Steam Frame で、フェイトラ(目と口の追跡)は使えるのか?〜Baballonia(Project Babble)の対応状況を、公式の文書で調べた
Valve の VR ヘッドセット Steam Frame(スタンドアロン型・SteamOS で動く機種)は、すでに発売されています(発売日は情報源で食い違うため、この記事では書きません)。VRChat でアバターの目や口を動かす「フェイトラ(フェイストラッキング)」は、この機種でできるのでしょうか? 検索では「Baballonia(ババロニア)」や「SlimeVR」と組み合わせた調べ方が増えているため、公式の文書で調べました。
Steam Frame の仕様は、以前の記事(Valveの新VR HMD、Steam Frame は何ができる?)で、発売前に調べました。その記事で【未確認】だった「Baballonia が Steam Frame で動くか」を、発売後の公式の文書で確かめ直したのが、この記事です。実機は当ブログに無く、全編が調査です。
2026年10月20日時点の内容です。
- 1. この記事の位置づけ〜当ブログの既存記事との関係
- 2. 調べたこと〜範囲と情報源
- 3. 結果1: Steam Frame の中で動く Babble のソフトが、すでにある
- 4. 結果2: Steam Frame 向けの口用トラッカーは、発売前
- 5. 結果3: PC 側で動かす Baballonia も、Steam に出ている
- 6. フルトラ(SlimeVR)はどうか
- 7. 考察: フェイトラは「一部できる。完成はこれから」
- 8. 限界: この記事で確かめていないこと
- 9. まとめ: Steam Frame のフェイトラは、動く道があるが、試作と発売前が混ざっている
- 10. 参考にしたサイト
- 11. この記事で使った機材
この記事の位置づけ〜当ブログの既存記事との関係
フェイトラ・フルトラ・Steam Frame については、すでに当ブログに記事があります。重複を避けるため、この記事が扱う範囲を先に示します。この記事が確かめるのは、Steam Frame で目と口の追跡が使えるか、という1点だけです。発売後の公式の文書を読みました。
- Steam Frame の仕様や、他のヘッドセットとの比較 → Valveの新VR HMD、Steam Frame は何ができる?(この記事の前に読む記事。そこで【未確認】だった Baballonia の対応を、この記事で更新しました)
- Steam Frame で、SlimeVR などのフルトラの機器が動くか(Linux・ARM64 の壁) → フルトラの機器はLinuxでも動く?(この記事は目と口が中心です。体のトラッカーは、そちらに任せます)
- フェイトラの機器の選び方(Project Babble と EyeTrackVR の違いなど) → ゴーグルを被ったままアバターの表情を動かしたい(Steam Frame 以外のヘッドセットも含みます)
- フルトラ・フェイトラ全体の現状 → 【2026年版】フルトラ・フェイトラ最前線、予算別の組み方 → VRChat フルトラのおすすめ構成
読む順番は、Steam Frame の全体像(仕様の記事)→ この記事(目と口)→ 体のトラッカー(Linux の記事)、がつながりやすいと思います。フェイトラの機器の選び方から知りたい方は、先に3つ目の記事をどうぞ。
調べたこと〜範囲と情報源
- 調べたのは、Steam Frame で、目の動き(視線)と口の動きを、アバターへ送れるかどうかです。
- 一次情報として、Project Babble(顔の動きを読み取るオープンソースの活動)の公式サイトと GitHub、Steam ストアの Baballonia のページを読みました。
- 二次情報(検索で見つかった解説や、当ブログの過去の記事)は、一次と分けて書き、一次で確かめられなかった点は【未確認】としています。
- 当ブログでは、Steam Frame も Babble のトラッカーも持っていません。動かした結果は、1つもありません。
結果1: Steam Frame の中で動く Babble のソフトが、すでにある
Project Babble の GitHub に、「Babble Frame Runtime」(Steam Frame の中で動かすソフト)が公開されています(GPL-3.0 ライセンス)。説明によると、次のとおりです。
- Steam Frame のヘッドセットにある目用のカメラと、USB でつなぐ Babble の顔トラッカー(口の動きを撮る)から、目と口の表情のデータを取り出します。
- 取り出したデータは、VRChat などで表情を動かす中継ソフト(VRCFaceTracking)へ送ります。
- 目の表情は、まぶたの開き、見開き、瞳孔の大きさを、片目ずつ取ります。口は、無線のトラッカーから43個のブレンドシェイプ(表情の動きの部品)を取ります。
- 必要なものは、Steam Frame、Babble のフェイストラッカー、VRCFaceTracking の3つです。
- インストールは、Steam Frame のデスクトップモードで、公式サイトの1行のコマンドを実行する方法です。公式サイトには「Steam に登録される予定(Coming to Steam)」とあり、いまは手動のインストールだけです。
- 設定は、SteamVR の設定にある「Expression Tracking」から行います。
ただし、公式の説明に「作業中(Work in progress)」とあり、目と口の読み取りモデルは、試作の段階(prototypes)と書かれています。完成した状態ではありません。
結果2: Steam Frame 向けの口用トラッカーは、発売前
