【初心者向け】VRに使えるノートPCの選び方(2021年1月版)
ノートPC単体でPC用HMD(ヘッドマウントディスプレイ)が使えたら良いと思い、色々検討したので、VR初心者の方に参考になるように、まとめました。
VRをノートPCで始めるには
必要なもの
パソコンでVR体験を始めるためには、下記の二つが必要です。
- PC用HMD(ヘッドマウントディスプレイ)
- パソコン本体
予算
全て新品で購入したとした場合を考えます。
予算はおよそ下記の通りです。場所が許して、パソコンをいじるのが苦にならないのならば、デスクトップPCの方が安く上がりますし、足りない部分だけ交換をすることで長く使えるでしょう。
項目 | ノートPC | デスクトップPC |
---|---|---|
パソコン本体 | 約10万円~ | 約8万円強~ |
ディスプレイ | 不要 | 約1万円~ |
HMD | 約4万円~ | 約4万円~ |
合計 | 約14万円~ | 約13万円~ |
2020年9月に続々と新しい製品が発表されたため、PCもHMD(ヘッドマウントディスプレイ)も、相場が下がっています。ここ半年くらいで合計で5万円程度相場が下がっています。
今回は、ノートPCに焦点を当てて、「最低限この程度の性能があればいいよ」という点をまとめています。
お勧めHMD
VRを体験するには、VRゴーグルとも呼ばれるHMD(ヘッドマウントディスプレイ)が必要になります。最初の1台としてお勧めできる機種としては、下記のOculus Quest 2一択です。
Oculus Quest 2
HMD単体でも使えて、且つ、PC用HMDとしてでも使えるモデルです。Facebookのアカウントを使う必要はありますが、初代Oculus Questと比べると、性能自身が大幅にアップしています。
PCとUSBで接続してPC用HMD(ヘッドマウントディスプレイ)として使用出来る「Oculus Link」機能も搭載されています。
性能は下記の記事にまとめつつありますので、ご参考までに。
その他
後継機のOculus Quest 2が発表されるタイミングで、生産停止になりました。HMD単体でも使えて、且つ、PC用HMDとしてでも使えるモデルです。
初めてHMDを体験するのならばOculus Questをレンタルで試すのも手ではないでしょうか。この画質で満足できるのならば、次はOculus QuestとノートPCを買えばいいのです。
また、Oculus Quest付属のUSB2.0のケーブルでPCに繋げば、PC版HMDとして使える点も魅力です。配線がごちゃごちゃしません。
2021年に生産停止になると発表されました。今から初めてHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を購入するのならば、Oculus Quest 2です。
Oculus Questに比べると、ツブツブ感(スクリーンドア現象)が少なく映像が綺麗に見えます。また、画素数自身は少ないため、PCへの負荷が小さい点も魅力です。
PC用HMDの多くは、下の写真のようなDCアダプタを繋ぐ必要があります。その点、Oculus Rift SはDCアダプタは不要です。Oculus Rift Sの電力はPCのUSBから供給されるのでスマートです。
Oculus Rift SはノートPCで使うには最も適したモデルです。
ノートPCのスペックは何を見ればいい?
新品のノートPCを購入することを前提として、スペックのどこに注目すればいいのかをまとめます。
GPU
PC用HMDを動かす場合、NVIDIA社のGeforceシリーズか、AMD社のRadeonシリーズのGPUが必要になります。
ノートPCという点を考えると、同じ性能でより低電力であるGeforce系一択です。
PC用HMDの推奨スペックを見ると、GeforceシリーズのGTX 1060以上を選べば、余程重たいアプリ出ない限り動作します。
現行のGeforceシリーズでは、GTX 1660以上を選びましょう。
具体的には、GTX1660, GTX1070, GTX1080, RTX2060, RTX2070, RTX2080, RTX 3060, RTX 3070, RTX 3080のいずれかが載っているノートPCを選ぶことになります。
下の記事で、実際にどのくらいVRが楽しめるのか試してみた結果を記載しています。ご参考までに。
NVIDIA社のGeforceシリーズは、同じ型番でおよそ3種類のグレードが展開されます。
例えば、GTX1660ならば性能は、下記の通りです。
GTX1660 < GTX1660SUPER < GTX1660Ti
また、NVIDIAのGefoceという部品を使って各メーカーがグラフィックボードを作ります。作るときに、部品を加速させて頑張らせた物には「オーバークロック」という意味で「OC」と付ける場合が多いです。
これらの「SUPER」や「Ti」・「OC」にしても、GTX1660やRTX2060と言った大元の型番の性能飛び越えることはまずありません。
何もないより「SUPER」の方が強くて「Ti」はもっと強い、程度の認識で良いでしょう。
