電子ペーパースマホは実用段階に入ったのか? Hisense A10 UltraとBOOX・Bigmeの現行機を調べてみた
生成AIを使うようになってから、目を酷使しています。画面で文章を読み返す時間が、以前とは比べものになりません。
そこで、目に優しい電子ペーパーへ関心が戻ってきました。端末そのものは2019年から何台か使っています。BOOX Nova 2、Max3、その後も何台か。ただ、どれも電子書籍端末として使っていました。
少し調べてみると、SIMに対応したスマホ型の端末も何件か出てきていました。本記事では、2026年9月時点で買えるものを並べ、何ができて何を諦めることになるのかを整理しました(確認日 2026年9月3日)。
電子ペーパーのスマートフォンは、実用段階に入ったのでしょうか?
何を調べたか〜範囲と情報源
調べたのは、2026年9月時点で購入できる機種です。メーカーの発表、海外の比較記事、販売ページを参照しました。
現状私は、電子ペーパーのタブレットと読書端末を持っていますが、スマートフォンは持っていません。使用感については、公開されている評価を引用する形にとどめます。
2026年8月に発売されたHisense A10 Ultra
8月28日、Hisenseが A10 シリーズを発売しました。上位機の A10 Ultra は、この分野で長く弱点だった部分にいくつか手を入れています。
| 項目 | Hisense A10 Ultra |
|---|---|
| 画面 | 6.13インチ Carta 1300/1648×824/300ppi |
| 階調 | 256階調グレースケール/36段階の2色フロントライト |
| OS | Android 16 |
| 処理装置 | Qualcomm QCM6690(4nm・8コア) |
| 通信 | 5G |
| 電池 | 4,000mAh/有線18W/無線15W(磁気式に対応) |
| カメラ | 背面4,800万画素/前面800万画素 |
| 重さ | 190g |
| 価格 | 3,198元〜3,898元(約7.1万〜8.7万円) |
着脱式のカラー画面
A10 Ultra には、背面に取り付けるカラー画面が用意されています。普段は電子ペーパーで読み書きし、色が要る場面だけカラー画面を使う、という考え方です。
電子ペーパーは色を出すのが苦手で、カラー対応の製品はコントラストが落ちます。色を諦めるか、白黒の見やすさを諦めるかという選択とならざるを得ないのです。この製品では、2つを別々の画面に分けることで、一つの答えとしたようです。
Android 16を積んでいる
この分野の製品は、発売時点でAndroidの版が古いことがよくあります。海外の比較記事でも、その点が繰り返し指摘されています。
| 機種 | Androidの版 |
|---|---|
| Hisense A10 Ultra(2026年8月) | Android 16 |
| BOOX Palma 2 Pro | Android 15 |
| Bigme HiBreak Pro | Android 14 |
Androidの版は、使えるアプリと、セキュリティ更新がいつまで届くかに関わります。長く使う前提なら、ここは見ておく部分です。
通信・電話の機能が統一されていない
調べていて分かったのは、「電子ペーパースマホ」と呼ばれているものが同じ性質の製品ではないことでした。電話ができるかどうかで、はっきり分かれます。
Hisense A10 Ultra / Bigme HiBreak Pro / Mudita Kompakt
BOOX Palma 2 Pro
BOOX Palma 2 ほか
BOOX Palma 2 Pro は、5G通信もカラー画面も持っていますが、電話はかけられません。名前や見た目からは分からない部分です。買ってから気づくと困ります。
主な機種の一覧
| 機種 | 画面 | OS | 通話 | 価格 |
|---|---|---|---|---|
| Hisense A10 Ultra | 6.13型 白黒+着脱カラー | Android 16 | ○ | 約7.1万〜8.7万円 |
| Bigme HiBreak Pro | 6.13型 白黒 | Android 14 | ○ | 約6.5万円($439) |
| Bigme 5G デュアルSIM | 6.13型 カラー | Android 14 | ○ | 75,999円 |
| BOOX Palma 2 Pro | 6.13型 カラー | Android 15 | ✕(通信のみ) | 69,800円 |
| BOOX Palma 2 | 6.13型 白黒 | ― | ✕(Wi-Fi) | 約4万円($269.99) |
| Mudita Kompakt | 4.3型 白黒 | 独自OS | ○ | ― |
価格や在庫は日々動きます。上のボタンは各モールの検索結果に飛びます。並行輸入品が混じることがあるため、販売元と保証の有無を確認してから選んでください。
