Oculus Rift S PC-GPUボックス間のThunderbolt3ケーブルを替えたら動かなくなった話

2019年10月29日

ノートPCにGPUボックスを付けて、Oculus Rift Sを使用しています。

机周りの配線をレイアウトを変更したところ、Thunderbolt3のケーブルをあと少しだけ延長したくなりました。

新規で40Gbps対応Thunderbolt3ケーブルを購入したところ、不具合が起こりましたのでまとめます。

遭遇した不具合

接続状況は下記の図の通りです。PCとGPUボックスとを、Thunderbolt3ケーブルを介してつないでいます。また、メインモニターとOculus Rift SをGPUボックスにDPケーブルで接続しています。

今回は、このThunderbolt3ケーブルを交換しました。

Oculus Rift Sをつないで動作させたところ、チカチカと輝点ノイズが入りました。しばらくすると、映像が途切れ、真っ暗に。

Oculus Rift Sの接続が悪いのかと、各端子を抜き差ししたりしましたが改善せず。

PCのOculus アプリの「設定」⇒「ベータ」⇒「Oculusを再起動」を行ったところ、アプリが起動するごとに、『問題があるからアプリを再起動してください』というような内容が表示されて先に進めなくなりました。

変化点としては、PCとGPUボックスをつないでいるThunderbolt3ケーブルを取り換えた事だけですので、これが原因とみて間違いないと判断しました。

Thunderbolt3のケーブルを元の短いケーブルに戻すと、Oculus Rift Sは正常に動作します。

もう一度、新しく買ったThunderbolt3ケーブルに戻すと、下の画面のように延々と再起動を促されます。

GPUボックスにDPケーブルで接続しているディスプレイは普通に映っているのですが、Oculus Rift Sは起動しません。

購入したケーブル

80cmの40Gbps対応となっているThunderbolt3のケーブルです。

Thunderbolt3のロゴが入っています。

GPUボックス付属ケーブルとの比較

私の使っているGPUボックスはAKiTiO Nodeです。これには、純正でThunderbolt3のケーブルが付いてきましたので、今まではこれを使っていました。

こちらもCable Matters製のケーブルと同じく、Thunderbolt3のロゴが入っています。

今回購入したCable Matters製のケーブルの商品展開

0.8mの物は40Gbps対応、1m以上のものは20Gbps対応となっています。

長さ公称通信速度USB3.1DisplayPort
0.8m40Gbps
1m20Gbps
2m20Gbps

AkiTiO Node付属ケーブルとの比較

公称通信速度実測長さUSB3.1DisplayPort
AKiTiO Node製ケーブル40Gbps68cm
Cable Matters製ケーブル40Gbps80cm

公称値としては、長さ以外に大きな差は見られません。

AKiTiO製のThunderbolt3のケーブルの商品群は、50cm、1m、2mとなっており、ラインナップにはない長さのようです。AkiTio Node用のケーブルという事なのでしょうか。

Thunderbolt3のケーブルの種類

activeタイプとpassiveタイプ

Thunderbolt3のケーブルにはactiveタイプとpassiveタイプという物があります。

activeタイプはノイズ対策としてドライバーチップが内蔵されているのに対して、passiveタイプは内蔵していません。

では、二つの特徴を見ていきます。

互換性

activeタイプpassiveタイプ
Thunderbolt
DisplayPort
(Alt mode)
×
USB3.1×
USB3.0×
USB2.0

ケーブル長

activeタイプpassiveタイプ
~0.5m40Gbps40Gbps
~0.8m40Gbps40Gbps
~1m40Gbps20Gbps
~2m40Gbps20Gbps

タイプの違いについての考察

activeタイプは、ノイズ対策のチップを内蔵することによって、Thunderboltに特化したケーブルになっています。

一方、passiveタイプはノイズ対策用チップが載っていないため、長さが長くなると高速通信が出来なくなっていきます。現状(2019/10/10時点)で、1mを超えると40Gbps対応商品が無くなり、20Gbps対応として売られています。

そもそも、下記の「2018 年 1 月・SEI テクニカルレビュー・第 192 号」を見てみると、2015年のTHuderbolt規格時にはpassive1タイプのケーブル長は最長0.5mだったようです。

ということは、50cmより長いケーブルは規格外であって、メーカー独自の開発によって40Gbpsを達成したケーブルである可能性が高いです。伝送速度に対して規格は通っていても、余裕がない可能性は捨てきれません。

(追記)activeケーブルを試してみた

上記のactiveタイプのケーブルを購入してみました。長さは2m。これだけ長いと取り回しに余裕ができます。

結論から言うと、Oculus Rift Sは問題なく動作しました。

やはり、Thunderbolt3専用ケーブルであるため、安定した通信が出来ているのでしょう。

内容物確認

ケーブルしか入っていません。

ケーブル自身も長いのですが、コネクタ部分も長いですね。ここにノイズ除去フィルターが入っているのでしょう。

コネクタ部の長さの違い

本稿で登場した3本のThunderbolt3のケーブルのコネクタ部分の長さを測ってみます。

測る場所は下の写真の通り、モールドで固められた部分を測ります。

メーカータイプコネクタ部分の長さ
Cable MattersActive33mm
Cable Matterspassive18mm
AKiTiOpassive23mm

Activeタイプのケーブルは、コネクタ部分が長くなっている分、ケーブルを差した部分が出っ張ります。取り扱いには注意が必要でしょう。

まとめ

今回購入したThunderbolt3のケーブルは、passiveタイプの40Gbps対応80cmのケーブルでした。

passiveタイプのケーブルは、USB3.1としても動作するなど、オールマイティなケーブルである一方、長くなるだけノイズの影響を受けて伝送速度が落ちるようです。また、2015年のThunderbolt3の規格制定時には、passiveタイプのケーブルは最長50cmとされていたことから考えると、50cmより長いThunderbolt3のケーブルはノイズに対して余裕がない可能性があります。

Oculus Rift SをノートPC+GPUボックスで使う場合には、Thunderbolt3のケーブルにも気を使わないといけないという事なのでしょう。

passiveタイプの50cmケーブルが万能なのですが、activeタイプのケーブルの方が取り回しには気を使わないようです。GPUボックス専用と割り切って、初めからactiveタイプを買うべきだったと後悔しています。

Thunderbolt3のケーブルの検討をご検討中の方は私の二の舞にならないようにご注意を。