360度カメラやVR180用カメラの解像度について計算してみた
360度カメラやVR180用カメラの
解像度について計算してみた
QooCam 8kやらInsta360 EVO等、一般向けのVRカメラで遊んでいるのですが、8k画質の3D360度動画や、5.7k画質の3D動画になってくると、Oculus Questでは荷が重いらしく、再生がカクカクします。
Oculus Quest 2では、8k360度画質の再生に対応しているとのことなので期待はしていますが、データ量を考えると、映像の解像度は下げれるに越したことはありません。
そこで、カメラで撮影できている正味の解像度を計算してみました。
計算して考えてみる
2眼タイプの360度カメラやVR180対応のカメラについて考えていきます。
円形に保存されるVRカメラ
これらのカメラの記録は、下のような円形の映像として撮られています。ご覧のように、黒く塗り潰された、”使っていない画素”が存在します。スマートフォンやパソコンでこの映像を引き延ばして、正方形に整えていくことになりますが、記録映像を見る限り100%は使われていない、ということになります。
単純に有効画素の一辺が直径の円の面積は、正方形と比べて、
円の面積 / 正方形の面積 = { ( 直径 / 2 ) 2 × π } / ( 直径 × 直径 )
= 4 / π ≒ 0.79
と、約80%の面積しか使われていない計算になります。
つなぎ目をキレイにするために
例えばQooCam 8kでは片方のカメラが200度の角度を撮っているとされています。
前後のカメラで重なる部分を大きくとることによって、カメラの継ぎ目をキレイに処理するために、このような超広角で撮影されています。ちなみに、この作業をステッチと呼びます。
ステッチの精度が良くなるとは言え、片側で見える角度は180度。後20度の分は損をしていると言うことです。
超単純化して、前述の記録されている円の直径が、180/200になったと考えると、有効画素数は更に減少して、
( 180 / 200 )2 × 4 / π = 0.64
と、保存されている画素数に対して、使われている画素数は約65%しかありません。
もちろん、継ぎ目の部分が大きければそれだけ綺麗な360度映像が得られます。とは言え、これでは
「8k画質で保存するから、このカメラは8k画質だ!」
といえるのでしょうか?
有効な画素数とは?
以上を踏まえて、有効な画素数を計算してみます。
項目 | 4k画質 (2160p) | 5.7k画質 (2880p) | 8k画質 (3840p) |
---|---|---|---|
正方形 | 4.7M px | 8.3M px | 15M px |
円形(視野角180度レンズ) | 3.7M px | 6.5M px | 12M px |
円形(視野角200度レンズ) | 3.0M px | 5.3M px | 9.4M px |
2眼タイプのVRカメラの正味の有効画素数はワンランク下の解像度と近し計算結果となりました。
撮影時には高画質で撮影して、出力時(レンダー時)にワンランク下の解像度とすると、画質と保存容量のバランスが良さそうです。
となると、各カメラで撮影した映像の出力方法は、下記の表のような画質が妥当なのではないでしょうか。
カメラの画質 | 出力する画質 |
---|---|
4k画質(RICOH THETA、QooCam等) | FHD程度 |
5.7k画質(Insta360 One R、Vuze XR等) | 4k画質 |
8k画質(QooCam 8k等) | 5.7k画質 |
検証
下記にQooCam8kで、8k画質で撮影し、8k画質、5.7k画質、4k画質で出力した映像をアップしてみました。
8k出力
5.7k出力
4k出力
如何でしょうか。YouTubeに置いた時点で画質は劣化しているとはいえ、私の眼には8k画質と5.7k画質で大きく違いが感じられません。
流石に4k画質まで下げると画質の劣化が目立ちます。
例外のカメラ
以上は、2眼タイプのVRカメラについて記載いたしました。
そう、2眼タイプでなければ、実際に4k画質であったり8k画質で撮影出来ていてもおかしくはないのです。
ペン型全天球カメラ「IQUI(イクイ)」
2020/10/15発売予定のVecnos社製の360度カメラです。レンズを横方向に3つ、上に1つ付けているため、2眼タイプよりも画質の向上が期待できます。
FITT360
クラウドファンディングMAKUAKEで12/15まで販売を受け付けている3眼のカメラです。
ネックスピーカーのような形状で、首にかけて使うため、
- 両手がふさがらない
- 1人称の映像が撮れる
と言った独特の映像が撮れるようです。動画は4k画質までと、少々物足りない物を感じますが、個人的には今後に期待したと思い、出資しました。
手に入ればレビューいたします。
ROGY 360
2020年春にクラウドファンディングを実施していた360度カメラです。
6つのカメラを持っており、全方向をむらなく撮影できます。このため、原理上は前述のような画素数の減少は置きません。
個人的に、クラウドファンディングに出資いたしましたので、現物届きましたらレビューを致します。
プロ級カメラ
カメラを6~8個持っている全天球カメラです。カメラ重量も1kg以上となり、手軽な撮影は出来ません。その分画質は良くなります。
まとめと考察
360度カメラやVR180対応カメラで撮影した動画に対して、どれくらいの画素数で使うと効率的なのかを検証いたしました。
ワンランク下の解像度の設定がおススメ。
・8k画質のカメラなら、8k画質で撮影して、5.7k画質に加工。
・5.7k画質のカメラなら、5.7k画質で撮影して、4k画質に加工。
なお、写真については多数枚の写真を合成する手法で解像度を上げることが出来たりしますので、本稿の内容が当てはまらないケースもあります。
厳密にいうと、レンズの中心部分が最も解像度が高く、周辺に行くほど解像度が落ちているはずです。現状の発売のされ方を見ていると、カメラメーカー各社は、撮影をより手軽にする方向に技術を進めています。
特に360度カメラでは、秀逸なアプリを持つものが多く、ジンバルが不要なくらいの手振れ補正や自動水平補正、更に、映像方向の固定や人物やモノへの追従する映像が簡単に作れてしまいます。
撮影者は適当に、角度を気にせずにカメラを持って、後でぐりぐり映像を編集したり、アプリのお任せ機能(AI対応など)で手軽に映像を楽しむことが出来ます。この使い方ですと、カメラの画素数の”おいしい構図”を気にすることなく、使うことになります。むしろ”おいしい構図”が存在しない、全方向に均一に撮影出来ることの方が重要となるでしょう。
となると、IQUIのような多眼カメラに優位性が出てくると考えられます。
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