「BEAT SABER」などの軽いアプリならば十分使えますし、大作「Half:Life ALYX」等も画質を落とせば動きます。
ただ、Oculus Homeには、下記のような注意書きが出ますし、”快適な動作”とは言い難いです。
下記にGeforce GTX 1650を積んだノートPCのレビューをまとめました。ご参考までに。
結論は、GTX1650でもOculusシリーズならばそこそこ楽しめます。お試しならばこれでも動きます。
が、リッチな映像のアプリでは、性能不足で引っ掛かりを感じるときがあります。VRでは、描画が遅れると「VR」酔いが起こりやすくなります。
新規にPCを購入されるのでしたら、GTX 1660以上のGPUの載ったPCをお勧めします。
2020年9月にデスクトップ向けのRTX3000シリーズが発売になりました。従来のGPUの2倍の性能で、従来品と同じ価格帯のGPUです。
2021年1月からRTX3000シリーズを積んだノートPCが発売され始めています。流石新世代と言った性能が出ます。
ただ、RTX3000シリーズの発表でRTX2000シリーズやGTX1660搭載モデルの価格が下がってきています。
「このGPUのPCが安い!」と言う物は無いように値段設定がされています。
CPU
ノートPCでGeforce GTX1060以上を積んでいるモデルは、CPUもCore i5以上となっています。PC用HMDを動かす点に関しては、CPUは注目しなくても良いでしょう。
メモリー
メモリーは8GB以上であればほとんど問題ありません。GPUがGTX1660以上のものでメモリーが8GBより少ない物はまずないので、メモリーも気にしなくて良いでしょう。
ただし、自分で増設する自信が無い方は16GBあれば、より良いです。メモリーが多いと重いアプリでも動作が安定します。
また、目的のアプリがある場合は、推奨メモリを調べておいた方が良いでしょう。例えば、Oculusの大作RPG「Asgard’s Wrath」は16GB無いと辛いです。
ポート類
DisplayPort
2019年以降のPC用HMDは、DisplayPort接続が標準になりました。
Oculus Questシリーズという例外を除けば、PC用HMDはDisplayPortが無いと動きません。Oculus Questシリーズを卒業して次に移る場合に、DisplayPortが必要になります。
本体にDisplayPortが付いている必要があります。USB Type-CがDisplayPortを兼ねるモデルでは、PC用HMDが動かない可能性があります。
詳しくは下記の記事にまとめています。
※厳密にいえば、USB Type-CのDisplayPortがGefoceにつながっているのならば使えます。パンフレット等にも記載が無い場合がほとんどです。判断基準として、DisplayPortがあるPCという考え方で良いでしょう。
USB
最低限1ポートが空いていれば良いので、USBの数は気にしなくても良いです。
Thunderbolt3 or Thunderbolt4
PC用HMDを動かすだけならば、無くても良いです。
ただ、「思ったよりもVRにはまった!」「次のモデルが出たけど、PCのスペックが足りない!」といった時に、Thunderbolt3のポートがあれば、GPUボックスを追加し、ノートPCを強化することが出来ます。
Thunderbolt3(もしくはThunderbolt4)に対応したノートPCは、後々延命を計ることが出来ます。
見るべきスペックまとめ
前述の見るべきスペックをまとめます。
項目 | 見るべきスペック |
---|---|
GPU | Gefoce GTX1660以上 |
CPU | 気にする必要なし |
メモリー | 気にする必要なし(8GB以上、16GBあれば尚良し) |
ポート類 | DisplayPort必須(USB Type-C共用はダメなものが多い) (Thunderbolt3かThunderbolt4があれば尚良し) |
比較サイトで調べるのならば、GPUがGTX1660以上で、DisplayPortを持ったものを選べば良いでしょう。
なお、MicrosoftのSurface Book 3のように高スペックのGPUを積みつつも、DisplayPortが無いのでPC用HMDが使えないPCもありますので、ご注意を。
上記のSurface Book 3では、スペック的にはOKでも、ポートが無いのでOculus Questシリーズしか動かせません。
コスパ重視のノートPC
とにかく出費を抑えたいという場合、GPUがGTX1660以上であるかどうかが判断基準となるでしょう。
Thunderbolt3に対応していないモデルが比較的安価です。ただし、購入後に性能の今日は出来ないので、映像に物足りなさを感じれば買い替えとなるでしょう。
GALLERIA「GCL2060RGF5」:RTX2060搭載:,980(税別)
最近商品群を整理したドスパラのゲーミングノートPCです。Geforce 1660よりも格上のGeforce RTX2060を積んで10万円強!
