Oculus Rift S はOculus readyのノートPCでも動かない? DisplayPortが超曲者
Oculus Rift SはDisplayPortとUSB3の端子で繋ぐ必要があります。
スペック上動作出来るはずの私のノートPC、昨年発売されたDELL G5(5587)は、「Oculus ready」シールの貼られたモデルですが、どうやらPC単体ではOculus Rift Sは動かないようです。原因などを軽くまとめます。
- 1. DELL G5 スペック vs Oculus Rift S 推奨スペック
- 2. 準備した物
- 3. Oculus Rift Sが動かない
- 4. NVIDIAコントロールパネルを見てみる
- 5. ディスプレイの詳細設定を見てみる
- 6. 考察
- 7. HDMI-DisplayPort変換の可能性は?
- 8. Oculusの公式サイトの見解
- 9. NVIDIA Optimus TechnologyとOculus Rift S
- 10. まとめ
- 11. (追記:2019/5/30)GPUボックステスト
- 12. 追記(2019/5/31) Thunderbolt3/DisplayPort変換アダプター
- 13. (追記:2019/6/22)まだ購入していないのならば、Oculus Questという選択肢は?
DELL G5 スペック vs Oculus Rift S 推奨スペック
私のPCのスペックを軽く書いていきます。スペック上はOculus Rift Sの推奨スペックをカツカツですが満たしています。
項目 | スペック | Oculus Rift S 推奨スペック | Oculus Rift S 最小スペック |
CPU | Core i7-8750 | Core i5-4590 Ryzen 5 1500X 以上 | Core i3-6100 Ryzen 3 1200 FX4350 |
memory | 16GB | 8GB以上 | 8GB |
GPU | NVIDIA GeForce GTX 1060 Max Q 6GB GDDR5 | NVIDIA GTX 1060 以上 | GTX 1050Ti GTX 960 Radeon RX 470 Radeon R9 290 |
ポート | ・USB 3.1 Type-A x 3つ ・Thunderboltと DisplayPortをサポートする Type-C Thunderbolt3 ・HDMI2.0 etc. | DisplayPort1.2 USB 3.0 x 1つ | DisplayPort1.2 USB 3.0 x 1つ |
ちょっと傷んでますが、「Oculus ready」のシールが貼ってあります。
流石に型落ちしているので、同じモデルはもうないみたいですが、下記の公式サイトにスペック等載っています。
注意すべきはここ。下記の絵の赤枠で囲ったところです。
Thunderbolt接続で、DisplayPortをサポートする、と言った内容と見ることが出来ます。
と言うことで、私は「Thunderbolt-DisplayPort変換アダプターがあれば動く」と考え、Oculus Rift Sを購入しました。
準備した物
Thunderbolt-DisplayPort変換アダプターの安物を二種類準備しました。
注意した点は、「Thunderbolt接続対応」である点。
「USB Type-C / DisplayPort変換アダプター」である場合、変換アダプター内に簡易なドライバーICが内蔵されています。こうなると、Thunderbolt接続では無くなり、単にUSB接続でポートが増設されるだけ。PCの内蔵GPUへ接続する可能性は皆無です。
Thunderbolt3-DisplayPort変換アダプター
PCに接続してみました。ドライバーのインストールの必要も無く、ちゃんと内蔵GPUに接続されているようです。
Thunderbolt3-mini DisplayPort変換アダプター
素晴らしい安さ。これでちゃんと動くんだったら儲けものです。
上記と同様にPCに接続してみました。こちらもドライバーも要らず、内蔵GPUに接続できているようです。
Oculus Rift Sが動かない
下記の公式ページより、ソフトウェアをダウンロードしてインストールしていきます。今回は詳細は省略します。
が、上記のどちらのアダプタを使っても、セットアップ画面で、DisplayPortの項目にチェックが入りません。
上の図の「詳しくはこちら」をクリックすると下記のページが出てきますが、解決策は出てきません。
当然、「設定をスキップ」して、Oculusのソフトウェアのインストールを終了させました。
PCの再起動等をしても、Oculusのソフトウェア上ではDisplayPortが接続されていないと出てきます。
NVIDIAコントロールパネルを見てみる
こうなると、PC側のデバイス設定が怪しくなってきます。
デスクトップで右クリックし、NVIDIAコントロールパネルを立ち上げてみます。
PhysX構成を見てみました。
すると、ディスプレイ2つがIntel UHD Graphics 630にぶら下がっている図が書いてありました。
ラップトップディスプレイはノートPCの液晶モニタです。TVとなっているのはOculus Rift Sのことっぽいです。
Geforce GTX 1060につながっている絵は? もしかして、Geforce GTX 1060に接続できるのは、HDMI端子だけ?
