Oculus Quest レビュー:実質の解像感は? Oculus Rift S, Goと比較して
先日、Oculus Rift SでBeat Saberを購入しました。Oculus Questでデモ版のBeat Saberをプレイしてみて解像感について思う事を簡単にまとめます。
スペックおさらい
Oculus Rift S、Oculus Quest、Oculus Goのスペックをおさらいします。
Oculus Rift S | Oculus Go | Oculus Quest | |
プラットホーム | PC接続 | スタンドアロン | スタンドアロン |
SoC (GPU) | PC依存 | Snapdragon 821 (Adreno 530) | Snapdragon 835 (Adreno 540) |
解像度(片目) (ディスプレイ数) | 1280 x 1440 (2560 x 1440 1枚) | 1280 x 1440 (2560 x 1440 1枚) | 1600 x 1440 (1600 x 1440 2枚) |
リフレッシュレート | 80Hz | 60Hz,72Hz | 72Hz |
視野角 | 115度 | 110度 | 100度 |
IPD調整 | ソフトウェア | 不可 | ダイヤル式 |
ディスプレイ | 液晶 | 液晶 | 有機EL |
トラッキング方式 | インサイドアウト | インサイドアウト | インサイドアウト |
外部センサー | 不要 | 不要 | 不要 |
トラッキング | 6DoF | 3DoF | 6DoF |
価格(ドル) | $399 | $200 | $399 |
価格(円) | ¥49,800 | ¥24,624(32GB) \29,800(64GB) | ¥49,800(64GB) \62,800(128GB) |
画面の解像度という観点から見ると、Oculus Rift SとOculus Goが同じ、Oculus Questは解像度が高い、と言うことになっています。
違和感?
前述の通り、Oculus Questは片目1600×1440、Oculus Rift Sの1280×1440よりも画素数が高いはずです。
ところが、Beat Saberをプレイしたところ、Oculus Questの方がドットが目立って綺麗に見えません。
画素数の高いはずのOculus Questの方がドットが荒く見える、と言った不思議な現象が気になりました。
見え方の違い
実際のドットの見え方を調べたく思い、写真を撮ってみました。デジカメで撮った写真です。ピントを合わすのが難しく、同じ場面の拡大になっていませんが、イメージは伝わるかと思います。
Oculus Go
Oculus Goは液晶ディスプレイです。縦横に網目が見えます。
Oculus Quest
Oculus Questは有機ELディスプレイです。下の写真のように斜めに線が入ったように見えることがあります。
Oculus Rift S
Oculus Rift SはOculus Goと同じく液晶ディスプレイです。見え方もOculus Goに似て縦横のしましまが見えます。
違和感の原因は色(サブピクセル)の配列だった
Oculus Questだけ見え方が違っていますね。この理由は、色(サブピクセル)の配列にあります。
ディスプレイは一般的に、赤・緑・青に光るの四角が規則正しく並んでいます。この光る四角の1つ1つをサブピクセルと呼びます。このサブピクセルの並び方にディスプレイの種類によって違いがあるようです。
基本は、この赤・緑・青(RGB)の3つがセットで 1ピクセルと呼ばれています。
RGBストライプ方式
基本に忠実に、赤・緑・青のサブピクセルが規則正しく並んでいます。
下がディスプレイを超拡大した場合のイメージ図です。テレビに水滴を付けたり虫眼鏡で見てみたりすると、似たようなピクセルが見えますので、実際に見たことがある人もいるんじゃ無いでしょうか。
上の図がRGBストライプ方式と呼ばれる物です。
上の図のように、4ピクセルの中には、赤・緑・青がそれぞれ4つずつあります。
RGBペンタイル方式
一方、Samsung製を代表とする有機ELディスプレイの多くはRGBペンタイル方式という配列を使っています。
これは、赤・緑・青が変則的に並んでいます。面積の小さい緑は各ドット(ピクセル)毎にあるようですが、赤・青は間引かれています。
これがRGBペンタイル方式と呼ばれる物です。
赤がキツい場面や、青がキツい場面で斜めに黒い線が見えるのは、このサブピクセルの配列のためですね。
上の図のように、4ピクセルの中には、赤2つ・緑4つ・青2つしかありません。
RGB方式と比べると、サブピクセルがかなり間引かれています。
また、下記のサイトでは、ピクセル数の換算方式を記しています。
これに寄りますと、RGBペンタイル方式のディスプレイの実効的な解像度は、√2/3≒0.816倍した数字が正しいとしています。
Oculus Questの本当の解像度は?
