VR本レビュー:『VRコンテンツ開発ガイド 2018』 ~薄く広い技術動向書~

2019年8月1日

2018年7月地点でのVR関連の技術動向をまとめた本です。

複数名の著者がそれぞれの立場で、VRコンテンツの開発をどういった考えで行っているのかがかかれています。

内容

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Kindle unlimited対象です(2019/8/1)

著者など

著者あるしおうね/岡田和也
ゆーじ/Gugenka 三上昌史
Gugenka 姫路拓也/Gugenka 五十嵐拓也
Gugenka 竹石満里奈/ウダサン(宇田川祥彰)
吉高弘俊/神山大輝
発売日2018/8/28
出版社エムディエヌコーポレーション

本の位置付け

10名の著者がそれぞれの分野について記載しています。

技術動向書の体をとっており、一般的な知識から開発の概念の部分まで、薄く広く書かれています。

内容

複数名の著者によって書かれています。このため、各チャプターは独立した読み物となっています。

この体裁のため、各チャプターは広く浅い内容となっています。内容の深掘りをするような本ではなく、業界の技術動向を知るための本と思った方が良いでしょう。

各チャプターは下記の通りとなっています。

■Chapter 1
デバイスの技術面から見たVRコンテンツ制作の現状と未来 
あるしおうね

■Chapter 2
Unreal Engine 4によるARコンテンツ開発入門 
岡田和也

■Chapter 3
Windows Mixed Reality入門 
ゆーじ

■Chapter 4
モバイルVRの概要・3DCG・デザイン・実装 
Gugenka 三上昌史/姫路拓也/五十嵐拓也/竹石満里奈

■Chapter 5
VRコンテンツをデザインするうえでの覚え書き 
ウダサン(宇田川祥彰)

■Chapter 6
VRにおけるサウンドのプレゼンスと実装方法 
吉高弘俊・神山大輝

VRコンテンツ開発ガイド 2018

おすすめ度

おすすめ度★★★☆☆
個人的満足度★★★★☆

2018年7月までの内容となっていますが、技術的な考え方などは今現在(2019年8月)ともそう違いは無いでしょう。

この内容が、Kindle unlimitedの読み放題で読めるのは良いですね。逆に言うと、読み放題でなければ、\3,000出せるかというと、ちょっと厳しい内容かと思います。

目次を見て気になるチャプターがあるのならば、見てみる価値はあるでしょう。

ただ、最新の動向を知る、という意味ではこの手の本は、時間が経つに従って情報の価値が下がっていきます。もし、興味のある分野の専門書が新しく出ているのならば、そちらの方を読んだ方が、内容も深くなっているはずです。

内容に興味が持てるのであれば、専門書が出るまでのつなぎとしては良いでしょう。

個人的には興味があったChapter1やChapter6は興味深く読めました。

所感

Kindle unlimited対象ということで、読んでみました。

今後のHMDの展望(チャプター1)や、個人的に先日来180度3D動画で苦労していた3Dオーディオの考え方(チャプター6)などは、既知の内容もありながらも興味深く読めました。

この本は、Oculus Questの様なスタンドアロン型のデバイスの話が載っていませんでした。この1年で技術云々はともかくとして、市場動向はかなり変化したのではないかと思います。今が市場の立ち上がりの潮目で、これからどんどん、ハードもソフトも進化していくのだろうと思いながら読むと、感慨深い物がありました。

また、この手の連続性の複数の内容が書かれた本は、「興味のない分野でも、薄っすらと目を通す」という利点があるかと考えています。

良く「隣の人の仕事が後になって自分を助けるという事がある」というような事がありますが、流し読みでも、自分の理解の幅を広げるために役に立っていることでしょう。