モデルを置く場所が無くなってきた〜SSDの値段を調べたら、買う前に見るべきものが手元にあった
2026年8月6日
ディスクの空きが、211GBになっていました。
1.5TBのうち1.2TBを使い切っています。このブログでローカルAIの記事を書いていると、モデルがどんどん溜まります。測るために落として、比べるために残して、また新しいものが出て落とす。消せばいいのですが、あとで測り直すことがあるので、なかなか消せません。
そろそろ買い足すか、と値段を見に行きました。ところが、思っていたのと違いました。
ついでに、自分の機体が実際どうなっているのかも測ってみたのですが、そちらのほうが驚く結果でした。速いSSDを買えば、待ち時間は短くなるものなのでしょうか。
何が、そんなに場所を取っているのか
まず、中身を数えました。
| 言語モデル(Ollama) | 490GB |
| 画像生成のモデル(ComfyUI) | 249GB |
| その他のキャッシュ | 3.5GB |
| モデルだけで | 約742GB |
モデル1本の大きさも並べておきます。手元にあるものの上位です。
| モデルの規模 | 1本あたり |
|---|---|
| 8B級 | 約5GB |
| 27〜32B級 | 17〜24GB |
| 70B級 | 42GB |
| 120B級 | 65GB |
| 235B級 | 86GB |
大きいものを3本置けば、200GBです。当窓の場合は測り比べのために大小そろえているので、こういう積もり方になりました。
SSDの値段は、いくらになっているのか
買い足すつもりで見に行って、手が止まりました。
| 容量 | 安いもの | 1GBあたり |
|---|---|---|
| 1TB | ¥19,980 | 20.0円 |
| 2TB | ¥36,980 | 18.5円 |
| 4TB | ¥67,056 | 16.8円 |
2TBで4万円近く。2026年8月6日にAmazonで確認した、安いほうの価格帯です。名の通ったメーカーのものだと、2TBで6万円台から8万円台になります。
理由を調べると、GPUの値上がりと同じところに行き着きました。
・Samsungが四半期で前期比100%の値上げを実施し、他社も追随の動きです
・半導体メーカーの経営陣から「NAND不足は2028年まで続く可能性」という見方が出ています
つまり「安くなるまで待つ」が使いにくい時期です。とはいえ、高いものを買えば解決するのかというと、そこも怪しいことが分かりました。
速いSSDを買えば、待ち時間は縮むのか
ここからは、手元で測った話です。
店頭には「最大読込 7,400MB/s」といった数字が並んでいます。1秒に7.4GB読めるという意味です。この数字が大きいものを買えば、モデルの読み込みは速くなりそうに見えます。
そこで、いま使っているSSDが実際に何GB/sで読めるのかを測りました。キャッシュを通さない読み方(O_DIRECT)で、3通りの条件で確かめています。
| 測り方 | 結果 |
|---|---|
| 1本ずつ順番に読む | 1.00 GB/s |
| 4本同時に読む | 1.04 GB/s |
| 8本同時に読む | 1.12 GB/s |
| キャッシュを追い出してから39.6GBを通しで読む | 41.0秒=0.97 GB/s |
約1GB/秒でした。同時に何本読ませても変わりません。
店頭に並ぶ7,400MB/sという表記の、7分の1です。もちろん手元のものは数年前の製品なので、新しいものならもっと出ます。ただ、この機体で待ち時間を決めているのは1GB/sのほうで、7,400MB/sの製品を挿しても、それがそのまま出るとはかぎりません。理由は次の節です。
うちのSSDは、何レーンで繋がっているのか
調べていて、想定外のものが出てきました。
M.2のSSDは、PCIeという通り道でパソコンと繋がっています。この通り道には車線があって、ふつうは4車線(x4)です。ところが、手元のSSDを見たら2車線(x2)でした。製品の対応は4車線なのに、半分しか使われていません。
| SSD 1枚目(1TB) | PCIe 3.0 x4 | 中身は全部Windows。Linuxからは使っていません |
| SSD 2枚目(2TB) | PCIe 3.0 x2 | Linuxとモデルはこちら |
| HDD(2TB) | SATA | 刺さっているだけで、使っていません |
| HDD(2TB) | SATA | 同上 |
マザーボードのM.2スロットは、位置によって車線数が違ったり、SATAの口と車線を分け合っていたりします。説明書に書いてあるのですが、組むときはあまり意識しないところです。
速いSSDを買う前に、いま挿さっているものが何車線で繋がっているかを見たほうが早い、というのが今回の一番の収穫でした。挿し替えるだけなら、お金がかかりません。
Linuxなら、次のコマンドで確認できます。
cat /sys/class/nvme/nvme0/device/current_link_width
