3Dプリンタ ELEGOO MARS のFEPフィルムを交換してみた

光造形式3DプリンタELEGOO MARSのFEPフィルムが痛んできたので、交換をしてみました。

思ったよりは簡単だったのですが、交換の様子をまとめます。

3Dプリンター「ELEGOO MARS」

光造形形式の3Dプリンターです。3万円前後で、高精細な造形が作れます。

購入したFEPフィルム

フィルム10枚で約5,000円、1枚当たり500円のフィルムです。

交換前FEPフィルム状態

レジンタンクの構造

交換時にはレジンタンクをばらすことなります。まずは、レジンタンクのイメージを持っておくと作業がはかどるでしょう。

レジンタンクを上下ひっくり返した時の構造のイメージ図を下記に記します。

上から、金属枠1、FEPフィルム、金属枠2、タンク本体、という名前として説明します。

FEPフィルムは金属枠1と金属枠2で、ネジによって固定されています。この塊を枠付きFEPフィルムと呼ぶことにします。

まずは、この状態の枠付きFEPフィルムを作ってから、タンク本体にねじ止めすることになります。

交換手順

FEPフィルムの取り外し

レジンタンクを裏返します。

六角ねじ10本で止まっていますので、外していきます。

ELEGOO MARS付属の、ネジと同封されている六角レンチが使えます。

ネジを外し終えたら、タンク本体の表から力を加えます。すると、枠付きFEPフィルムが外れます。タンク本体に隠れていた部分にUVレジンの拭き残しが見られます。手袋をはめて作業に臨むべきでしょう。

上で説明した、下図の部分を分解していきます。

金属枠2を表にすると、ネジが24本顔を出しますので、これを全て外していきます。

ELEGOO MARSに同封されている緑の柄のついた六角レンチが使えます。

ネジは浅めの皿ネジです。

下がネジを全部外した状態です。

金属枠2を持ち上げると、簡単に外せます。

取り外したFEPフィルムです。

中央部分がプリント時かメンテナンス時に傷ついてしまっています。

また、周囲は、金属枠1・2とタンク本体の間でテンションをかけて、適切に伸びる作りになっているようです。よく考えてありますね。

新しいFEPフィルムを取付ける

金属枠1・2にFEPを取付ける

金属枠1の上に新しいFEPフィルムを置きます。

次に金属枠2をFEPフィルムの上に置きます。

この時、下記の動画のように約13mmの高さのペットボトルの蓋を使うとちょうど良いたわみが出来るようですが、無くても問題なく交換出来ました。

下記のような順番で、対角線上のネジを緩く仮止めしていきます。FEPフィルムは貫通するけど、手締めで回せる程度の硬さで締めるといいでしょう。

車のタイヤを交換したことがある人でしたら、そのイメージで良いのではないでしょうか。

ネジは力業で絞めても問題ないのですが、ピンセットなどで、ネジ穴部分のFEPフィルムに穴を開けてからネジを締めると、FEPフィルムが緩まず、きれいに止めることができます。

上記4点を止め終わったら、対角線毎に順にネジを仮止めしていきます。

なお、Photonの公式動画ではこの辺りは適当に止めていました。

全部の仮止めが終わったら、等間隔の移動を意識して本締めを行っていきます。

例えば、下記の図のような順番で締めると、均等に締めることが出来ます。なお、一気に占めるのではなく、少し締めては次のネジ、少し締めては次のネジ・・・というのを3、4周行うつもりで締めていくと、締め付けの偏りなく締め付けることができます。

これで、「枠付きFEPフィルム」の構造が出来ました。

枠付きFEPフィルムをタンク本体に取り付ける

これをタンク本体に取り付けていきます。

タンク本体に枠付きFEPフィルムを乗せると、ちょっと浮いた状態になります。

ここから、前の皇帝と同じように、ネジの仮止めをしていきます。下記の写真の順番でまずは4本、フィルムを貫通したのちに、手締めで動く程度まで止めます。

次に、残りの6本も、手締めで動く程度に緩く締めます。

この締め付けによって、FEPフィルムにタンク本体と金属枠2との間でテンションがかかり、FEPフィルムがピンっと貼るようになります。

締め付けが偏っていると、しわやたわみの原因になりますので、ネジを締めるときは少しずつ、数周に分けて締めていった方が無難です。

締め付けるネジの順番は例えば下記の図の順番のように、時計回りに3個目を締めていく、といったような締め方をすると満遍なく締めることが出来ます。

余ったFEPフィルムを切り取る

余ったFEPフィルムをカッターを使って切り取っていきます。

金属枠1に沿って、タンク本体の外枠に刃を充てるようにして切っていくと、きれいに切れます。

余分なFEPを切り終わったら完成です。たわみなく取り付けることが出来ました。

まとめ

今回、ELEGOO MARSのFEPフィルムの交換を行ってみました。

基本的にはネジを締めるだけの簡単な作業でした。

とはいえ、液漏れがあるかどうかは樹脂を入れてみるまで分かりませんし、潜在的にリスクを持った作業とも言えます。

今回のフィルムの価格が一枚当たり約500円。プラスチック製レジンタンクが1台当たり約800円ということを考えると、プラスチック製レジンタンクを買った方が楽が出てきて、安心のように思います。