BTOパソコンと、自分でパーツをそろえるのでは、どちらが得なのか、BTOパソコンを買って検証してみた

2019年12月26日

デスクトップパソコンを新調しようと思ったのです。調べたところ、気になっているCPU「Ryzen 9 3950x」を積んだパソコンは、自分で作るか、ショップが作るBTOパソコンくらいしか見当たらなかったため、BTOパソコンを購入しました。

BTOパソコンは安いと聞いたことがありますが、本当に安かったのか、パーツ構成を調べて検証しました。

BTOパソコンとは

BTOとは、Build To Orderの略で、受注生産のことです。

つまり、BTOパソコンとは、受注生産パソコンの意味です。

DELLやHP等のカスタマイズできるPCはBTOパソコンの一つです。

BTOパソコンの利点

ショップが厳選したパーツを目的に合ったようにカスタマイズできます。

動作確認が済んだパーツで組んであるので、パーツ毎の相性の心配が要りません。

パーツを組み立てて、すぐに起動できる状態で送られてくるので、手間がかかりません。

自作パソコンとの違い

パーツを自分で買ってきて組み立てる、いわゆる自作PCとの違いは何でしょうか。

同じパーツ構成の自作パソコンと、BTOパソコンがあったとします。その差はどういったものがあるのか表にしてみました。

項目自作パソコンBTOパソコン
保証部品毎の保証のみあり
部品選び無限大少々
組み立て必要不要
OS・ドライバー設定必要不要

同じ構成の物ならば、BTOパソコンで得られるものは、動作保証と時間です。

また、確実に動く、自作パソコンと同じ構成のパソコンが買えるわけですから、自作パソコンに興味を持っている方が初めて購入するには調度いいパソコンとも言えます。

購入したパソコン

BTOパソコンショップ、FRONTIERのGBシリーズを購入しました。

発売以来、品薄状態になっているCPU「Ryzen 9 3950x」 が搭載できるBTOショップの中から、比較的安かったのが、FRONTIERでした。

360度動画をいじっていると、現在使っているパソコンでは、CPUの処理能力が常にMAXになってしまい快適な編集環境とは言いがたいです。Ryzen 9 3950xは一昔前のワークステーション並みの並列処理が可能な、16コア32スレッドという構成です。

AMDのCPUとAdobe Premiere Proの相性の悪さも改善してきていると聞きますので、購入に踏み切りました。

パーツ名メーカー品番
OSmicrosoftWindows 10 Home
CPUAMDRyzen 9 3950X
CPUクーラーENERMAXELC-LTTO280-TBP
グリス標準CPUグリス
メモリー16GB 2枚
SSDIntel660p NVME M.2 1TB
HDD2TB S-ATA
GPUMSIGeForce RTX 2080 SUPER
電源Enhance Electronics1000W ATX電源 80PLUS GOLD
(日本製コンデンサ仕様)
マザーボードASROCKAMD X570 チップセット搭載マザーボード
ケースphanteksフルタワーケース
FRONTIERで購入時の税込み価格

¥310,860(税込み)

カスタマイズしている点は、GPUのみです。このGBシリーズの標準がGeforce RTX 2070 SUPERですが、現状Geforce RTX 2070を使っているので、どうせならとスペックを上げました。

