オープンウェイトのKimi K3は結局いくらかかるのか〜フロンティアモデルの料金を比べてみた
Kimi K3 は、2026年7月に公開されたオープンウェイトのモデルです。重みが配布されているので、理屈のうえでは手元のパソコンでも動かせます。ところが実際に調べてみると、家庭にある機材ではまったく歯が立ちませんでした。では、このモデルを使いたい場合はいくらかかるのでしょうか。
本記事では、Kimi K3 の料金を他のフロンティアモデル(各社の最上位クラスのモデル)と並べて比べ、日本から契約する場合の流れまでを調べました。
2026年7月28日時点で調べた内容です。料金は変動しますので、契約前に公式ページでご確認ください。
Kimi K3 は手元で動かせる? まず前提の確認
Kimi K3 は総パラメータ 2.8兆という規模のモデルです。手元で動かすには、モデルを圧縮する量子化(データを粗くしてサイズを減らす処理)が要ります。現在配布されている量子化版のサイズは次のとおりです。
Kimi K3 を圧縮しても、どれだけ大きいか(GB・小さいほど載せやすい)
Q2_K / IQ1_S は配布されている量子化版のサイズ。IQ1_S は 370〜560GB の下限で表示。ミニPCの上限は128GBのユニファイドメモリで実際に載せられた値。2026年7月時点。
いちばん小さい1ビット相当の版でも370GBを超えます。大容量メモリを積んだミニPCでも実際に載せられるのは90GB程度ですから、4倍以上足りません。
しかも問題は容量だけではありませんでした。ローカルでモデルを動かす代表的なソフト llama.cpp が、まだ Kimi K3 に対応していません。K3 は内部で896個の「専門家」に処理を振り分ける構造ですが、llama.cpp 側の上限が512に設定されており、読み込もうとした時点で停止します。この点はファイル側では回避できないと説明されています。
以前、745B(7450億パラメータ)のモデルを無理矢理動かした記録を書きましたが、あのときは202GBを128GBの機体に載せる「1.6倍のはみ出し」でした。今回はその手が使えません。
オープンウェイトではあるものの、手元で動かすのは現実的ではない、というのが出発点です。使いたければ、サービスとして契約する道を選ぶことになりそうです。
Kimi K3 の料金は高いのか? 他のモデルと並べてみる
API(プログラムから使う窓口)の料金は、トークン100万個あたりの単価で表されます。トークンは文章を細かく区切った単位で、日本語ならおおよそ1文字が1〜2トークンにあたります。
主なモデルを、入力の安い順に並べました。
入力の単価(トークン100万個あたり・米ドル/低いほど安い)
2026年7月28日時点の各社公式ページの値・税別。Kimi K3 を色付きで表示。
出力の単価(トークン100万個あたり・米ドル/低いほど安い)
同上。出力は入力より単価が高く、実際の請求ではこちらが効いてくる。
単位はトークン100万個あたりの米ドルです。2026年7月28日時点の各社公式ページの値で、いずれも税別です。
並べてみると、Kimi K3 は中の上あたりに位置しています。GPT-5.6 Terra とほぼ同じで、Claude Sonnet 5 よりは高く、Claude Opus 5 や GPT-5.6 Sol よりは安い。オープンウェイトだから割安、という位置づけではないようです。
ただし K3 には価格面で有利な点が2つあります。ひとつは、同じ内容を繰り返し送るときに使えるキャッシュを利用すると、入力が $0.30 まで下がる点です。通常価格の10分の1にあたります。もうひとつは、100万トークンという長い文脈を扱えるうえに、長さによる段階的な値上げがない点です。他社では長い文脈で単価が上がる料金体系が多く、長文をまとめて読ませる用途では差が出そうです。
従量課金とサブスク、どちらが安い? 分かれ目を計算する
Kimi にはサブスクリプションもあり、K3 は月額 $19 のプラン以上で使えます。
Kimi のサブスク 月額(米ドル・年払時/K3 が使えるのは Moderato 以上)
年払いにしたときの実質月額。Adagio(無料)は K3 を使えない。2026年7月28日時点。