試しに、HDMI端子に外付けモニターを接続してみると、ビンゴです! Geforce GTX 1060にディスプレイの型番が表示されました(何故か、Intel GPUやラップトップディスプレイが消えましたが)
ディスプレイの詳細設定を見てみる
Windowsの設定画面から、「ディスプレイの詳細設定」を見てみました。
接続しているモニターは二つ。
- Thunderbolt-DisplayPort変換アダプターを介したOculus Rift S
- HDMI端子に接続した外付けモニター(22EN43)
これを見ると、Oculus Rift SはIntel GPUにつながってしまっています。この状態では、Oculus Rift Sの動作スペックを満たせません。
考察
これを見て、納得したと共に、がっかりとしました。これではDELL G5ではThunderbolt-DisplayPort変換は絶望的です。
理由を順を追って説明します。
Thunderboltって、デスクトップPCのPCI-eボードと同等の規格がスタートです。
つまりは、Thunderboltにデバイスを接続すると言うことは、デスクトップで言うところの、PCI-eボードを増設するのと同義と考えて良いでしょう。
PCを自作したことがある方なら、下を見て頂けると、イメージ出来るかと思います。多分、私の使っているDELL G5をデスクトップ風に書くと、こんな感じになっているかと思います。
更に乱暴にグラフィック系だけを簡略化したものが下の図です。
Thunderbolt端子はマザーボードに付いているので、CPU内蔵のGPUにしかつながりません。
グラフィックボード(Geforce GTX 1060)にはHDMI端子しかありません。Oculus Rift SはグラフィックボードのDisplayPortに直接接続する必要があります。
と言うわけで、、、
ツンダ!!! \(ToT)/
DELL G5の解決方法としては、Thunderbolt接続のGPUボックスを購入する、の一択なのではないでしょうか。
HDMI-DisplayPort変換の可能性は?
下記のサイトで議論されています。が、結論から言うと「無理」とのこと。
そもそも、HDMIとDisplayPortは互換性のあるポートではないので、変換は現実的ではありません。
Oculusの公式サイトの見解
下記の公式サイトを見ると、「PC本体にDisplayPortが付いてないなら、動作保証出来ないよ」という見解のようです。
NVIDIA Optimus TechnologyとOculus Rift S
NVIDIA Optimus Technologyっていう物があります。ノートPCで、Intel製CPUの他にnVIDIA製GPUを乗っけている場合、プログラム毎に、nVIDIAのGPUとIntelのGPUを割り振ることが出来る便利な機能です。
この機能を使って、Oculusのプログラムを内蔵GeForce GTX 1060に切り替えれるんじゃ無いか、と思われるかと思います。
ここで一個盲点が。NVIDIA Optimus Techologyは、出力ポートがIntelのGPU(IGP)前提での技術のようです。つまり、GeForce GTX 1060は裏方でガンガン計算して、IGPにデータ送って、IGPがディスプレイに出力するって方式。この場合、ディスプレイから見たGPUはIGPになります。
Oculus Rift Sは多分ですが、接続されたDisplayPortのGPUのドライバーの名前でも見に行ってるんではないでしょうか。ということは、PCに内蔵されているnVIDIA製GPUがあったとしても、Oculus Rift Sは「何だ、IGPやん。ショボいし使えへんやん」と思ってしまい、動いてくれないわけです。
これが意味するところは、Oculus Rift SはGPUに直結したDisplayPortでの動作を想定していると言うことではないでしょうか。下記にAdobe Premiere Proを使用時にVR環境を実現する、Adobeイマーシブ環境についてまとめていますが、こちらでは、Premiere Proのプログラムと、Oculus Rift Sが同一のGPU上で動き、且つ、メインディスプレイ設定で無いといけない、と言う制限がありました。