ちょっとビックリする値段ですが、見積もり段階では、どんなパーツが使われているのかがわかりません。この値段が妥当だったかどうかを検証してみます。

納品されたパソコンを調べてみる

早速納品されたパソコンを開けて、中身を覗いていきます。

ケース

これは、購入時から形状で解っていました。フルタワー型ケースとしては、必要十分な構成に感じます。

メーカー品番Amazon価格
phanteksPH-ES614P BK28752

マザーボード

CPUとメモリーの間を覗くと、「ASRock X570 Pro4」の文字が見えます。

メーカー品番Amazon価格
ASROCKX570 Pro418189

CPUクーラー

蓋の上面に14cmの大型ファンが2つ付いています。これが、オールインワンタイプの水冷CPUクーラーのラジエーターです。

メーカー品番Amazon価格
ENERMAXELC-LTTO280-TBP16362

それにしても、配線が綺麗です。

CPU

さすがに、CPUクーラーを外して現物確認は面倒なので、割愛しますが、2019年年末に人気沸騰中のCPUです。

メーカー品番Amazon価格
AMDRyzen 9 3950X99778

GPU

デカデカと「MSi GEFORCE RTX」と書かれているのでメーカーは分かりやすいです。

型番は、PCIスロット側にシールが貼られていました。

メーカー品番Amazon価格
MSIGeForce RTX 2080 SUPER VENTUS XS OC80782

メモリー

メモリーはCrucialの16GBが2本です。可もなく不可もなくといったところでしょうか。

メーカー品番Amazon価格
CrucialCT16G4DFD8266 2枚15536

メモリーの価格は大きく変動するので、最小限にとどめています。メモリーは、ほしくなった時に増設するのが一番安上がりだと思っています。

SSD

マザーボードの純正のM.2用カバーに包まれています。ヒートシンクにM.2 ARMORと名付けるとは、たいそうな名前です。

ヒートシンクには、ちゃんと放熱シートも付いています。

メーカー品番Amazon価格
Intel660p NVME M.2 1TB13280

HDD

定番のWestern Digitalの2TBです。

メーカー品番Amazon価格
Western DigitalWD20EZAZ 2TB6545

電源

Enhance製の1000W ATX電源 80PLUS GOLDの電源が入っています。

脱着可能なケーブルです。まだまだポートに余裕もあります。

余っているケーブルは、説明書と一緒にケースの外に置いてありました。

メーカー品番Amazon価格
Enhance ElectronicsATX-3210GB?

さて、この電源、型番まで分かっているのですが、ググっても価格が出てきません。

下記で価格を考察するにあたっては、同じようなスペックの下のCorsairの電源の価格を参考にしました。

OS

OSはWindows10 Homeにしました。本体の保証書と一緒にDVDのメディアが入っています。

メーカー品番Amazon価格
microsoftWindows 10 Home16417

同じ構成をAmazonでそろえると?

今回、FRONTIERで購入した構成のパソコンのパーツを全部Amazonでそろえると、どれくらいの費用が掛かったのでしょうか。

Amazonでのパーツの価格リスト

パーツ名メーカー品番価格備考
OSmicrosoftWindows 10 Home16417
CPUAMDRyzen 9 3950X99778
CPUクーラーENERMAXELC-LTTO280-TBP16362
グリス標準CPUグリス499同等品
メモリーCrucialCT16G4DFD8266 2枚15536
SSDIntel660p NVME M.2 1TB13280
HDDWestern DigitalWD20EZAZ 2TB6545
GPUMSIGeForce RTX 2080 SUPER
VENTUS XS OC
80782
電源Enhance ElectronicsATX-3210GB19526同等品
マザーボードASROCKX570 Pro418189
ケースphanteksPH-ES614P BK28752

価格は、2019/12/26の値段を入れています。

なお、FRONTIERで使われている「標準グリス」が何かは分からなかったので、Amazonで最安クラスの物を想定しています。

また、Enhance製電源ATX-3210GBですが、ググっても値段が出てきませんので、適当に1000W ATX電源 80PLUS GOLDクラスの電源で試算しています。

Amazonでそろえた場合の金額

¥315,667(税込み)

単純な価格差

FRONTIERで購入したBTOパソコンと、部品をAmazonでそろえた場合の単純な価格差は、

¥310,860(FRONTIER) ー ¥315,667(Amazon) = ー¥4,807

となり、FRONTIERで購入した方が約5,000円ほど安く上がった計算になります。

FRONTIERで購入した価格に対して、1.5%程度の値段です。

FRONTIERでの購入と、Amazonでのパーツ購入とでは、価格差はほぼ無かったと言えるでしょう。

カスタマイズの価値はあったのか

今回購入したFRONTIERのBTOパソコンは、GPUを Geforce RTX 2070 SUPER から Geforce RTX 2080 SUPER にアップブレードしました。