Thunderbolt3は積んでいませんが、GPUも底辺の物では無いので長く使えるしょう。
DisplayPortを2つ持っている珍しい仕様です。
主要スペック
PC用Oculusアプリの、推奨スペック以上の描画能力があります。メモリーも16GB積んでいますので、メモリー不足で悩むことは無いでしょう。
項目 | 内容※ |
---|---|
CPU | Core i5-10300H |
メモリー | 16GB |
GPU | GeForce RTX 2060 |
Thunderbolt3 | なし |
画面出力ポート | HDMI x1、miniDP x2 |
ストレージ | SSD:500GB |
VRスコア・コスパ
項目 | スコア |
---|---|
VRスコア 数字が高いほど高性能 | 144 |
VRコストパフォーマンス 数字が高いほどお得 | 136 |
TUF Gaming A15「FA506IU-R9G1660T」:GTX1660Ti搭載:8,000(税別)
CPUにRyzen 9 4900Hを積んだハイコストパフォーマンスモデルです。PC用Oculusアプリの、推奨スペック以上の描画能力があります。メモリーも16GB積んでいますので、メモリー不足で悩むことは無いでしょう。
主要スペック
項目 | 内容 |
---|---|
CPU | Ryzen 7 4900H |
メモリー | 16GB |
GPU | GeForce GTX 1660Ti |
Thunderbolt3 | なし |
ストレージ | SSD:512GB |
VRスコア・コスパ
※Ryzen 9 4900Hのデータが揃っていないため、Ryzen 7 4800Hのデータから算出しています。実機はよりスコアが伸びると考えられます。
項目 | スコア |
---|---|
VRスコア 数字が高いほど高性能 | 138 |
VRコストパフォーマンス 数字が高いほどお得 | 110 |
同シリーズのレビュー
延命も視野に入れたPC(Thunderbolt搭載)
Thunderbolt3かThunderblot4があると、いざとなったらGPUボックスが使えますので、ノートPC自身を長く使えるメリットがあります。
Thunderbolt3かThunderblot4を搭載したPCは、非搭載PCの2~3万円アップします。相場としては、12~13万円程度を狙えば良いのですが、今(1月前後)はモデルが更新される時期にあたるため、思わぬ掘り出し物も!
DELL G3 3500モデル
DELLの直販サイトでは頻繁にセールをやっています。
現在(2021/1/9)、Amazonで税込みで10万円強!
3500モデルは、最新の第10世代Core i7を搭載しています。
DELL直販サイトでのDELL G3は標準のGPUがGTX1650です。購入時には、GPUがGTX1660Tiであることを確認しましょう。
項目 | 参考スペック※ |
---|---|
CPU | Core i7 10750H |
GPU | GTX 1660 Ti |
メモリー | 16GB |
Thunderbolt3 | あり |
VR性能・コスパ
項目 | スコア |
---|---|
VRスコア 数字が高いほど高性能 | 134 |
VRコストパフォーマンス 数字が高いほどお得 | 128※ |
まとめ
VR体験が出来るPCを購入する場合、以下の2点に注目して選びましょう。
- GPUがGeforceシリーズ GTX1660以上(GTX1070, GTX1080, RTX2060, RTX2070, RTX2080)
- DisplayPortがある(USB Type-C共用はダメ)
現在(2021/1/9)の価格帯としては税込み10万円強~くらいのイメージです。
個人的には、2020年6月にRTX2060を積んだDELL G5 5500を購入し使用しています。スペック的に高画質を求めることは出来ませんが、Oculus Quest 2をOculus Linkで接続して、十分の楽しめています。
直販サイトは早ければ週替わりでセールをやっています。買いたい時が買い時なのかもしれませんが、ちょっと様子を見てみるのも良いかもしれません。
(追記:2020/7/8)GPUの動作状況の確認方法
頂いたコメントに対する回答です。AMD RyzenとGeforceが競合している場合は、下記の記事を参考にしてください。
タスクマネージャーを使う方法
タスクバーを右クリックして、タスクマネージャーを表示します。
タスクマネージャーのリボンの部分を右クリックして、「GPUエンジン」にチェックを入れます。
GPU1、GPU2がそれぞれどのGPUに対応しているのかは、「パフォーマンス」のタブを見るとGPUの名前が分かります。
GPUアクティビティを見る
NVIDIAコントロールパネルのメニューの「デスクトップ」をクリックして、「GPUアクティビティ アイコンを通知領域に表示する」にチェックを入れます。
タスクバーの通知領域に、カラフルな四角いアイコンが表示追加されます。これをクリックすると、NVIDIAのGPUで動いているアプリの一覧が表示されます。
複数のGPUボードを積んでいる場合は、タブ表示されます。
起動したアプリがこの欄に表示されていない場合、NVIDIAのGPUでは動いていません。
強制的にアプリが使うGPUを指定する方法
NVIDIAのGeforce限定の話です。
NVIDIAコントロールパネルのメニューの「3D設定の管理」を開き、「プログラム設定」タブに移ります。
「カスタマイズするプログラムを選択する」のリストから、GPUを指定したいアプリを選びます。
バージョン8.1.958.0では、GPUを選べるのは2項目。「CUDA – GPU」と「OpenGL レンダリング GPU」の設定のみです。
PhysXの設定
PhysXとは、GPUの計算能力を使って、GPUの代わりにプログラムを動かしてしまおうという機能です。
PhysXを設定しておくと、ゲームで爆発の演出や破片の飛び散りなど、リッチな映像用の計算をすることが出来るようになります。本来反面、元々余裕がないGPUを設定した場合は、GPUの仕事を肩代わりしている分だけ、GPU本来の仕事である映像を作る能力が落ちるようです。
設定自身は、NVIDIAコントロールパネルの「Surround、PhysXの設定」の中の「PhysX設定」から選ぶことが出来ます。
基本は、自動設定で問題ないでしょう。