Oculus Quest 2でOculus Link時にPD対応USBハブを使うと使用時間は伸びるのか

2020年11月7日

Oculus Quest 2をUSBでPCに繋ぐと、PC用HMD(ヘッドマウントディスプレイ)として使えてしまう「Oculus Link」という機能があります。

この「Oculus Link」を使っていると、じわじわバッテリーが減ると聞き、実際どうなのか検証してみた下記の記事からの派生です。

PD対応のUSBハブを使ってみた

サンワダイレクト:400-HUB075BK

商品レビューでちゃんとPD対応のハブとして使えると書かれていたことから購入してみました。

ハブにDCアダプタを接続することで、USBポートに直接電力が供給できます。

USB Type-Cポートを二つ持っており、片方がPD対応となっています。

前面

裏面はPC側のUSB Type-Cポートが一つと、DCアダプタ用のポートがあります。

裏面

DCアダプタは5V/2Aです。この仕様ではOculus Quest 2を充電しきれない不安がよぎります。

テスト時の接続方法

PCに接続されたUSB3.0のハブを介して、「400-HUB075BK」に接続します。

この時、「400-HUB075BK」に流れ込む電力は最大で4.5W程度でした。

セルフパワー時は4.5W程度流れ込んでいます。

バスパワー時は、PC側のUSBハブからは電力が流れ込んでいません。

バスパワー時は、PC側のUSBハブからの電力は流れていません。

PD対応ポートでOculus Link

Oculus Quset 2のバッテリー残量は53%の状態でのテストです。

PCにUSB3.0用のPD非対応のハブをかませて、「400-HUB075BK」を繋いでみました。

PD対応ポートで、4W程度の給電です。0.5Vほど電圧がドロップしています。

PD非対応ポートでOculus Link

もう片方のUSB Type-Cポートでも給電してみました。こちらも4W程度。

同じ状態で、U2720Qでの給電

続けて、給電機能付きのUSBハブを内蔵しているDELLのディスプレイU2720Qに接続してみました。

こちらは10W程度給電されています。

各ポートの電力供給能力

Oculus Quest 2 を純正Oculu Linkケーブルで接続し、その時のケーブルに流れる電流・電圧を測定します。

このUSBハブは、DCアダプタから電力を持ってくるバスパワー駆動と、PCからのみ電力を持ってくるセルフパワー駆動の両方に対応しています。

なお、Oculus Quset 2のUSB Type-Cは5V縛りですので、元々十分にはPD (Power Delivery)の恩恵は受けません。

また、USB Type-A接続時には下記のような変換アダプタを使っています。このアダプタの性能で十分な給電が出来ていない可能性もありますが、ここでは深堀しません。

セルフパワー駆動時

先に結果を記載しておきます。セルフパワー駆動では、USB Type-Aのポートは全く駆動用の電力を与えていないことが分かりました。

逆に、USB Type-CはPDの有無関係なく、4W程度の給電が出来ています。

ポート電圧電流電力
PDポート4.56V0.85A3.9W
USB Type-Cポート4.97V0.85A4.2W
USB Type-Aポート5.08V0.12A0.6W
USB Type-Aポート5.08V0.12A0.6W

PDポート

3.9W程度

USB Type-Cポート

4.2W程度

USB Type-Aポート

0.6W程度

USB Type-Aポート

0.6W程度

バスパワー駆動時

USB Type-CはPDの有無関係なく、しかもバスパワーの有無関係なく、4W程度の給電が出来ています。

バスパワー駆動では、USB Type-Aのポート2W以上は出るようです。何故か中央よりのポートが0.6Wしか出ていませんが、仕様が意図的に変わっているとは考えられないため、外れ個体だったと考える方が自然でしょう。

ポート電圧電流電力
PDポート4.56V0.85A3.9W
USB Type-Cポート4.91V0.85A4.2W
USB Type-Aポート5.13V0.12A0.6W
USB Type-Aポート5.13V0.45A2.3W

PDポート

3.9W程度

USB Type-Cポート

4.2W程度

USB Type-Aポート

0.6W程度

USB Type-Aポート

2.3W程度

Oculus Link用としての400-HUB075BKの価値

USB3.0以降の規格としては最大4.5W(5V/0.9A)となっています。Oculus Quest 2では電圧が5Vに固定されていますので、このUSBハブの利点である”PD対応”の能力は活かし切れていないようです。

Oculus Quset 2を「400-HUB075BK」を介してPCに接続する場合、ケーブルに流れる電力は4W程度となりました。

この給電能力では徐々にOculus Quset 2のバッテリーは減っていきます。

Oculus Quset 2フル充電時から約7~8時間でバッテリー切れを起こす計算です。7時間持つのならば、十分なように感じます。

USBハブの能力不足で充電量が少なくなっている場合や、USB2.0のポートを使っていた場合は、このハブを使えばUSB2.0の規格値2.5W(5V・0.5A)より1.6倍程度長持ちしそうです。