今回納品されたものには、MSI製のGPUが積まれています。

では、AmazonでMSI製のGPUの価格差を見てみます。(FRONTIERのBTOパソコンに載っているものと全く同じとは限りません)

MSI製GPU価格
Geforce RTX 2070 SUPER¥58,867
Geforce RTX 2080 SUPER¥80,782
価格差¥21,915

FRONTIERでのグレードアップ価格が、¥29,800でした。税込みにすると¥32,780円です。Amazonでの単品の価格差よりも、¥10,865も値段が高いです。

もし、カスタマイズせずに Geforce RTX 2070 SUPER を選んでいたとすると、

¥4,807(前述の価格差) + ( ¥32,780 ー ¥21,915 ) = ¥15,672

BTOパソコンは、Amazonでパーツを買うよりも5%程度も安い計算になります。

BTOパソコンのカスタマイズは割高であると言っていいでしょう。

BTOパソコンに部品以外の価値はあるのか

前述している通り、一番大きな違いは、FRONTIER製のBTOパソコンには、2年間の保証が付いている点です。

自作パソコンの最大の難点は、部品の相性が悪いと不良品でもないのに動かない時がある、という点です。

また、故障した場合、どの部品が故障したのか分かりにくく、調査にも時間がかかってしまいます。

その点、FRONTIERのBTOパソコンでは、センドバック保証が付いていますので、FRONTIERに送り返すことによって、プロの目によって修理してもらえます。

次に無視できない点は労働力です。

下記のサイトが参考になるかと思いますが、自作PCを組み立てるとなると、OSが正常に起動するまでに丸一日が消えていくイメージです。労働力として、1万~1.5万円程度がかかっていると考えられます。

自分の時給で考えると、パソコン作りに1日使うのなら、日当1万円くらいのイメージでしょうか。

購入したBTOパソコンは、見えない部分の配線も整理されていました。この作業、地味に時間がかかりますので、きれいにまとめてもらえるのは非常に助かります。

まとめ

個人的には初めてBTOパソコンを購入しました。

Amazonで同等品を購入して組み立てるよりも、パーツ代で約5,000円安かった計算です。

さらに、BTOパソコンをカスタマイズしなかったときと合わせて、価格差をまとめると、下記のようになりました。

BTOパソコンと自作パソコンの価格差

BTOパソコン
(GPUカスタム)
Amazon単品購入
価格¥310,860パーツ代:¥315,667
保証2年間パーツ保証のみ

¥4,807だけ、BTOパソコンの方が安い

BTOパソコン
(GPUカスタムなし)
Amazon単品購入
価格¥278,080パーツ代:¥293,752
保証2年間パーツ保証のみ

15,672だけ、BTOパソコンの方が安い

BTOパソコンはカスタマイズしなければ、かなりお得だということが分かりました。逆に言うと、BTOパソコンをお得に買うには、標準構成である必要があるようです。

また、自作では自分の工賃として¥10,000かかっていると考えると、カスタムなしのBTOパソコンの方が、¥25,000だけ安いと考えられます。

自作する時間、部品を選ぶ手間を省くための選択だったのですが、悪くない買い物だったのではないかと思っていますが、自分に合った標準構成品が出てくるまで待っても良かったかもとも思いました。

欲しいスペックのパソコンがセールで売っているのならば、狙い目ではないでしょうか。

(追記:2020/1/11)見積りツールサイト

PCを自作した場合の見積りを作ってくれるサイトを紹介していただきました。

下記は、今回のBTOパソコンの構成を入力した場合の例です。

表示された価格は、ハードウェアの合計で¥303,217。これに、Windows10の価格を入れると、ほぼほぼ本稿と似たような値が出ているようです。

良く出来たサイトですね。