視野角200度 超ド級HMD Pimax 8k Plus を試す

2020年6月1日

OculusシリーズやVive シリーズが視野角110度程度に対して、人の視界とほぼ同じ視野角200度を謳うHMDであるPimax 8k Plusを手に入れました。ファーストインプレッションをまとめます。

Pimax 8k Plus

中国のPimax Technology社が出した高機能HMD(ヘッドマウントディスプレイ)です。私はクラウドファンディングで手に入れました。

現在購入は、下記の公式サイトから輸入するか、MoguraVRからの購入が出来るようです。

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Pimax
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スペック

Pimax 8k Plusは、HTC VIVEベースステーション 1.0/2.0に対応しているHMDです。

VIVEシリーズや、VALVE INDEXとHMDの置き換えだけで動かせます。

ざっくりとしたスペックを、現状の対抗馬となりそうな機種と比較して、並べてみました。

PIMAX 8k plusVive Cosmos EliteOculus Rift SVALVE INDEXVIVE Pro
解像度(片目)3840×21601440×17001280×14401440×16001440×1600
リフレッシュレート90Hz90Hz80Hz80~144Hz90Hz
視野角200度110度115度130度110
ディスプレイ液晶液晶液晶液晶有機EL
サブピクセルRGBRGBRGBRGBペンタイル
トラッキング方式アウトサイド・インアウトサイド・インインサイドアウトアウトサイド・インアウトサイド・イン
外部センサー必用必用不要必用必用
トラッキング6DoF6DoF6DoF6DoF6DoF
価格(円)\105,000※1¥120,990¥49,800¥138,380※2¥101,520※3
IPD調整
(瞳孔間距離)
物理調整物理調整ソフトウェア物理調整物理調整
スピーカーイヤホンジャックのみ内蔵内蔵内蔵内蔵
視力換算0.380.220.190.180.18
※2:PIMAX 8k plusの価格はHMD単品の値段です。別途Base Station 1.0か2.0と専用コントローラが必要。
※2:VALVE INDEXの価格はVALVE INDEX VR KITを参考にしています。Base Station 2.0と専用コントローラ付き。
※3:Vive Proの価格はスターターキットを参考にしています。Base Station 1.0と専用コントローラ付き。

現在、一般人が入手できるHMDとしては、化け物的なスペックです。

視力換算は、下記の記事にまとめていますが、ざっくりとした目安なのですが、Oculus Rift Sの倍近く高精細となる計算です。

Pimax 8kシリーズ

HTC VIVEベースステーション 1.0/2.0に対応しているHMDです。

VIVEシリーズや、VALVE INDEXとHMDの置き換えだけで動かせます。

このシリーズの売りはやはり片目4k画質というところでしょう。

DisplayPort1.4を2本使うPimax 8k Xは、ネイティブで片目4k画質を実現できます。

Pimax 8k PlusやPimax 8kは、DisplayPort1.4が1本だけの接続のため、ネイティブでの8k画質を転送できません。視野角を最大にした場合は、5k相当(片目2560x1440px)の映像をHMD側でアップスケールして転送します。

Pimax 5kシリーズがあります。こちらの方がネイティブの表示が出来るためくっきりと見えるのかもしれません。

Pimax 8k plusPimax 8k XPimax 5K Plus(144Hz)Pimax 8k
発売日2020年4月2020年4月2019年4月2019年6月
解像度(片目)3840×21603840×21602560×14403840×2160
リフレッシュレート90Hz, 110Hz90Hz144Hz80Hz
視野角200度200度200度200度
ディスプレイ液晶液晶液晶液晶※1
サブピクセルRGBRGBRGBRGB※1
価格(円)$899$1,299$699$899
IPD調整
(瞳孔間距離)
物理調整物理調整物理調整物理調整
スピーカーイヤホンジャックのみイヤホンジャックのみイヤホンジャックのみイヤホンジャックのみ
視力換算0.380.380.250.38※1
必要ポートDisplayPort1.4
USB2.0/3.0
DisplayPort 1.4×2
USB2.0/3.0
DisplayPort1.4
USB2.0/3.0
DisplayPort1.4
USB2.0/3.0
必要スペックCPU:intel i5-9400
GPU:NVIDIA RTX2060
memory:8GB
CPU:intel i5-9400
GPU:NVIDIA RTX2080
memory:8GB
CPU:intel i5-4590
GPU:NVIDIA GTX1070
memory:8GB
CPU:intel i5-4590
GPU:NVIDIA GTX1080Ti
memory:8GB
※1:(’20/6/3)修正しました。

2019年に発売のPimax 8kはペンタイル方式なので、実効画素数が√(2/3)=0.82倍になります。2020年のモデルはフルRGB化していますので、実効解像度は上がっています。(’20/6/3修正しました。Pimax 8kのディスプレイは液晶です)

内容物

箱の中には、下記が入っていました。

  • Pimax 8K Plus本体 x1
  • ケーブル x1
  • アダプター x1
  • ストラップ x1
  • ダストクロス x1
  • 取扱説明書 x1