Project Babble の販売ページには、「Babble Mouth Tracker Pro」が載っています。「Steam Frame 向けに設計した(Designed specifically around Steam Frame)」とあり、カメラを2つ載せ、キャリブレーション(調整)が不要で、映像ではなく追跡データだけを送る、と説明されています。消費電力は、現行の機器の半分以下とのことです。
ただし、販売状況は「Coming Soon」で、時期は「2026年12月ごろ(Est. December 2026)」、価格は未定です。口の動きを入れるための、Steam Frame 向けの新しいトラッカーは、まだ買えません。現行の Babble トラッカー(USB 接続)は、Frame Runtime の必要なものに挙がっています。
結果3: PC 側で動かす Baballonia も、Steam に出ている
Baballonia(Project Babble の、目と顔の追跡ソフト)は、2026年2月14日から Steam で無料配布されています。対応 OS は Windows 10 以上と、SteamOS・Linux(Ubuntu 22.04 相当以上)です。VRChat、Resonite、ChilloutVR に使えます。
| やり方 | 動く場所 | 必要なもの | 状態(一次情報) |
|---|---|---|---|
| Babble Frame Runtime | Steam Frame の中 | Babble トラッカー(口)、VRCFaceTracking | 公開済み。試作モデル・手動インストール |
| Baballonia(Steam版) | PC(Windows/Linux) | Babble トラッカーなど | 2026年2月から無料。Steam Frame での利用は、この記事では確かめていない |
| Babble Mouth Tracker Pro | Steam Frame 向けの新トラッカー | Steam Frame | 販売前(2026年12月ごろの予定・価格未定) |
フルトラ(SlimeVR)はどうか
体に付けるトラッカーを使う全身追跡(フルトラ)の SlimeVR は、Steam のストアに、SlimeVR のサーバー(制御するソフト)が掲載されています(2026年5月21日リリース、Windows・macOS・Linux の Ubuntu 22.04 以上に対応)。
Steam Frame の単独で SlimeVR のトラッカーが使えるという解説は、検索で見つかりました(USB のドングルを Frame に付ける方法など)。ただし、SlimeVR の公式サイトの本文には、Steam Frame の記載が見つかりませんでした。一次情報で確かめられていないので、【未確認】とします。
考察: フェイトラは「一部できる。完成はこれから」
- Steam Frame の中で、目の動きと口の動きを、VRChat のアバターへ送る道は、すでにあります。ただし、試作モデルで、導入は手動です。
- 口の動きを読むには、現行では USB の Babble トラッカーが要ります。Steam Frame 向けの新しいトラッカーは、2026年12月ごろの予定です。
- 手軽さを求めるなら、2026年12月の Mouth Tracker Pro の発売後に、あらためて確かめるのがよいと考えます。いま試すなら、手動の導入や、試作モデルの精度を受け入れる必要があります。
限界: この記事で確かめていないこと
- Steam Frame、Babble のトラッカー、Frame Runtime を、当ブログでは動かしていません。精度、遅延、電池の持ちは、確かめていません。
- VRChat で、実際にアバターの目や口が動くかどうかは、確かめていません。
- Baballonia を、Steam Frame の上、または、Steam Frame とつないだ PC で使う場合の手順や制限は、確かめていません。
- SlimeVR の Steam Frame への対応は、一次情報で確かめられていません。
- Steam Frame の発売日と価格は、情報源によって日付が食い違っていたため、この記事には書いていません。
まとめ: Steam Frame のフェイトラは、動く道があるが、試作と発売前が混ざっている
Steam Frame の中で動く Babble のソフトは、公開されています。ただし試作で、導入は手動です。口の動きに必要な Steam Frame 向けの新しいトラッカーは、2026年12月ごろの予定で、まだ買えません。SlimeVR は、Steam Frame への対応を、一次情報で確かめられませんでした。実機で動かした結果が出たら、この記事に追記します。
参考にしたサイト
- GitHub: Project-Babble/Babble-Frame-Runtime(Steam Frame 向けのランタイムの説明)
- Project Babble: ダウンロード(Frame Runtime の導入手順・Steam 掲載予定の記載)
- Project Babble: Babble Mouth Tracker Pro(販売状況・特徴)
- Steam: Project Babble: Baballonia(リリース日・対応 OS)
- Steam: SlimeVR(リリース日・対応 OS)
- 当ブログ: フルトラの機器はLinuxでも動く?(体のトラッカーの対応)
- 当ブログ: ゴーグルを被ったままアバターの表情を動かしたい(フェイトラの機器の選び方)
- 当ブログ: Valveの新VR HMD、Steam Frame は何ができる?(発売前の調査)
この記事で使った機材
HaritoraX 2