cat /sys/class/nvme/nvme0/device/max_link_width
上が「いま何車線か」、下が「最大何車線までいけるか」です。数字が違っていたら、車線を損しています。
4層と3層で、何が変わるのか
SSDの中身の話です。ここが値段と寿命に直結していました。
SSDは、小さな入れ物(セル)に電気を溜めてデータを覚えます。この入れ物1つに何ビット詰め込むかで、名前が変わります。
| 呼び方 | 1つに詰める量 | 電圧の段階 | 書き換えできる回数 |
|---|---|---|---|
| SLC | 1ビット | 2段階 | 約10万回 |
| MLC | 2ビット | 4段階 | 3,000〜10,000回 |
| TLC | 3ビット | 8段階 | 1,000〜3,000回 |
| QLC | 4ビット | 16段階 | さらに少ない |
詰め込むほど安く大容量になり、そのぶん寿命が短くなります。16段階の電圧を読み分けるQLCは、書くときも読むときも精密な制御が要り、その負担が積もっていきます。
ここで大事なのは、読み書きで話がまったく別だという点です。
売れ筋に並んでいる2TBの製品を確認したところ、ほとんどがTLCでした。QLCは店頭の主力から外れています。値上がりで価格差が縮み、安さという取り柄が薄れたためかもしれません。
ちなみに当窓の2枚は、どちらもQLCです。いまや少数派の側で回していることになります。それでもモデルの読み込みは素直に動いています。
売れ筋の2TBを並べてみた
2026年8月6日にAmazonで確認しました。TBWというのは「合計で何TB書き込めるか」の目安です。
| 製品 | 価格 | 評価 | 方式 | TBW |
|---|---|---|---|---|
| Ediloca EN705 | ¥38,980 | ★4.5(706件) | 3D TLC | 1,400TB |
| Silicon Power(Gen3) | ¥40,980 | ★4.3(2,744件) | TLC | 表記が矛盾(後述) |
| KingSpec XG7000 | ¥44,280 | ★4.4(1,073件) | 3D TLC | 記載なし |
| Hanye | ¥49,973 | ★4.6(2,759件) | 3D TLC | 記載なし |
| Acer Predator GM7 | ¥58,990 | ★4.6(2,022件) | TLC | 記載なし |
| WD Black SN7100 | ¥68,000 | ★4.6(371件) | TLC | 1,200TB |
| WD BLACK SN850X | ¥69,980 | ★4.8(8,231件) | 記載なし | 記載なし |
| Nextorage NEM-PA | ¥79,980 | ★4.5(234件) | TLC | 数値の記載なし |
TBWが、値段と逆に並びました。いちばん安いEdilocaが1,400TB、¥68,000のWDが1,200TBです。高いほど長持ちする、という並びになっていません。
それと、表記が食い違っている例もありました。Silicon Powerの商品ページには、説明の欄に「TBW:1200」、保証の欄に「TBW値(300TB)範囲内での保証」と書かれています。同じページで4倍違います。数字は保証の条件のほうを読むほうが確実だと思います。
寿命は、何で減るのか
TBWは「書き込みの合計」です。ここが今回いちばん、安心できたところでした。
読み出しは、寿命をほとんど減らしません。モデルを何度読み込んでも、そこは減らないということです。
ローカルAIのモデル置き場は「一度書いて、何度も読む」使い方です。40GBのモデルを100本落としても、書き込みは4TB。1,400TBに対して、まだ0.3%です。
当窓のSSDが、起動してからの16日間でどれだけ書き込んだかも見てみました。
TBWが1,400TBの製品なら、単純計算で200年ぶんになります。
寿命を心配して高い製品を選ぶ理由は、この使い方だと見当たりませんでした。
ただし、寿命を食う使い方もあります
- メモリからあふれた分の行き先にしている場合。細かい書き込みが延々と続きます
- 追加学習(LoRA)などの中間ファイルを作る場合
- モデルを落としては消すを繰り返す場合。1本40GBなので、入れ替えのたびに積み上がります
- 常駐しているツールが、ログを書き続けている場合
最後のものは、実際に問題になった例があります。
あるAIコーディング用のコマンドライン道具に、ログを最も詳しい設定で書き出し続ける不具合が見つかりました。報告した人の環境では、21日間で37TB書き込まれていたそうです。1年に直すと約640TB。1TBクラスのSSDの寿命(600TB前後)を、1年足らずで使い切る計算になります。
当窓の環境も確認しましたが、該当するログの大きさは48KBで、この不具合は起きていませんでした。年換算7TBという書き込み量とも辻褄が合います。
