3Dプリンターで空気清浄機のフードを作ってみた話

2019年11月25日

光造形式の3Dプリンターで作業をしていると、どうしてもUV樹脂やIPAの匂いが気になります。

小型の空気清浄機を購入したのですが、風が真上にしか出なかったので、ちょっとだけ風向を変えるフードを作ってみました。

空気清浄機

本来は、車のドリンクフォルダーに乗せて使うタイプの空気清浄機です。

縦長でばしょを取らない、かつイオン脱臭ができるタイプのものとしては、安価な部類に入ります。私はオートバックスの店頭で購入しました。

こういう商品は、イオンを発生させる「イオナイザー」の部類に入ります。「イオナイザー」は静電気を除去してくれるため、電子機器の向上などにも導入されているものです。光造形形式の3DプリントではIPAという有機溶剤を使う点で、発火の恐れがある静電気除去をするという意味でも、イオナイザーはあって損はしないでしょう。

さて、買ってから気が付いたのですが、この商品は、風が真上にしか出ていきません。

下記のパナソニックのものとかは、風の方向をコントロールできるようになっています。

こういうかゆいところに手が届かない時こそ、3Dプリンターの出番でしょう。

使用したもの

3Dプリンター「ELEGOO MARS」

光造形形式の3Dプリンターです。3万円前後で、高精細な造形が作れます。

UV樹脂

黒色のUV樹脂を選択しました。

露光条件は後述しますが、最適とは言いがたいです。

モデル作成

使用したソフト

以前は「DesignSpark Mechanical」 という商用でも無料で使えるアプリを使っていたのですが、今回も練習も兼ねて、一般によく使われているアプリ「Fusion360」を使いました。

Fusion360も個人利用の範囲では、無料で使えます。

モデルの目的

今回のモデル作成の目的を考えておきます。

  • 真上に噴出された風を前面に曲げたい
  • 電源コードの邪魔にならない
  • 電源ボタンの邪魔にならない

風の方向を曲げたいだけですので、後ろ側を囲えば勝手に風は曲がるだろうと推測しています。

また、また前側を開けるということは、上面の前側に電源ボタンの邪魔にならない点でも理にかなっています。

モデル

下記のようなモデルを作りました。

空気清浄機の上面の直径が約74mmです。ELEGOO MARSの平面の短辺側が最大68mmということで、短編側が65mmになるように削りました。

また、風の流れが、前45度になったらいいなと思い、45度になるように切り込みを入れています。

0.5mmの面取りを行ったところ、細すぎる部分が良い感じで除去出来ました。

そこから見るとわかるように、電源ケーブル用の抜きを作っています。

寒くなってきたからか、サポートの出来が悪くなってきたように感じましたので、初期露光時間だけ増やしています。

それでも、図の手前左側のサポートが綺麗に造形できませんでした。ある程度の体積のあるものを斜め45度程度で造形すると、すでに出来上がっている造形物がサポート代わりになり、サポートが崩れてもそれなりの物ができるようです。

DMM.make

Free素材として、DMM.makeにモデルを置いていますので、ご自由に使ってください。

出来上がったもの

出来上がったものが下記の写真です。

前述のように、写真手前の部分のサポートはきれいにできていなかったのですが、設計通りに出力されているようです。

一応思った通りの形状が出来ています。厚さ2mmのドームを基準として作りましたが、ちょっと弱い感じがします。もう少し肉厚でもよかったかもしれません。

使用感

IPAで洗浄、UV硬化のみした状態で使用しています。バリやら、表面の加工ムラなど残った状態です。

若干遊びは感じるものの、ぴったりとはまります。円周全部をカバーしていないので、ゆるく感じるのでしょう。

電源ケーブルにも干渉しません。この位置に電源ケーブルがあるため、今回のフードは、向きが変更できなくなっています。

電源を入れてみると、ちゃんと前方に風が来ます。前方側、上方向45度といったところでしょうか。

まとめ

今回は、比較的安価な空気清浄機に風向を変えるためのフードを作ってみました。

もともと風量も小さいので気休め程度ですが、匂いの根源に向けて放出できるようになりました。

肝心のレジンの臭さですが、マシになったような気がします。定量的にも図れていないので、プラシーボかもしれませんが。