VR本レビュー:『VRは脳をどう変えるか? 仮想現実の心理学』 ~VRはメディアの概念を変えると教えてくれる本~

2019年7月24日

スタンフォード大学の心理学・コミュニケーション学の教授が書かれた本です。20年にわたり研究なされたVRが心に与える影響について書かれています。

VRに関わる方は、読んでおくべき本ではないでしょうか。

内容

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著者など

著者ジェレミー・ベイレンソン (著)
倉田幸信(翻訳)
発売日2018/8/8
出版社 翔泳社

本の位置付け

スタンフォード大学の心理学・コミュニケーション学の教授が書かれた本です。

ソフトウェア的・ハードウェア的に、さまざまなVR体験を被験者に行い、人の心がどう動くのか検証し、その結果をわかりやすく書かれています。

専門書ではなく、一般的な読み物といった位置付けでしょう。

内容

心理学やコミュニケーションの観点から専門家が書いた本です。

VRの技術ではないので、その手の専門知識が無くてもすらすらと読めます。

■序 章 なぜフェイスブックはVRに賭けたのか?
■第1章 一流はバーチャル空間で練習する
■第2章 その没入感は脳を変える
■第3章 人類は初めて新たな身体を手に入れる
■第4章 消費活動の中心は仮想世界へ
■第5章 二〇〇〇人のPTSD患者を救ったVRソフト
■第6章 医療の現場が注目する“痛みからの解放”
■第7章 アバターは人間関係をいかに変えるか?
■第8章 映画とゲームを融合した新世代のエンタテイメント
■第9章 バーチャル教室で子供は学ぶ
■第10章 優れたVRコンテンツの三条件

VRは脳をどう変えるか? 仮想現実の心理学

本書では、VR体験による心の動きについて書かれています。

筆者が大学で様々なVR空間を作り上げています。前述したように、ソフトウェア的・ハードウェア的に、被験者に対してどのような心への影響があるのかを検証しています。

教育や心の医療など、VRが有用な様子が生き生きと書かれています。

筆者の記載としてはVRをポジティブに捉えており、VRを用いれば世界にどのように言い影響を与えることが出来るのか、考えさせられる内容となっています。

おすすめ度

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おすすめ度★★★★★
個人的満足度★★★★★

VR機器やコンテンツを作成される方は、まずこの本を読んでいただきたい。

本やビデオ等、今までのメディアと比べて、VRは決定的に異なる点として、体感した人が”経験”として捉えると言った点を上げています。

このVRによる経験について、いろいろな角度から実験を行い、人の心理にどのような影響を与えるのかを調べています。

VR機器やコンテンツをついて携わる方にとっては、本書の内容は「何をどうすれば心に刺さる物になるのか」という道祖神的な本となるでしょう。

所感

本書を見ると、VRは脳に体験を与える全く新しいメディアであると書かれています。

私自身、360度カメラで始めて子供の運動会を撮影した時にこのことを思いました。VRゴーグルを着けて映像を見ると、運動会に戻ったかのような感覚を得られます。運動場の向こう側の数ドットしかない我が子が判別できるのは、脳が情報を補完しているのでしょうか。

私自身、上記の様な経験から、VR映像に可能性を感じていたので、本書な何かと納得しながら読めました。

また、私自身VR動画をアップして楽しんでいるわけですが、その意義などを考えさせられました。

さて、本書はVRで人の心はどう動かされるのかと言うことを書かれています。

逆に言うと、本書の内容をVRで人の心の動かし方がある程度分かってきます。これは、悪用すれば人の心を操ることが出来る可能性を秘めているとも考えられます。

VR体験で、「何がどうなったら、何を感じると言われている」ということを知ることで、VR体験に対して、客観的に見ることが出来るようになるかと思います。悪意から身を守るためにも、こういった知識は身につけておくべきなのではないでしょうか。