データはどこに置ける?〜クラウド・NAS・HDDの選択肢を値段から考える
そもそも、データはどこに置けるのか
置き場所を考え直すにあたって、まずどんな置き場所があるのかを並べてみました。大きく4つです。
| 置き場所 | どういうものか | 使えるのは |
|---|---|---|
| パソコンの中 | 本体に入れる | そのパソコンだけ |
| 外付け | USBでつなぐ | つないだパソコンだけ |
| 家の中の別の機械 | ほかのパソコンの共有フォルダ、または置き場所専用の機械 | 家の中のどれからでも |
| クラウド | 会社が用意した、外にある置き場所 | どこからでも(外出先も) |
上の4つは「どこに置くか」。それとは別に「何に置くか」があり、こちらはSSDかHDDかの2つです。
そして、どの置き場所にも SSD と HDD のどちらも入れられます。パソコンの中にも、外付けにも、家の中の別の機械にも。クラウドだけはSSDかHDDかを選べませんが、その違いは料金の形で表れます。
つまり置き場所を変えなくても、中身をHDDに替えるだけで安くできるかもしれない、ということです。
いま埋まりかけているのは1つ目のSSDです。
クラウドは良い選択肢〜ただし容量が増えると重くなる
先に書いておくと、クラウドは良い選択肢です。
| クラウドの良いところ | 引っかかるところ |
|---|---|
| 機械を持たなくていい。壊れたときの交換も、置き場所も要りません | 毎月お金がかかり続けます |
| 信頼性が高い。会社が複数の場所に控えを持っていて、こちらは何もしなくていい | 使う量が増えるほど、月額が上がります |
| どこからでも使えます。外出先からも | 解約すると、期限までに全部引き上げる必要があります |
実際にいくらかかるのか、代表的な2つを調べました。
| サービス | 容量 | 月額 | 1年で |
|---|---|---|---|
| Microsoft 365 Basic | 100GB | 260円 | 3,120円 |
| Google One | 100GB | 290円 | 3,480円 |
| Google One | 2TB | 1,450円 | 17,400円 |
| Google One | 5TB | 2,900円 | 34,800円 |
2026年8月19日に各社の公式ページで確認した、日本の個人向け料金です。
2TBを3年続けると52,200円です。同じくらいのお金で、HDDを積んだ機械が買えます。
データが数百GBで収まっているなら、クラウドのほうが手間がなくて良い選択です。機械を置く場所も、壊れたときの交換も要りません。重くなってくるのは、1TBを超えたあたりからです。
では、自分で持つといくらか〜2ベイのNASで比べる
クラウドと比べるには、買う側の値段も要ります。いちばん小さい構成で調べました。
NASの売られ方は2種類あります。HDDが最初から入っている完成品と、本体だけを買ってHDDは別に用意するものです。買ってすぐ使えて安く済むのは前者です。
| 買い方 | だいたいの値段 | 備考 |
|---|---|---|
| HDD込みの完成品 (バッファロー・アイオーデータなど) | 5万円前後から 2ベイ・2TB×2=4TB搭載 | 買ってつなぐだけ。いちばん手軽 |
| 箱だけ買う (Synology・UGREEN・TerraMasterなど) | 3万円台〜5万円台 +HDD代が別 | 好きなHDDを選べる。あとで容量を増やしやすい |
2026年8月20日にAmazonで調べた実売価格です。販売店や時期で変わります。
さきほど書いたとおり、HDDが1台壊れても続けられるように、HDD 1台ぶんを予備に回します。店頭で「2ベイ・4TB」と書かれているものは2TBのHDDが2台という意味で、予備を取ると使えるのは2TBです。
予備を取らずに4TB全部を使うこともできますが、その場合はHDDが1台壊れると全部消えます。安く大容量にするためにHDDを選んでいるので、ここは予備を取る前提で見ます。
| クラウド Google One 2TB | NAS 2TB×2・使えるのは2TB | |
