る場合があります。ここは実際に動かして確かめる価値のある余地です。
結論:選び方は、帯域と容量のどちらを取るか
ローカルAIの速度は、メモリ帯域でほぼ決まります。この一点を押さえておくと、機材選びがすっきりします。とにかく速く動かしたいなら、帯域の広い専用GPU。大きなモデルをとにかく載せたいなら、容量の大きい統合メモリのミニPCやMacが向いています。帯域と容量はトレードオフの関係にあり、どちらを優先するかで答えが決まります。次回は、では大きなモデルを載せられたとして“どれくらい賢いのか”、クラウドの最新モデルとどこまで肩を並べるのかを、実際に測って確かめます。
参考にしたサイト
- NVIDIA GeForce RTX 3090 Specs(TechPowerUp) — メモリ帯域 935.8 GB/s
- NVIDIA GeForce RTX 3060 Specs(TechPowerUp) — メモリ帯域 360 GB/s(192-bit × 15 Gbps)
- AMD Ryzen AI Max+ 395 製品ページ — 256-bit LPDDR5X-8000、理論 256 GB/s
- Chips and Cheese: AMD Strix Halo の概要 — 実測帯域は理論値を下回り 215 GB/s 前後
- Apple M4(Wikipedia) — base のメモリ帯域 120 GB/s
- Apple M5(Wikipedia) — M5 153.6 GB/s、M5 Pro 307 GB/s、M5 Max 460/614 GB/s
- Apple Newsroom: M5 Pro / M5 Max 発表 — 帯域の公称値






ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません