Insta360 EVO を2台使って360度3D撮影は出来るのか? その1

2019年10月6日

180度3Dカメラ2台を用いて、一般向けVRカメラで疑似的に360度3D映像が撮れるのか、ということを試しています。

今回は、Insta360 EVOを2台使って360度3D映像が撮れるかどうか試してみましたのでまとめます。

Insta360 EVOを2台つなげる

Insta360 EVOを手に取ったことがある方なら1度は思ったことがあるはず。

「前後に2台付くんじゃない?」

好奇心鍛えきれず、やってみました。

若干、真ん中のヒンジの部分が出っ張っており、カメラが沿ったような付き方をしていますが、思ったよりもフィットしています。

この状態で撮影したら360度3D映像が撮れそうな気がします。

事前テスト

下記の記事に事前に行ったテストをまとめています。ご参考までに。

この時の結論としては、下記の通り。

一般向けVRカメラで360度3D映像が作れるかどうか

・360度カメラでは、360度3D映像の作成は困難
・180度3Dカメラを用いれば、360度3D映像が作成できる可能性がある

テスト撮影

カメラ2台を使って360度撮影するわけですから、当然撮影者が入ってくることとなります。360度撮影を行ったことがある方なら経験あるかと思いますが、手持ちで撮影すると、撮影者が巨大に映り込みます。画面の1/4くらいを撮影者が締めます。

また、1台のカメラで行った前記のテスト環境に比べて、今回の撮影では前後のカメラの距離が離れています。

これらを踏まえると、下記の3点が問題となってくると考えました。

  • 2台のカメラの映像をつなぐ部分、所謂ステッチ(スティッチ)には難があるだろう。
  • ステッチ部分はもともと立体視しにくい外周部分となる。
  • 撮影者が巨大に入り込む

まずは、下記のようにジンバルなしの構成で撮影してみました。

消すことになる撮影者をステッチ部分に持ってくれば、カメラの美味しいところが使えると考えました。

正面と背後がステッチがひどくなるなるはずです。開けた場所を歩く分には正面のステッチは何とかなるのではと漠然と考えていました。

使用した機材は、下記の通り。撮影時には適切なジンバルを持っていなかったので、ジンバルなしです。Insta360 EVOは強力な手振れ補正「FlowState」があるので何とかなるだろうという考えです。

  • Insta360 EVO 2台
  • H3-VR
  • Velbon ULTRA STICK
  • ライトスタンド用ホルダー

使用したホルダーのメーカーは忘れましたが、下記の物と似たようなものです。

撮影結果

FlowStateが使えない

FlowStateは、Insta360シリーズの持つ強力な手振れ補正機能です。

撮影した映像をInsta360 Studio 2019に読ませて、Projection Typeを「VR360 3DLegt Eye on Top」に設定します。

すると、カメラで映した魚眼映像を正距円筒法に変換した映像が表示されます。当然隣のカメラが映り込んでいます。

映像を進めていくと分かりますが、この映り込みの位置が動いています。カメラを左右に振った時には、横方向に移動しますし、カメラを縦に振った時には縦に移動します。回転させてしまったときには、左右のカメラがそれぞれ逆方向に移動します。

撮影した映像に対して手振れ補正を行う際に、急激な動きを軽減するために、映像自身にパン・チルト・ロールをかけてあげているようです。

とてもありがたい機能なのですが、二つの映像を繋げようとしている今回の試みに対しては、「消したい部分が移動する」という有難迷惑な機能となってしまいます。

2台で露出設定が異なる

Insta360 EVOに限らず、ビデオカメラは撮影中でも刻々と露出条件を変えていきます。

VRカメラは180度以上を写し取る超広角カメラです。日中の撮影では太陽光を映しこむ可能性が大きいカメラです。太陽光が映り込んだカメラと、映り込んでいないカメラでは当然露出条件が大きく異なります。

この結果、映しこんだ映像の明るさが2台のカメラで異なってしまいます。

ステッチは素人には手に負えない

素人ながら、処理を使用としてみたのですが、どうしてもつなぎ目に歪みが生じます。しかもこのつなぎ目が左右の視野で異なります。これをHMDで見てみると本当に気持ちが悪い。

また、下記の写真では、カメラの映り込み周辺にぼかしを入れたマスクをしたのですが、これがズレたりズレなかったりで、気持ち悪さ倍増です。

発熱がひどい

撮影開始から30分もしないうちに撮影が強制終了されます。再度撮影を始めても1分くらいでまた止まる。

何が起こっているのかと、本体を持ってみると、金属製のヒンジの部分がチンチンに熱くなっていました。

どうやらこの部分が放熱板を兼ねていたようです。

今回の撮影方法では、この部分が完全に隠れてしまいます。このため、熱がこもってしまい、保護機能が作動してしまったようです。

編集した物

正面にステッチが来るので、正面は見ていられない。

左右の映像は立体感もあるのですが、手振れがきつくて、やはり見てられない。

という事で、全く視聴に適さない映像が出来てしまいました。これではダメです。

まとめ

今回は、Insta360 EVOを2台使って、自撮り棒だけで撮影してみましたが、大失敗でした。

分かったこととしては下記の通り。

Insta360 EVO2台で360度3D映像を撮るために必要なこと

1.カメラは正面を向かせるべき。
2.「FlowState」が使えないので、ジンバル必須。
3.発熱対策が必要。
4.ステッチは素人には困難。専用ソフトを探す必要あり。

これらを一つ一つ解決していけば、それなりに見れるものが出来るのではないでしょうか。

という事で、1.と2.を解決した映像が、下記の物です。

ステッチは捨てていますが、それっぽくなりそうな気がしてきました。