ノートPC内に複数のGPUが存在し、プログラム毎に使い分けることが出来たとしても、ハードウェア的に同一のGPUの接続を求められてしまうと、拡張性やハード的な自由度の低いノートPCでは厳しい物があります。
まとめ
PC本体にDisplayPortポートがない場合、Oculus Rift Sの動作はハードルがぐぐっと高くなることがお分かりいただけたでしょうか。
「うちのPCはThunderbolt3あるから、いけるかも」といって油断すると私の二の舞になります。確かめてみたいのでしたら、下記のようなアダプターで試してみるのもありかもしれませんが。1000円しませんし。
上記の商品を介してモニターに接続して、NVIDIAなり、AMDなりのGPU接続でモニターが表示されているのならば、Thunderbolt-DisplayPort変換でOculus Rift Sが動く可能性は高いのでは無いでしょうか。
個人的には、今回買ったThunderbolt-DisplayPort変換アダプターは死蔵決定ですね。
(追記:2019/5/30)GPUボックステスト
GPUボックスを購入してOculus Rift Sの動作を試しました。ご参考までに。
追記(2019/5/31) Thunderbolt3/DisplayPort変換アダプター
TwitterでThunderbolt3/DisplayPort変換アダプターで動作したと、教えてもらいました。
まぁ、前述の通り、Thunderbolt3/DisplayPort変換アダプターでは、CPUの内蔵GPUにつながってしまうようなので、私のPCでは使えないと思います。人柱覚悟でポチりました。
(追記:2019/6/3)追加購入したTB3/DPアダプターの動作結果
Twitterで動作したと報告があった物をテストしてみました。
Thunderboltにぶっさして、Oculus Rift Sを繋ぎます。
う~ん。やっぱりダメです。
ディスプレイ設定を見てみると、Oculus Rift Sは縦長ディスプレイとして認識されています。
ディスプレイの詳細設定を見ると、Oculus Rift SはIntelのGPUにつながっていると出ています。やはり、これが原因で動かないのでしょう。
ちなみに、GPUボックスを使って、Oculus Rift Sが正しく認識している時には、ディスプレイの設定画面には、Oculus Rift Sは出てきません。
下のスクリーンショットはOculus Rift S動作中のスクリーンショットです。
Oculus Rift Sはディスプレイとして認識されていません。これが正常なんでしょう。
(追記:2019/6/22)まだ購入していないのならば、Oculus Questという選択肢は?
上記のように、Oculus Rift SはDisplayPortのないノートPCではハードルが高いです。
では、いっそうのことOculus Questを使ってみるというのはどうでしょうか。Oculus Questには、USBケーブルをつなぐだけで、PC用HMD(ヘッドマウントディスプレイ)として使用できる「Oculus Link」という機能があります。
また、Oculus QuestをWifi接続でPCに接続して、PCVRゴーグルとして使用するアプリが複数あるようです。
私はALVRを試してみました。
ワイヤレスでPCVRが使える手軽さには驚きました。
もっとも、ワイヤレスでの通信は、
- アプリ自身が開発中だったり不完全
- 高速Wifi環境が必要
- Wifi接続のため、コンマ数秒遅延が出る。タイミングがシビアなゲームには向かない
- 遅延の影響でVR酔いしやすい
といったデメリットもあるようです。
DisplayPortが無いノートPCでVRを楽しみたい場合は、Oculus Questという選択肢も良いのではないでしょうか。
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