どちらが得かは使う量で変わります。入力と出力が5対1くらいの一般的な使い方を想定して計算すると、混ぜた実効単価はトークン100万個あたり約$5でした。月額$19のプランと釣り合うのは、およそ380万トークンを使ったあたりです。
| 使い方 | 月の使用量の目安 | 安いほう |
|---|---|---|
| 調べもの・文章の相談が中心 | 数十万〜100万トークン | 従量課金 |
| 毎日それなりに使う | 300〜400万トークン | ほぼ互角 |
| コードを書かせる用途で常用 | 数千万トークン | サブスク |
コードを書かせる使い方は、やり取りが自動で何往復もするため、トークンの消費が桁違いに増えます。仮に月5,000万トークンを従量課金で回すと約$250に達し、月額$19のプランの13倍です。この領域ではサブスクが圧倒的に有利でした。
ただしサブスクには使用量の制限があります。Kimi の場合は5時間ごとの制限と7日ごとの更新という形で、無制限に使えるわけではありません。上限を超えたぶんは、API とほぼ同じ単価の追加料金で続ける仕組みだと説明されています。重い使い方をするなら、サブスクに従量課金を足す形が実態のようです。
日本から契約できる? 決済が最大の壁
ここが調べていていちばん引っかかった点です。
Kimi の API を使う手順そのものは単純で、アカウントを作り、APIキーを発行し、最低1ドルを入金すれば始められます。入金の累計額に応じて、1分あたりに送れる回数の上限が段階的に上がる仕組みです。
問題は支払い方法でした。公式の案内には、個人利用の入金手段としてWeChat Pay と Alipay のQRコード決済しか記載がありません。クレジットカードについての記述が見当たらず、日本発行のカードで入金できるかどうかは、公式の文書からは確認できませんでした。
加えて、アカウントに電話番号を紐づける前提の記述もあります。中国系のサービスでは、海外の電話番号やメールアドレスで認証が通らない事例が公式のよくある質問に並んでいることもあり、契約の入口でつまずく可能性は考えておいたほうがよさそうです。
国内から正規に契約する道ができていた
本記事を書いたあとで分かったのですが、日本の会社が Kimi K3 の提供を始めていました。株式会社エーアイ・アンド(ai&)が 2026年7月27日から、自社の推論サービス「ai& Inference」経由で提供しているとのことです。発表は7月29日でした。
これで、前述した決済の壁を越えずに済みます。日本の会社との取引になるため、中国系サービスに直接アカウントを作る必要がありません。加えて、AIの処理を国内で完結させる形だと説明されています。手元のデータを国外へ出したくない用途では、この点が効いてきそうです。
料金は、トークン100万個あたり入力$3.00(約480円)、出力$13.00(約2,080円)と案内されています。出力が本家の$15.00より安いのは意外でした。3社を並べてみます。
出力の単価を3つ並べる(トークン100万個あたり・米ドル/低いほど安い)
ai& の値は同社の発表資料より。Kimi K3 本家と Claude Opus 5 は各社公式ページの値。2026年7月時点。
性能についても、ai& は第三者の指標を引いて説明しています。Artificial Analysis Intelligence Index という指標で、Kimi K3 が57点、Claude Opus 5 が61点とのことです。
知能の指標(Artificial Analysis Intelligence Index・高いほど賢い)
ai& の発表資料に記載された値。第三者機関の指標だが、本記事では実際に検証していない。
点数では4点差ですが、出力の単価は$13.00と$25.00で倍近い開きがあります。同じ仕事をさせたときの支払いという観点では、こちらのほうが目立つ差です。ai& は「AI利用コストを最大80%削減」と説明していますが、これは同社の主張であり、当方で検証したものではありません。