画面の大きさが6.13インチにほぼ揃っています。Hisense も Bigme も BOOX も同じ寸法です。電子ペーパーの調達先が限られているためと考えられます。
日本円で示したものは、2026年9月3日にAmazonの販売ページで確認した税込価格です。米ドルで示したものは海外の販売ページの表示で、日本円は概算です。価格も在庫も動きます。
変わり種〜スマホに貼りつける3.7インチ
スマートフォンの形をしていない端末も出ています。XTEINK X3 は3.7インチ、重さ58g、厚さ5.1mmで、名刺入れほどの大きさです。
使い方が変わっています。付属のマグネットリングでスマートフォンの背面に貼りつけて持ち歩き、読むときだけ外します。本体を振るとページが送れます。内蔵16GBに加えてSDカードにも対応し、電池は650mAhで通常使用なら1週間ほど。価格は11,120円(2026年9月3日にAmazonで確認)。
電話にはなりません。読むことだけに寄せた端末です。ただ、この記事で並べてきた6万〜8万円台の機種と比べると、桁がひとつ違います。電子ペーパーで読むという体験だけを試したい場合の入口としては、ここから入る手もあります。
Mudita Kompaktだけ、向いている方向が逆
他の機種がAndroidを積んで「普通のスマートフォンに近づける」方向なのに対し、Mudita Kompakt は逆を向いています。
独自のOSで、できることは通話・SMS・オフライン地図・音楽くらい。アプリストアがありません。ブラウザも、延々と読み進めるようには作られていません。画面は4.3インチ、電池は3,300mAhで6日間持つとされています。
「スマートフォンに使われないための機械」という位置づけです。同じ「電子ペーパースマホ」でも、目的がまったく違います。
海外の評価軸は「何を諦めるか」
複数の比較記事に共通していたのは、性能ではなく「何を諦めることを求めてくるか」で順位をつけるという切り口でした。電子ペーパーの端末は引き算の製品だ、という見方が定着しているようです。
そのうえで、「多くの人は結局 BOOX Palma 2 で満足している」という指摘が複数ありました。約4万円で、電話はできない機種です。
電話ができる機種のほうが高価で、Androidの版も古い。それでも安いほうで満足しているのなら、求められているのは電話機能ではない、と読めます。
実用段階に入ったと言えるのか
調べた範囲での見立てを書きます。
「1台で済ませる」なら、まだ厳しいようです。画面の書き換えが遅いという電子ペーパーの性質は変わっていません。地図、動画、写真の確認といった日常の場面で不便が出ます。カメラも積んではいますが、色が出ない画面で写真を見る形です。
「2台目として持つ」なら、選択肢は増えました。Android 16 の機種が出て、5Gが使え、Google Playが動く。読むための機械としては、数年前より確実に良くなっています。
Hisense A10 Ultra の着脱式カラー画面は、この「1台で済ませられない」という部分に手を入れた設計に見えます。ただし、着脱式が便利なのか、結局2台持ち歩くのと変わらないのかは、使ってみないと分かりません。
この記事で言えないこと
手元に実機がありません。使用感、書き換えの速さ、着脱式カラー画面の使い勝手は、いずれも確かめていません。
価格は各販売ページの表示です。日本国内で正規に買えるか、技適が通っているかは、機種ごとに確認が要ります。この記事では調べていません。
Hisense A10 Ultra は発売翌日の情報です。実際に使った人の評価は、まだほとんど出ていません。
まとめ
2026年9月時点の電子ペーパースマートフォンは、電話ができるかどうかで3つに分かれます。名前や見た目では区別がつかないため、買う前に確認が要る部分です。
新しく出た Hisense A10 Ultra は Android 16 を積み、着脱式のカラー画面を用意しました。この分野で弱点とされてきた「Androidが古い」「色が出ない」の両方に手を入れています。
一方で、海外の比較記事では電話のできない約4万円の機種で満足している人が多いとされています。求められているのは電話機能ではなく、読むための画面のようです。
1台で済ませる用途では、まだ不便が残ります。2台目として、読むことに使うなら、数年前より選びやすくなっています。
目に優しい画面という点では、電子ペーパーの立ち位置は昔から変わりません。ただ、生成AIを使うようになってから、文章を読む時間がはっきり増えました。出てきた長い答えに目を通し、確かめる作業が毎日あります。こういうときに手元の電子ペーパー端末はとても助かっていて、長く見ていても目が疲れません。
なお、手元でAIを動かすと、モデルも生成物もディスクを食います。データの置き場所そのものを見直す話は、こちらです。










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