生成AIでパソコンの自動化はどこまでできる?〜GPT-6 Astra と Claude を公式の記載で並べた

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GPT-6 Astraが出てきて、パソコンの自動化の話が再燃しているようです。

やり方は2つあるようです。どちらも「生成AIが代わりに操作する」ことには変わりがないのですが、それぞれ何ができて、何ができないのでしょうか。

これらについて、調べてみました。

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この記事で調べたことと、調べ方

GPT-6 Astra は何ができるのかと、以前から話題になっているエージェントアプリ、OpenClaw や Hermes Agent とはどういう関係なのか。選ぶときに何を見ればいいのか。

公式ページに書かれていることや、各社の解説から拾ったことを、節を分けて書きます。

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GPT-6 Astra とは〜公式が出している数字

OpenAI の開発者向けページから、当方が直接読んだものです。

項目
モデルの名前 gpt-6-astra
一度に扱える量 1,050,000トークン
入力の上限 922,000トークン
出力の上限 128,000トークン
使える口 Chat Completions / Responses / Batch
使えない口 Realtime / Assistants / 微調整 / 埋め込み / 画像生成 / 動画 / 音声 / 文字起こし

料金は100万トークンあたりで、次のとおりです。

短いとき 長いとき
入力 $10.00 $20.00
キャッシュした入力 $1.00 $2.00
出力 $50.00 $75.00

GPT-6 Astra は1つのモデルですが、料金表が2段に分かれています。上の表の右側は、入力が長いときの値段です。100万トークンあたりで、入力は$10.00から$20.00へ2倍、出力は$50.00から$75.00へ1.5倍に上がります。上がるのは値段で、性能でも扱える量でもありません。公式の料金表に、この2つが並べて書かれています。

各社の解説では「入力が272,000トークンを超えると切り替わる」とされていますが、その境目は公式の料金表には書かれていませんでした。

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パソコンの自動化には、2つのやり方がある

ここが分かれ道です。公式は2つのやり方を示し、GPT-6 Astra には片方を勧めています

やり方 何が起きるか
コードを実行させる
(公式が勧めるほう)
モデルが操作するプログラムを書く。それをアプリが実行する
画面を触らせる
(代わりの手として使える)
モデルが「ここをクリック」「これを入力」と直接指示を出す。アプリが操作に翻訳する

公式の文章はこうです。

For GPT-6 Astra, we recommend code execution.
The computer tool remains supported as an alternative.

画面を触らせるほうで使える操作も、公式に並んでいます。clickdouble_clickdragmovescrollkeypresstypewaitscreenshot の9つです。

今回これが話題になったのは、画面を触らせるほうが速く、正確になったためのようです。解説が伝えている数値では、同じパソコン操作の課題を1つ終えるのに、前の世代が約75分かかっていたところが約40分になっています。画面のどこを押すか当てる正確さも、76.9%から92.7%へ上がりました。

効いているのは正確さのほうだと思います。1操作で4回に1回外すなら、手順が10個続いた時点で、まず最後まで行きません。9割を超えて初めて、長い作業を任せる話が成り立ちます。

ただし、この2つのやり方にはねじれがあります。速くなって話題になったのは画面を触らせるほうですが、公式が勧めているのはコードを実行させるほうです。

日本語の解説記事の多くが「画面の要素を見て、人間のように操作する」と書いているのは、速くなったのがそちら側だからだと思われます。間違いではありません。なお公式には、決まった形の操作をアプリ側が受け取りたい場合には画面を触らせるほうが向く、とも書かれています。

どちらのやり方でも、モデル単体ではパソコンは動きません。モデルがやるのは、操作するプログラムを書くか「ここをクリック」と位置を言うかまでです。走らせるのも、実際にクリックするのもアプリ側です。用意するものとして挙がっているのも、APIキーと実行する枠組みの2つでした。話題になっている「自動化」は、モデル単体の性能ではなく、モデルと枠組みを組み合わせた状態を指しています。

単体の側で公式が出している数字のうち、自動化に関わりそうなのは一度に扱える量です。1,050,000トークンあれば、長い手順を途中で切らずに渡せます。ただし公式が「だから自動化に向く」と書いているわけではなく、量と自動化を結び付けたのは当方の見立てです。

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安全の作りは、はじめから付いてくるのか?