問い合わせ先は contact@aiand.com と案内されています。個人でも契約できるのか、最低利用額があるのかといった条件までは、発表資料からは読み取れませんでした。法人での利用を想定した提供に見えます。
回避策:仲介サービスを経由する
複数のモデルをまとめて扱える仲介サービス OpenRouter を通すと、Kimi K3 を $3.00 / $15.00 という同じ単価で使えます。こちらはクレジットカードで支払えるため、中国系サービスと直接契約せずに済みます。日本から試すなら、こちらのほうが現実的だと考えられます。
なお Ollama というソフトからもクラウド版の K3 を呼べますが、こちらは月額$20以上の有料プランが必要で、料金がトークンではなくGPUの使用時間で計算されます。単価の比較ができないため、費用を見積もりたい場合には向きません。
もうひとつの道:GPUを時間で借りる
重みが公開されているので、GPUを時間単位で借りて自分で動かす道もあります。ただし Kimi K3 は最小の量子化版でも370GBを超えるため、データセンター向けのGPUを何枚もまとめて借りることになり、気軽に試せる規模ではありません。
この手が向いているのは、数十GB級のモデルを買う前に試したいときです。手元の機材に載るかどうか分からないモデルでも、1時間いくらで動かして確かめられます。グラフィックボードを買う前に、そのモデルが自分の用途に合うかを見ておけます。
そうしたサービスのひとつが RunPod です。
RunPod(GPUの時間貸し)
※上記は紹介リンクです。リンク経由で登録すると、双方にクレジットが付きます。
では手元で動かせるモデルは? 目安を置いておく
K3 は届きませんでしたが、手元で動くモデルの範囲も整理しておきます。
| 機材 | 載る目安 |
|---|---|
| VRAM 12GBのグラフィックボード | 10GB前後まで |
| VRAM 24GBのグラフィックボード | 20GB前後まで |
| 128GBのユニファイドメモリを積んだミニPC | 86〜90GB程度まで |
大容量のメモリを積んだミニPCなら、2350億パラメータ級のモデルが実用的な速さで動きました。詳しくは巨大なローカルLLMは家のPCで動くのかに書いています。
まとめ
Kimi K3 はオープンウェイトのモデルですが、重みが公開されていることと、手元で動かせることは別の話でした。1ビットまで削っても370GBを超え、そもそもソフト側が対応していません。
使うならサービスとして契約する形ですが、料金は他のフロンティアモデルと比べて中の上あたりで、オープンウェイトだから安いわけではありませんでした。長い文脈を段階課金なしで扱える点と、キャッシュを使うと入力が10分の1で済む点が、価格面での持ち味だと言えそうです。
日本から使う場合は、公式の入金手段が中国系の決済に限られている点が壁でした。ただし調べている最中に、国内の会社が提供を始めていることが分かりました。出力の単価は本家より安く案内されており、処理を国内で完結させる形だと説明されています。個人で気軽に試すなら仲介サービス、業務で使うなら国内提供と、用途で分かれそうです。
料金は変動が早い分野です。本記事の値は2026年7月28日時点で調べたもので、契約前には公式ページでの確認をおすすめします。
追記:手元で動かす試みは進んでいる
本記事を書いている最中に、量子化版を配布している方から進捗の投稿がありました。2ビット版の修正と、1ビット版の公開を同時に進めているとのことです。
ただし本人も「llama.cpp で動かすにはPRの修正が必要で、マージ待ち」と書いており、現時点ではやはり動かせません。前述した「専門家の数が上限を超える」問題を解消する修正が、まだ本体に取り込まれていない状態です。
裏を返せば、この修正が取り込まれ、かつサイズが100GB程度まで下がれば、大容量メモリのミニPCで動かせる可能性が出てきます。動きがあれば、あらためて記録します。
なお、こうした量子化版は個人の方が変換したもので、公式の配布物ではありません。試す場合は、その点を踏まえて判断してください。







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