VR本レビュー:『VR原論』 ~VR技術の歴史書~
世の中で最も古いVR本である「人工現実感の世界」(1991年出版)を丸々詰め込み、更に加筆された内容です。
VRに関わりたい方は一度は読んでおいて損はない本です。
内容
著者など
著者 | 服部 桂 |
発売日 | 2019/5/22 |
出版社 | 翔泳社 |
本の位置付け
著者は新聞記者という立場から、いろいろな研究機関に取材を行って、1991年までのVR技術の動向を調べて記載されています。
専門書ではなく、一般的な読み物といった位置付けでしょう。
内容
専門家が書いた技術書ではないため、専門知識が無くてもVRの歴史書として読めます。専門用語も注釈が入っているため、読みやすいです。
また、ほぼ1991年当時の体裁で書かれているため、注釈が時代を表していて面白いです。
一例を挙げますと、
マルチメディア
コンピューターを使ってテキストばかりでなく、動画や音声までも扱えるようにしたシステム全般を指す。最近のテクノロジーの進歩で、パソコンや通信システムがこうした多様な情報を扱えるようになっている
VR原論
一般向けのPCでマルチメディアが騒がれたのはWindows95の時代だったかと思います。今では当たり前過ぎて、逆に注釈が必要になりそうですね。
内容としては、1991年当時のVR技術の動向が記載されています。
30年前に今手元にあるVR180 Creator技術の基礎は出来ていたことがよく分かります。
おすすめ度
おすすめ度 | ★★★★☆ |
個人的満足度 | ★★★★☆ |
VR技術の進歩を知りたいならば、この本は必読なのではないでしょうか。
ただ、注意しなくてはいけない点として、この本は一般書であって専門書ではない点です。この本は技術の動向は語られていますが、技術の内容は一般的な物しか書かれていません。
個人的には加筆部分の内容がちょっと薄いように思いましたが、1991年当時の部分は大満足でした。
所感
この本を見ると、現在の数あるVRゴーグルは、1991年当初から”正当進化”しているように感じられます。
私が今使用しているOculus Rift SやOculus Questと言ったVRゴーグルの基本的な思想は、30年前に既に形となっており、周辺技術の進歩により製品化したものであると改めて思います。
これら低価格帯のVRゴーグルの出現が、本書の鼎談に記載されているマッキントッシュのような役割を果たす物と考えています。
30年前の状態を知ることで、今から起こる時代の流れがより感慨深い物になるのではないでしょうか。
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