3D Print 付属のビーカー用にロウトを作ってみた ELEGOO MARS
先日購入した3Dプリンター「ELEGOO MARS」で何が出来るのか試しています。今回は、付属のビーカー用にロウトモドキを作ってみました。
目的
光造形形式の3Dプリンターを扱うにあたっては、薬品のやり取りをするために、ビーカーを使うことになります。
余った樹脂のごみを取り除くために下記のストレーナーを購入していました。
が、3Dプリンターに付属していた100mlのビーカーに対して、ストレーナーの網目の部分が広すぎます。
このままでは樹脂が漏れてしまいますので、急遽ロウトのような物を作ることにしました。
使用したもの
3Dプリンター「ELEGOO MARS」
光造形形式の3Dプリンターです。3万円前後で、高精細な造形が作れるという事で購入してみました。
UV樹脂
何も考えずにクリアを選びました。
クリアとは言いつつ、UVで硬化すると、あめ色になります。
このメーカーのUV硬化樹脂は波長405nmの光で硬化します。405nmの光は青く見えます。つまりは青色を吸収してしまう素材だってことなので、完全に透明にならないのは、当たり前と言えば当たり前です。
モデル作成
使用したソフト
この手のモデル作成では、「Fusion360」一般に使われているようですが、個人的に使い慣れている「DesignSpark Mechanical」を使いました。
Fusion360 | DesignSpark | |
メーカー | Autodesk社 (CADの老舗ソフト会社) | ANSYS社 (物理シミュレーターの最大手) |
費用 | 個人:無料 商用:\61,600/年 | 完全無料(機能限定) 有料でaddonを追加できる |
Fusion360はCADで有名なAutodesk社製のソフト、DesignSparkは中身は物理シミュレーターで有名なANSYS社のソフト「SpaceCliam」の機能限定版です。RSコンポーネンツの商材の3Dデータが使え、そのまま部品が発注できるという商魂たくましいソフトでもあります。
モデルの思想
私にとっては、ELEGOO MARSでの作成は実質2つめのモデル作成です。
下記の思想で出来るだけ簡単に作ってみました。
- 細い方の口は、ビーカーやUV樹脂の口よりも細くする
- 広い方の口は、ELEGOO MARSの横幅の限界(68mm)よりも小さくする
- ストレーナーから出てきた液体が通れるように、内側に溝を作る
- 出来るだけ簡素なモデルとする
ELEGOO MARSが作る円の最大径は横幅の120mmとなりますが、かなりの時間がかかることになることから、今回はこの68mm縛りで作っていきます。
モデル
高さ36mm程度、外形66.5mm程度の物になりました。
エクスポートボタンから、「3Dプリンター用出力(stl」」を選択して、stl形式で出力します。
モデルが出来たら、「ChuiTuBox」でスライスします。
この大きさで約3時間かかります。露光の設定はDefaultよりも若干長くしてみました。
出来上がったもの
出来上がったのちに、サポートを取り除いた状態です。やはり、写真でいう上の部分に面が綺麗に出ていませんが、それ以外は、思った通りに出力されています。
外周がカクカクしていますが、これはデータの出力の問題です。DesignSparkからのstl出力時にもう少し高精度で出力すれば、円も綺麗になっていたのでしょう。
UVランプで2分間UVを当てました。あめ色に変わりますが、カチカチに固まります。
使用感
ビーカーの口に対しては若干大きい程度となりました。ちょっと小さくはありますが、許容範囲です。
ストレーナーの編地部分よりは大きく作れています。
ストレーナーに比べると、若干角度が広くなってしまいましたが、十分使えるでしょう。
DMM.make(Free)
使ったモデルをDMM.makeに置いてみました。
まとめ
今回は、ELEGOO MARSでビーカー用のロウトモドキを作成しました。
結果、簡単な図面ですが十分使えるものが出来たように思います。
ビーカーと今回作ったロウトは下記の場所に置いています。UV樹脂が付着していても、UVを通さないELEGOO MARS本体のケースの中に納まりますし、匂いも外に漏れません。
ビーカーをIPAで拭く手間が省けますので、お勧めです。
なお、今回も露光初期の面が綺麗に出力できませんでした。設定で何とかなる物なのかどうか、いろいろ試していきたいと思います。