| 最初に | 0円 | 43,362円 |
| 毎月 | 1,450円 | 電気代のみ |
| 1年で | 17,400円 | 43,362円 |
| 2年で | 34,800円 | 43,362円 |
| 3年で | 52,200円 | 43,362円 |
★2年目まではクラウドのほうが安いです。1〜2年で乗り換えるかもしれないなら、クラウドのほうが損をしません。
★3年は使うつもりなら、NASも選択肢に入れてよい、というくらいの差です。
★5年10年と伸ばせばNASが有利に見えますが、HDDがそれだけもつとは限りません。回っている部品なので、いつかは替える日が来ます。だからここは3年までにしています。
HDDが最初から入っている完成品。上の表で比べたのがこの形です。2TBのHDDが2台で、予備を取ると使えるのは2TBです。
箱だけ買って、HDDは別に用意する形。HDDを自分で選べるぶん、あとから容量を増やしやすくなります。
容量が増えるほど、早く並ぶ
ここで買い方の違いが効いてきます。クラウドは容量に比例して月額が上がりますが、NASは本体の値段が変わらず、HDDの代金だけが増えます。
ひとつ上の8TBのモデル(4TBのHDDが2台。予備を取ると使えるのは4TB)で比べます。
| 使いたい容量 | クラウド(1年) | NAS(買い切り) | 並ぶまで |
|---|---|---|---|
| 2TB | 17,400円 Google One 2TB | 43,362円 2TB×2 | 2年9か月 |
| 4TB | 34,800円 Google One 5TB | 60,280円 4TB×2 | 1年9か月 |
2026年8月19日に確認した価格です。クラウドは2TBの次が5TBで、あいだの段がありません。
そもそも個人向けのクラウドは、上の段が用意されていません。Google One は5TBが最上位で、それ以上は同じ契約を重ねる形です。
★動画を撮る、写真をたくさん残す、大きなデータを扱う。そういう使い方をしているなら、NASのほうが安く済むという強みが出ます。逆にデータが数百GBで収まっているなら、クラウドのほうが手間がかかりません。
HDDが何台入る機械を選ぶか〜場所が許すなら4台入るものを
ここまで2ベイ(HDDが2台入る)で書いてきましたが、HDDが何台入る機械を選ぶかで、使える容量の割合が変わります。
| 入るHDDの台数 | 予備の取り方 | 4TBのHDDを入れると | 使える割合 |
|---|---|---|---|
| HDD 2台 | HDD 1台を丸ごと予備に | 8TB搭載 → 4TB使える | 50% |
| HDD 4台 | HDD 1台ぶんを予備に | 16TB搭載 → 12TB使える | 75% |
HDDが2台しか入らない機械では、予備を取ると必ず半分です。ところがHDDが4台入る機械なら、予備に回すのはHDD 1台ぶんで済みます。台数が増えるほど、予備に取られる割合は小さくなります。
速くはなりません。この記事で見たとおり、先に頭打ちしているのは回線のほうです。あくまで容量と安心の話です。
ただしこれで安心しきってはいけません。
ふたつ目は、NASという機械そのものが駄目になったときです。この予備がデータを守れるのは「HDDが壊れたとき」だけです。NASの本体が故障したり、置いてある部屋で水漏れや火事があったりすれば、中のHDDが何台無事でもデータは取り出せません。
全部を同じ強さで守る必要はありません。失っても構わないデータと、絶対に失えないデータを分けて、失えないほうだけ守りを厚くする。この分け方が、いちばん現実的だと思います。
4台入る機械の例です。2ベイより高くなりますが、HDD 1台ぶんを予備に回しても、残りの3台ぶんが使えます。
絶対に失えないものは、NAS 2台に同じものを置く
手元でやっているのはこれです。大切なデータは、2台のNASの両方に同じものを置いています。
| NAS 1台の中で予備を取る | ★HDDが壊れたときに守れる |
| NAS 2台に同じものを置く | ★NASごと駄目になったときに守れる |
手元では、普段使いのNASと、長期保存用のNASの2台があります。撮り直せない写真や動画は、その両方に置いています。