「ローカルAIをやるとSSDの寿命が心配」という話は、モデルを置くことではなく、常に動いている道具のほうを疑ったほうがよさそうです。自分の書き込み量は、Linuxなら次で見られます。
cat /sys/block/nvme0n1/stat | awk '{print $7*512/1024/1024/1024, "GB"}'
起動してからの累計です。何日動いているかで割れば、1年あたりの見当が付きます。
容量は、どこから足りなくなるのか
当窓は742GB使っていますが、これは測り比べのために大小そろえているからで、普通の使い方ではありません。
1TBだと何本置けるのかを数えてみました。実際に使えるのは900GBほどとして計算しています。
| モデルの規模 | 1本あたり | 1TBに入る本数 |
|---|---|---|
| 8B級 | 約5GB | 180本 |
| 27〜32B級 | 17〜24GB | 37〜52本 |
| 70B級 | 42GB | 21本 |
| 120B級 | 65GB | 13本 |
1TBでも、始めるぶんには足ります。30B級までなら数十本入ります。
それと、置くべき大きさは、手持ちのメモリで決まります。VRAMが12GBや24GBの機体で、86GBのモデルを置いても実用にはなりません。載せられないものを置く必要がないので、必要な容量は自然に抑えられます。
足りなくなるのは、70B以上を何本も残したくなってからです。そのときも、いきなり買い足す前に置き場を分ける手があります。
| 内蔵SSD | いま使うモデル | 当窓の実測 1.0 GB/s |
| 外付けSSD(USB 10Gbps) | たまに使うモデル | 理論上 約1GB/s |
| HDD | 置いておくだけ | 100〜200MB/s。待たされますが動きます |
外付けの実測はまだ取っていないので、上の数字は規格上のものです。ここは次回の宿題にします。
大きいほうが、1GBあたりは安くなります
容量ごとの単価は、はっきり差が出ました。1TBが20.0円/GB、2TBが18.5円/GB、4TBが16.8円/GBです。
まとめ買いのほうが得なのは確かです。ただし1TBが2万円、4TBが6万7千円ですから、いま3倍払えるかどうかは別の話になります。あとで足すと買い替えの手間もかかるので、予算が許せば大きいほうを、という程度の話として受け取っていただければと思います。
結局、どれを買えばよいのか
調べる前は「速いものを選べばロードが速くなる」と思っていました。測ってみると、そうでもありませんでした。
- 買う前に、いま挿さっているものが何車線か見る。うちは半分でした。挿し替えるだけならお金がかかりません
- 方式はTLCで足ります。そもそも売れ筋の2TBはほとんどTLCで、選ぶ余地があまりありません
- TBWは値段に比例しません。安いほうが数字が大きいこともあります。書いてある場所(説明か保証か)で数字が違う例もあります
- 寿命は読み出しでは減りません。置き場として使うぶんには、まず問題になりません
- 容量は、手持ちのメモリで決まります。載せられないモデルを置いても仕方ありません
- 1TBでも始められます。足りなくなってから、外付けやHDDに逃がす手があります
- 単価は大きいほうが安い。ただし今すぐ3倍払うかは別の判断です
当窓がどうするかというと、まずスロットを挿し替えて、車線が増えるかを見てみます。それで足りなければ買い足しますが、順番としてはお金のかからないほうが先だと考えています。
値上がりしている時期なので、買わずに済むならそれが一番です。
この記事で取り上げた製品
まず1本、という場合。
置き場として使う2TB。TBWの数字が明記されているものです。
1GBあたりでいちばん安くなる4TB。
内蔵のスロットが空いていない場合の外付け。
測り方と、正直な但し書き
読み出し速度は、キャッシュを通さない読み方(O_DIRECT)で測っています。1本ずつ、4本同時、8本同時の3通りと、キャッシュを追い出してから39.6GBを通しで読む方法の、合わせて4通りで確かめました。いずれも約1GB/sで揃っています。
書き込みの息切れ(SLCキャッシュを使い切ったあとの速度低下)は、実測していません。実際に測るには100GB近い書き込みが必要で、寿命を測るために寿命を削ることになるためです。数字は各社の解説によるものです。
価格・評価・TBWは、2026年8月6日にAmazonの商品ページで確認したものです。値上がりが続いている時期なので、読まれている時点では変わっている可能性があります。NANDの取引価格や各社の値上げについては、報道されている数字を出所を示して引用しました。当窓が測ったものではありません。
※測定環境:デスクトップ(GeForce RTX 3090 24GB+GeForce RTX 3060 12GB/システムメモリ62GB/NVMe SSD 2枚・HDD 2台)。2026年8月時点。






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