Insta360 EVO で使えるスマホ用ジンバル「Snoppa Atom」

2019年6月17日

180度3Dの映像が撮れるInsta360 EVOは強力なソフトウェア手振れ補正「FlowState」が売りになっています。しかし、HDRモードでの動画再英字は「FlowState」がON出来なかったり、そもそも、「FlowState」をONにした状態の動画をじっくりと見てみると、真っ直ぐであるはずのものが、グニョグニョ揺れて見えたりすることがあります。

「綺麗な動画を撮りたい」と思うと、やはり機械的に手振れ補正をしてあげるのが良いのではないかと思いジンバルを購入しましたのでまとめます。

ジンバルとは

ジンバル(Gimbal)とは、元々は回転台の一種の名称のようですが、撮影関係でジンバルというと、回転を固定する台と言った意味合いで使われます。

特に最近では、モーターで制御する電動ジンバルのことを指すことが多いでしょう。

電動3軸ジンバル

例えば、電動3軸ジンバルと言えば、「電動で3軸の回転を止める台」と言えます。

作りは下記の図の様に、3つのモーターが付いている台、です。赤がモーター1が制御する回転、青がモーター2、黄色がモーター3がそれぞれ、回転を制御します。

カメラが回転しようとすると、モーターを動かして回転を止める、もしくは動きを緩やか・なめらかにして、見やすい映像が取れるようにする、と言った目的で使います。

3軸ジンバルとVRゴーグル

勘のいい人なら、前述の3軸ジンバルの制御と、Oculus Go等のVRゴーグルの制御(3DoF:3自由度)に似ていることに気づくかと思います。

3Dカメラでの撮影では、この3つの動きをなめらかにすることによって、視聴の際に見る人の動作を反映しない映像の動きを制限してあげることが出来ます。

このため、視聴の際に意図しない動きが少なくなるので、3D酔いが減少する、と言うわけです。

Insta360 EVOにはどんなジンバルが良いか

Insta360 EVOは本体重量113gと非常に軽く、小さいカメラです。GoPro HERO7の116gとほぼ変わりません。

また、180度3D撮影が出来ると言うことで、前方180度の映像が記録されます。この180度という超広角と言うのが意外と曲者で、ジンバル自身が映り込んでしまう可能性があります。

上記を念頭に置き、候補として3点(+1)を考えました。

Osmo Mobile 2

ドローンなどで有名なDJI社のジンバルです。同社のOsmo Pocketが有名でしょうか。

【国内正規品】 DJI Osmo Mobile 2 (3軸手持ちジンバル)

新品価格
¥15,600から
(2019/6/17 時点)

メーカーDJI
商品名Osmo Mobile 2
本体重量485g
大きさ72×113×295mm
最大搭載重量240g
価格¥15,600 (2019/6/17時点)

Feiyu Tech G6

GoPro HERO7などのアクションカメラ用のジンバルです。SONYのRX0用のマウンターを使えば、1/4″ねじが使えるようになるので、Insta360 EVOが固定できます。

Feiyu Tech RX0 RX02用アタッチメント G6/G5/WG2/WG2X用
メーカーFeiyu Tech
商品名G6
本体重量336g +バッテリー (全部で約430g)
大きさ38x119x271mm
最大搭載重量約120g程度?
価格¥23,814 (2019/6/17時点) + ¥2,200

Snoppa Atom

個性的な機構を組み込んだジンバルを作るSnoppa社のスマートフォン用ジンバルです。折りたためるため、非常にコンパクトです。

最大搭載重量が310gと最も重い物まで対応しています。

メーカーSnoppa
商品名Atom
本体重量440g
大きさ収納時:50×106×178mm
使用時:73×123×297mm
最大搭載重量310g
価格¥15,500 (2019/6/17 時点)

(参考)ZHIYUN Smooth 4

しっかりとした作りのスマートフォン用ジンバルです。スマートフォン用としては、高評価でしたので、当初は候補として考えました。

メーカーZHIYUN
商品名Smooth 4
本体重量547g + バッテリー
大きさ105x123x328mm
最大搭載重量210g
価格¥16,000 (2019/6/17 時点)

電気屋で2機種は検証できました

某ヨドバ○カメラ梅田店で、Osmo Mobile 2と、Feiyu Tech G6が置いてありました。 Feiyu Tech G6は、RX0用マウント付きの物がありました。

持ち込んでいたInsta360 EVOをセットしてみました。

Osmo Mobile 2の場合

まず、Insta360 EVOが小さすぎてマウントできません。Osmo Mobile 2は幅58.6mm必要なので、49mmしかないInsta360 EVOは挟めません。

たまたま持っていた滑り止め用シートを挟み込んでみました。

が、電源を入れてから、ブルブル震えて先に進みません。

さて、ここで、Osmo Mobile 2はスマートフォン用のジンバルです。Insta360 EVOはスマートフォンと比べても軽いのですが、決定的な違いとして分厚さが26mmもあります。どうやら、重心が前方(レンズ側)に傾きすぎるため、モーターに負荷がかかりすぎ、初期位置にすらたどり着けないようです。