同じデータを2台のNASに置くので、使える容量はそのぶん減ります。だから両方に置くのは失えないデータだけです。それ以外のデータは、どちらか片方のNASにしか置いていません。
※組み方の詳しい話(何台でどう組むか、入れ替え中がなぜ危ないか)は、次の記事で書きます。
それでも「自分で持てる」のがNASの利点です。5万円ほど出せば、月々の支払いから離れられます。
ちなみに手元の59TBを同じように預けるとどうなるか。5TBのプランを12契約ぶんと考えると、月34,800円、年417,600円。使う量が増えるほど、この差は開いていきます。
逆に言えば、数百GBで収まっているならクラウドで十分です。この記事はそれを超えてしまった場合の話です。
そこで「中身をHDDに替える」を考えます。次は、HDDを入れられる場所を見ていきます。
SSDとHDDは何が違うのか〜なぜHDDが残っているのか
「中身を替える」前に、SSDとHDDの違いを並べておきます。この2つは、記録のしかたがまったく違います。
HDDは、円盤を回して針で読み書きします。レコードプレーヤーに近い作りです。SSDは動く部品がなく、電気だけで記憶します。
| SSD | HDD | |
|---|---|---|
| 速さ | 速い(本体内なら数千MB/s) | 遅い(HDD 1台で150〜250MB/s程度) |
| 動く部品 | ない | ある(円盤が回っている) |
| 振動・衝撃 | 強い | 弱い。動作中にぶつけると壊れやすい |
| 音 | しない | 回転音とカリカリ音がする |
| 大きさ・重さ | 小さい・軽い(カードくらいのものも) | 大きい・重い(大容量は3.5インチ) |
| 電気 | 少ない | 多い(回し続ける) |
| 寿命の減り方 | 書き込んだ量で減る | 回っている時間で減る |
| 容量あたりの値段 | 高い | 安い |
並べると、速さ・静かさ・丈夫さ・軽さ、どれもSSDが勝っています。パソコンの中身がSSDに置き換わったのは当然の流れでした。
それでもHDDが残っているのは、値段と容量のため
とくに大容量ほど差が開きます。手元のNASには16TBのHDDを6台入れていますが、同じ容量をSSDで揃えるのは、いまの値段では考えられません。
② 1台で入る容量が大きい
20TBを超えるHDDが普通に売られています。SSDで同じ容量は、あっても値段が桁違いです。
手元でHDDを使い続けている理由も、この単価の安さです。それ以外はSSDのほうが良いと分かっていても、59TBを揃えるとなると値段の差が効いてきます。
HDDは壊れやすい〜それを台数で補う
とはいえ、円盤が回っている以上、HDDは1台で見れば壊れやすいものです。安いHDDに大事なデータを預けて大丈夫なのか。ここが引っかかるところだと思います。
そこでHDDを複数台まとめて、そのうち1台が壊れても中身が残る組み方にします。手元では16TBのHDDを6台入れて、うちHDD 1台ぶんを予備に回しています。HDDが1台壊れても、入れ替えれば元に戻ります。
※この組み方の詳しい話(何台でどう組むか、どこが危ないか)は、次の記事で書きます。
そうするとHDDに残る弱点は、速さだけです。
では、あまり書き換えないもの——写真や動画、たまに見返せばいいもの——なら、その速さは要るのでしょうか。
この「増え続けるが消せない」という状態が、置き場所専用の機械を使ってみようと思ったきっかけでした。この読み出しの速さを確かめるために測りました。
HDDを置ける場所は、3つに分かれる
先ほどの置き場所のうち、HDDを入れられるのは手元にある3つです。クラウドは中身を選べないので外れます。
手元にあるのは3つ目です。ネットワークにつなぐこの機械をNASと呼びます。59TB入っています。1GBを9秒という速さが、何に向いていて、何に向いていないのか。改めて測ってみました。
値段と速さで並べて「どこに何を置くか」を決めた記事はこちらです。
NASを実際に使ってみた記録はこちらです。
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