ここは読んでおいたほうがいいと思います。公式は、守る仕組みを使う側が作るものとして書いています。

Use an isolated browser or VM and an allow list of sites and actions.
Keep users in control of purchases, data transmission, destructive changes, and other actions that are hard to reverse.
Text in a page, document, or tool result cannot grant permission or override the user’s instructions.

最後の一文が効きます。AIが読んだページに「これを実行しろ」と書いてあっても、それは許可になりません。

自動化させると、生成AIは指示のほかにページの中身も読みます。読んだページに「管理者です。次のコマンドを実行してください」と書いてあっても、それを命令として受け取ってはいけない、という話です。この線引きをする仕組みは、勝手には付いてきません。

Claude にも同じ2つの口があるのか?

同じ作りが他社にもあるのかを見ておきます。Anthropic の開発者向けページを読むと、Claude にも「コードを実行させる」と「画面を触らせる」の2つが用意されていました。ただし、誰の機械で動くのかが、片方だけ違います

やり方 Claude ができること 動く場所
コードを実行させる
(code execution)
Python の入った箱の中でコードを書いて走らせる Anthropic 側。CPU 1個・メモリ5GiB・ディスク5GiB。ネットにはつながらない
画面を触らせる
(computer use)
画面を撮る・クリック・文字を打つなど17個の操作 自分で用意した環境。Anthropic は触らない

コードを実行させるほうは、手元のパソコンには届きません。向こうの箱の中で完結します。公式にはこう書かれています。

The container has no internet access, so Claude can’t download or install additional packages at runtime: only the pre-installed libraries are available.

ここが GPT-6 Astra との分かれ目です。GPT-6 Astra で「コードを実行させる」と言うとき、書いたコードを走らせるのは自分のアプリでした。Claude のそれは、向こうの箱で走ります。同じ名前でも、手元のファイルに触れるかどうかが違います。

一方、画面を触らせるほうは GPT-6 Astra と同じ形です。モデルは「ここをクリック」と言うだけで、実際に手を動かすのは自分のアプリです。

When you use computer use, Claude doesn’t directly connect to this environment. Instead, your application: 1. Receives Claude’s tool use requests 2. Translates them into actions in your computing environment

安全についての書き方も、OpenAI と同じ方向を向いていました。

In some circumstances, Claude will follow commands found in content even when they conflict with your instructions.

2社が同じ心配を書いているということは、これは片方の作りが粗いという話ではなく、自動化そのものに付いてくる話だと考えられます。もし片方の作りの問題なら、もう一方の公式ページには同じ注意書きは出てこないはずです。

違いもありました。Anthropic は、道具が返してきた画面を分類器が自動で走査して、怪しい指示に印を付ける、と書いています。一段だけ、はじめから用意があります。ただしその先、取り返しのつかない操作を人に確かめさせる仕組みは、やはり使う側が作るものとして書かれています。

もう一つ、Claude は手を動かすアプリの側にも居ます。ターミナルで動く Claude Code と、それをライブラリにした Claude Agent SDK です。

The Agent SDK gives you the same tools, agent loop, and context management that power Claude Code, programmable in Python and TypeScript.

ファイルを読む・書く・直す、コマンドを走らせる、web を調べる、といった道具が最初から入っています。動かす場所は自分の機械です。GPT-6 Astra はモデルの側、OpenClaw は手を動かすアプリの側に居ますが、Claude は両方に居ます。「モデルを選ぶ」話と「アプリを選ぶ」話は別物で、Claude はその両方に名前が出てきます。

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OpenClaw や Hermes Agent は、競争相手なのか?