前述の通り、RGBペンタイル方式のピクセル数が0.816倍した数字ならば、Oculus Questの実行画素数は、
1600 × 0.816 = 1306
1440 × 0.816 = 1175
1306 × 1175px = 1.5Mpxとなります。
Oculus Rift SやOculus Goは、1280 x 1440 px = 1.8Mpxで、Oculus Questの実行画素数の1.2倍です。
つまり、Oculus Questは、Oculus Rift SやOculus Goよりも実効的な画素数が少ないと言うことになります。
もっとも、GPUとしては、1600x1440の計算はしているはずなので、Oculus Questは無駄に頑張っている、ということになります。
以上を踏まえてスペック表を更新します。
Oculus Rift S | Oculus Go | Oculus Quest | |
発売時期 | 2019年5月 | 2018年5月 | 2019年5月 |
プラットホーム | PC接続 | スタンドアロン | スタンドアロン |
SoC (GPU) | PC依存 | Snapdragon 821 (Adreno 530) | Snapdragon 835 (Adreno 540) |
ディスプレイ | 液晶 | 液晶 | 有機EL |
ピクセル配列 | RGBストライプ方式 | RGBストライプ方式 | RGBペンタイル方式 |
解像度(片目) (ディスプレイ数) | 1280 x 1440 (2560 x 1440 1枚) | 1280 x 1440 (2560 x 1440 1枚) | 1600 x 1440 (1600 x 1440 2枚) |
実行解像度(片目) | 1280×1440 | 1280×1440 | 1306×1175 |
リフレッシュレート | 80Hz | 60Hz,72Hz | 72Hz |
視野角 | 115度 | 110度 | 100度 |
IPD調整 | ソフトウェア | 不可 | ダイヤル式 |
トラッキング方式 | インサイドアウト | インサイドアウト | インサイドアウト |
外部センサー | 不要 | 不要 | 不要 |
トラッキング | 6DoF | 3DoF | 6DoF |
価格(ドル) | $399 | $200 | $399 |
価格(円) | ¥49,800 | ¥24,624(32GB) \29,800(64GB) | ¥49,800(64GB) \62,800(128GB) |
まとめ
Oculus Questは、RGBペンタイル方式のディスプレイを使用しているために、実効的な画素数が少ないと言うことが分かりました。
一方、一般に液晶よりも有機ELの方が
- 反応速度が早い
- ピクセル間の色が混じりにくくハッキリとした絵作りが出来る
と言った利点があるために、ゲームや向いていると言われています。
Oculusとしては、反応速度の面から、有機ELを使いたいという思いがある。が、普及している有機ELディスプレイがRGBペンタイル方式を取っている。仕方が無いので、満足のいく解像度を安定して確保しようとすると、計算上1600x1440px、実行1306x1175pxの、現在のディスプレイになった。と言うことでは無いでしょうか。
Oculus QuestとOculus Goを比べると、黒地の絵が締まって見えるため以外と文字が読みやすかったり、動きの速い場面で光の残像が無かったりと、有機ELディスプレイの利点は確かに感じます。
ですが、動画の視聴等でも、キリッとした絵が必要ない場合は、実効的な画素数の多いOculus Goの方が綺麗に見えるのではないでしょうか。
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