Oculus Quest 2:VR用イヤホンを試してみた話
Oculus Quest 2用にELITEストラップを取り付けたところ、愛用しているヘッドホンが干渉して使えなくなりました。そこで、イヤホンをVR用を謳うイヤホンを購入してみたので、すでに持っているイヤホンと比較しました。
音のVRの種類
Oculus Quest 2等のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を用いた場合の音のVR体験とはどういった物があるのでしょうか。
バイノーラル音源
マイク単体で録音するのではなく、頭や耳の反射も考慮して録音された音源を、バイノーラル音源と言います。
ただ単に録音した物よりも、よりリアルにその場にいるかのように音声を楽しむことが出来ます。
ただし、音源がバイノーラルで録音されている必要があり、イヤホンの能力として求められるものは「リアルな音の再生」のみです。
アンビソニック音源
右と左、2つのチャネルを持った音源をステレオ音源と言いますね。それ以上、例えば右・左・上・下と言ったように多数のチャネルを記録している音源をアンビソニック音源と言います。
アンビソニック音源は、音の方向まで記録された音源です。HMD(ヘッドマウントディスプレイ)のように頭の方向が検知できる技術があれば、音の方向に合わせて、左右のイヤホンの音質を代えることが出来るわけです。
アンビソニックに対応したコンテンツならば、まさに音のVR体験が出来るわけです。
なお、アンビソニック音源のフォーマットにはいろいろあるようですが、下記のサイトが分かりやすかったので、ご紹介まで。
音のVRを体験してみる
YouTubeはアンビソニック音源に対応しています。例えば、下記の動画などは音のなっている方向も分かりやすく、「目の前で鳴っている」「遠くで鳴っている」という体験が出来るように作られています。
音のVR体験用に試したイヤホン
上述の点を踏まえて、Oculus Quest 2に各種イヤホンを接続し、上のGoogle作成の動画を視聴しました。
購入したイヤホン:Final E500
バイノーラル音源や、VR・ASMR用を謳っているイヤホンです。
内容物確認
内容物は以下の通りでした。
- イヤホン本体
- イヤーピース(10個)
- 説明書類
イヤーピースは元々本体に付いている物を合わせて10個です。サイズが5種類で、左右が分かりやすいように色分けしてあります。
下のイヤーピースと同じ組み合わせです。
本体には、左がグレーの軸、右側に赤い軸のイヤーピースが付いていました。
Oculus Quest 2で聞いてみる
ケーブルが長く1.2mあります。HMD(ヘッドマウントディスプレイ)で使用する場合、頭を動かす環境ですので、ケーブルの取り回しには注意したいところです。
雑音で没入感がそがれるのは残念ですし、シュアー掛けをするなどして、ケーブルがすれる音が入らないようにした方が良いでしょう。
実際に、上記のGoogleの動画を見てみました。
このイヤホンは、ドライバー部分が小さく、耳の中にすっぽりとハマり、よく聞こえる方向にイヤホン本体の向きを調整することが出来ます。音の広がりを感じる部分に調整出来れば、非常によく音の方向が拾えました。
Googleの動画ではちゃんと音の場所は固定されて聞こえますし、頭を動かすと音場も自然に動きます。
価格帯として仕方がないとは思いますが、音質はちょっとこもりがちですし、音の場の広がりが狭く感じます。
Bluetoothイヤホン:RMCE-TW1 + SHURE SE535
初代Oculus QuestはBluetoothイヤホンを接続すると、動作が重たくなっていましたが、Oculus Quest 2は快適に動作します。
今回ペアリングしたイヤホンは、完全ワイヤレスイヤホンのタイプのものです。
さて、このイヤホンで前述の動画を視聴したところ、音の方向は「前」「右」「左」というように、妙に分かれて聞こえました。
価格帯的に音質は流石に良いのですが、この手の音源に対して、完全に左右に分離したイヤホンでは、音場の再生には向かないようです。
立体サウンドイヤホン:Artio CR-V1
このイヤホンは、左右の音を絶秒に混ぜ合わせることによって、まるで目の前にスピーカーがあるかのような音を再現してくれるイヤホンです。
このイヤホンで前述の動画を再生すると、頭の向きに従って、スムーズに音が移動します。このため、音の発生源はちゃんと固定されたかのように聞こえます。
VR体験には最適な音場が作れています。音の広がりも感じやすく、上記のGoogleの動画では、車の外・内等なっている場所がリアルに感じ取れます。
まとめ
今回、VR向けと呼ばれるイヤホンを、Oculus Quest 2で試してみました。
Oculus Quest 2はHMD(ヘッドマウントディスプレイ)としてはホワイトノイズも非常に小さくイヤホンを使っても綺麗な音が楽しめます。
今回は価格も違う3つのイヤホンを試したわけですが、VRの臨場感を向上させるためには、普通のイヤホンではなく、バイノーラル対応や頭外定位のイヤホンを探した方が良いでしょう。
Artio CR-V1 > final E500 >> SHURE SE535※
※左右分離イヤホンは不自然な再生になる
驚いたのは、完全ワイヤレス型の左右独立イヤホンは左右の音が分離して不自然に聞こえてしまったことです。イヤホンは、頭の内側で鳴っているかのように聞こえる「頭内定位」になりやすく、VRには不向きなようです。
個人的にはArtio CR-V1がおススメですが、コストパフォーマンスを考えるならfinal E500がおススメ。Artio CR-V1の1/20のお値段で没入感が上がるのですから素晴らしい。