Strata はその後どう変わった?〜10月12日から17日までの更新を読んだ(v0.1.43〜0.1.44.1)
Strata(ストラータ)は、巨大なモデルを12GBのグラフィックボードで動かすと話題の推論エンジン(AIモデルを動かす土台のプログラム)です。10月12日に仕組みを調べた記事(18195)を書いたあと、Strata はさらに更新されました。前回の記事に書いたことのうち、いまは当てはまらないものもあります。
この記事では、公式のリリースノートと説明文書を読み直し、前回から何が変わったかを整理しました。当ブログで Strata を動かして測った記事は17994にあります。今回は新しい測定をしていません。2026年10月17日 午前8時台に確認した内容です。
調べたこと〜範囲と情報源
調べたのは、GitHub の Niko1221/Strata のリリース履歴(v0.1.43.1・v0.1.44・v0.1.44.1)、README、docs の MODELS・MAC・STRIX_HALO です。Star 数とプルリクエスト数は GitHub の API で数えました。速さや品質の数字はすべて作者の公表値で、当ブログでは確かめていません。
結果1〜数字の動き
| 項目 | 10月12日(前回) | 10月17日 |
|---|---|---|
| GitHub の Star | 約22,000 | 26,239 |
| 公開中のプルリクエスト | 398件 | 753件 |
| 最新の版 | v0.1.43.1 | v0.1.44.1(10月14日) |
結果2〜前回の記事と食い違うところ
前回の記事に書いた次の3点は、いまの公式の説明と違います。
| 項目 | 前回の記事 | いま |
|---|---|---|
| 対応モデル | Qwen3.8-Flash-Next の系統のみ | v0.1.44 から Qwen3.6-35B-A3B にも対応(NVIDIA と AMD のみ。Intel と Mac は対応しない) |
| macOS | 公式は非対応。Metal 対応の提案は取り下げ | v0.1.44 から Apple Silicon(M1〜M5・macOS 15 以降)に実験的に対応。Mac 上でビルドする方式で、作者が確かめたのは2台のみ |
| 量子化の選択肢 | GSQ-RCO 形式と UD-IQ4_XS など | Unsloth の UD-Q4_K_XL・UD-Q5_K_XL・UD-Q6_K_XL・Q8_0 が設定画面の選択肢になった。NVIDIA 専用の NVFP4 も追加 |
Ryzen AI Max+ 395 などの Strix Halo(当ブログの EVO-X2 と同じ系統のチップ)は、前回は「実験的」と書きました。いまも「実験的」のままですが、専用の説明文書(STRIX_HALO)が増え、メンテナ自身の Ryzen AI Max+ 395・メモリ128GBの機体で作者が測ったと書かれています。
結果3〜量子化ごとの品質(作者の測定)
「量子化」は、モデルの数値を粗くして小さくする方法です。小さくするほど速く軽くなりますが、元の答えからずれやすくなります。作者は、Q8_0(8ビット)を基準にして、4,995か所の文章位置で「次に選ぶ言葉が基準と同じ」になる割合を測っています。
| 量子化 | 基準と同じ言葉を選ぶ割合[%] | 平均KL(小さいほど基準に近い) |
|---|---|---|
| UD-Q6_K_XL | 94.6 | 0.033 |
| UD-Q5_K_XL | 94.6 | 0.038 |
| UD-Q4_K_XL | 93.1 | 0.056 |
| NVFP4 | 92.1 | 0.070 |
| UD-IQ4_XS | 88.9 | 0.101 |
| IQ3_S | 87.7 | 0.144 |
| IQ3_XXS | 84.5 | 0.202 |
| Q2_0 | 80.6 | 0.315 |
速さとの兼ね合いも公表されています。作者の AMD R9700(32GB)では、すべての専門家をメモリに置いた UD-Q4_K_XL で、物語を書くときは63 tok/s、コードでは85〜88 tok/s です。Q8_0 では53〜57 tok/s と66〜74 tok/s でした。同じ機体の llama.cpp は16〜20 tok/s と作者は書いています。
結果4〜0.1.43 の変更が逆効果だったので戻した
v0.1.43 では、Linux の NVIDIA で「処理の重ね合わせ(adaptive overlap)」を初期設定でオンにしました。ところが、機種によっては書く速さが落ちました。作者の再測定では、RTX 5070 Ti のデスクトップで68.4 tok/s(オフなら86.4 tok/s)、RTX 5060 Ti で19%減、RTX 5090 Laptop で21%減です。そのため v0.1.43.1 で初期設定をオフに戻しました。RTX 5060 Ti は、当ブログが 17994 で測った機種です。17994 の70.7 tok/s を測ったときの Strata の版と、この変更の関係は確認していません。
結果5〜v0.1.44.1 で直った不具合
- AVX2 非対応の古い CPU(Xeon X5670 など)で、起動時に何も表示せず止まる問題
- CUDA 12.0 / 12.1 の環境でエンジンをビルドできない問題
- Apple M2 で答えが崩れる問題(Metal の処理が、使えるスレッド数の上限を超えていた)
考察〜前回の記事への影響
前回の結論は「Strata は Qwen3.8-Flash-Next 専用のエンジン」でした。いまは Qwen3.6-35B-A3B にも対応したので、「専用」という書き方は強すぎます。ただし、Qwen の系統の MoE(専門家を使い分けるモデル)に限られる点は変わりません。
品質の表からは、量子化を粗くするほど基準との一致が下がることが分かります。作者の測定では、UD-IQ4_XS(88.9%)から UD-Q4_K_XL(93.1%)へ上げると、一致が4.2ポイント増えます。ただし、必要なメモリも増えます(UD-Q4_K_XL で約88GB)。128GB のメモリを持つ機体向けの選択肢が増えた、という見方ができます。
限界
- この記事の速さと品質の数字は、すべて作者の公表値です。当ブログの測定ではありません。
- Strix Halo と Mac の数字は、作者の1〜2台の機体での値です。
- Strata は1日に何度も更新されます。この記事も、確認した時点のものです。
まとめ〜前回の3点を直し、量子化の選び方が増えた
10月12日から17日の間に、Strata は Mac と Qwen3.6-35B-A3B に対応し、Unsloth の4〜8ビットの量子化が選べるようになりました。0.1.43 の変更は一部の NVIDIA で遅くなったため、0.1.43.1 で元に戻っています。
すでに Strata を使っている人は、更新するときに「UPDATE.bat(Linux は ./update.sh)」を使い、更新後に自分の機体で速さを測り直してください。新しく試す人は、前回の記事の「使う前に知っておきたいこと」と、公式の INSTALL と SECURITY を先に読んでください。
参考にしたサイト
- Niko1221/Strata(GitHub)リリース履歴 v0.1.43.1・v0.1.44・v0.1.44.1
- Strata docs/MODELS・MAC・STRIX_HALO
- 当ブログ 18195 Strata の仕組み
- 当ブログ 17994 Qwen3.8-Flash-Next を動かした記事







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