候補に挙げていた「ZHIYUN Smooth 4」も、きっと同様の理由で、使えないと考えられます。

Feiyu Tech G6 + RX0用マウンターの場合

RX0用マウンターが付いていると、1/4“ネジで固定が出来ます。

Insta360 EVOもネジでしっかり固定が出来ました。

が、ここで問題が一点。

Insta360 EVOのネジの位置です。下の写真のように、中央にないんです。

マウンターの端、かつかつに留めてみたのですが、バランスが非常にシビアです。

ちょっとズレると、モーターの振動が始まります。もともと、GoPro HEROシリーズ専用のような物なので、モーターが弱いのだと考えられます。

電気屋で検証した結果のまとめ

軽量とは言え、Insta360 EVOとスマートフォン・アクションカメラとは形状が異なるため、小型のジンバルは厳しいようです。

検証結果としては、下記の通りです。

 × Osmo Mobile 2
 × Feiyu Tech G6
 × ZHIYUN Smooth 4
(多分)

Snoppa Atomは実物がありませんでした。

最大搭載重量が310gということで、マウンターを自作できれば何とかなる? かも?

と、半ば勢いで購入してみました。

Snoppa Atom

購入してみたSnoppa AtomとInsta360 EVOを並べてみます。

やはり、ジンバルとしては非常にコンパクトです。

使用時はこんな感じ。サイズとしてはスマートフォン用ジンバルそのものです。

Insta360 EVOをセットしてみる

Snoppa Atomの公称値は、最低55mmの幅、9㎜以下の厚さのスマートフォンに対応している、としていますが、Insta360 EVOがギリギリ挟めてしまいました。

Insta360 EVOの幅の半分くらいまでしか挟めていないので、何か保護が欲しいところですが、使えなくはないようです。

電源を入れる前に、Insta360 EVOのセット位置の左右の重心だけ合わせておきます。下の写真のInsta360 EVOの右側のモーター部分を手で固定して、Insta360 EVOがくるんと回らないように微調整しておきます。
この後、電源を入れると、何の問題もなくバランスを取ってくれました。

Snoppa Atomは180度回転機能があるので、ボタン一つで向きが変えれます。

これで、進行方向に向けてぶれのない撮影ができます。

また、大事な点として、

ジンバルの映り込みが全くありません。

Snoppa Atom + Insta360 EVOの利点

Insta360 EVOを充電しながら使える

下の写真、Insta360 EVOのLEDがうっすらと青く光っているのが分かるでしょうか。Snoppa AtomからInsta360 EVOに給電しながら撮影ができます。

Snoppa AtomはUSB Type-Cの充電用ポートがヘッドのところにあり、ここからスマートフォンに給電出来るように作られています。

なお、Snoppa Atom付属の充電ケーブルには、USB Type-C / micro-USBのケーブルはついていません。下記のようなケーブルと、 USB Type-C / micro-USB変換アダプタを使っています。

Snoppa Atom + Insta360 EVOの問題点

意外とチルトが狭い

上向きや下向きの方向(チルト)の幅が意外に狭く、ジンバルを45度で持つ、と言った事が出来ません。

Snoppa Atomはほぼ垂直に持った方が良さそうです。

ブーっと振動することがある

何のタイミングで起きるのかは分かりませんが、ブーっとモーターが振動することがあります。

どうやら原因は、カメラ(スマートフォン)を挟み込むアームの合成不足のようです。本来55㎜幅以上の物を挟むように作られているので、Insta360 EVOでは細すぎて、バネがきっちりと働かず、若干遊びがあるようです。

カメラ前寄り(レンズ側)に重心がズレているのを調整しようとするモーターの力と、アームの遊びがちょうどいい感じで共振してしまうようです。

この共振ですが、USB Type-C / micro-USB変換アダプタをかませて、充電しながら使うと止まります。

憶測ですが、変換アダプタが重心の後ろ側にあるため、モーターの負荷が変わるのではないかと考えています。

試しに、上記の写真の手前側、アームの渦巻き模様の部分に、M10のワッシャーを張り付けてみたら、振動が起きませんでした。

また、充電用に下記のケーブルを買って付けてみたのですが、これだと振動が起こることがありました。

やはり、カメラ(スマートフォン)よりも後ろにちょっとした重量物を置くことで、バランスが保てるようです。

撮影

この状態で撮影したのが下記の記事で書いた映像です。

なお、この時は、ZOOMの3Dマイク「H3-VR 」も取り付けた変態撮影をしてみています。

まとめ

スマートフォン用ジンバルSnoppa Atomを使って、Insta360 EVOで撮影が出来る事が分かりました。

元々カメラ用ではないので、癖はありますが、十分使えます。

手振れ補正が効かないHDRモードでの撮影でも揺れが低減できました。

この手軽さは、撮影のハードルをグッと下げてくれました。