GPU比較 VRMARK ベンチマーク結果からVR性能を考える
3DMARK等のパソコンのパーツの性能を計る「ベンチマーク」アプリで有名な、フィンランドのソフトウェア開発会社「Futuremark」社が手掛けるVR用のベンチマークアプリが「VRMARK」です。
このVRMARKのベンチマーク結果から、VR体験をするためには、最低限どれくらいのGPUを持っていれば良いのか、検証してみます。
VRで求められるGPU
推奨GPUについて考えてみます。HMDメーカーが推奨するGPUの性能を満たせば、ある程度のVRアプリが対応していると言えるでしょう。
Oculus Rift S, Oculus Quest(Oculus Link)の推奨GPU
ここでは比較的軽いHMDであるOculusシリーズについて考えます。公式サイトを見ると、推奨GPUは下記の通り。Oculus Rift Sの方が若干Oculus Questよりも低いGPUでも動作します。
HMD | 推奨GPU |
---|---|
Oculus Rift S | GTX 1060-3GB以上 |
Oculus Quest (Oculus Link) | ・GTX 1060-6GB以上 ・GTX 1650 SUPER以上 且つ、GTX 1060(note PC)不可 |
と、ここで、Oculus Questの推奨GPUからGTX 1060のノートPC版がはじかれました。
ノートPCのGPUとデスクトップPCのGPUの性能は違う?
実は、同じ型番でもノートPCとデスクトップPCのGPU性能は大分異なります。
結論から言うと、ノートPCの方が性能が落ちます。理由は、GPUはものすごい計算量を一気にこなすので、発熱します。この熱が逃がすことが出来れば、性能を発揮できるのですが、ノートPCの場合、ファンも小さく熱がこもってしまうため、GPUの性能を生かし切れないのです。
というわけで、以下はデスクトップPCとノートPCを分けて考えます。
VRMARK の概要
Orange Room
DirectX 11対応の基本的なVR用ベンチマーク。
- DirectX 11対応
- 実施時解像度:2264 x 1348
Cyan Room
DirectX 12対応のOrange Roomよりちょっと重たいVR用ベンチマーク
- DirectX 12対応
- 実施時解像度:2264 x 1348
Blue Room
DirectX 11対応のかなり重たいVR用ベンチマーク。解像度は5kと、ハイエンドなHMDを想定している。
- DirectX 11対応
- 実施時解像度:5120 × 2880
ハイエンド向けなので、今回の検証では実施しない。
デスクトップPC ベンチマーク目安
VRMARKのサイトから各GPUの平均値を抜き出したグラフが下記のものです。
数字とグラフを並べますが、正直これだけ見ても、今一よくわかりません。次の項目まで飛んでもらっても良いでしょう。
Orange Room (平均値・デスクトップPC)
Cyan Room(平均値・デスクトップPC)
デスクトップPC ベンチマークから分かる性能
上記を踏まえて、Oculus Rift S, Oculus Questの両者が推奨対象となるGPU「GTX 1060-6GB」の性能を100とした時の、各GPUの性能を見てみます。
Orange Room
下のグラフは、VRMARK Orange Roomの「GTX 1060-6GB」のスコアを100とした時の各GPUのスコアです。
100を超えると、Oculusシリーズの推奨スペックを超えているということになり、反対に100より小さいと、Oculusシリーズの推奨スペックを満たしていない、ということになります。
「GTX 1650」は推奨値以下だけれども、「GTX 1650 SUPER」は推奨値以上の性能を持っていることが分かります。
GTX 1660系になると、かなり余裕が出てきています。
Cyan Room
同様に、「GTX 1060-6GB」のスコアを100として、DirectX 12対応のCyan Roomについて見てみます。
こちらも同様の結果です。
「GTX 1650」は推奨値以下だけれども、「GTX 1650 SUPER」は推奨値以上の性能を持っていることが分かります。
GTX 1660系になると、Orange Roomよりも、更に余裕が出てきています。
ノートPC ベンチマーク目安
一応、生データを並べますが、これを見ても判断が難しいです。
Orange Room (平均値・ノートPC)
Cyan Room (平均値・ノートPC)
ノートPC ベンチマークから分かる性能
こちらも、デスクトップ版の「GTX 1060-6GB」のベンチマーク結果を100とした場合のスコアを見ていきます。
Orange Room
これを見ると、ノートPC版GTX 1060の性能は、デスクトップ版の80%程度です。Oculus Questの推奨からは外れていますが、Oculus Rift Sの推奨には入っています。このグラフで見る限り80%前後の性能が出ているGPUならば、そこそこ動く可能性があると考えられます。
Cyan Room
次にDirectX 12対応のCyan Roomの結果を見ていきます。
今度は割と顕著な差が出ています。GTX 1060では、推奨の7割程度に対して、GTX 1650 Tiは推奨の80割程度をキープしています。
検証:GTX 1650でOculusアプリを起動してみた
検証PC
使用したPCは、お借りしているLenovo Legion T530
項目 | 内容 |
---|---|
CPU | Intel Core i7-9700 |
memory | 16GB |
GPU | GTX 1650 |
Oculusアプリを立ち上げる
Oculus Questをセットアップして、Oculusアプリを立ち上げると、「お使いのコンピューターはアップデートされた最小要件を満たしていないため、VRのパフォーマンスに問題が生じる可能性があります。」と表示されました。
実際にOculus Questの画面をのぞき込むとこんな感じです。「!」マークが出て、「お使いのコンピューターは~」の警告がホーム画面ではずっと出ている状態です。
この状態でBEAT SABERをプレイしてみます。ちゃんとQuest版よりもリッチな映像も出て、特にフレームレートのドロップも感じません。なお、アプリ起動中は「お使いのコンピューターは~」の警告は表示されません。
ちなみに、BEAT SABERプレイ時のタスクマネージャーは下記の通り。GPUはまだまだ余裕があります。
Climbをプレイした場合、メモリー使用量が増えています。
Oculusアプリ内の、バーチャルデスクトップを立ち上げると、一気にGPUに負荷がかかりますが、それでも80%程度です。余力を少し残しています。なお、下のスクリーンショットのうち、一瞬負荷が下がっているのでは、Oculus Questの画面が切れたためです。
推奨GPUのGTX1060-6GBの80%程度の性能のGTX 1650を使っても、BEAT SABERのような軽いアプリならば何の問題もなく動作できるようです。
まとめ
今回、Oculusシリーズの推奨GPU以下の性能のRTX 1650で簡単なテストをしてみました。
結果、BEAT SABERのような簡素なアプリならば、Oculus Quest版よりもリッチなグラフィックで楽しむことが出来ました。
Oculus Questに移植されていないような、少し古めのPC用タイトルをプレイしてみたいと言った場合は、この程度のGPUでも十分なのかもしれません。
とは言え、個人的には少し余裕をもって、GTX 1660以上のGPUが載ったPCをお勧めします。
(番外)Lenovo Legion T550i
現行CPUである第10世代Coreシリーズ搭載。下限カツカツながらもVRも楽しめるGTX 1650 SUPER搭載PCが9万円弱で購入できます。
項目 | 内容 |
---|---|
CPU | Core i5-10400 , Core i7-10700, |
Memory | 8GB , 16GB |
GPU | GTX 1650 SUPER, GTX 1660 SUPER, RTX2060, RTX 2070 SUPER |
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