説明書

日本語で書かれている物が同封されています。

本体

箱を開けると、デーンと鎮座していました。

青紫?の筐体はプラスチックでできており、安っぽさを感じます。

バーチャ〇ンやら、そっち系のイメージなんでしょうか。微妙にカクカクしたデザインです。

本体の上部右側に、電源ボタンと、ボリュームボタン(音量)があります。

本体の下側中央には、USB type-Cのコネクタが。これは、拡張機能用に付けてあるようです。

ハンドトラッキング用のオプションが発売予定のようです。

顔に当たる面には、左側にイヤホンジャック、右側にIPD調整ダイヤルがあります。右側にも3.5mmのジャックがあるのですが、イヤホンを繋いでも音は出ません。マイク用でしょうか。確認できていません。

ヘッドストラップ

Oculus Rift SやVive Cosmosのようなしっかりと支えるタイプではありません。Oculus Questと近い形の、ゴムバンドです。コストはかけていませんね。

左右の取り付けは簡単です。本体の取り付け部分に通すだけ。

Pimax 8k Plusの上部の取り付けは、かなり苦労しました。ピンセットで摘まんであげて、下の写真のように一部が出せれば、後は簡単です。

折り返して面ファスナーで止めるだけです。

ヘッドストラップは、OculusシリーズやVIVEシリーズと比べると、あっさりとした作りです。

レンズ(本体)

接顔パーツを外したOculus Rift Sと並べてみました。親と子ほどにレンズの大きさに差があります。

上:Oculus Rift S
下:Pimax 8k Plus

横幅も倍くらい違いますね。

ケーブル(本体)

本体から伸びたケーブルが、キレイに箱に入っていました。

ケーブルは本体直付けです。純正オプションでケーブルのみ交換できるようなので、頑張れば取れるのかもしれません。

接続は、DisplayPortとUSB Type-Aです。スペック上はUSB2.0で使えるようです。

DCアダプタ

VIVE Cosmosと同じように、12VのDCアダプタが付いてきます。

VIVE Cosmosのアダプタと並べてみたところ、Pimax用の方が少しだけ小さいようです。

左:Pimax 8k Plus用 右:Vive Cosmos用

Pimax 8k Plus本体から伸びたケーブルに、DCアダプタを差すジャックがあります。

差す向きが本体側になるため、少しごちゃごちゃとします。

フェイスクッション

フェイスクッションは厚さがあり、着け心地は良いです。

面ファスナーでの取り付けです。引っ張ると簡単に撮れます。

フェイスクッションの裏面は前面が面ファスナーになっています。

着け心地

ダイソー生首に取り付けてみました。デカい! 何というインパクト!!

耳の上部に当たる部分のヘッドストラップが、膨らんでいないため、大きめのヘッドホンでも問題なく使用できます。

フェースクッション部分が広範囲に当たるため、意外と着け心地は良いです。

使用感

昔思っていた仮想現実(VR)の世界がありました。

前知識なしにVRと聞いて、潜望鏡のような視野を想像する人はまずいないでしょう。その世界に近い視野があります。

もっとも、人間の視界を再現できている、とは言いません。Oculusシリーズが潜望鏡なら、Pimaxシリーズは水中ゴーグルくらいに視野が広くなったイメージです。

下は、Pimax 8k Plusと、Vive Cosmos、Oculus Rift Sの、左側の視野を、QooCam 8kで撮影した画像です。視野の広さが分かるでしょうか。

Oculus版アプリを動かす

SteamからOculus系のアプリを動かすためのアプリReviveをインストールします。Reviveについては下記の記事に書いていますので、ご参考までに。

さて、このPimaxは独特の視野角を持つHMDです。

この視野角に対応していないアプリは、表示が変になったり、そもそも起動しなかったりします。

ちなみに、Oculusシリーズは現状視野角110度前後です。Oculusシリーズ向けのアプリは、Pimaxシリーズのドデカい視野角には対応しきれないようです。

実際に、試した中では下記がおかしくなっていました。

  • Revive越しのOculus版BeatSaber ⇒ 起動後硬直
  • Revive越しのOculus版Climb ⇒ 左右の視野の角度がおかしく調整不可

BeatSaberでは、下のスクリーンショットでは床に埋まって固まりました。

これらの不具合は、下記の設定を変更することで解決できます。

Oculus版アプリが正常に動かない場合の対応方法

Oculusアプリの設定

OculusアプリのHMDのグラフィック設定を「自動」にする必要があるようです。これが、「品質を優先」や「パフォーマンスを優先」になっている場合、Pimax 8k Plusの視野が確保できないばかりか、左右の絵がずれたりと、とんでもないことになることがあります。

この設定を変更した後は、一度Oculusアプリは再起動した方が良いでしょう。

PiToolの設定

対応するための一番確実な方法は、PiToolの「設置」⇒「ゲーム」の中にある、「視野角」を「小さい(Small)」か「非常に小さい(Poteto)」にしてあげると、正常に動きます。

当然、視野角は狭くなりますので、Pimaxシリーズの存在意義が問われます。救いとしては、Oculus Rift Sよりはきれいな画面で遊べます。

まとめ

200度という高視野角のHMD Pimax 8k Plusを購入しました。

これを体験するまでは、「視野が狭くても、画素密度を上げた視力換算で重要!」と思っていたのですが、視野の広さも没入感に大きく影響していると感じました。

何より、頭を固定したまま、周りを見回すことが出来る、という実世界では当然できることが、VR内でもちゃんと体験できるのです。

さて、今回私はPimax 8k Plusを購入しました。Pimax 8k Plusは5k映像(2560 x 1440px)を引き延ばしているため、文字などはぼやけてしまっています。くっきりした映像を得るのならば、Pimax 5k Plusでも良かったかもしれません。