ミラーレスまで対応のジンバル ZHIYUN Crane M2 は180度3Dカメラでバランスが取れるのか
180度3Dカメラを2台使って、360度3D動画を記録できないかと試みる一環として、ジンバルを新調致しました。Vuze XRやQooCamと言った180度3Dカメラはカメラとしてはジンバル泣かせな特殊な形をしています。
本稿では普通(?)に1台ずつの180度3Dカメラでバランスが取れるのかどうか見てみましたので、まとめます。
ZHIYUN Crane M2
可搬重量(ペイロード重量)720gまでと、ミラーレス一眼まで載せることが出来るジンバルとしては、トップクラスの軽量な商品です。
対抗馬
本来の対抗馬としては、下記の二つが考えられます。本稿では残念ながら、下記の2つについては取り扱いません。
Feiyutech G6 PLUS
PILOTFLY TRAVELER
※Amazon・楽天で取り扱いなし(2019/10/1時点)
ZHIYUN Crane M2 | Feiyutech G6 PLUS | PILOTFLY TRAVELER | |
重量 | 500g | 663g | 630g |
可搬重量 | 720g | 800g | 750g※1 |
税込み価格 (2019/10/1時点) | \32,400 @Amazon | \34,534 @Amazon | \45,650 @代理店 |
※1:モーターペイロード1250gに対して、カウンターウェイトを用いているため、750gまでとのこと。
内容物確認
薄手のカビのケースから出すと、直ぐに黒いウレタンケースが出てきます。
ケースのサイズは、ザックリとサイズを測ると265mm×163mm×78mm。
Insta360 EVOと並べてみましたが、かなり小さくまとめられています。
改めて中身を確認してきます。入っていたものは、以下の通り。
- 本体
- ケース(ウレタン)
- スマートフォン用フォルダー
- クイックリリースプレート
- 1/4ネジ
- ミニ三脚
- USB Type-cケーブル
- ストラップ
- 説明書
本体はハンドル部分はプラスチック、駆動するアームの部分は金属製(アルミでしょうか)でかっちりとしている印象です。
SNOPPA ATOMと比較
スマートフォン用ジンバルでありながら、可搬重量310gと同クラスのジンバルと比較して応用が利くSNOPPA ATOM。
この耐荷重を見越して、ATOMで180度3D動画を撮影して楽しんでおりました。
収納時サイズ感
収納時の状態は、スマートフォンに特化しているSNOPPA ATOMの方が小さくなります。
SNOPPA ATOM | ZHIYUN Crane M2 |
178 × 108 × 50 mm | 232 × 140 × 62 mm |
この辺りは、SNOPPA ATOMの機構の秀逸さを感じます。
ケースに入れると、SNOPPA ATOMの方が体積としては約1/4程度になるようです。SNOPPA ATOMは巾着に入れるだけなので、本体と大きさは変わりません。一方、ZHIYUN Crane M2はウレタンケースに収納します。
SNOPPA ATOM | ZHIYUN Crane M2 |
178 × 108 × 50 mm | 265 ×163 ×78 mm |
使用時サイズ感
次に、使用時のサイズを見てみます。驚くべきことに、両者ともほぼ変わらない程度に小さいです。
SNOPPA ATOM | ZHIYUN Crane M2 | |
大きさ | 300 × 120 × 60 mm | 250 × 120 × 110 mm |
重量 | 440g | 500g |
可搬重量 | 310g | 720g |
SNOPPA ATOMは可動部のアームがプラスチック、一方ZHIYUN Crane M2は金属製です。結果、SNOPPA ATOMは重心がハンドル部分にあるだと考えられますが、パッと持った感じでは、SNOPPA ATOMの方が数段軽く感じます。
とは言え、使用時の本体サイズがZHIYUN Crane M2はミラーレス(~720g) まで載せることが出来る一つ格上のジンバルであることを考えると、この小ささは驚異的と言えるのではないでしょうか。
数字に表れない使用感
SNOPPA ATOMに比べて、ZHIYUN Crane M2はしっかりしているといった印象です。
まず、アームの素材が、SNOPPA ATOMがプラスチック、ZHIYUN Crane M2は金属という事で、剛性が異なります。
また、各軸を制御しているサーボモーターの出力がZHIYUN Crane M2の方が高くなっているために、階段などでの撮影時に揺れが少なくなっているように感じます。衝撃に対して余裕があるのでしょう。
