家庭用 光造形方式 3D プリンター 「ELEGOO MARS」を買ってみた話
180度3Dカメラ用の治具を数点DMM.makeの3Dプリントサービスで作ってみたのですが、結構お金がかかりました。これならば自分で1台買った方が安いんじゃないかと思い、光造形式3Dプリンターを購入しましたので、使用感などをまとめていきます。
購入した3Dプリンター
ELEGOO MARS
SLA方式の3Dプリンターです。紫外線照射を液晶モニターで行う形式です。線を作るのではなくて、面で印刷するので、一気に物を作るのに適した方式です。
本体自身が安かったのと、Amazonの評価が高かったので購入を決めました。
同時購入したもの
SLA方式の3Dプリンターは薬品を取り扱うためにいろいろと取り揃えないといけません。
基本的には、レジン工作をしているような方にとってはなじみのある物なのではないでしょうか。
長くなったので、下記の記事にまとめなおしました。ご参考までに。
内容物確認
段ボール箱に入っての納品でした。プリンターが動かないように、きっちりと梱包されています。
小箱の中身は下記の通り。
- USBメモリー
- 白い樹脂部品(ビルドプラットフォームを斜めに支えるためのもの)
- 六角レンチ3種類
- 六角ねじ予備(イモネジ2つ、皿ネジ5つ)
- ニッパー1つ
- 計量カップ(100ml)
- マスク3つ
- 手袋3つ
- ストレーナー10枚
- スクレーパー(黒いヘラ)1つ
- 電源アダプタ60W
- マニュアル x1
本体は、組みあがった状態で届きますので、設定して印刷までモデルさえあれば1時間もかからないのではないでしょうか。さらに言うと、テストモデルもUSBメモリー内に入っています。
動かしてみる
まずは電源を入れてみます。結構大きな「ピー」という起動音が鳴ります。
何か動作をさせる度にこの音量が鳴るのは、ちょっと勘弁してほしいところ。
駆動部
駆動部はZ軸方向しかありません。
下の写真の部分にビルドプラットフォームを取り付けます。
ビルドプラットフォームを取り付けたところ。
前面に見えているものと、右側にある計2本の六角ねじのあたりにボールジョイントがある構造になっています。ネジを緩めると、下部の板が回転方向や多少のZ方向の移動を含めて、調整が出来ます。
前面の液晶は必要最低限でしょうか。手袋をしていてもタッチできます。
説明書に従って、ビルドプラットフォームの平面出しを行いました。
プリント
光造形式の3Dプリンターの造形手順は下記の通りです。
- モデリング:3D CADやモデラーと呼ばれるアプリで3D modelを作ります。
- スライス:スライサーと呼ばれるアプリを使って、3D modelを3Dプリンターで印刷できる形式に変換します。支えが必要な部分にサポートを入れたりするのもこの工程です。
- 3Dプリント
- 洗浄:IPAに付けて、余分なUVレジンを取り除きます。
- 2次硬化:太陽光やUVランプに当てて、UVレジンを完全に硬化させます。
今回は作業を抜粋して紹介します。
モデリング
360度3D動画を取るために、VRカメラInsta360 EVOを2台つなげるための台が欲しいと思っていましたので、それを作ってみます。
以前作ったInsta360 EVO用のケースから底の部分だけ抜粋して二つつなげました。
スライス
モデルが完成したら、専用のスライサーアプリを起動します。ELEGOO MARSは「CHITUBOX」というアプリを使います。
一方向に長すぎたため、下の図のようにしか置けませんでした。スライスしてみたところ、約8時間かかると出ました。この3Dプリンターの場合、縦の長さに比例して印刷時間がかかります。今回のモデルは典型的な無駄に時間のかかるモデルですね。
3Dプリント
作成したデータをUSBメモリーに入れて、ELEGOO MARSに読み込ませると印刷スタートです。
取り敢えず物は試しで、そのまま印刷してみました。下は印刷中の写真です。出来ていくさまが見れるのは面白い。
けたたましい「ピー、ピー」という音とともに、造形終了です。やはり8時間かかったようです。
出来上がったものは、プリンターのビルドプラットフォームの部分からぶら下がっています。
洗浄
付属のへらで剥がした状態がこちら。意外と綺麗に出来ています。
1次洗浄と2次洗浄を行います。といっても、やり方は一緒、IPAが入った容器に入れて10分ほど放置というものです。
1次洗浄容器、2次洗浄容器を分けることによって、IPAを長持ちさせるための工夫です。
1次洗浄容器内のIPAが多少汚れていても、2次洗浄のIPAはそこそこきれいに保つことが出来ます。
2次硬化
紫外線ランプを使うか、太陽光に浴びせて、UV樹脂を完全に硬化させます。
透明だったものが、少々黄色っぽくなりました。
横から見た状態です。側面も積層跡はありません。が、歪んでいる場所が何か所か。これは、印刷中に覗き込んだ時に台を揺らしてしまった時の物だと考えています。
今回の形状は、サポートが横一列にしかなかったために、横揺れに弱い構造になっていたのでしょう。一つ勉強になりました。
まとめ
光造形方式の3Dプリンターを買ってみました。
特に設定をいじらなくても、造形物の上面以外はとてもきれいに造形できるようです。寸法もそこそこ出ていますし、側面・底面の平坦性は素晴らしいです。
・造形自身は非常に綺麗に出来ます。
・動作音もそこまで大きくありません。動作初期・終了時などになる「ピー」という音の方がよっぽどうるさいです。
・動作中は、蓋をするので薬剤の匂いはほとんどしません。
・PCへの接続が必要ない、USBメモリーから読み込む方式のため、PCで重たい処理をしていても動作不良になることがありません。
小さな”ちょっとしたもの”を作るには、いいのではないでしょうか。ただし、やはり薬品を使う以上、気を付けるべき点は出てきます。
使用感の詳細については、別記事にまとめています。ご参考までに。
それにしても、自分で適当に作ったものがその場で簡単に作れるのは画期的ですね。いろいろ遊べそうです。
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