Insta360 EVO を2台使って360度3D撮影は出来るのか? その2
180度3Dカメラ2台を用いて、一般向けVRカメラで疑似的に360度3D映像が撮れるのか、ということを試しています。
今回はその2回目です。
前回の取り組み
前回は、下記の記事に書いた通り、Insta360 EVOを2台重ねて撮影してみました。
分かったこととしては下記の通り。
1.カメラは正面を向かせるべき。
2.「FlowState」が使えないので、ジンバル必須。
3.発熱対策が必要。
4.ステッチは素人には困難。専用ソフトを探す必要あり。
ジンバル「ZHIYUN Crane M2」を使用する
個人的には、コンパクトなスマートフォン用ジンバルSNOPPA ATOMを使って撮影を行っていたのですが、 Insta360 EVOを2台を重ねての撮影の場合、このジンバルは使えません。ちょうど後ろ側にスマートフォン用のフォルダーが来る設計になっているためです。
そこで新たに準備したジンバルが、ZHIYUN Crane M2です。
このジンバルは小型でありながら、ミラーレス一眼クラスまでなら載せることが出来るジンバルです。
上記の記事でも書きましたが、小型であるInsta360 EVOは、そのままではZHIYUN Crane M2で上下のバランスが取れません。重心が低くなりすぎるため、クイックリリースプレート上に何かを噛ませてあげる必要があります。
そこで、エイヤーで3D プリンターで台を作成してみました。使った3Dプリンターについては下記に軽くまとめています。
下が作ったモデルをスライスした状態のスライサーアプリ「CHITUBOX」の画面です。Insta360 EVOの一方の1/4″ネジには突起を当て、もう一方は貫通穴を開けた土台を作っています。
下が出来上がったものです。光造形式の3Dプリンターで作成した物は、どうも上面の平坦性を保つのが難しいようです。
サポートの後やらなんやらで凸凹していますが、位置はそれほどズレていないようです。今回はこのまま使用しました。
クイックリリースプレートに接続した状態がこちら。ちょっと水平がズレているような気がしますが、取り敢えず無視します。
ZHIYUN Crane M2に載せてバランスを取ってみました。
これがかなり良い感じにフィットしています。
チルト用モーターがInsta360 EVO 2台のちょうど真横に来るため、映り込みが非常に小さい。
なお、ロール用nモーターは背面直近に位置しています。360度で撮影する場合、この部分の映り込みは気になるところです。ジンバルのハンドル部分はなるべく垂直に持った方が良さそうです。
電源を入れてみました。
問題なく、バランスを取って動作しています。
以上までで、前回分かった対策の1.と2.の対策が出来るはずです。
1.(済)カメラは正面を向かせるべき。
2.(済)「FlowState」が使えないので、ジンバル必須。
3.発熱対策が必要。
4.ステッチは素人には困難。専用ソフトを探す必要あり。
撮影結果
上記の状態で実際に撮影した物が、下記の物です。
熱対策はまだ出来ていませんので、休み休み撮影しています。が、やはり合計30分程度しか正常に撮影できていませんでした。
今回の映像出力の簡易フロー
Insta360 Studio 2019で出力
まず、撮影した動画をInsta360 Studio 2019に読み込ませます。
設定を下記の通りとしてから、動画を書き出します。
- 「Use FlowState Stabilization」のチェックを外す
- 「Projection Type」を「VR360 3D(Left Eye on Top)」に変更する
書き出し時には、H.265で150Mbps設定で書き出しました。
Adobe After Effectsで合成
前面映像の処理
まず前面の映像を読み込みます。
「レイヤー」⇒「新規」⇒「平面」でブラック平面を追加します。
次に、カメラやジンバルの映り込みをマスクしました。
前面の映像のトラックマットを「通常」から「アルファ反転マット」に変更します。
背面映像の追加
次に、背面の映像を追加し、タイムライン上で一番下になるように移動させます。
背面の映像には、エフェクトの「VR回転(球)」を適応させます。パンを180度に設定してあげると、前面の処理でマスクした部分に背面の映像がハマります。
これで、ステッチはともかく、360度の映像が完成です。
撮影者のマスク
後は、露出をちょこちょこセットして、撮影者を隠すためにマスクを行いました。マスクは、「VR平面として投影」エフェクトをかけてあげると、視野毎の差異が少なくなるように思います。今回は、撮影者が大きく映り込んでいたため、台形っぽい形状と、楕円を重ね合わせています。
エンコード時の不具合(?)
と、いうような作業をしたのですが、これが大きな間違いでした。
Premiere Proでのエンコード時に、After Effectsがメモリーをバカ食いします。今回のようなマスクだけの処理でしたら、Premiere Proだけで処理した方が圧倒的に楽でした。
まとめ
今回は、Insta360 EVO 2台をZHIYUN Crane M2に取り付けて、撮影を行ってみました。
ステッチはともかく、360度3D動画っぽい物が作れたかと思います。
さて、これで前回の撮影時の対策1.と2.が終わりました。今回新たに分かった点としては、撮影者が大きく映りすぎるという、ある意味分かりきっていた不具合が顕著になりました。
1.(済)カメラは正面を向かせるべき。
2.(済)「FlowState」が使えないので、ジンバル必須。
3.発熱対策が必要。
4.ステッチは素人には困難。専用ソフトを探す必要あり。
5.撮影者が大きく映りすぎる ⇒ 離れて撮影する必要あり。
ジンバルに自撮り棒を取り付けるなどして、撮影者が離れないと、後ろに巨大なおじさんが映った映像しか取れません。
3.の発熱対策と、5.の撮影者を離した映像が下記の物です。
発熱対策を行って、30分以上の撮影も出来るようになりましたし、ある程度撮影者を離すことが出来ました。
後は、ステッチの問題が残っていますが、プロユースの10万円コースの物はありますが、コンシューマー向けのアプリが見つかりません。困りました。