モーターの音は、SNOPPA ATOMに比べて、ZHIYUN Crane M2の方が音量が小さく高めの音となっています。VRマイクH3-VRを用いて撮影していますが、ショック吸収マウントを使用すれば、両者も共にモーター音は気になりません。
180度3Dカメラを付けてみる
Insta360 EVO
まずは、個人的に最近よく使っているInsta360 EVOを付けてみます。
バランスが取れる位置を探す
そのままの状態でInsta360 EVOを付けようとしましたが、Insta360 EVOが小さすぎて、高さ方向の重心バランスが取れません。
下記のようにスペーサーを噛ませると、何とかバランスが取れました。
Insta360 EVOの1/4″ネジ穴は、向かって左寄りによっているため、下の写真の赤矢印の部分がどうしても開いてしまいます。本来は、この部分は左のチルトモーター部分に接触させた方が安定させるのですが、構造上難しそうです。
今回は仮止めとは言え、クイックリリースプレートとInsta360 EVO本体が平行になっていません。平行がちゃんと出る
なお、バランスをとった状態では、チルト制御用モーター部分が映り込むでしょう。
アクションカメラっぽい構成にしてみる
手持ちのアクションカメラ向けのマウンターを用いて、バランスをとってみました。
使用したマウンターは、そのものずばりというわけではないのですが、下記のタイプの物です。
このタイプのマウンターを使うことによって、カメラを若干前にスライドさせることが出来ました。
結果、チルト制御用モーターの映り込みが低減されています。
とは言え、Insta360 EVOでジンバルを使用するのならば、SNOPPA ATOMで十分なのではないでしょうか。
Vuze XR
カメラとして、独特の形状をしているVuze XR。SNOPPA ATOMやSNOPPA Kylin Mでもバランスを取るのに苦労しました。
スマートフォンっぽくバランスを取ってみる
取り敢えず、下の矢印で示しているように、付属のスマートフォン用フォルダーに、自作でSNOPPA ATOM用にマウンターを使って、バランスを取ってみました。スマートフォン用のためか、簡単にバランスが取れました。
が、ZHIYUN Crane M2は、SNOPPA ATOMと違って、スマートフォン用の縦撮影モード(90度ロール)がありませんでした。
結果、この方法は全くナンセンスでした。
同様に、スマートフォン用フォルダーを使って試行錯誤してみましたが、純正のクイックリリースプレートありきでは、どうしてもバランスが取れません。高さの重心を意識すると重心が前に行きすぎ、前後の重心を意識すると、高さの重心が高すぎます。
重りで何とかしのいでみる
Vuze XRとジンバルの相性的に一番難しい点は、Vuze XRの重心の高さにあります。
ZHIYUN Crane M2くらい小さいジンバルになってくると、高さの調整幅が小さくVuze XRの重心が上により過ぎてしまいます。
弱に言うと、下側がもっと重くなれば何とかなる可能性があります。
手元にある1/4″ネジ系をもりもりとクイックリリースプレートにねじ込んでみましたところ、バランスを取ることが出来ました。
とは言え、下方向にモリモリと出っ張ってしまっていますので、角度によっては、パン制御用のアームの固定部分に鑑賞してしまいます。
今回重りとして使用したネジ群の重さは57g。現実的には、クイックリリースプレートに銅板などの重い物を挟み込んであげる形となるのではないでしょうか。
クイックリリースプレート自身は、持ち運び時には重りを付けた状態で取り外すことが出来ますので、一度バランスが取れれば、再セットアップは難しくありません。
QooCam
こちらも、Vuze XRと同様に独特の形状であるQooCamは、ジンバルでバランスのとりにくいカメラです。
こちらも、Vuze XRと同様に重りを付けることによって、バランスを取ることは出来ました。
まとめ
ミラーレスまで載せることが出来るシンバル ZHIYUN Crane M2 を購入しましたので、手持ちの180度3Dカメラでバランスを取ってみました。
結果としては、
工夫次第で何とか使える
と言った印象です。
Vuze XRとQooCamは下側に何とか重りを付けないとバランスが取れません。
Insta360 EVOは高さ調整さえできれば簡単に使えます。コンパクトデジカメに形状が近いため、より扱いやすい印象です。
が、個人的には、Insta360 EVOにジンバルを使うなら、SNOPPA ATOMで良いのではないかと思いました。