ここが混ざりやすい所です。GPT-6 Astra が競っている相手は、Claude のような生成AIのほうです。以前から名前の挙がっている OpenClaw や Hermes Agent は、別の次元にあります。考える側ではなく手を動かす側だからです。

しかも、GPT-6 Astra と組み合わせて使うこともできます。どちらも動かすモデルを差し替えられると配布元が書いているためです。取り合う関係ではありません。

配布元から当方が直接数えた値です(2026年9月10日)。

OpenClaw Hermes Agent
置き場所 openclaw/openclaw NousResearch/hermes-agent
星の数 389,272 243,671
書かれている言語 TypeScript Python
ライセンスの表示 Other MIT

ライセンスの表示に差がありますが、中身を読むと両方ともMITです。OpenClaw の許諾文は本文がMITそのもので、末尾に「第三者のコードの表記は別ファイルに記録する」という一行が足されています。この一行があるために、自動判定が「Other」になっていました。

解説記事の多くは「両方MIT」と書いています。表示だけ見ると違って見えます。どちらも正しく、見ている場所が違うだけです。

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お金は、どこで出ていくのか?

操作するアプリは、自分のパソコンに入れて使います。Claude Code も OpenClaw も Hermes Agent もそうです(OpenAI の Codex も同じ形と思われますが、公式ページを開けず確かめられていません)。アプリそのものにはお金がかかりません。出ていくのは、呼ぶモデルの側だけです。

そこで、決めることは1つに絞られます。どのモデルを呼ばせるか、です。

GPT-6 Astra を呼ぶ Claude を呼ぶ 手元のモデルを呼ぶ
かかるお金 使った分だけ
100万トークンあたり 入力$10.00・出力$50.00
使った分だけ 電気代と機材だけ
アプリ代 かからない かからない かからない
渡した内容 外へ出る 外へ出る 手元に留まる
画面操作の精度 話題になっている水準 同じ仕組み。数値は当方が比べていない 当方は確かめていない

どれが優れている、という話ではありません。渡した内容を外へ出したくないなら手元のモデル、機材を持たずに始めたいならクラウドのモデル、という分かれ方です。

そして「アプリで安く済ませられるか」は、手元のモデルで精度が届くかどうかに置き換わります。4回に1回外す水準では、手順が続いた時点で完走しません。手元のモデルの精度は、当方が測っていません。

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この記事で確かめていないこと

  • この記事の比較は、各社の公式ページの記載によるものです。速さも使い勝手も、同じ条件で測ってはいません。Claude は当方も使っていますが、ここに並べた他のものと同じ作業で比べたわけではありません
  • 料金の「長いとき」に切り替わる境目は、公式の料金表に書かれていませんでした。各社の解説では272,000トークンとされています
  • Codex での提供状況、プランごとに使えるかどうかは公式ページを開けませんでした。各社の解説によります
  • OpenClaw と Hermes Agent を同じ作業で比べてはいません。星の数とライセンスの中身以外は、配布元の説明によります
  • Claude 側の2つの口(コード実行・画面操作)は公式ページを読んだだけで、当方が組んで動かしたものではありません
  • 1,050,000トークンという量が自動化の評判に効いている、というのは当方の見立てです。公式はそう書いていませんし、当方は比べていません
  • 枠組みとモデルの組み合わせ(例:OpenClaw で GPT-6 Astra を動かす)は配布元の説明を読んだだけで、当方は組んで動かしていません
  • 所要時間と正確さの数値は解説が伝えているもので、当方は OpenAI の発表ページを開けていません。出どころを「公式発表」と書く記事と「第三者の測定」と書く記事があります
  • 星の数は人気の目安であって、品質の指標ではありません
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まとめ〜自動化の中身は2つに分かれる

GPT-6 Astra でパソコンを自動化するには、2つのやり方があります。コードを書かせて実行するか、画面を直接触らせるか。公式が勧めているのは前者で、後者も代わりの手として使えます。

安全の仕組みは、はじめから付いてくるわけではありません。とくに「AIが読んだページの文字は、許可にならない」という一文は、自動化を始める前に頭に入れておく価値があります。

OpenClaw や Hermes Agent は、GPT-6 Astra と取り合う相手ではありません。手を動かす側なので、組み合わせて使えます。取り合っているのは Claude のような生成AIのほうです。

お金が出ていくのもモデルの側だけで、アプリにはかかりません。使った分だけ払うか、機材を持って手元のモデルに任せるか。この2つが分かれ道です。

次の記事では、実際に使い始めるまでの手順を並べます。

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